- 目的
- イドンナップノ沢遡行
- 日程
- 2017年08月01日(火) - 02日(水)
- 山域
- 中日高
イドンナップの沢とは、新冠川の支流でイドンナップ岳の北東面に突き上げる沢の事で、静内川水系のイドンナップ川とは別の川である。元々イドンナップ川と言う川名由来でイドンナップ岳が名付けられ、その山に突き上げる事から便宜的にイドンナップの沢と呼ばれるようになったのだろう。ややこしい話である。もう何年も前から行ってみようと思いつつ、先延ばしになっていた。
行程
2017年08月01日(火)
新冠林道へ繋がる、新冠町道岩清水新冠ダム線の町道区間が変わって、名称も変わったらしい。割とどうでも良い情報だが、悪天時の閉鎖情報の出方なんかが多少変わるのかも知れない。
久々に新冠林道に来てみると、イドンナップ山荘前に新たなゲートが出来ていた。駐車スペースはイドンナップ山荘の物となって、既に数台の車が駐まっている。ほとんどがレンタカーなので、恐らく本州の百名山ハンターが多いのだろう。というか来る度に車の台数が増えていく。
小屋の横には例の「新冠陽貴コース」のモニュメントが建立されていた。いやしかしこの命名一体誰得なんですかね。
どこぞのお達しで、この先は自転車利用も禁止という事なので素直に歩く。少し行くとアオダイショウが道を通せんぼしていた。
イドンナップの沢の対岸のルンゼに降りるポイントまでは1時間半。思ったよりも時間がかかった。アブがつきまとってウザいが、たたき落として、イワナの餌としてキープする。
下降ルンゼには途中に滝が一つ懸かっていた。左岸を巻いて降りる。本流に出るとすぐ正面にイドンナップの沢出合がある。水量はさほど多くなく渡渉は問題なし。
魚影は豊富で大小色々泳いでいる。沢は概ね平坦なゴーロと河原。 Co590 付近の河原にまきが豊富だったので幕営。
魚種はアメマスとオショロコマ。魚体はオショロコマの方が大きくメスばかりが釣れ、アメマスは小さめでオスばかりだった。勝手にまとわりついているアブを餌に2秒で無限に釣れるので早々に切り上げる。
ラジオでは美瑛やら夕張、厚真辺りで大雨だの洪水警報だのが出ている事を告げている。割と遠くない地域なので雨雲がこちらまで流れてこないか気になっていたらやはり朝方にかけて何度かポツリポツリと降ったが本降りにならなくて良かった。
2017年08月02日(水)
小滝を一つ通過すると Co630 二股。最高峰へ突き上げる左股へ進む。一気に渓相は小さく、荒れた感じになる。
Co750 に三段の滝が出てくる。一段目は左岸のバンドを斜めに登り、二段目は適当に直登。三段目は右岸に取付いたが、これは失敗だった。上部がツルツルの上にヌルヌルが多くてスリッピーで渋かった。多分左岸の草付きを行けばなんて事はない。
Co800 で薄暗いゴルジュの中で足元に何かは知っていったと思ったらミンクだった。そういえば以前エサオマン入ノ沢出合でもミンクを見た事がある。肝心のゴルジュは小滝のみで特に問題なし。
次の Co830 二股を右に入ると、核心の函滝が出てくる。うーん。わかる、実に絶妙に直登できるんじゃないかと思わせる滝だ。しかし、かなりハードなシャワーになりそうなので左岸からいわばをトラバースして巻く。滝は三段になっていて2段目の上に出る。2段目は中七つるつるしているので巻いて正解だ。ここで流木にラッペル用と思われる捨て縄が掛っていた。三段目は直登可能。
ゴルジュの上はやはり荒れている。次に出てきた滝は水流をまたいで直登した。
Co1000 付近には河原があり、先ほどの捨て縄の主とおぼしき者の焚き火跡があった。その焚き火をよくよく見てみると、いくつかの溶けたアルミ缶があった。こんなマイナーな沢にやってくる沢ヤがイマドキ焚き火にアルミ缶を投入して放置していくとは何とも嘆かわしい。
その先も小さなゴルジュなんか出てくるが、だいたい荒れている。 Co1200 の崖記号から先は雪渓で埋まっていた。途中、屈曲部毎に雪渓が切れて幾つか滝が出てきたが、雪渓から降りるのが面倒なだけで滝自体は難しくない。雪がなくなればもう少し何か滝が出てきそうだが、技術的に難しい物はないだろう。
雪渓が終わると、涸れたガレ沢になっていた。水を汲み損ねた。詰めは軽く灌木を漕いで最高点の少し西側で登山道に出た。
登山道は意外とはっきりしていた。最高点にも三角点にも山頂標識はなくなっていた。
下りは三角点のやや南から下る。こちらは思ったよりも沢形がなかなか出てこない。沢形が出てくるとちょこちょこと岩盤、小滝が出始める。全てクライムダウンと巻きで降りていく。
Co1250 付近の三段の滝の巻きはちょっと面倒だった。思ったよりも滝の数は多く、登るのも左股よりこちらの方が面白いのかなと思うが、詰めの藪を考えると微妙な所。
Co1050 で直瀑が出てきて、左岸から巻くと二股になって両方滝となっている。更に一段下がると、狭いゴルジュにYの字に滝が懸かる壮観だが、簡単に巻けるし、いわばこれだけの沢と言える。
その先は何も無くなり、二股に出た。対して面白くもない割りに意外と消耗してしまったが、気力を振り絞って下山した。
雑感
もうちょっと何か面白い物があるかと思っていたが、さしたる面白みのある沢ではなかった。直接イドンナップ岳に登るという意味ではアプローチの難しいポンイドンナップ川より使い勝手は良いが、かといってお手軽なわけでもなくなかなか使いどころが難しいところである。