岩内川~岩内岳~スマクネンベツ沢~中岳

ふ~ちゃん
目的
岩内岳東面直登沢・札内中岳北東面直登沢遡行
日程
2008年07月14日(月) - 17日(木)
山域
中日高

札内川の支流岩内川から岩内岳に登り、スマクネンベツ沢に下り P1628 (通称中岳)を巡ってきた。いずれも日高の中では小さな嶺で、多少谷は深いがたいしたことはないだろうと、軽く見ていたが、いずれも手強いでハードな山行となった。

なお、 P1628 は、他の地域の中岳大雪山系札幌山群)との混同を避けるため、「札内中岳」と表記した。

行程

2008-07-14
中札内 C0
2008-07-15
岩内川林道~岩内川岩内岳東面直登沢岩内岳岩内岳南西面沢スマクネンベツ沢 C1
2008-07-16
C1~札内中岳北東面直登沢札内中岳札内中岳南東面直登沢スマクネンベツ沢 C2
2008-07-17
C2~:岩内岳北西面直登沢岩内岳~北岩内二ノ岩内川林道 下山

装備

2008年07月14日(月)

日勝峠を下りて、清水のスーパーマーケット、フクハラで半額になった弁当を買って現場へ向かう。今夜はどこに停まるかまだ決めていなかったが、利便性などを考えて中札内の道の駅で車中泊することにした。

セイコーマートで酎ハイを買って弁当を食べたが、弁当は激マズだった。

2008年07月15日(火)

タイムレコード
時刻天候場所行動
04:00起床
06:20林道終点出発
08:25Co730
11:50岩内岳
13:50岩内岳南西面沢出合
14:50札内中岳北東面直登沢出合C1

岩内川林道を進む。ゲートは全て開放されており、ウエダの Co450 二股のちょっと手前まで車で入れた。草がぼーぼー生えていて途中であきらめたが、その気になれば二股まで行けるだろう。

林道を歩き二股まで行くが、二股は少し崖になっていて下りられないので、少し戻って入渓した。

岩内岳東面直登沢

Co480 付近[image/jpeg:291kB]
小さなゴルジュが続く

左の直登沢を進むと、人工改変された雰囲気が漂い、大径の流木が転がっている。古い造材道の残骸のようだ。しばらく行くと、人工改変された雰囲気の中にもぼちぼちと滑などが出てくる。徐々に小さな状となって、滑、小滝、ちょっとしたなどが次々と現れる。しかし、水はタンニンを含んだように黄褐色に濁り汚い。水量は少ないのに、ちょっとしたでも川底が見えないほど水は濁っている。水がきれいならとても良い雰囲気のだろうに、水が汚いためになんだかとても鬱な雰囲気だ。

1ピッチ目の休憩を終えて出発すると、岸にごろりと転がった流木に黄金色に輝くタモギタケが生えていた。帰りにとって帰ろうかと思ったが、ここは通らない可能性もある。せっかくなので今夜のおかず用に少し持っていくことにする。


Co540 滑滝[image/jpeg:239kB]
Co540 滑滝
Co590[image/jpeg:278kB]
Co590 右岸直登

Co580 からはゴルジュの雰囲気が強くなり、を持ったが次々に出てくる。さほど難しくはないが、だんだん滝沢の様相を呈してきた。もちょっとずつ規模が大きくなっていく。上部は滝の可能性があると思っていたが、予想外に下から滝が続く。


Co670[image/jpeg:281kB]
Co670 左岸直登
Co690[image/jpeg:230kB]
Co690 左岸直登
Co710-750 五段[image/jpeg:337kB]
Co710-750 五段
Co770[image/jpeg:258kB]
Co770 右岸直登
Co810[image/jpeg:279kB]
Co810 左岸高巻き

Co670 でついに大きなに出る。気合いを入れて左岸直登した。難しくはないが、ヌルヌルしていて気持ちが悪い。このの上部には更に二段ほど続いていた。 Co690 の滝は左岸を直登した。 Co710-750 で、中右左左右と、五段の滝を直登した。 Co770 の滝は右岸を直登した。Co810 でが右に曲がって出てくる滝は左岸を高巻いた。


Co850 雪渓[image/jpeg:331kB]
Co850 雪渓
Co930[image/jpeg:290kB]
Co930 左岸高巻き

小滝を通過していくと、 Co850 でついに雪渓が現れた。2つは上を通過するが、3つ目は崩れそうで左岸を巻いたが、ちょっと微妙なトラバースだった。更に雪渓とその奥に大きなが見える。左岸側壁をトラバースしてから、ルンゼを詰めて上部をトラバースしていくが、あまり良くない。さらに急斜面の草付きをトラバースを強いられての上に出た。この滝の上には大量のデブリが転がっていた。


Co970 三段[image/jpeg:339kB]
Co970 三段直登

スラブ状の三段のを中央直登したが、最後の抜けがちょっと微妙だった。その後もデブリが転がりつつもが続き、最後まで岩盤状のが続いた。 Co1100 二股はどちらをとっても大差はないと思うが、コルに出た方が藪漕ぎが楽なような気がしたので右へ進んだ。最後は急な斜面をよじ登って北のコルに出た。

ひとしきり稜線の藪を漕いで三角点に到着した。ガスが濃く、周囲の展望は得られなかった。

岩内岳南西面沢

Co1100 ガレ[image/jpeg:268kB]
南西面沢の上部はガレ沢

下りは南西面のを利用してスマクネンベツ沢へ下る。 Co1200 付近まで沢形はなく、藪が続く。ようやく沢形に出ると谷はガレに埋められていた。空からはついに雨が降り出したので雨具を着込んだ。ガレは Co920 まで続いていた。


Co920[image/jpeg:295kB]
はじめの滝は左岸を高巻く
Co860[image/jpeg:276kB]
スラブ状の滝が続く
Co790 樋状[image/jpeg:306kB]
樋状の滝
Co770[image/jpeg:313kB]
最後の滝も左岸を高巻く

Co920 からが出てきた。 Co850 までスラブ状のが続き、クライムダウンをするにはちょっと面倒だが、いずれも高巻くには問題ない。樋状の滝を下り、 Co770 で最後の滝を左岸から高巻いた。少し先で水は涸れ、伏流したとなった。雨はいつしか土砂降りとなり始めた。沢は涸れ沢のまま本流に合流した。

雨模様なので、このまますぐに天張ってしまいたい所だが、明日遡行する予定の直登沢出合まで天場を進めておく。本流は途中一部伏流していた。水が復活すると、予定天場が近づくにつれて水が濁っていた。出合に到着すると、本流の水は澄んでおり、直登の水は茶色く濁っていた。上流で土砂崩れでもあったのだろうか。


タモギタケのスープ[image/jpeg:178kB]
タモギタケのスープ

雨の仲ツェルトを立てて、焚き火をたく。雨は降っていても薪はそれほど湿っておらず、それなりに火は燃える。しかし、雨は時折強く降り、外では長く過ごせなかった。拾ったタモギタケはワカメスープに入れて食した。ほのかなキノコの香りとしゃきしゃきとした食感がおいしかった。

2008年07月16日(水)

タイムレコード
時刻天候場所行動
04:00起床
05:10出発
06:35Co960
08:35Co1400
09:25札内中岳
14:35天場C2

昨日のルートが思っていた以上にハードだったため、少々精力尽き果てた感があり、イマイチやる気がわいてこない。今日のはやばそうな沢なら途中であきらめて戻ってこようと決めて渋々天場を出発した。

札内中岳北東面直登沢

Co750[image/jpeg:244kB]
Co750 ゴルジュ
Co820[image/jpeg:229kB]
Co820
Co830[image/jpeg:227kB]
Co830 右岸巻き

の濁流は収まっている。 Co740 付近からゴルジュ状となって小滝が現れ始める。水は昨日の沢登同様、濁って汚い。まだまだ引き返しは利くレベルなのでとりあえず先に進むことにする。しかし、の規模はだんだん大きくなっていく。


Co840 二股[image/jpeg:288kB]
Co840 函状の二股
Co860[image/jpeg:251kB]
Co860 左岸を直登

Co840 二股の左股は案の定、深い状となって合流し、少し先で右岸から落ちてくる大きなが見える。やはりここからが核心のようで、引き返すかどうかの戸際である。とりあえず見るだけなら問題はなさそうなので、下までを観察しに行く。すると、滝の傾斜はそこそこで、ホールドも豊富で登れてしまいそうである。よしやってやるぞという気分にはなってこないが、登れるのに引き返すわけには行かない。渋々左岸に取り付く。難しくはないが、ヌルヌルが少々嫌らしい。


Co870[image/jpeg:301kB]
Co870 左岸高巻き

このを登ると、垂直な壁に囲まれたが出てきた。さすがにこれは登れそうもない。登ってきたことを後悔したが、来てしまったものはしょうがない。今更引き返す気にもなれないし、ラッペルするための植生もろくにない。少々微妙ではあるが、左岸の側壁を無理矢理よじ登り、怪しげな植生をつかんで尾根筋をよじ登った。少々気持ちが焦っていたのか、高く登りすぎて底が見えなくなってしまった。少し戻って滝の上の草付きをトラバースして沢に戻った。


Co910[image/jpeg:270kB]
Co910 流木を使って
Co950[image/jpeg:275kB]
Co950 右岸ルンゼ高巻き
Co960 樋状[image/jpeg:351kB]
Co960 樋状をステミングで
Co1030[image/jpeg:392kB]
Co1030 雪渓をくぐって
Co1170 樋状[image/jpeg:352kB]
Co1170 樋状を越えていく

は更に状のが続いていた。このには滝と同じ高さの大きな流木が寄りかかっていて、これを利用して通過した。Co950 で左岸からスラブ状の滝が落ちてくる。これは滑りそうなので右岸ルンゼを詰めて、中間尾根をトラバースして高巻いた。ルンゼからトラバースへの取り付きがあまり良くなかった。続く樋状の滝は突っ張りで中央突破した。いくつかの滝を通過し、 Co1030 では崩れそうなスノーブリッヂの下を急いでくぐり、出口の滝を突っ張りとフリクションで直登した。いくつかの滑滝を通過すると、今度は樋状の滝が続く。突っ張りなどで通過した。中には微妙なものある。


Co1190 雪渓[image/jpeg:278kB]
雪渓
Co1250[image/jpeg:344kB]
Co1250 ツルツルを直登する

空気が冷たいと思っていたら、やはり Co1200 前後から雪渓が残っていた。難しいの通過に少々うんざりしていたので、正直ちょっとほっとする自分がいる。

1つ目の雪渓右岸から下りて出口の直登した。すぐに次の雪渓が続く。雪渓の出口には二段のが隠れていた。右岸に下りて右岸のルンゼから巻きたい所だが、雪渓の壁が高くなっていて下りられない。仕方がないので左岸から下りて、滝の上段に取り付く。正面から見たらそれほど難しくないように見えたが、実際に取り付いてみるとかなりツルツルである。上に行くほど傾斜がきつくなって、ホールドが微妙である。何度かのぼったり下りたりを繰り返すが、他に突破口は見あたらない。わずかなホールドに身を預けながら、水流のコケの中をまさぐってホールドを発見しながら登っていく。抜け口ではスタンスが見あたらず、ホールドにぶら下がり、懸垂ジャンプして抜けきった。

岩盤状のはまだまだ続くが、 Co1350 付近でガレが出てきてそろそろ終わりかなと思いきや・・・

小さな雪渓の先は猛烈ルンゼで一気に高度を上げる。ルンゼを抜けると、 Co1450 くらいで二股となっていた。地形図には載っていないので、適当に左の方に行ってみる。右のはずっと平行してるようだ。こちらの沢は上部で消滅してしまったので、右の沢に移る。

最後の詰めは登れないほどの急傾斜の草付きとなり始めたので、右手の尾根に取り付いて藪を漕いでコルに出た。ピークまで藪を漕ぐが、三角点は見つからなかった。ピークではガスに覆われ、やはり周辺の展望は得られなかった。

札内中岳南東面直登沢

Co1070[image/jpeg:312kB]
Co1070
Co890 スラブ[image/jpeg:271kB]
スラブ滝

下りは南東面を下る。こちらも滝沢の予感がする。北東の肩から斜面を下りに降りる。案の定、下り初めてすぐに易しいながらもルンゼ状の沢となった。ルンゼの中に小滝が続くが、スラブ状のが多く少々処理が面倒である。延々と、の区切りも分からないような滝の連続である。

Co950 から下は大きなスラブ状のの連続となった。このスラブ群を過ぎると、小さなゴルジュ状に滑の連続となって、このまま平和に出合まで行けるかなと思ったが、そう簡単ではなかった。

Co820 の大きなを持ったは、左岸側壁をトラバースして下った。その後も中には釜を持ったなどもあって、飛び込もうと思えば飛び込めるが、水が汚いのでひとつひとつ慎重に処理する。


Co700[image/jpeg:310kB]
ラッペルした滝

Co710 で大きなが出てくる。一段目は左岸クライムダウンしていくが、途中から垂直になって下れない。水流を浴びて右岸に移る。出来るだけ植生を使って下っていくが、最後はにっちもさっちも行かず、ラッペルすることにした。立木にロープを掛けて一段目の下まで下りる。 30m ロープ一杯の長さだった。

更にもう一つ左岸の立木にロープを掛けて二度目のラッペルをした。スラブ状のをいくつか下ると、ようやく出合となった。

2008年07月17日(木)

タイムレコード
時刻天候場所行動
04:00起床
05:05出発
08:05岩内岳
09:05北岩内二ノ源頭
11:05Co820
12:45林道終点下山

二日続けてハードなだったので今日は少し気楽に行きたい。しかし、実のところ岩内岳からの下りが一番の核心なのではないかという気もする。脅迫もが低く立ちこめている。

岩内岳北西面直登沢

直登沢出合は涸れになっている。このままピークまでガレ沢が続くのかと思いきや、すぐに大きなに出迎えられた。二段の大きなだが、特に問題なく直登できた。すぐに大きな滝が続くが、これも右岸を直登する。更に三段の滝が続き、快適に直登していく。ガスで視界が利かないのが残念だ。

Co870 三股[image/jpeg:151kB]
Co870 三股の滝
Co930[image/jpeg:261kB]
Co930 釜持ち
中岳[image/jpeg:121kB]
霧に浮かぶ中岳
Co1100 樋滝[image/jpeg:325kB]
樋状の滝が核心

このもどんどんが出てくるが、技術的には手頃で楽しい沢だ。 Co870 三股は広いとなっている。左股の滝を登ってからトラバースして本流に出た。持ちの滝なども出てくるが、特に問題なく通過した。天気が良ければもっと楽しい沢だろう。

次から次へと小滝を処理していく。 Co1100 付近からは樋状の連瀑となっていて、ステミングで直登、更にジャミングで岩の中をよじ登って通過した。

Co1230 付近は地形図には現れない三股になっている。右は涸れたルンゼ、中は岩盤の。どちらもコンパスは同じ方向を指して平行しているように見えてどちらに行くか迷うが、水量の多い中の沢を行くことにした。右の沢は涸れた沢で、中の沢は相変わらず岩盤がひたすら続く。この岩盤状はピーク直下まで続いている。ピーク直下ではわずかに崩壊地になって、最後に薄い藪の斜面を詰めるとピークに直接飛び出した。

雲の切れ間から八ノカールなどが見える。やはり今年は雪が少ないようだ。

北岩内二ノ

今日の問題はここから先だ。東面直登沢を直接下るのは現実的ではない。南岩内川は比較的楽そうだが、下りてからの林道歩きが長い。北岩内二ノ地形的にはかなりが出てきそうだが、直登沢よりはマシだろうか。

北岩内二ノ源頭をめざして稜線を歩くが、まるまる一ピッチの藪漕ぎとなった。沢を下るとじきにが出始めた。は次から次へと出てきて、いちいち処理が面倒だ。はじめは記録を取っていたが、途中からいい加減面倒になった。 Co810 付近までは大きな滝が続き手こずった。この先は少し楽になるかと思ったが、相変わらず滝が続いた。

Co610 から浅いゴルジュとなって、ウォータースライダーなども出てくるが、やはり水が汚いので飛び込んでいく気にはなれなかった。 Co560 で本流に出てようやく河原となった。

すぐに林道に出るはずだったが、結局直登沢との二股まで林道は原形をとどめていなかった。結局ピークから四時間半もかかってしまった。東面直登ラッペルの連続で下るのとどちらが早肩かは微妙な所だ。

それにしても、割と軽い気持ちでやってきた山行だったのに、非常に濃密な三日間だった。

Usertime : 0.11 / Systemtime : 0.07