札内川八ノ沢は、札内川の支流。八ノ沢は毎夏、『二百名山』であるカムイエクウチカウシ山をめざす登山者でにぎわっている。中には『一般登山道』であると誤解して訪れる人も少なくないが、登山道として整備されたことは一度もなく、あくまでも沢登りルートから派生した踏み跡でしかないと理解して利用すべきである。
- ルート名
- 札内川八ノ沢
- 距離(km)
- 3.77
- 標高差(+m)
- 862
- 行動時間(h)
- 4.0
- グレード
- 函滝滝滝滑滑(6.00)
- 等級
- 2級上
- 山谷
- !!
八ノ沢出合までは札内川を参照。
Co890 三股まで
八ノ沢出合には広いテントサイトが広がっている。日程的にはカールまで足をのばしてアタックした方が楽であるが、植生保護や、ヒグマとの遭遇のリスクを軽減するためにはここで幕営してアタックすることを推奨する。出合からしばらくは単調な河原である。沢沿いには踏み跡が平行しているが、部分的に不明瞭な部分もある。時期が早いと Co890 三股付近から雪渓が現れる。本流をそのまま行くと八ノ沢カール、カムエクにいたり、右の沢に入ると一九〇三峰へと向かう。
カムイエクウチカウシへ向かう本流は Co999 三股までは単調な河原が続いている。踏み跡は左右に渡渉しながら続いている。俗に『三股』と呼ばれるこの場所は、 Co999 でルンゼ状の右股が合流し、 Co1030 でピラミッド峰のカールから流れる左股がスラブ状の二本の滝となって合流する、変速二段階の三股である。本流は標高差 80m の連瀑となって突き上げている。左岸には登山道化した巻き道が付いている(巻き道ルート参照)が、中を行った方が断然面白い。連瀑を登り切り、三方から沢が合流するお椀状の滝から左に進み、屈曲し函状を通過すると、直登出来ない滝もいくつか出てくるが、いずれも簡単に高巻くことが出来る。 Co1310 二股はどちらを通っても八ノ沢カールに出る。カールからは踏み跡をたどり、カムエクとピラミッド峰のコルに出る。コルからはカムエクへもピラミッド峰へも明瞭な踏み跡がある(⌒○⌒)。
巻き道ルート
Co999 三股からは本流の左岸に明確な踏み跡が存在している。この踏み跡は、 Co1130 三股まで続いている。ここでも本流には戻らず、お椀状の滝の外周をトラバースして、真ん中の沢に取り付き小滝を登る。この沢に沿ってルンゼを左方向へ詰めていく。(ルートはこのあたりで激しく交錯しており、誤って右の方へ進む人が多いらしい。) Co1250 付近で巻き道は尾根を乗っ越して、左の小沢に移る。この小沢は Co1300 で本流からオーバーフローした水が尾根を越えて流れ、 Co1230 付近の核心部で本流に合流している。岩盤状のこの沢を登り、 Co1300 で本流に復帰する。ここで本流は両方が滝となった二股となっているが、右股に明瞭な踏み跡が続いている。その後は踏み跡は左右に渡りながら八ノ沢カールまで続いている。下降では天場直下から流下する、左股に入り込まないように注意したい。
なお、 Co1080 三股からは以前、右岸にも巻き道が存在していたらしいが、現在ではこのルートを利用する人はほとんど居ないものと思われる。
八ノ沢では、この巻き道ルートから逸脱すればロープや登攀技術が必要になる場合がある。単純に一般ルートと決め込まず、沢登りの知識や経験、読図力を身につけてから行くことを強く推奨する。