裏沢 とは、室蘭岳北面に突き上げる川の通称。幌別川裏沢。
室蘭岳裏沢は、 MITWV の沢登りの訓練の場として登られてきましたが、近年部員の減少に伴い、登られる回数が徐々に減ってきました。そのため、これまで口頭で言い伝えられてきた裏沢の濃密な(?)情報が次の世代へと伝わらない状態となってきました。そこで、これまで MITWV で培われてきたノウハウを次の世代へ伝えるべく、私の記憶が確かなうちにここに書き記すものです。
裏沢の大部分は砂岩質で、崩壊速度が速く、日々渓相が変化しています。この記述は沢の状況の変化に応じて随時更新しています。この記述は1991年から2014年に遡行した記録を元にしています。
なお、裏沢の下流部は大変美しいですが、上流部は陰鬱で薄汚れた渓相で、とても楽しい遡行は期待出来ません。あくまで訓練の場と割り切れる人以外は入渓しない方がいいでしょう。わざわざ時間と金をかけて裏沢のバリエーションに挑むくらいなら、南日高の楽古あたりの沢に行った方がいいしょう。
このページでは、「裏沢」と「滝沢」について言及します。幌別川にはこのほかに、カマンベツ沢など、様々なルートが開拓されていますが、私は遡行経験がありませんので、記述しません。
概要
- ルート名
- 裏沢
名称
MITWV では「裏沢」と「滝沢」をまとめて、時には室蘭岳周辺における沢登りの訓練をひっくるめて「裏沢」と言うことがあります。混乱を避けるために、ここでは本来の意味での裏沢のみを裏沢と呼ぶことにします。
胆振幌別川鷲別来馬川の Co140 二股を左に分けて南に向かい、室蘭岳と幌別カムイヌプリとの中間コルを源流とする川を室蘭岳滝沢と言う。おなじく、鷲別来馬川の Co210 二股を左に分けて南に向かい、室蘭岳北面を源流とする川を室蘭岳裏沢と言う。
裏沢は中流部で左岸から4本の支流が入り込み、下流から順に1の沢、2の沢、3の沢、4の沢と呼ぶ。更に4の沢はすぐに2股となり、左股を5の沢と呼ぶ。 Co490 の三股はゴーロと呼ばれている。ゴーロは三股と言われるが、実は四股になっている。まず、左股沢を分けて、 50m 上流で右股沢と分かれる。更に 20m 先で、左にゴミ沢を分ける。本流は中股沢または中央沢と呼ぶ。
左股沢は、室蘭岳から鉱山町への下降ルートとしてもよく使われるため、下降沢と呼ばれている。室蘭岳頂上から下降沢は Co690 付近までの、北尾根のことを下降尾根と呼ぶ。ゴミ沢は Co550 で再び二股となり、それぞれゴミ沢左股、ゴミ沢右股と呼ぶ。このゴミ沢左股とゴミ沢右股の中間尾根をゴミ沢中間リッヂと呼ぶ。下降沢上部からゴミ沢左股右岸尾根にかけての岩壁帯をバッドレスとよぶ。
中央沢は Co650 付近で三股となり、それぞれ中央の左、中央の中央、中央の右と呼ぶ。
滝沢は Co260 付近から上部が遡行対象だが、その間コンスタントに滝が現れる。滝はバリエーションに富んでおり、美しいく飽きさせないが、いずれも容易である。つめは泥壁ながらも、ヤブ漕ぎなく登山路に出られる。初心者に沢登りの楽しさだけを教えるにはうってつけの沢だ。
裏沢の出合から下流部は滑や函が美しい。中流部はゴーロまでほぼ単調な河原がつづく。ゴーロから上部は沢が細かく枝分かれするが、いずれも急激にその傾斜を増し、室蘭岳北面に突き上げている。一部は上部で岩壁となり、ロッククライミングルートとしても開拓されていたが、最近では登攀したという話はあまり聞かない。
沢床は砂岩質の脆い滑で、状態が恒久的に保たれることはない。ボルトやハーケンを残置しても、次の年には抜け落ちてなくなっているということもままある。ホールドは乏しく、全体にフリクションに頼る遡行となる。水量は少なく、雨の少ない年にははがれ落ちたザレが表面を覆い、困難な遡行を強いられることがある。下降沢を除いては、いずれも下降は困難である。
中流部の支流は、大小様々な滝が多数あり、バリエーションに富んだ遡行が楽しめる。中には日高山脈深部を思わせるようなダイナミックなモノもあり、侮れない。上部は泥質のガケで、稜線へ詰めることは奨められない。
気候
北面で急峻であるため、日中も日当たりが悪く陰鬱としており、天気の悪い日は寒く、凍えながらの遡行を覚悟しなければならない。特に6月下旬から7月にかけては、登別市鷲別~室蘭市水元地区から、鷲別川上流、滝沢裏沢周辺は天気が悪く、常に霧がかかったような状態が長く続く。一般にこれは鷲別・水元気候と呼ばれているが、我々の間では裏沢気候と呼ばれている。7月中旬までは上流部に雪渓が残る。
8月下旬から9月にかけてようやく気候も安定し、比較的暖かくなる。北海道の沢全体に言えることかもしれないが、快適な遡行を望むなら、9月上旬くらいがおすすめだ。
下流域
- ルート名
- 裏沢下流域
裏沢の出合付近は、白く輝く岩質の滑床になっており、非常に美しい。ただし、年によってはガレや流木に埋められてしまうこともある。
Co220 から 230 までは小規模なゴルジュになっており、滑床と小さな淵を時には腰まで水に浸かって通過することになる。突き当たりには大きな釜を持った 5m ほどの滑滝があり、ウォータースライダーで遊ぶことも出来る。この滝は右岸を簡単に直登できる。
このゴルジュはコンパクトながら、沢登りは楽しい物だという幻想を抱かせるに十分なインパクを持っている。しかし、この沢で楽しいのはここまでで、ここから先は修行の場が待っている。
ゴルジュを抜けると、沢はひたすら単調な河原となる。左岸が浸食された赤い岩盤の途中に1の沢出合を見ると、すぐに2の沢が滝となって出合う。2の沢は、近年大雨による浸食によって流れが変化して出合の位置が変わった。更にしばらく行くと、3の沢が鋭角的に出合う。久しぶりに小滝を見るとすぐに4の沢出合だが、正面が4の沢となって出合うので、間違えて4の沢に進まないように気をつけたい。この1の沢から4の沢にかけては、2012年9月の大雨による浸食によって渓相が大きく変化し、広大な河原が出現した。
4の沢を過ぎてしばらく行くと、ゴーロと呼ばれる四股となる。ここは以前トレーニングのためのキャンプ地とされていたが、現在では2の沢出合付近の浸食によって出現した河原あたりの方が快適であろう。ちなみに、このゴーロにはかつて山小屋が建てられたことがあるそうだが、一冬で雪崩れにとばされてしまったそうだ。
- ルート名
- 裏沢下降沢
北海道の山と谷にも紹介されている、裏沢で最もポピュラーなルートだ。下降も比較的楽なので、下降沢と呼んでいる。
ゴーロから左に入る。ゴーロが三股だとばかり思っていると、実は二股なので見落としやすい。ここを見落とすと、ゴミ沢へ行ってしまう可能性もあるので注意して欲しい。(実際に左股に行くつもりがゴミ沢に行ってしまったバカなガイドが居るらしい。)
ゴミ様相の河原をしばらく行くと、滑様相になり始める。小さな滑滝はいずれも直登可能だが、下降の場合には微妙なクライムダウンの連続となる。鎖も着いているところがあるが、最近はかなり腐ってきているような気がする。
Co560 で左に新下降沢を分けて、滝を登るとすぐに右に直登ルンゼを分ける。 Co620 の滝を登り、右にナレ沢を分けると、ゴミがたまり始めすぐに滝に突き当たる。
この突き当たりの滝が懸垂岩と呼ばれる物かどうかは定かではない。この滝の上にも沢型は続いているが、稜線直下は急な崖になっているので、ナレ沢との中間尾根にとりついた方が良い。岩場も藪漕ぎもなく楽に北尾根に出る。
北尾根には近年再整備された北尾根登山道が着いている。登山道は忠実にガケの縁に沿って進む。なかなか壮観な景色だが、あまり身を乗り出しすぎて落っこちないようにして欲しい。特にロボットのような形をした大岩の当たりからの景色はよい。もっとも、私はほとんど曇の時にしか行ったことがないので、そんな幸運はほとんどない。
また、下降には北尾根登山道上にある、かつて裏沢ルートへの分岐を示した朽ちた看板を目印に、左のわずかな尾根筋を下っていくと、滝(懸垂岩?)の右岸に出るが、最後は急な崖でロープがないと下れない。かつては残置ロープがいくつも懸かっていたが、近年はあまり整備されていない。また、登高に利用するナレ沢との中間尾根は下降点の目印が不明瞭だし、尾根筋も幾つかに分岐しているので注意が必要だ。
新下降沢
左股沢に入って始めに左に分かれる枝沢を仮に新下降沢と称することとする。北尾根登山道の再整備によって、この枝沢を利用するともっとも容易に北尾根にアクセスできるようになった。
この沢に入ると急傾斜の滑となって、すぐに小さな分岐となる。右はすぐに崖下の崩壊地となって行き詰まる。左に行くと、2段の涸滝となる。これをよじ登ると比較的緩やかな沢型となって、少しヤブを漕ぐと北尾根の登山道に出る。
また、下降には北尾根登山道上の、かつて裏沢への分岐を示した朽ちた看板の少し下にある標識旗のたくさんついた木のあたりから左の枝尾根に下る。途中尾根が立ってきたら右下の谷に入ると左に岩峰が見え、滝の上に出る。クライムダウン可能だが、出来れば懸垂下降した方が良いだろう。
新下降沢出合を過ぎてすぐ右に分岐するのが直登ルンゼだ。
出合の滝を登ると小さな分岐となるが、左はすぐに尾根に消える。右に行くと大きな岩が詰まって沢型が埋まっている。しばらく行くと、中央の中央のお碗の滝に似た分岐となる。左が大岩ルンゼで右が直登ルンゼだ。
右の直登ルンゼ行くと巨大なチョックストンが挟まっている。これを過ぎると稜線直下の巨大な岩壁バットレスとなる。
- ルート名
- 裏沢右股沢
裏沢に置いて、下降沢についで容易な沢だ。慣れてさえいれば、下降沢よりも早くピークに立つことが可能だ。
ゴーロを右にはいると、ガレがつまった伏流となる。かつては、綺麗な河原だったが大規模な崩壊があったらしい。右股出合はかつて、赤い岩の滝になっていたが、これも現在はガレに埋まってしまっている。沢にはいると、延々と滑り台のようなルンゼ状の滑が続いている。顕著な滝などもなく、Co630二股までひたすら微妙なフリクションで登っていく。正直うんざりする。
二股からは左股を選ぶ。右へ行くと、崩壊の激しい泥壁らしい。左股に入るとすぐに、直登不能な小ハングの滝に出る。右岸尾根に取り付いて巻く。そのまま稜線まで木登りで行っても良いが、かなりのアルバイトになる。
沢身に戻るとすぐに小さな涸滝に出る。直登するものの、浮き石が多く不安定だ。更に、小さな逆層気味のツルツルの滝に出る。直登も可能だろう。その後は涸れ沢となり、薄い笹藪に突入し、1時間もすると西尾根に出る。沢身を行くと、ヤブ漕ぎは激減するが、滝を巻く場合は時間的にほとんど変らないので、尾根を行った方がいいだろう。
- ルート名
- ゴミ沢
裏沢でも特に難しく、危険を伴う沢だ。レストする場所がなく、ビレイポイントも乏しい。多人数での遡行は危険だ。
右股出合を見てすぐに左にはいる。まもなくゴミ沢右股を見るが、ヤブに消える沢なので、遡行価値はないと思われる。ゴミのつまった沢床を見て、その命名の意味を納得しながら進むと、ゴミの門と呼ばれている身長ほどのツルツルの滑滝に突きあたる。
一見たいしたことなさそうだが、これがどうして難しい。ホールドが何もない。おそらく何もせずに直登出来る人はそうは居ないだろう。ショルダーで越える。しかし、このゴミの門はその名の通り、ゴミ沢の序の口に過ぎない。この滝で不安を感じた場合は、早めに中間リッヂにエスケープすることをおすすめする。この沢は急傾斜の滑にわらじのフリクションだけで登っていくことになる。もし、沢に水量が少なく、表面に砂粒が付着しているようであれば遡行を取りやめた方がいい。
ここから先はひたすらツルツルのルンゼ状の滑滝が Co700 付近まで続いており、全くレストするところがない。特にS字にカーブした滑の部分はかなりの急傾斜で、ホールドは乏しく、非常に困難だ。ハーケンを打とうにもクラックはなく、ボルトを打とうにも、砂岩質なので効かない。どうしても尾根に逃げる場合は、左岸の中間リッヂへ取り付く。間違っても右岸に逃げてはいけない。なぜなら、右岸尾根上部にはバッドレスと呼ばれる大岩壁が存在するからだ。もし、右岸に登り、沢に戻ろうとしてもそれは出来ない。沢には安全に降り立つところがないからだ。
S字カーブをこえると、両岸が切り立った急傾斜の階段状の滝になる。冷汗をかきながら50mほど攀じると、ようやく核心を越える。後はヤブに消える沢を右に寄りながら中間リッヂへ抜ける。ヤブは薄い。
中央の中央(お碗の沢)
- ルート名
- 裏沢中央の中央
室蘭岳頂上北面に直接突き上げる直登沢。
ゴミ沢出合で小さな滝を一つ過ぎると、あとは緩い滑とゴミだ。 Co600 付近から例によってツルツルの滑だが、まだ傾斜は緩い。 Co650 三股までは7月中旬頃まで雪渓で埋まっていることが多い。いずれも急傾斜の滑となって合流する上三股をよじ登ると延々と急傾斜の滑が続いている。
ここから Co700 まで2段の滑滝になっている。しかし、三股から1枚の滑が徐々に傾斜を増して滑滝に続いているため、その始点がわかりにくく、いつの間にか滝の中間に立っていることがあるので注意が必要だ。ビレイは中間部で行う。人は一人しか立てないので、他のメンバーは下部で待つことにする。足下のクラックにハーケンを打ち込む。微妙なホールドを使い、左手上部に見える赤い岩に乗る。ここまでビレイはとれない。沢中間のクラックにハーケンを打つ。
ここから沢の中央を微妙なホールドとフリクションで滑の終点まで行く。ごくたまにガバホールドにあたることがあるが、あまり力を入れると丸ごとはがれてしまうことが多い。神経を指先に集中して、フリクションを効かせてヤモリのように登るのが裏沢攻略のコツだ。途中ランニングを取る場所はないし、そんな余裕もないだろう。もし足を滑らせれば、かなり滑り落ちることになると思うが、墜落するわけではないので、大けがすることはないだろう。じっさいにここで擦り傷を作った人は大勢居る。後続は下部から引き上げてもいいが、距離が長いため、下部までザイルダウンするのは至難の業だ。おそらく中間部まではフリーで登ることになるだろう。
突き当たりは3方がガケに囲まれた、三股の滝になっており、お碗の滝と呼ばれている。右岸に取り付くが、ずるずるの急斜面なので、下の滝の上部付近まで戻ってから、安定した草付きを探す。左のルンゼを詰めて、尾根に木登りで登る。そのままピークまでヤブを漕いでも良いが、沢身に戻っても構わない。尾根ルートは7月頃までギョウジャニンニクが楽しめる。沢ルートは最後はロックガーデンに出てピークまではすぐだ。
ピークにはヤブの中から突然現れるため、ピークの一般登山者達には驚かれる。また、北面に向かってションっ・・・をする人にひっかけられないように注意したい。
中央の右
- ルート名
- 裏沢中央の右
中央の右は、ガレ様相で、突き当たりでガケとなり、その先はヤブ様相のようである。遡行価値はきわめて低いと思われる。
- ルート名
- 裏沢中央の左
上三股までは中央の中央に同じ。
三股のスラブを過ぎると、両岸が狭まり、見事に空中に浮いたチョックストンの下をくぐる。チョックストンの下はツルツルの滑になっフリクションと微妙なバランスで何とかよじ登る。すぐに微妙な傾斜の長い砂岩質の滝になる。
練習のために直登にチャレンジする。ランニングは取れないので、高巻いてからトップロープで登る。右岸の草付きを攀じって潅木帯へ抜けるが、草付きは急傾斜で脆い。滝の上から、取り付き点まで距離があるので、ロープダウンが難しい。直登は左岸の岩の上から中央にトラバースして細かいホールドに手を伸ばす。上部に行くほど傾斜は緩くなるが、ホールドが乏しく難度は上がる。左右に逃げがちになるが、中央の水流にフリクションを効かせる。雨量が少ない時は表面が砂まみれとなって極度に困難となる。
この先も急傾斜の滝がつづく。両岸は立って取り付けないので我慢して詰めていく。最後は木登りで右岸の尾根に取り付くと、30分ほど藪を漕いでピークにつく。
- ルート名
- 裏沢2の沢
下流部はゴミ様相で少々歩きにくい。所々に小さな滝が現れるが、いずれも容易に直登可能だ。
Co520で左岸から2段30mのF1が落ちてくる。1段目は右岸から中央をトラバースして中央に抜けるが、ぬめりがあることがあるので注意だ。2段目は左岸を直登してもろにシャワーをあびながら中央に抜ける。この沢では比較的容易な方だが、高度感はピカイチだ。
Co590で5mの垂直の滑滝に出るが、これは右岸を巻ける。しかし、この滝は裏沢でも有数の楽しい滝で、最も登りごたえもある。直登しない手はない。セオリーは右岸を直登するが、中央のカンテを登ることも出来る。抜け口は微妙でホールド探しに難儀する。
すぐにCo620F3、20mがつづく。左岸を直登して最上部を右岸へトラバースして落ち口へ抜ける。かつてここには、ちょうど人が手を伸ばして届くほどの岩が出っ張っていて、それを抱きかかえるようにしてトラバースしていたが、現在はそこに岩はなくなり、小さなテラスになってしまい、難度が下がってしまった。
これらの滝は、一見安定していそうだが、入山者が少ないためか以外と浮き石が多く、岩が丸ごと抜け落ちることがある。実際、何度か岩ごと墜落するという事故が発生しているが、幸い大事には至っていない。
F3の上部からすぐに左の小沢にはいり、3の沢右股とのコルへ向かう。沢はすぐに涸れ、ヤブへと突入する。この辺りは裏沢でも特に笹が濃く、太いところだ。8月に入るとヤブが濃くなるので、早い時期に入りたい。
3の沢(2の沢からの下降)
- ルート名
- 裏沢3の沢
2の沢との乗越コルから笹の斜面を滑り、3の沢右股に出る。Co630三股まで3つ滝が出現する。2012年9月の大雨で植生が流されてしまったため、クライムダウンは難しい。三股の滝まで全て懸垂下降した方が良いが、ピンを取るのも難しい。
このCo550三股は3方がすべて滝になっている。右股は細かく分けると3段で、それぞれに直登可能だ。1段目の上は比較的日当たりが良く、2の沢で冷えた体をここで温めることが多い。中股は20mの大滝で、右岸にルートを見いだせる。実際にハーケンを打ちながら登ったこともあるが、なかなか登りごたえがある。右股から巻いてトップロープをかけることも可能だ。
左股は最もスケールが大きく、難しそうだが、北向きで日当たりが悪いため、陰湿で登る気が起こらない。しかし、地形図では西尾根に抜けられそうなので、興味がそそられる。
Co470の滝は左岸をクライムダウンするが、人によってはロープを出した方が早いかもしれない。Co430からの函状の滝はとっかかりがなく、クライムダウンが出来ないところもあるが、右岸の壁に向かって走って降りれば何とかなる。
3の沢は2の沢の下降用に使われることが多いが、遡行対象としても面白いだろう。