- 目的
- 上アブカサンベ沢遡行
- 日程
- 2014年06月21日(土) - 23日(月)
- 山域
- 中日高
以前から気になっていた上アブカサンベ沢からパンベツ山と、流域最高点である P1432 に行ってきた。 P1432 は、三角点すら存在しない無名峰であるが、流域最高点である事に敬意を表して仮にペンケアブカサンベ山と呼ぶこととする。
行程
装備
- ライフジャケット
2014年06月21日(土)
とりあえず、春別ダムへと続く林道の入口を確認する。幸いゲートは開いており、上アブカサンベ沢の入口までは行けそうである。さて、この界隈でいつも困るのは、宿泊する場所である。道の駅や、公共トイレのたぐいが存在しないのである。
以前、シュンベツ川を遡行した時は、御園館と言う施設の駐車場を利用させてもらったが、そのトイレは閉鎖されてしまっていた。隣にあるキャンプ場もどうやら整備されていないようだ。仕方なく、双川橋近くの河原に降りて車中泊をする。
2014年06月22日(日)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
03:30 | 曇 | 起床 | |
05:35 | 晴 | 出発 | |
06:50 | 砂防ダム土場 | ||
10:45 | Co675 三股 | マダニ除去 | |
12:45 | パンベツ山 | ||
14:40 | Co630 | C1 |
春別ダムへと向かう春別農屋線を進む。通行に支障はないが、若干わだちが多い。ペンケアブカサンベ林道入口前の広場に車を駐める。
自転車で一気に下りおり、橋を渡って少し登ると上アブカサンベ沢方面への分岐であるが、どうやら廃道の雰囲気である。自転車は役に立ちそうにないので、やむなくここに残置することとする。
道はやはり廃道となっているようで、上アブカサンベ沢に出る手前の崖マークのところは、完全に崩落しており、崖のトラバースとなった。
上アブカサンベ沢に架かる橋を渡ると、道は良くなり、車が通った形跡もある。どうやら、橋の架かっていない上流側の道からアプローチした方が良かったようである。
道が右岸から左岸へ遷るところには、春別ダムから高見ダムへ水を通す水路橋が架かっていた。道は一端すぐ近くで崩壊しており、いずれにしても自転車はあまり役には立たなかったようだ。
地形図上の砂防ダム付近は土場になっていて、この先の道は荒れていそうなので靴を履き替えて残置する。案の定、カーブを曲がると道は崩壊していたのでここから入渓することにした。
沢は河原とゴルジュ状を繰り返すが、難しい部分は無い。ただ、水量はそれなりにある。それにしてもこの沢は以上にシカが多い。シカが引き起こす落石にも注意が必要そうである。
里半沢出合の少し手前に大きな淵を持ったゴルジュが出てくる。右岸にとりつくと、まるで人が開削したかのような明瞭なシカ道がある。里半沢も函状となって合流している。その先の屈曲部分もゴルジュ状である。
その後もまあそれなりに変化する沢相を通過していく。ブタ沢とは言えないが、特段に面白い部分も無い。下流は砂防ダムが有ったこともあってかほとんど魚影を見なかったが、上流に行くについれて魚影が濃密になる。ただし、見えるのは雑魚ばかりだ。
Co620 二股で合流する最高峰南西面直登沢はガレとデブリの沢だ。思っていたよりもあっさりと、パンベツ山直登沢出合に到着する。
時間が早いので、今日の内にパンベツ山にアタックしてしまうことにする。ここでちょっと首筋にかゆみを感じたので触ると、どうやらマダニに喰われてしまったようである。医薬セットを取り出し、手鏡を見ながらマダニを除去する。シュラフなどを残置し、パンベツ山に向かう。
パンベツ山北西面直登沢は出合からブタの様相。徐々にガレが多くなり、 Co880 二股であっさりと伏流する。
ここからはひたすら涸沢の詰めとなる。一部若干の雪渓も残っていたが、問題なく通過する。
Co1100 付近で、水流が復活し、上の方に函滝も見える。とりあえず腰を下ろし、一休みして周りを見渡すと、右の方にも谷筋が見える。
・・・ん?これは何かトラップの香りがするぞ。地形図をよくよくにらみつけると、ピークの北西方向に見える小尾根の途中から小さな沢形が出ているのが分かる。どうやら今居るのはこちらの沢のようである。このままこちらを詰めると、ピークまで標高差100mほどの藪漕ぎになりそうだ。
尾根をトラバースし、右の谷に遷る。こちらは水流は無く、すり鉢状の草原が広がっている。草地を詰め、若干の笹藪を漕ぐと広い台地上ピークに出た。
三角点を探し、台地の端から端まで歩いてみたが、見つけることは出来なかった。ピークからは、一八二三峰やカムエクなど、中日高の山々が一望できる。残念ながら一八三九峰は雲の中だった。
復路も同じルートを下る。 Co1110 の分岐は、やはり本谷は草原に隠されて、見落としやすい。
シュラフを回収し、少し標高を下げて Co630 付近に天張る。雑魚の魚影ばかり見えていたので、あまり期待していなかったがそこそこのサイズのイワナが釣れる。大きめの2尾を刺身に、小さめの2尾を塩焼きにしていただく。刺身にしたイワナのアラを煮込んでアラ汁にすると、出汁はあまり出なかったが皮がプリプリになって意外なうまさがあることを知った。
2014年06月23日(月)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
03:00 | 起床 | ||
04:35 | 出発 | ||
07:05 | ペンケアブカサンベ山(仮) | ||
08:55 | 天場 | 撤収 | |
14:20 | 下山 |
今日は流域最高峰を南東面からアタックする。三角点すら存在しない無名の山なので、仮にペンケアブカサンベ山と呼ぶことにする。
ライフジャケットとシュラフは残置して出発。パンベツ山直登沢出合を過ぎるとやはりこちらもブタの雰囲気。荒涼としたガレ沢が続く。
Co950 二股を左に進むと、狭いルンゼ状となるがやはり涸れている。この先もひたすらルンゼ状が続くが、難しい部分は一切無い。
最後はバイケイソウしか生えていない急な草付きを何とか攀じり稜線に出る。頂稜部は意外に広く、シカ道が縦横に走っている。雲は昨日よりも多く、国境稜線の山々は見えない。
下りは南西面を利用する。読み通り頂上直下は笹と灌木のブッシュ帯が広がっており、沢筋は見いだせない。ひたすら滑る笹藪を駆け下りる。
Co1180 でようやく水流のある左股と合流する。 Co940 二股は滝となっており、慎重にクライムダウンする。
意外にもここから先は小滝の連続する沢となっていた。下の方にはそれなりに大きめの滑滝も出てきて慎重にクライムダウンしていく。
Co800 付近から下は右岸が大きな崩壊地となって、出合までガレ沢となる。装備を回収し、一息に下山する。自転車を回収するために、帰りも崩壊した崖のトラバースをしなければならないのが面倒だった。
雑感
上アブカサンベ沢は、静内川水系の比較的大きな支流として、数年前から気になっていたが林道アプローチの問題などから計画が延び延びになっていた。実はもっとゴルジュな沢ではないかと思っていたが、それなりのゴルジュではあったが、思っていたほどワクワク感のある沢ではなかった。パンケベツやコイボクのアプローチが通行止めで難しいことから、パンベツ山へのアプローチとしてはそれなりの価値があるだろう。