- 目的
- 一九六七峰西面直登沢遡行
- 日程
- 2011年08月21日(日) - 23日(火)
- 山域
- 北日高
一九六七峰西面直登沢(千呂露川二岐沢本流)に行ってきた。4年前に一度遡行しているが、そのときは時期が早すぎて大部分が雪渓に埋まっていた。以前から雪渓のない時期の再訪が必要と考えていた。雪渓の下にはいくつかの滝が埋まっていたが、それほど難しさに影響を与えるものではなかった。結局雪渓が有ろうが無かろうが、苦労する場面はほとんど同じで、前回と同じようなところで同じような事をして成長の無さを見せた。
行程
2011年08月22日(月)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
04:00 | 起床 | ||
06:20 | 晴 | 千呂露川二股登山口 | 出発 |
08:30 | 二岐沢四ノ沢出合 | ||
10:35 | Co1380 | ||
13:20 | 霧 | 一九六七峰 | |
16:20 | 曇 | ポンチロロ川 Co1060 | C1 |
今年から千呂露林道のゲートの鍵が解放されるようになって、当日にふと思い立っても気軽に入山できるようになったのがうれしい。千呂露林道は所々落石が転がっているが、特に荒れた様子はない。天気は良いが、平日と言う事もあり、登山口には一台の車もない。北電作業道を歩き、取水口で靴を履き替えて入渓する。
四ノ沢を過ぎてゴーロの中に滑床が現れ始める。4年前はこの辺りから既に雪渓が出始めたが、当然の事ながら今回はひとかけらも見あたらない。3つほど左岸にルンゼを見て、函状になった中に現れる始めの滝は、4年前は右岸から高巻いたが、今回は左岸を直登する。上部はツルツルで、なかなかムズい。
続く右屈曲部の釜持ちの滝は、前回同様に右岸を直登する。上部が逆層ツルツルで、しかも体重を掛けようとしたホールドがボロリと剥げたのでかなりビビった。
この先は4年前は長大な雪渓だったが、雪は完全に溶けている。しばらくはデブリの多いゴーロの函だ。 Co1170 付近で滑滝を通過すると、 Co1190 で左岸ルンゼが本流と平行に滝となって合流し、本流もまた滝となっているが、この滝も下半分はデブリに埋まっており簡単に通過する。更にチョックストンの滝が続くが、これも右岸から簡単に越えられる。
Co1220 で右岸ルンゼを見て右に曲がると、深い函状の中に滝が連続している。 Co1240 までの滝は、左岸直登も出来そうだが、ちょっと逃げ腰になって右岸側壁をへつって越えた。
更に二つほど斜瀑が続き、右岸をへつって通過する。 P1910 無点峰からのルンゼが左岸から滝となって降り注ぎ、左に曲がると、深く狭いV字の函に架かる滝の向こうに一九六七峰らしきピークが見えた。
この滝を直登すると、右岸に大きな岩を二つ抱えた滝となる。この滝は4年間も頭を出していたが、左岸から巻いている。今回はまずはチョックストンのある右岸を登ってみるが、落ち口へ抜けるところで岩は被っており、微妙な傾斜のスラブにコケが付いていてちょっと足が出ない。一端降りて左岸も登ってみるが、こちらも微妙な傾斜に貧相なホールドだ。ちょうど、カムエク沢の核心の滝の最上部に感じが似ている。気合いを入れれば、行けそうな気もするがどうも勇気が出ない。結局、今年はこの時期になっても、体が全然出来ていないのだ。わざわざオヤブンを本州から召還しておいて、出来てない体のままカムエク沢に行って迷惑を掛けてしまったと、今さらながら反省する。結局前回同様に左岸から高巻いた。
沢は再びガレの埋める函となり、 P1857 へ直上するルンゼを合わせると、 Co1350 で左岸ルンゼと合わせた大きなスラブ滝となっている。中間部を登って、上部の逆層ヌルヌル草付きスラブを本流へトラバースした。
節理に沿って流れる滝となって、上部は二条に分かれて Co1380 二股となる。沢は右に曲がり、V字谷の岩床となって続き、突き当たりは右岸から滝になって落ちてきている。この滝は右岸の壁を登ろうとしたが、ボロボロと脆く崩れるので、正面に続くルンゼをしばらく詰めて尾根を越えて本流に戻った。本流にはわずかながら雪の残骸が残っていた。
ここから続く滝がこの沢の核心だ。一つ目の滝は左岸を途中まで登り、中間でシャワーを浴びて右岸に移り、草付きの側壁を登り、最後は微妙な木登りで滝の上に出た。次のチョックストンの滝は左岸のジェードル状を登り、草付き出る。かなり微妙な登りだった。次の滝は右岸ルンゼの滝を登って灌木帯をトラバースして滝の上に出た。
この奥に見えるのが、この沢最大の問題だ。下段の滑滝部を通過して上段の滝に取り付く。右岸に取り付くが、下部が少し被っている。左岸に移るが、ツルツルで行けそうにない。中央で思いっきりシャワーを浴びれば、上部は何とかのぼれそうな気がするが出だしが難しそうだ。結局そのまま左岸の巻きに入るが、これが悪かった。上に行くほどボロボロのジェードル状に追いやられ、触る物皆崩れてきて、ろくなホールドを取れない。下るにもピンが取れないので、無理くり草付きをつかみ、なんとか灌木に手を飛ばして、上部のルンゼ状に出る。更にそのルンゼ状を少し登ってようやく滝上の灌木帯に出た。この滝は4年前もかなり苦労して右岸を高巻いている。こんな思いをするくらいなら、少し難しくても中央突破を試みた方がましかも知れない。
この滝を終えるともう難しい物はない。続く滝を適当に越えていく。いつの間にやら雲が空を覆い、ガスがかかってきた。 Co1750 で垂直の岩に囲まれた円形劇場を右岸から越えていくが、苔むしたスラブのトラバースと、細いハイマツの木登りで良くない。そういえばこんなのもあったなと4年前の事を思い出す。最後の詰めは右を選ぶと、岩壁の基部に出て、基部に沿っていくと藪漕ぎもなく稜線の縦走路に出た。
ピークは周囲の視界はないものの、風もなく暖かく気持ちがいい。へとへとなのでしばらく昼寝でもしていきたいが、思った以上に時間がかかってしまったのであまり時間がない。ガスがかかって沢の様子が見えないので、縦走路をしばらく下り、途中にお花畑が見えたところでポンチロロ川に下る。
まったくとっかかりのない急傾斜のお花畑で、ズルズル滑って歩きにくい。何度もコケながら左にトラバースして、本流の沢筋に出ると、こちらは少しガレがあって多少歩きやすい。しばらくはガレが続く。いくつか滝も出てくるが、問題なく通過。出来れば魚が出てくるところまで下りたかったが、体力的にも時間的にも限界が近づき、 Co1060 付近に良いところがあったのでそこで幕とした。
2011年08月23日(火)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
04:30 | 起床 | ||
06:10 | 雨 | 出発 | |
08:50 | 取水ダム | ||
09:40 | 千呂露川二股登山口 | 下山 |
どうやら、夜中から霧雨が降っていたらしいが、葉が良く茂った木の下に寝ていたので朝まで気づかなかった。今日は下るだけなので、のんびりと準備をしていたら、少しずつ雨足が強くなってきた。
ポンチロロ川はここから先は何度か飛び込むと楽だが、ライフジャケットも持ってこなかったし、天気も悪いので全て高巻いていく。本流に出て三股からは廃道の踏み跡を進む。取水ダムに上がる頃にはすっかり本降りになってしまった。途中の枝沢から流れ落ちる水は既に濁流し始めていた。