- 目的
- トヨニ岳北峰北面直登沢遡行
- 日程
- 2017年08月06日(日) - 07日(月)
- 山域
- 南日高
- トラックログ
トヨニ岳北峰北面直登沢は2年前に後輩達と再訪したが、その年は雪渓が多くて、後輩達の経験値では進むのが難しい判断して右股からピリカヌプリへと転進している。この沢は、入山地と下山地を同じにするには、ピリカヌプリまで循環するか、同じ沢を往復するしかない。あるいは、豊似川方面へ下ると、車の回収が面倒である。どうにかうまい事別の川を溯下降しつつ比較的簡易に循環する方法はないかと考え、豊似川から尾根乗っ越してでクマノ沢に降りるルートを取ってみた。
行程
- 2017-08-06
- 豊似川二股駐車場~豊似川右股~P1258.6南西面沢~P1258.6西面沢~クマノ沢~ピリカヌプリ南東面直登沢出合 C1
- 2017-08-07
- C1~トヨニ岳北峰北面直登沢~トヨニ岳北峰東面直登沢~駐車場
2017年08月06日(日)
豊似川の二股駐車場に車を止め、藪を漕いで沢に降りる。林道に上がろうか迷ったが、ブッシュの中を歩くより白い河原の方が気持ちよさそうなので沢の中を行く。
白く輝く花崗岩の河原はヌルヌルも藪藪もなく、某地域の沢に比べると天国のように快適。 F1 から上部は豪雨の影響か、周囲の植生が無くなってスッキリしていた。
F2 の一段目の上で渡渉し、左岸の滑滝を登ってそのまま資料線に上がる枝沢へ入る。
滝の上は何も無いガレ沢が続くかと思ったが Co650 で 50m の大滝が出てくる。落差はあるが、順層のカッチリホールドが多く、快適に直登する。
その後も小滝と白いガレを織り交ぜて、枝沢ながら案外快適な遡行が続く。詰めは低い笹を少し歩いて、 P1258.6 の西側に出る。稜線上にはシカ道がはっきりと着いているので頂上までもそう時間はかからないだろう。まあ、興味ないのでそのままクマノ沢へ下る。
こちらはしばらくはっきりした沢形は出てこないが、薄い草付きとシカ道で快適。沢形に出ると、登りの沢以上に岩盤が続く。多少クライムダウンが面倒な所もあるが、いい練習だ。
クマノ沢本流に出ると妙に河原が目立つ。このところまとまった雨が降っていないので、渇水気味のようだ。その後も普通なら腰ぐらいまでは水に浸かる所だが、だいたい膝下ぐらいの遡行となった。
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ピリカヌプリ南東面直登沢出合で幕営する。ここで釣りをするのは三度目だが、いつも当たりは渋い。他の日高のイワナが釣れる沢ではどこでも魚影が濃いのだが、この沢で魚影を見るとこはまずない。だが、それだけに釣りとしての本来の楽しみがあるし、釣れる魚体も型の良い物が多い。沢山釣りたい層にはお薦めしないが、アメマスとの駆け引きを楽しみたいのならお薦めのポイントだ。
2017年08月07日(月)
トヨニ岳北峰北面直登沢
2年前には二股を過ぎるとすぐに大きな雪渓に行く手を阻まれたが、今回は既に雪渓無し。 Co720 二股までは概ねガレで、天場はいくらでもある。
すぐに Co750 二股で、本流は直瀑になっている。左股から低い尾根を乗っ越す。その上の釜を持った滑滝で水に浸かってクールダウン。滑滝が立て続けに出てくるが特になんて事はない。
Co830 でいよいよ核心部に入り、くの字の滝が出てくる。意を決して雨具を着込み、滝の中に突っ込む。ホールドはあるが、水圧も強いし足場はツルツルで上がらない。しばらく格闘したが、どうにもなりそうにないので諦めて左岸から高巻く。事前に下調べも、過去の自分の記録も見てこなかったので、てっきりこの滝は直登しているものだと思っていたが、後で調べたらなんて事はない普通に高巻いていた。シャワーの浴び損である。
Co870 三股を通り過ぎ、 Co890 の直瀑は左岸のバンドを斜めに登る。次の二段の滝を通過すると、30mV字の滝のはずだが、左股は涸れていてやっぱりV字にはなっていない。右岸の急な草付き岩壁を攀じって越える。
続く滝を適当に越え、 Co980 二股を右へ曲がるといよいよ八段の大連瀑だ。もちろん直登していく。3段目のチムニーが狭く、最後に右のフェイスに出るのに少し手こずったが、それ以外は特に難しく感じる所はなかった。ちなみにここが七段とか八段とか言うのは途中の小段差を数えるかとか、最後の段を数えるかとかで変わってくる。
その後は細かな分岐を慎重に地形図と見合わせながら水量にかかわらず頂上方向へ入っていくと、沢形が尽きて灌木に入ってすぐに北の稜線上に出た。
トヨニ岳北峰東面直登沢
いつもなら、南峰まで稜線を辿って豊似川左股を下る所だが、今回はこのまま右股へと下る。
全てクライムダウンで行くが、さすがに少し手強い所もある。特に Co1100 の多段50mの大滝では下部でルート取りをしくじって嵌まってしまい、ちょっとヤバかった。
これを過ぎると、滝はスッキリしている物が多く、案外クライムダウンも快適だ。釜もあるので、微妙ならば飛び込んでしまえば良い。ライフジャケットも着用し、準備万端だ。
といいつつ、極力へつりで通過。水量が少ない事もあって、結局ライフジャケットが活躍する所はなかった。
雑感
初日のルートは無名の支尾根を乗っ越すだけの枝沢であるが、上り下り共にそこそこの滝が出てきて、しかもスッキリした渓相で、これがどこかの有名ピークに突き上げる沢ならそこそこ人気が出そうな感じの沢だった。さすがにクマノ沢が初めてという人には、下から遡行してもらいたいが、何度目かの遡行で、今回のように車一台でトヨニ北面を遡行したい場合には悪くない選択だろう。
トヨニ岳からの下降は、豊似川左股を使うのが半ば常識化していたが、今回右股を下ってみて、こちらの方が快適だと感じた。ラッペル回数が2〜3回から4〜5回くらいに増えるかも知れないが、南峰までの尾根歩きや、急なガレ下り考えればさほどの労力増加ではない。
トヨニ岳北峰北面直登沢は以前感じていたより随分と簡単に感じた。八連瀑の威圧感で多少グレードが高めに盛られている感はあるかも知れない。