- 目的
- ペテガリ沢C沢・中ノ岳北東面直登沢遡行
- 日程
- 2004年08月01日(日) - 03日(火)
- 山域
- 中日高
ペテガリ沢C沢と中ノ岳北東面直登沢の探検に行った。C沢は噂通りのガレ沢だった。中ノ岳北東面直登沢は雪渓が多かったとは言え、思ったほどの難渓ではなかった。
行程
2004年08月01日(日) ベッピリガイ乗越~ペテガリ沢
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
12:25 | 神威山荘 | 出発 | |
14:50 | ペテガリ橋 | ||
15:45 | F1の上 | ||
16:45 | Co540 | C1 |
おバカな出来事
朝早く起きて、荷物を車に積めて浦河に向けて出発する。静内警察署で計画書を提出。元浦川林道へと向かう。と、上野深を通過中にものすごく大切な物を忘れたような気がしてくる。そういえば、昨日パッキングしているときから、今朝までずっと、コンパスにふれていないような気がする。
車を停めて、荷台の中を探すが、案の定どこにもコンパスの姿がない。まいったね。ここまで来て忘れ物に気づくとは。他の物ならともかく、よりによってコンパスとは。他に代用できる物もないしなぁ。今さら慌てて帰っても仕方がないので、ひとまずそのまま偵察をかねて神威山荘へと向かう。神威山荘には6~7台の車が残置してあり、本州からの車も多い。
小屋の中をちらっと見て引き返す。ちなみに、ソエマツ林道など支線林道はすべてゲートが設けられ、入林できないようになっているようだ。帰りはドライブを楽しむつもりで、静内田原に抜ける広域農道を走っていく。田原から静内市街を通過中、そう言えばホーマックなんかでコンパスが売ってることもあるなと思い立つ。念のため、ホーマックによってみるが、やっぱりコンパスはない。でも、もしかしたらスポーツショップ新雪荘にならあるかもしれない。
ダメ元で町中まで戻り、新雪荘に行ってみると、なんと、ちゃんと Sliva No.3 があった。早速購入し、再び神威山荘へ向かう。が、ここまでのロスタイムは約4時間。目的地まで予定通りに到達するのはかなり厳しいかもしれない。
ニシュオマナイ川~ベッピリガイ沢乗越
とりあえず、カップ麺で腹ごしらえをしてから出発。それにしても今日はやけに気温が高く、アブがまとわりついてうるさい。とりあえず本流に出ると、いきなり函があって、泳がないと下降できない。一度道に戻り、山荘脇の小沢を伝い、本流に降りる。乗り越し沢出合に向かって下降していく。途中、あまりの暑さからか入水自殺を図っていた立派なミヤマクワガタを救出し、出合につく。出合から Co420 付近まで林道が併走しているので、それを利用する。そこから先は細い沢形に入るが、ペテガリ林道が閉鎖になってからこれまで一体どれだけの人がここを利用したのか、かなり明瞭な踏み跡が続いている。
この沢の上部は細かい枝沢がいくつも合流し迷路のようだが、分岐ごとにテープがあるため、読図もろくにせずそのまま支持通りにすすみ、最後に泥壁を詰めると、コルに出る。止まるとアブが寄ってくるので、ろくに休憩もできず、先を急ぐ。ベッピリガイ沢側はニシュオマナイ側よりも更に穏やかな渓相で、踏み跡からすぐに林道に出た。
干上がった川原沿いの林道を進み、出発から2時間半でペテガリ橋に到着する。ここまで時間がかかりすぎたら今日はペテガリ山荘まででも良いと思っていたが、いつものペースなら2時間もあればなんとか中ノ岳直登沢出合まで行けるだろう。
ペテガリ沢
沢が北へぐるりと曲がり、2本ほどゴルジュを過ぎて、下流部の核心である Co450 函滝に出会う。なにやら左岸の壁が崩れ、沢床には残骸らしき物が転がっており、以前に来たときとは少々印象が違う。ここは来るたびに直登の誘惑にかられるが、過去3度と同様、左岸のルンゼから取り付く。ルンゼを上がり、灌木帯に付くと、なんだか以前とまるで光景が違う。以前なら確かそのまま急傾斜の灌木を攀じり、笹藪斜面をトラバースしていったはずであるが、灌木の先は左右がすっぱりと切れ落ちた脆く崩れかけた岩質のカンテになっている。
細いカンテを綱渡りのように進むが、突き当たりは急傾斜のスラブと、猛烈に悪そうなルンゼへと向かっている。これを確保なしで進むのはあまりにも危険である。ここの巻きは本来、こんなに困難であるはずがない。巻き道を見誤ったかと思い、いったん引き返し、下から眺めてみが、取り付き点はここで間違いないと思われる。しかし、左岸壁の崩壊によって、巻き道の進路を絶たれてしまったようである。
今度はもう少し上流側のジェードル状のルンゼに取り付いてみるが、上に行くほど急傾斜でホールドの乏しいスラブとなり、結局先ほどハマったカンテの左手斜面に進むだけで、行き詰まっている。もっと下流の方から巻くことを考えてみるが、崩れた左岸は切れ落ちたガケとなっており、これの上を巻くとなると相当骨が折れそうである。
こうなってくると、真剣に直登も考えるがやはりこの水量を見ると臆してしまう。これもまた悪そうであるが、ジェードル左手のかぶり気味で脆そうな灌木帯に取り付く。案の定、部分的に崩れかけ、ホールドはイマイチ信用ならないが、かろうじて顔を出している木の根っこをつかんで無理矢理よじ登る。やっとこいつもの笹藪斜面に到達するが、この灌木帯もいつ崩壊するか分からない。いずれにしても、この巻きはあまりにも良くない。
どこぞの沢のようにフィックスロープが付くことは望まないが(というかこれだけ崩壊の進んでいる場所にフィックスなどかけても全く信用ならないけど)、他の通過方法を検討した方が良いかもしれない。水量が少なければ直登も可能かもしれないが、巻くにしても直登するにしても、ペテガリ沢全体を見てもここの通過が核心となるだろう。
その後は特に変わったこともなく、テラスを使ったり腰まで水に浸かって通過していく。しかし、函滝の通過で思ったより時間がかかってしまったため、明るい内に中ノ岳直登沢出合まで行けるかどうか微妙になってきてしまった。どこか天張れる場所を探しながら行く。延々と続く函状地家の中にそうそういい場所はないが、「ペテガリ沢川」の「沢」の字からしみ出す滝を通過し、「川」の字の左の枝沢の対岸に良さそうな川原がある。
2004年08月02日(月) ペテガリ沢C沢~ルートルオマップ川支六ノ沢上二股
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
04:00 | 起床 | ||
05:00 | 晴れ | 出発 | |
05:50 | 中ノ岳北西面直登沢出合 | ||
06:50 | 霧 | Co930 | |
07:50 | 晴れ | Co1250 | |
08:35 | 源頭 | 靴に履きかえ | |
09:15 | 曇り | 西尾根 | 天気図とり |
09:45 | ペテガリ岳 | ||
12:50 | Co1300 | ||
13:50 | Co850 | ||
14:30 | ルートルオマップ川支六ノ沢上二股 | C2 |
ペテガリ沢
ベッピリガイ山北西面沢出合を曲がり、3つの滝を過ぎて函状が続くが、沢は徐々に開け、河原となる。小さな函を通過すると、中ノ岳直登沢出合となる。更にゴーロを通過し、B/C沢出合となるが、以前来たときよりも更に荒れた感じで、ぱっと見たところ天場らしき物は見あたらない。
ペテガリ沢C沢
今回はC沢探検である。C沢に入ると沢はすぐに伏流する。 Co900 を曲がり先を見上げると、切り立った険悪そうな函状地形がつづいている。しかし、実際は3~4の滝も出てくるが、源頭までひたすら噂通りのガレ沢である。たまにある滝も、これだけのガレ相では恒久的なものとは限らないだろう。沢筋を忠実に進むと、 Co1500 付近でB沢との中間尾根に突き上げている。尾根筋、斜面は濃密な灌木とハイマツのミックス藪となっているようである。そのままB沢に乗り越してもよいが、斜面を下り気味に左にトラバースし、左の沢型に出て、藪の薄いところを伝って西尾根に出た。
ルートルオマップ川下降尾根
少々時間が過ぎてしまったが、大急ぎでラジオを出して天気図をとる。ピークに付くと、テントが一張り有るが、人がいる気配はない。ルベツネまでアタックにでも出かけているのだろうか。下降尾根に向けて出発すると、正規の登山路であるはずなのに、ハイマツが伸びていて、案外と歩きにくい。サックリと通過する予定だった東尾根分岐をヘトヘトになって通過。こんな状況の尾根を延々と縦走する人たちはやはりマゾとしか思えない。ここを利用するのは2回目で、酷いルートであることは分かっていたので、今回のこの山行も私的にはかなりあり得ない部類なのだが、中ノ岳北東面直登沢を遡行して、帰ることを考えるとここが一番手っ取り早いので仕方がない。
コンパスを切って下降尾根を下る。 Co1200 付近は尾根が不明瞭で斜面に入り込みがちになる。 Co1000 を切ると、ガスも切れ右股枝沢の険悪な様相が目に入ってくる。更に、左股の奥にツルツルの大きな滝があるのが見える。函状の二股に滑り降り、下流へ向かい釜を左岸のテラスから巻く。あまり快適そうな天場はないが、左岸テラスのわずかな砂利場にツェルトを張る。1人用ツェルトが精一杯で、パーティで来たときにツェルトが建てられそうな所は見あたらない。
2004年08月03日(火) 中ノ岳北東面直登沢~ニシュオマナイ川
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
04:00 | 起床 | ||
05:00 | 晴れ | 出発 | |
06:50 | 曇り | Co930 | 軽アイゼン着用 |
07:50 | Co1200 | ||
09:05 | 霧 | 中ノ岳 | |
10:50 | ニシュオマナイ川 Co860 | ||
12:35 | 林道 | ||
12:45 | 神威山荘 | 下山 |
中ノ岳北東面直登沢
滑滝群
二股の函を左岸のテラスから巻いて、出合の小さな滝を左岸から越える。いくつか滑滝を過ぎ(Co570-590)て、沢を右に曲がると小さな直瀑を見る。これは直登できないので左岸の肩を過ぎる(Co600直瀑)。曲がりくねる沢の中に滑滝を見る(Co620)と、上から靄が立ちこめてくる。この滑滝を登り、沢を右に曲がると、突き当たりに雪渓が出てくる。今にも崩れ落ちそうな雪渓を急いでくぐり抜け(Co630)、いくつかの滑滝をやり過ごすと突き当たりに昨日見た大きな滝が落ちてくるのが見える。
ゴルジュ帯
滝はツルツルのスラブ状の岩盤を水が這い落ちている。右岸の凹角を登り、バンドをトラバースして落ち口へ向かうが、スラブ状岩壁にスタンスは外傾して乏しく、慎重に進む。落ち口はツルツルの細い水流の中に取り付けない。肩もまたツルツルで登れないのでやむを得ず、そのまま右岸の岩稜に取り付く(Co700-720スラブ状大滝)。
滝の先には細いゴルジュが続き、中にはいくつかの滝が架かる。チョックストン(Co730)の上からクライムダウンすると、淵の突き当たりに滝が見える。ホールドは豊富そうで、取り付けば何とか直登できそうだが、水量が多く、イマイチ闘争心が沸かない(Co740-750函滝)。軟弱にも、もう一度岩稜を登り返し、そのまま右岸を巻いていく。段状でスタンスは豊富だが、脆い岩質の上に灌木がかろうじてへばりついているような感じで、あまり良くない。左岸も巻けそうであるが、急な岩盤の草付きでもっと嫌らしそうである。樋状を過ぎる(Co750)と、中間で奔流する滝が現れる。右岸のスラブ状側壁をトラバースして落ち口へ向かう。上部はツルツルで、ホールドが乏しく直登は難しいだろう(Co770大滝)。
小滝群
あとは小さな段差を過ぎて、河原となった三股を通過する。初級の可愛い小滝をいくつも通過する。やがて、沢の奥の大きな雪渓が見えてくる。すだれ状の滝を立て続けに乗り越すと(Co890-920)、崩れかけた雪渓にあたる(Co920)。急いで中をくぐり、小滝を登る(Co930)と、ついに先に大きな雪渓が現れる(Co930-970)。軽アイゼンをつけて、雪渓を進んでいく。突き当たりで滝となり、口を開けている。右岸でわずかに雪渓が接している一点からテラスに上がり、滝の上に出る。この滝は大きく、核心の物であるようだが、上から見た感じではそれほど難しそうには見えない。雪渓で通過してしまうには非常にもったいない(Co970-1000大滝)。
ルンゼ帯
更に雪渓が続き(Co990-1020)、先の方は脆く崩れそうだ。右岸から側壁に移り、シュルントから雪渓の下に入る。樋状の滝を一つ登り、雪渓を抜ける(Co1010-1020)。いくつか狭い函状の中の滝を通り過ぎ(Co1020-1090)、Co1100二股にでる。右股はチムニー状の細い滝で、本流は突き当たりの岩壁で右岸から水量の少ない大きな滝となっている。左岸の水流付近を適当に直登していく。高度感はあるが、ホールドは豊富で楽しい(Co1100-1130側壁型大滝)。滝の上は涸れかけた岩盤が続き、源頭の雰囲気で支流に入ってしまったかと思う。さらに左岸が被ったチムニー状を登り(Co1200-1230溝状)、可愛い小滝が連続したあと、沢は灌木が覆い始める。時折藪に阻まれるが、辛抱強く沢形を捜していくと、ほぼ直接ピークに飛び出した。
中ノ岳南西面沢
ピークではまたしてもガスってしまって、全く展望はない。北海道の南西に台風から変わった低気圧があって、風も強い。靴に履きかえてニシュオマナイ川へ向かう。稜線から適当に下り、ひたすら藪を漕いでいく。この沢を遡行した場合、一体どれだけの藪漕ぎを強いられるのだろうか。出来れば、絶対にやりたくないルートの一つだ。ようやく沢に出てから、クライムダウンが連続する。沢に降りてからは徐々に雲が切れ、日が強く差し始める。神威岳への分岐で、登山道が横切るが、暑いのでそのまま小屋まで沢を歩いて下山した。