大雪の沢巡り三日目は、何処に行こうと考えたあげく、軽めにニセイチャロマップ川から武利岳を目指すことにしたが、いざ林道入口に行ってみるとゲートが閉鎖されていた。仕方がないので当初予定していた電気の沢へ行くことにした。しかし、やはりこういう沢はひとりで行く物ではなく、みんなでわいわいとやる物だという結論に帰結した。
紅葉谷の駐車場に車を残置して出発。すぐに紅葉滝への遊歩道になる。
紅葉滝は高い柱状節理に囲まれた水量の多い滝で足を踏み入れたらすっ飛ばされそう。セオリー通り遊歩道を少し戻って左岸の壁際を巻いていく。
明瞭な踏跡はなく、岩稜沿いの高い所を歩かされるので、どの辺りから下降して良いのか分かりにくい。一度沢に降りて少し行ってみたら、樋状の滝が出てきて進めず、やはり戻って同じ所からまき直す。
結局沢に降りられたのは Co960 付近。それでも大高巻きの割には意外と距離は進んでいない。
少し行くと、釜を持ったチョックストンの滝が出てくる。左岸のカンテを攀じった跡があったので取付いてみると、古い残置もある。しかし、これをつかんだが最後、壁はズルズルでホールドはなく身動きが取れなくなってしまう。その先の岩に張り付いていた苔はことごとく引っぺがされ、あらわになった岩にはほとんどホールドはなく、土被りでフリクションは効かない。どうする事も出来ず冷や汗をかきながらジリジリとクライムダウンで引き返す。ちなみにこの痕跡は先日遡行したogino さんご一行様(笑。
少し戻って左岸から小さく巻く。ここの残置シュリンゲは完全にトラップなので始めから巻きましょう。
少し行くと、高い函状は続くながらも巨岩の転がる幅の広い渓相になり、ヤスヤスの滝が出てくるまでは単調になる。
ヤスヤスの滝は6段と言われているけど、前衛1段、本体3段、後衛2段の構成となっている。前衛の小滝1段を登り、淵をへつって曲がると本体三段が見える。
水量は多いが、滝そのものは登れなくもなさそうに見える。とりあえず右岸のルンゼから一段目の上に上がってみると、二段目は渦巻く釜を泳いで取付かねばならず、1人で飛び込むにはあまりにハイリスクなので引き返す。二段目の滝自体はホールドはありそうな気がするが、氷水の釜を泳いでピンを取りつつシャワークライミングという極寒登攀に耐えられるかどうか。
前衛の滝まで下り、そこから右岸のルンゼを詰めてトラバースして行く。沢が鍵型に屈曲する部分から派生する小尾根を下り、後衛二段目の上に降りる。
さらに釜持ちのチョックストンが続くので、左岸から小さく巻く。
その先は傾斜が少し増した巨岩帯に時々簡単な滝が現れる。この川は流入する支流がほとんど無いので、下流からずっと水量は変わらない。
だいぶ色づき始めた木々を眺めつつ進んでいくと今にも落ちそうなスノーブリッジの先に飛龍の滝が見える。右岸から巻くが、壁はかなり脆いので岩場を行くと今にも崩れそうでちょっと恐い。
この辺りから登山道から流れてきた構造物の残骸が目立つようになる。登山道に出る前に衣類を登山道仕様に着替え、ラバーソールに変える。
大きく開け真っ平らになった河原を進んで登山道に出ると、ハイカーの皆さんがいっぱい居る。
帰りはロープウェイ利用。
登山口に自転車を残置してからチカルベツ林道へ戻り、本流沿いの林道を進む。途中雨裂が走ったりして荒れては居るが、かろうじてハスラーで走破可能。林道は Co750 二股直近の右岸。
林道終点の土場から先にも林道跡が続いているようなので、沢に降りずに歩いてみるがほぼ藪漕ぎだった。しかもどんどん沢から離れていく。途中から枝沢に降りて Co820 付近で本流に戻る。恐らく、始めから本流を歩いた方が快適だろう。
沢幅はあまり広くもないが、ゴルジュという感じでもない。時々小滝が出てくる程度の渓相が続く。
Co1040 で両岸が立って、大きな釜を持った赤茶けた滝が出てくる。右岸のルンゼ状から高巻く。脆くてちょっと嫌らしい。
Co1150 二股からは更に沢幅が狭まって樋状の続くゴルジュになる。濡れないように進むとけっこう微妙なへつりを強いられるが、濡れて行けばそれほど難しくはないかも知れない。
「北海道の山と谷」の再刊版にはかなりハードな高巻きを強いられるような事が書かれているが、全て中を行ける。多分雪渓の状態とかの兼ね合いによるのだろう。
Co1250 付近に釜を持ったつるりとした滝が落ちているが、これは横たわる巨木の流木をステップにして越えられる。この気が無ければかなり厳しそうだが、相当の大増水でもなければこの巨木が動く事はあるまい。
小滝をいくつか越えると Co1290 の屈曲点で、ようやく長いゴルジュを抜ける。
沢は一気に開け、平らな河原になる。もっと鬱蒼としているかと思ったが、爽やかで快適な天場もある。
Co1390 二股を右に入り、更にすぐに枝沢状に合流してくる右股へ入る。小滝をいくつか快適なシャワーで越える。
Co1550 付近の滝を小さく巻くと、急傾斜の滑が続く。最後は沢形を忠実に詰めていったら、10分ほどハイマツを漕いでコルに出た。途中で右岸のお花畑に上がれば藪漕ぎなしで出られたかも知れない。
頂上には初心者50代おじさん1人。なんかいろいろ聞かれた。靴をラバーに履き替え、登山道を駆け下りる。この時間帯でも登ってくる人数人。
登山口で自転車を回収し、破線林道をダウンヒル。若干の登り返しはあるがほぼ下り。荒れていて自動車では通行不能だが、MTBならなんとかなる。ほぼ一時間で車を回収した。