- 目的
- 夏合宿 クヮウンナイ川遡行
- 日程
- 2013年08月19日(月) - 23日(金)
- 山域
- 表大雪
北海道で最もメジャーなクヮウンナイ川を遡行し、最近流行の兆しを見せている辺別川を下降し、道内の山屋でもほとんどその存在すらしならないであろう中尾山を経由して、クヮウンナイへ戻るややトリッキーなルートを巡ってきた。ルート的には机上シミュレーション以上の物も以下の物も無く、ほぼ予定通りの山行となったが、天場では今夏の「不安定な気圧配置」に翻弄され続けた。
行程
メンバー
2013年08月19日(月) アプローチ
山行の日程はずいぶんと前から決まっていたが、出発時間を当日の朝まで連絡してこないことなどについていきなり説教するなどしてから現地を目指す。
富良野のあたりから激しく雷が鳴り始め、中富良野ではすさまじい集中豪雨に見舞われて先行きが思いやられる。更に、現役車がガソリンの補給を忘れたとのことで一端富良野市街まで戻る。
天人峡温泉の駐車場脇には、バス待合所があって、前泊に利用できるようであるが、あいにく先客があって我々はトンネル内部の歩道にテントを建てて泊ることにした。
2013年08月20日(火) クヮウンナイ川
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
04:30 | 曇 | 起床 | |
06:10 | 出発 | ||
06:55 | ゴルジュ | ||
09:00 | Co783 | ||
11:45 | 魚止めの滝 | C1 |
出発の準備をしていると、昨日、バス待合所に寝ていた人達の車が通り過ぎ、クヮウンナイ川出合へ向かっていた。我々は一端トイレを借りにホテルへ行くが、朝早すぎるせいか誰も出てこないので、黙って借りて登山口へ向かう。
前日の集中豪雨で、増水が心配だったが、何とか遡行は出来そうだ。クヮウンナイ川出合の右岸に位置する駐車帯に車を駐め、道路向かいの作業道に入って沢を目指す。ポンクヮウンナイ川出合で沢に降りる。
しばらくは広い河原が続き、 Co618 でゴルジュとなる。ここで先行パーティに追いつく。福島からやってきたおじさん3人パーティだ。我々もここで小休止。杖をつきながらのおじさんたちのへつりは危なっかしい。ゴルジュは白く泡立っている。
先発したおじさんたちを追って我々も後を追う。もっと大きなゴルジュを想像していたが、意外と短い。しかし、水量は多く、水没したらひとたまりもない。
ゴルジュを抜けると、おじさんたちがロープを出して必死に渡渉していた。我々は少し下流の岩場でジャンプ二回で通過する。ロープで後続を引っ張っているおじさんたちを横目に先に行かせてもらう。
その後も水量が多く、時折渡渉が面倒だった。
この日は順調にいけば4時間ぐらいで魚止めについて、天候も心配なので場合によっては二股の天場まで行ってしまおうと思っていたが、普通に6時間近くかかってしまった。
予定通りここで泊ることにして薪を集めていると、雷が鳴り始めたので、慌ててツエルトを建てると間髪入れずに降り出した。ずぶ濡れになる前にたき火に日を入れて雨宿りしていると、おじさんパーティもやってきた。
彼らは規定のカウン沢出合に泊ると言っていたが、どうやらはじめから上の二股まで行く気だったらしい。しかし、突然のこの雨なので、しばらく様子を見ていたが、雨は強くなるばかりなのであきらめてテントを建て始めた。
おじさんたちがテントに潜り込んでから30分ほどすると、後ろの魚止めの滝の音が変わり振り返ると、ものすごい水量となっていた。天場脇の水路も水かさが増して、もうちょっとでオーバーフローしそうな勢いだ。
強い雨は1時間ほどで収まったので、釣り竿を片手に滝壺に向かう。。滝壺を覗くと、オショロコマがうようよ泳いでいるのが見える。先ほどまで飛び交っていたトンボは雨でどこかに行ってしまったので、毛針を垂らすと1匹そこそこのサイズのが釣れた。
アスカは持参したサシを使って数匹をつり上げた。福島のおじさんたちも出てきて、アスカにサシをもらって釣りを始め、入れ食いのオショロコマに感動していた。ようやくオショロコマが焼き上がるとふたたび雨が降り出したりして、落ち着かない夜となった。
2013年08月21日(水) 滝の瀬十三丁
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
04:00 | 起床 | ||
05:30 | 出発 | ||
06:30 | 曇 | ハングの滝の下 | |
08:45 | 源頭 | ||
11:20 | トムラウシ山 | ||
13:30 | 三川台分岐 | ||
15:20 | Co1460 | C2 |
滝の瀬十三丁
幸い、夜中は雨が上がり、水量もずいぶんと減った。今回のルートはここを逃すとたいした滝は出てこないので、雨具を着込んで直登することにする。水量は減ったとは言え、やはりすごい水圧。現役は文句を言いながらも危なげなく突破する。
ひたひたと滝の瀬十三丁を進む。ここに来るのは18年ぶり2度目。前に来た時はもっと感動しただろうか。正直言うと、ああ、一枚岩の滑だなあと言う感じの非常に淡泊な感想しか生まれてこない。正直言って、ルベツネ北面の大スラブとかの方が全然すごいので、今更感が否めない。空がどんよりと曇っているのもまた残念。現役も休むことなくどんどん先へ進むので、イマイチ感動が伝わってこない。
ちょうどワンピッチで滝の瀬も終わる。ハングの滝はセオリー通り右岸から高巻く。途中ロープがかかっているが、かなり腐っており怪しい。おじさんたちに追いつくと、魚が泳いでいたと言っていた。さすがにハングの滝を越えてくるとは思えないので、人為的に移植された物だろうか。
二股の滝は中間尾根の巻き道を行く。アスカが目印を見落として小さな沢筋に迷い込みそうになる。時々、ここの高巻きでどこかに迷い込んでしまうのはこれのせいか。地形や周囲を見ずに足下ばかり見て歩いているとそういうことになってしまうんだろう。
二股の先は一気に沢の規模は小さくなる。簾状の滝は右岸から通過する。右岸からは氷水のような伏流水が湧き出している。階段状小滝群を快適に過ぎて、やがて源頭となる。
トムラウシ山
途中、クロウスゴをほおばりつつ、縦走路に出ると、さすがトムラウシ山、ツアーと思われる集団とすれ違う。
北沼からトムラウシ山の最後の登りに取りかかると、途中、山体から泉が湧き出ていた。源頭で水を補給する必要はなかった。
ピークは案の定、人で賑わっていた。天気はそこそこ。下り始めると、更に人がやってくる。
黄金ヶ原
今日は南沼宿泊の予定だったが、いろいろ考慮して辺別川源頭まで足を伸ばすことにする。三川台までは平坦な道のりが続く。
黄金ヶ原は広大な草原が広がっている。花の季節が終わっているので、牧場とそう景色が変わらないのが残念。
三川台から辺別川へ下る。水がとれるところがあれば適当に天張ろうと思っていたが、横切る沢筋はいずれも涸れている。ようやく辺別川本流に出ても水は流れていなかった。ふたたび靴を渓流靴に履き替え、水とテン場を求めてしばらく降りる事にする。
水はしばらく降りると流れ始めたが、川幅が狭くツエルトを張れるようなところが無い。 Co1460 付近まで降りてあまり快適とは言いがたいが、何とか横になれそうなところがあったので天張ることにする。周りには立ち木もポールもないので、両岸にロープを渡してツエルトを建てた。
時々霧雨が降って、じめじめした不快な夜だった。
2013年08月22日(木) 辺別川
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
05:00 | 曇 | 起床 | |
06:50 | 出発 | ||
07:50 | Co1210 | ||
09:00 | Co1080 | ||
13:30 | 中尾沢出合 | C3 |
今日は辺別川を下るだけなのでのんびり起きる。今朝はのメニューはリゾットと言うことだけど、ガスも余計に消費するし、時間もかかるので正直どうかと思うね。
しばらくは平坦な沢が続き、 Co1400 付近には事前情報通り雪渓が残っていたが、特に問題なし。
Co1300 付近から徐々に滑滝が出始めるが特に難しくはない。
Co1120 でチョックストンの滝に出る。これはさすがにクライムダウンできないので、右岸に捨て縄を掛けて懸垂する。着地点は腰まで水につかり、上から激しく瀑水をかぶる。
Co1030 二股はゴルジュとなっている。左岸から高巻いて二股に降りる。
すぐに直瀑が出てくる。これは釜に飛び込めそうな気がするが自重する。やはり右岸から懸垂する。
ゴルジュが続くが、意外と飛び込んで泳ぐと言うほどでもなく、適当にへつりつつ下る。
Co1000 でこの沢最大の滝に出る。深い樋状がカーブしながら落ちていて落下点が見えない。懸垂して右岸のルンゼに降りる。下の方が少しオーバーハングしていて一部空中懸垂になった。いずれの懸垂も30m1本で足りた。
この滝の下もゴルジュは続くが、魚影が見え始めたので釣りをしながら下ることにする。この先も小滝は続くが、釣りをしながらなので詳細な記録は無い。
中尾沢出合はきれいな滑床となっている。あまりイイ天場は無いが、左岸の河原に幕営する。
天場付近でも魚は釣れるが、稚魚ばかりで、上流よりも大きな物は釣れなかった。この日はようやく快適な夜を過ごせるかと思ったら、夜になるとやっぱり雷が鳴って雨が降り始めてツエルトの下に逃げる。増水が心配だったが、それほどの大雨にはならなかった。
2013年08月23日(金) 中尾山
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
04:30 | 起床 | ||
06:00 | 出発 | ||
09:35 | 曇 | 中尾山 | |
12:20 | クヮウンナイ川本流 | ||
14:15 | ゴルジュ下 | ||
15:05 | 晴 | 駐車帯 | 下山 |
中尾沢
今日は中尾山を越えてクヮウンナイ川へ下る。実のところ、別に中尾山を狙ってたわけではなく、日程と自動車回収のための苦肉のルートである。
中尾沢は出合い付近こそ小さな滑床になっているが、すぐにブタ沢の様相となる。
Co840 二股手前は左岸が大きく崩落して土砂が沢を埋めている。
ごくごく小さな滑滝はいくつか出てくるものの、滝と呼べる物は Co950 二股の物ぐらいだ。
水は Co1200 で早々に涸れる。念のために水を補給する。その後何度か水流は復活するが、水量はわずかだ。
Co1300 付近の二股は意外とはっきりとしている。右の方がピークに近いが、左の方がはっきりしていそうなので左へ進む。
しかし、沢形は早々に来てヤブに突入する。しかも思ったよりもずいぶんと左によって稜線に出た。もうひとがんばり稜線のヤブこいでピークに出る。3時間もあれば余裕でピークに着くと思ったが、思いの外時間がかかった。まあ、やっぱり若者はまだまだ藪漕ぎがアレだよね。
直前までトムラウシ山が見えていたが、ピークに着くと周囲がガスで覆われ始めた。山頂は思いの外狭くてザックを置くスペースもろくに無い。展望はあまり期待していなかったが、表大雪の展望台としてはなかなか良い。天気さえ良ければ。
中尾山北東面沢
一端北西のコルまで戻ってから北東の谷に下る。しかし、なかなか沢形が出てこない。薄い灌木のヤブを下り、 Co1300 付近でようやく沢筋らしき物に当たる。
少し下ると、急な崖地に出たので、先頭を行く樽井に大丈夫かと声を掛けたが、案の定ホールドを失って滑落しやがった。幸い怪我は無かったようだが、あまりムチャをしないでもらいたい。後続は樽井に下から指示してもらいながら何とか下る。
クヮウンナイ川本流
本流に出てからは瀞で流されつつ下る。ゴルジュは泡立って恐いのでへつって通過する。下部の瀞だけ樽井と辻は飛び込む。アスカは上を通過。
ほどなくポンクヮウンナイ川出合に着き、林道に上がった。
天人峡温泉で汗を流し、富良野の中華料理屋で腹を満たして帰路についた。
雑感
クヮウンナイ川はカウン沢出合までの下部は初めてだったが、はじめのゴルジュ以外はひたすら河原の渡渉のみで、面白みは全くない。滝の瀬十三丁もある程度いろんな沢を体験した者にとってはただ広い滑床と言うだけで、ことさら感動するほどの物ではなくなっていた。辺別川はあまり情報が無いので、少し身構えていたが、3回のラッペル以外は特筆する物も無く、思ったほどは難しくなかった。辺別川の釣りは小物しか釣れないだろうと思っていたが、思った以上に小物ばかりでちょっとがっかり。中尾山へのルートはどうしようもないブタなので、ピークハント以外にはお勧めしない。大雪で始点と終点を同じにする沢旅ルートを設定するのはなかなか難しいなあと感じた山行だった。