- 目的
- ニシュオマナイ岳南西面直登沢遡行
- 日程
- 2015年08月31日(月)
- 山域
- 南日高
ニシュオマナイ岳は、中ノ岳と神威岳の間に挟まれた無名峰の事であるが、日高に無数にある無名峰の中でも標高差が大きく、神威山荘からも正面に聳えて見える割と目立つ存在である。山頂部はなだらかでハイマツに覆われているが、周囲は深く切れ込んだルンゼに囲まれている。中でも南西面直登沢は Google Earth で見ても深い谷の中に岩盤の渓相が確認出来る気になる存在だった。
行程
- 2015-08-31
- 神威山荘~ニシュオマナイ岳南西面直登沢~ニシュオマナイ岳~ニシュオマナイ岳西尾根~神威山荘
2015年08月30日(日)
この時期はもう神威山荘を利用する人も居ないだろうと思っていたら、車が一台駐まっており小屋には灯りが付いていた。
中に入ると夫婦らしき男女がいて、小屋中に荷物をとっちらかしていた。キンカンのにおいが小屋中に充満し、おじさんはパンツ一丁で鎮座していた。
片隅で食事を済ますと、おばさんが焼酎を勧めてきた。朝が早いのでお断りしたが、しつこく勧めてくるので仕方なく頂くことにした。まあ、一杯くらいなら良いのだが、このおばちゃんどうやらかなり出来上がっているらしく、その後もしつこく薦めてくる。
おじちゃんの方は例によって名山ハンターで、明日は神威岳を登り、その後はカムエクを登ったら二百名山、来年大千軒を登って三百名山達成と嬉しそうに自慢してくる。「僕はねー、いろんな百名山をやってるんだよー。百名山を達成するのが実に気持ちいいんだよー。」とか言われても、へーとしか返しようがない。
まあ、ここまでは山小屋で良くあるエピソードだが、酔っぱらってろれつの回らないおばちゃんが何か話そうとすると、おじちゃんの方が「うるせー、ばかか、オメーは黙ってろ」と繰り返すモラハラオヤジでだんだん胸くそが悪くなってきた。
つきあってられないので適当に切り上げて床につく。が、この夫婦の迷惑行為はまだ続く。寝入ってからも何やらドタバタドタバタうるさいなと思っていたら、おばちゃんが何やら口走って小屋の中を徘徊して外に出て行き、それをおじちゃんが「馬鹿野郎!」「馬鹿野郎!」と山中に響く大声で怒鳴るというモラハラ行為を繰り返すというね、いや、もうあんたら二人とも馬鹿野郎だわ。寝かせてくれ…
2015年08月31日(月)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
04:00 | 起床 | ||
05:20 | ☀ | 出発 | |
06:00 | ニシュオマナイ岳南西面直登沢出合 | ||
09:35 | ☁ | ニシュオマナイ岳 | |
11:55 | 西尾根末端 | ||
12:45 | 神威山荘 | 下山 |
予定通りの4時に起きると、夫婦もノソノソと起きて準備を始めた。昨日あれだけべろべろになってよく起きられるものだと感心する。
登山道を進み、左股渡渉地点から入渓する。ゴルジュは中を通過。滑滝の脇に真新しいハーケンが一つ残置されていた。必要か?これ。
Co470 二股を右に入る。ニシュオマナイ岳南西面直登沢はしばらくは水量が少ない河原が続く。
Co500 で急激に沢幅が狭まり、高い壁に囲まれる。滑滝を一つ越えて右に回り込むといよいよ狭い函の中となって突き当たりに滝が落ちている。これは右岸のスタンスの乏しい壁をやや無理矢理よじ登る。
狭い函は続き、すぐに次の滝が見える。これは左岸を少しよじ登り、左岸のバンドをトラバースする。
次の滝はよく見るとホールドが豊富で、水流脇を直登するが、若干微妙な体制となった。
一端少し沢幅は広がり、いくつか小滝を過ぎると少し大きめの滝が出てくる。これは下部の取り付きが少し悪そうなので、右岸を巻くと、滝左に屈曲して更に続いていた。
一瞬、ヤバそうかと思ったが、よく見ると樋状の水流の中を行けそうだ。チムニー登りでシャワーを浴びながら直登する。
断続する小滝とガレを通過していくと、 Co720 で5本のルンゼが合流し、本流は 50m の大岩壁の滝となって聳えていた。周囲は垂直な壁に囲まれており、高巻きは望むべくもない。
滝本体は大きなバンドがいくつも走っているので、直登は難しくなさそう。左隣のルンゼとの間から取付く。始めの取り付きはやや難しいが、その後はバンド沿いに順調に高度を上げる。
上部もがんばれば水流沿いに抜けられそうだが、ややヌルヌルが気になるし、やはりロープがないとちょっと恐い。右岸の灌木に逃げるが、垂直の木登り登攀でちょっと微妙だった。
小滝を快適に越え、 Co800 でガレだまりとなって左に屈曲して狭い函の突き当たりに左岸から滝が落ちてくる。これは下部がかぶり気味でどうしようかと少し悩んだが、少し手前から左岸の壁を攀じりトラバースして滝の上に出た。
Co850 二股は、地形図とは大きく違う沢の入り込みをしており、実際には本流は左に大きく回り込みヘアピンカーブを描いて右に屈曲している。これは Google Earth の衛星写真でも確認出来る。
衛星写真ではかなりえぐい滝が有りそうに見えるが、実際には簡単な小滝が連続するだけだ。
Co940 でツルツルの樋滝が出てくるが、ホールドは豊富で真ん中を直登する。
落差 50m の滑滝を快適に登ると、両方滝となって合流する Co1000 二股となる。
どちらに行っても大差はなさそうだが、今回はより頂上に近い左股に進む。
出合の滝は左岸のバンド沿いに直登する。二つ目の滝は右岸の草付きから巻く。
その後も急傾斜の岩盤が延々と続くが、全て直登していく。
沢形が切れても明瞭なシカ道がずっと続き、少し左寄りに進むと低い笹を漕いで西側の主稜線上に出た。主稜線上も明瞭なシカ道がピークまで続いていた。
あわよくば中ノ岳ノ沢に下って中ノ岳を登ってやろうかと思っていたが、さすがに日帰りではきついと言うことに途中で気がついたのでこのまま下ることにした。
沢筋は何処を下っても厳しそうなので、西尾根を下ることにする。ピークからの下り始めは北尾根上に明瞭なシカ道が続いているため、一瞬そちらに下りかけて慌てて慌てて戻る。
西尾根分岐は不明瞭で、笹に覆われて目印も無いので視界が悪いと見落としやすいだろう。この日もガスが架かってやや分かりにくかったが、勘で下る。下り始めは急な笹藪だが、少し下るとはっきりしたシカ道に出て下手な登山道よりも快適だ。ただ、沢靴が滑るのが難儀だ。やはり藪漕ぎ用の靴を持ってくるべきだった。
下部はシカ道も消えて深い笹に覆われるが、上部で藪漕ぎが無かった分我慢だ。笹の斜面を滑り降り、本流に出た。
小屋について、後片付けを済まし、車の中で休憩していると、例の夫婦が神威岳から下山してきた。おじさんがプレミアムモルツを1缶飲み干したので、当然おばさんが運転するものと思ってみていたら、おじさんがしれっと運転席に乗り込んで元浦川林道を下っていった。
いやはや、なんともモラルの低い名山ハンターであった。宇都宮ナンバーのアクアの三百名山ハンター、アンタのことだよ!
雑感
ニシュオマナイ岳南西面直登沢は、小規模の割にはスッキリとしており、始めから最後まで手応えのある滝が続き、久々に日高らしい直登沢だった。水量が少ないので秋に遡行するにはうってつけだろう。