- 目的
- カタルップ沢・エサオマン入ノ沢溯行
- 日程
- 2011年08月26日(金) - 29日(月)
- 山域
- 北日高
最近は日高の沢もネタ切れで、どこに行こうか悩む事が多い。いや、まだ未遡行の課題はいくつか残されているが、異常にアプローチが長かったり、とても1人では遡行できるとは思えない難渓ばかり残ってしまっている。気軽に日高の沢に出かけるにはどうでもいいような枝沢や、過去に一度行ったところの再訪とならざるを得ない。そんなわけで今回は、初遡行時には雪渓が多く、再踏査が必要と以前から思っていたカタルップ沢に行って来た。というのは言い訳で、それはつまり沢に行ったという既成事実を作っただけのことかも知れない。
行程
- 2011-08-26
- 道の駅中札内 C0
- 2011-08-27
- 戸蔦別林道~カタルップ沢~カムイ岳~カムイ岳南面直登沢~エサオマン入ノ沢 C1
- 2011-08-28
- C1~エサオマン入ノ沢~エサオマントッタベツ岳~エサオマントッタベツ川本流~戸蔦別林道 下山
2011年08月27日(土)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
04:00 | 起床 | ||
06:20 | 晴 | 六号砂防堰堤前 | 出発 |
07:00 | カタルップ沢出合 | 入渓 | |
09:20 | Co1270 | ||
10:50 | カムイ岳 | ||
13:40 | Co970 二股 | ||
14:20 | カムイ岳南面直登沢 Co1000 |
前日は例によって中札内の道の駅で車中泊をした。中札内でもやはり街灯の回りには大量の蛾が集まっていた。今朝の天気は抜群だ。セブンイレブンで朝食を済ませ、戸蔦別林道へ向かう。途中、ポロシリ自然公園キャンプ場のトイレに寄ったが、テントは一つしかなかった。
六号砂防堰堤前には既に数台の車が停まっていた。ちょうど1人の若い男性が出発の準備をしており、私が準備を始めると、お先にと言って出かけていった。カタルップ沢出合までは30分ほど林道を歩く。週末なので他にも何組か居るのではないかと思っていたが、どうやら今日は私だけらしい。
橋から沢に降りて相変わらずの滑床を進む。いつものようにこまめに遡行図を書いていくが、だんだんアホらしくなってくる。 Co800 付近の滝は右岸に立派な巻き道が出来上がっていた。数年前には誰も知らない沢だったのに、すっかりメジャーな沢になってしまったようだ。
更に滑滝群をどんどん登り、正面に枝沢の滝を見て F1 に到着。左岸の水流脇を快適に直登する。順層のホールドが豊富で簡単だ。すぐに岩溝となった 1030 二股に到着する。右股に進み、連瀑の F2 となる。初めて来た時の記憶では、チムニー状のシビアな滝という印象だったが、実際には小滝が5~6段続いているだけだった。ビビらずに中に入ればそんなに難しくない。その後は樋状の滝が続くが、倒木も多くちょっと薄暗く汚い印象。傾斜も緩いのでサクサク通過する。
Co1160 スラブ状大滝 F3 に到着。初めて来た時はもっと強烈な印象だったような気がするけど、まあこんなもんだったかな。別に難しそうには見えないので、適当に取り付く。下部は簡単。右岸を直登し、上部へ。途中ホールドが乏しくなって、すこし嵌りかける。上部の右岸のテラスからトラバースし、中央の水流内を直登した。うん、何か前もこんな感じで登ったような気がする。
再び樋状の流れとなるが、ガレが多い。二段の滝 F4 は左岸スラブ状を直登した。前回、この先は雪渓だったが、今回は当然のように何も無い。ただのガレ沢だ。その先に最大の大滝 F5 が見える。下部滑滝部を登ると、右股が合流してくる。中間カンテを登り、水流の左岸を直登した。遠くからの見た目は迫力あるが、それほど難しくはない。
この沢で問題となるのはここまでだ。初めて来た時はもうちょっと難しいかなと言う印象もあったが、実際には天馬街道周辺の沢と大差ないかな。十勝岳北東面直登沢の方が難しいんじゃないだろうか。ただ、下部のヌメる滑滝群が特に下降での困難さを異常に上げている。下降はもしかしたら八ノ沢(右股)の方が簡単かな。
それはさておき・・・更に小滝をいくつか通過して、岩盤状とガレをどんどん通過。水流の多い方へ向かって行くと、灌木の藪の中に突入するが、明瞭な踏み跡が続いていた。前からこんなに明瞭な踏み跡があったろうか?更に、稜線直下では例によってハイマツの枝がが切られていた。ピークまではかなりご丁寧にハイマツの枝が刈り払われており、明確な踏み跡になっていて、以前よりずっと楽にピークに到着した。ピークから西方向はそれほどはっきりとした踏み跡ではなかったので、明らかに沢屋により道が造成されたものと思われる。何度も言うが、ハイマツ漕ぎが嫌なら沢屋など止めてしまえ。
天気は良く、展望は抜群だ。先日、戸蔦別六ノ沢が土砂に埋もれてしまったという情報があったが、その原因と思われる崩壊地が正面にはっきりと見える。
前回同様、少し西に移動してから南面直登沢に下る。この沢を通るのは3回目だけど、途中に印象に残る物は本当に何もない。順層で簡単で印象に残らない滑滝をばんばん下る。 970 二股に出ると、噂には聞いていたが、想像以上のデブリがたまっていた。この二股周辺はもっと鬱蒼としたイメージだったが、周囲の樹木がなぎ倒されたのか、妙に開けた雰囲気なっていた。
少し下流に快適な天場があるはずなので、行ってみるが、砂浜は削られ、倒木もたまっていて、スペースが無くなっていた。仕方がないので上流へ戻り、カムイ岳南面直登沢の少し上流のわずかなスペースに天張った。
エゾイワナを5尾ほど釣り上げ、いつものように焚き火で塩焼きにして食った。
2011年08月28日(日)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
04:40 | 起床 | ||
06:25 | 出発 | ||
09:30 | エサオマン北カール | ||
11:10 | エサオマントッタベツ岳 | ||
12:55 | エサオマン北東カール | ||
17:00 | 六号砂防堰堤前 | 下山 |
焚き火のベースにした大木を燃やし尽くす事が出来ず、消火に少々手こずった事は内緒だ。
エサオマン入ノ沢本流に入ってもデブリは続いていた。大木のダケカンバが折り重なっており、痛々しい。滑滝も出て来るには出てくるが、それ以上にデブリのうっとうしさが圧倒的に強い。
そうこうしているうちに、この沢唯一の函滝に到着。前回来たときは右岸を直登しているはずである。とりあえず左岸をへつってみるが、ツルツルでホールドがない。一端引き返し、右岸を頑張ってへつって直下まで行ってみるが、やっぱりホールドは乏しい。無理に登ろうとすればドボンは必至だ。しばらく悩んだが結局登れる気がせず、戻って右岸を高巻いた。やはりこの数年での登攀能力、体力の衰えは明らかだ。
この先もやはりデブリが続く。斜面が木々ごと剥がされた跡が散見されて悲惨だ。近年大規模な雪崩でもあったのだろうか。この辺りは十勝側に巨大な雪庇が形成されるが、日高側は雪が少ないはずである。もしかして、低気圧などで逆雪庇が形成されたのだろうか。
最低コルへの沢を過ぎて少し行くと、左岸の斜面に水が上に向かって噴き出すのが見えた。斜面から伏流水があふれ出すのはよく見る光景だが、上に向かって吹き出しているのははじめて見た。
ようやくデブリも少なくなってゴーロの沢となる。小滝をいくつか通過し、 Co1380 を過ぎると水が涸れる。 Co1430 で涸れた二股となる。前回はここで左に進むと、主稜線に突き上げる枝沢ルンゼにぶち当たってしまった。他にいくつものパーティがここで左を選択して道に迷ったという報告をしている。ここは左の方が深くて本流に見えるし、地形図を見ても左の方がカールボーデンへ向かっているように読めるので、左を選んでしまうのは仕方がないと思える。しかし、ここは同じ轍を踏まず、枝沢のように見える右股に進む事とする。急傾斜のゴーロを登り切ると、灌木の枝が覆って、小さな渓相になる。確信はあるが、万が一間違えていたらエラいところに出てしまいそうなので、ちょっとドキドキしながら進むが、そのうち沢が左へカーブして、カール直下の滝が目前に見えてきた。やはりこのルートが正しかった。
簡単な連瀑を通過して、カール底に出た。わずかながら雪渓が残っていた。前回はここからピークまでは一体どこを登ったのか失念してしまった。カール壁を観察し、今回はピーク直下左側のルンゼを登ってみる事にした。岩盤状のルンゼを過ぎると、思ったよりも早く藪に覆われてしまう。しばらくは沢形が続くが、そのうち完全に灌木の藪に突入した。最後は少し左にトラバースして国境稜線に出た。
下山後に記録を読むと、前回は右側を行ったらしい。どうやらピーク直下右側に見えるルンゼを登るのが一番楽なようだ。
おそらく今日は何組かのパーティが来ていただろうと思うが、時間的に既に周辺には人影はない。北東カールへはいつもは最低コルから直接下っているが、今回は一番安全という噂の札内分岐東側のルンゼを目指す事にした。最低コルから下を覗くと、すぐそこにカールが見えて誘惑されるが、ここは我慢してJPを目指す。その結果、JPまで1ピッチかかった。この炎天下ので稜線の1ピッチは結構きついものがある。JPから札内岳方面へもかなり明瞭な、と言うよりほぼ登山道化した踏み跡が続いていた。さらに、下降点には標識テープがいくつも打たれていて迷う事はない。
やはり登山道化した踏み跡を下っていくと、そのうち沢形に出た。確かに最低コルへのルンゼほどボロボロではないが、急傾斜のルンゼである事に変わりはない。稜線上での行動時間を1ピッチ増やしてまで使うほどのメリットがあるとは思えない。
エサオマントッタベツ川を下るのも久しぶりだ。名物の滑滝を快適に下り、ブタ沢下りに突入する。こういうブタ沢を下るのが一番疲れる。今日は本当は適当なところでもう一泊する予定だったのだが、なかなか釣りが出来そうで薪が豊富な快適天場が見つからず、どんどん下ってしまった。山スキー沢出合は多くのパーティが使うので、周辺に巻きが見つからず通過。ここを通過するともはや惰性。なんだかんだで結局林道に出てしまった。
下山後は噂の新嵐山荘のお風呂に行ってみた。何と日帰り入浴料260円と格安すぎてビックリ。ここのお風呂はどうやら温泉ではなく、宿泊客用の浴場を、日帰り客にも提供しているだけのようだ。まあ、それでもこの格安価格は魅力だ。
途中何度も仮眠休憩を取りながら、苫小牧に到着したのは結局朝方だった。