無名沢~コイカクシュサツナイ岳

ふ~ちゃん
目的
コイカクシュサツナイ岳南面直登沢遡行
日程
2005年08月07日(日) - 10日(水)
山域
中日高

行程

2005-08-07
札内ヒュッテ C0
2005-08-08
C0~コイカクシュサツナイ岳夏尾根~コイカクシュサツナイ岳西尾根~コイカクシュサツナイ岳南西面無名沢 C1
2005-08-09
C1~コイカクシュサツナイ岳南面直登沢コイカクシュサツナイ岳~夏尾根 C2
2005-08-10
C2~札内ヒュッテ 下山

2005年08月08日(月) コイカクシュサツナイ川無名沢乗越

タイムレコード
時刻天候場所行動
04:45起床
06:25出発
07:50コイカクシュサツナイ川上二股
10:001309天場
11:25コイカクシュサツナイ岳夏尾根頂
12:35コイカクシュサツナイ岳西尾根 Co1510
14:35無名沢 Co675C1

コイカクシュサツナイ岳夏尾根

上二股[image/jpeg:256kB]
上二股

昨日のチョンボのせいで今朝は少し寝不足気味で体調が悪い。札内ヒュッテに着くと、「8/5に釣り人が熊に襲われました」との看板が立っていた。一体何があったのでしょうか。そんなことは気にせずに、コイカク登山口に車を残置して出発する。下のは内部突破不可。右岸を巻く。上の函は問題なく内部突破。まぁ、相変わらず特に変わったことなし。上二股で単独行のおじさんに追いつく。一八三九峰まで行くらしい。ま、がんばってや。ってか、ザック担ぎ上げるだけでフラフラしてるぞ。大丈夫か?


一八三九峰[image/jpeg:65kB]
一八三九峰

この真夏にバカ尾根を登る。自分らしからぬこんな計画を立てたことに何度も後悔する。結局ほぼ「夏山ガイド」通りのコースタイムで夏頂着。まぁ、あれは日帰り装備のコースタイムだからしょうがないけど。これから未知の西尾根下りに向かう。主稜線をはずれると、稜線上はすぐに当然の様にハイマツの藪となる。しかし、まぁ、この程度なら許容範囲だろうか・・・?西尾根への下降点はまったく不明瞭で、慌てて降りると、一八二三峰南面直登沢の Co770 付近に降りる枝沢に入り込む可能性が大きいので注意が必要だ。地形図上からして、こっちのはかなり険悪な物が待ちかまえていそうだ。

コイカクシュサツナイ岳南西面下降

岩盤が続く[image/jpeg:241kB]
岩盤が続く
Co950付近[image/jpeg:176kB]
Co950付近

ようやく西尾根に入り少し平らなところまで降りるが、ミックス藪が酷くうんざり。当初の予定では、西尾根を忠実に降りる予定だったが、ここまで1ピッチで 200m 降りるのがやっと。この調子で行くと本流に出るのはいつになるか分からない。西尾根が酷かった時に降りると決めていた南西のに降りることにする。尾根から沢への藪はそれほど酷いこともなくすんなりと沢に出る。沢はすぐに岩盤状となって水流も現れる。延々と急傾斜の岩盤がつづくが、すべて順層で快調にクライムダウンで下っていく。少々難しいところもあるが、無名沢遡行しようという者にとっては問題にならないだろう。中間部に少々大きめのも出てくるが、よく探せば問題なく降りられる。心配ならラッペルでもいいだろう。 Co1000 付近の唯一心配だった等高線の混んだあたりは左の枝沢の岩崩で壮絶なガレ溜まりとなっていて何もなかった。本流への出合は白いゴルジュへ落ち込む垂直のとなっており、さすがにこれは降りられないが、左岸テラスを上流方向へ向かうとラッペル無しに本流に降りる。

山親爺・・・と言うには若すぎる

下降沢出合[image/jpeg:205kB]
下降沢出合

本流はいきなりゴルジュとなっており、日高でも屈指の険谷無名沢の壮絶さを垣間見せる。下のゴルジュの樋滝左岸テラスを巻ける。一八二三峰南面直登沢出合までもゴルジュが断続する。というか、一八二三峰直登出合自体もゴルジュの途中みたいなものだが。出合についてザックを降ろして、さあ、何をしようかなと思ったそのとき、一八二三峰直登沢小滝の上から丸くて黄金色の物体がのそのそと歩いてきた。ヒグマだ。慌てて笛を鳴らす。こちらの存在にまったく気づいておらず、川面を眺めて(魚でも探してた?)いたクマ君はその音を聞いたとたん、びっくりして大慌てて四つ足をばたばたさせながら上流方向へ逃げていった。その格好と言ったら、情けないというか滑稽というか、とても山の王者とは思えない。ある意味とってもキュートだったけど。

さて、私はと言うと、相手が体長 150cm そこそこの若グマだったとはいえ、ヒグマと 20m の距離で遭遇したところに一人で天張る気にはなれない。仕方がないので、本流を 500m ほど遡りなおし、ゴルジュを抜けたところで天張る。増水時にはちょっと心配だが、何とかなるだろう。それに薪は出合よりも豊富だ。釣りは全くダメ。針を垂らしてもうんともすんとも言わない。無名沢の最終釣りポイントは一体どこなのだろうか。

それにしても、先日鈴をなくしてから鈴を鳴らしていなかったが、やっぱり鈴は必要だなぁ。

2005年08月09日(火) コイカクシュサツナイ岳南面直登沢

タイムレコード
時刻天候場所行動
04:30起床
05:30出発
07:20コイカクシュサツナイ岳南面直登沢出合
09:20Co1160
12:20コイカクシュサツナイ岳夏尾根頂C2

無名沢中流域

Co710-720ゴルジュ[image/jpeg:174kB]
Co710-720ゴルジュ
Co740[image/jpeg:141kB]
Co740

下降出合まではもちろん昨日と同じ。空は晴れているが、谷が深く日が入らず暗くて写真撮影は厳しい。沢はずっとゴルジュ状で、天張れそうなところは昨日泊まったワンポイントだけだ。 Co710 で右岸から落ちる大きなを見ると、真っ暗なと深いの先にのしぶきの先端だけが見える。予定通りここは右岸から巻く。無名沢にはしばらく誰も来ていないだろうと思っていたが、踏み跡があるところを見ると、それなりに人は入っているのだろうか。巻き道から見るゴルジュの中には、ツルツルに磨かれた丸い壁を持った滝が2つほど架かっている。下からちらっとだけ見えた一番下の滝は、人がようやく一人通れるかという細い樋になって猛烈な勢いで流れており、内部突破は到底不可能だろうし、下降でも不用意に入り込んだらかなりヤバそうだ(Co710-720ゴルジュ)。


Co760ゴルジュ[image/jpeg:204kB]
Co760ゴルジュ
Co760ゴルジュ[image/jpeg:229kB]
Co760ゴルジュ

この後もゴルジュはずっと続くが、だいたい中を通過できる。このまま問題なく直登沢出合まで行くかと思いきや、なんて事なさそうな小さなチョックのが深いとツルツルの壁に阻まれてにっちもさっちもいかない。空身だったら左岸をなんとかへつれそうな気もするが、なにせ、おいらカナヅチなもんだから滑ったらお釈迦なんです。このはライフジャケットが必要だったか・・・。巻こうと、左岸の壁を物色するが、まったく取り付けない。さんざ悩んだあげく、悪そうな右岸の壁に取り付く。案の定垂直な壁の上の草付きのバンドトラバースとなるが、やっぱり踏み跡はあった。ゴルジュの中には下から見えなかった2~3のがあり、まとめて高巻く。ただ、こっちのゴルジュは頑張れば泳ぎの連続で突破できなくもなさそうだ(Co760ゴルジュ)。


Co780[image/jpeg:178kB]
Co780
Co790 大滝[image/jpeg:212kB]
Co790 大滝
Co800[image/jpeg:176kB]
Co800

更にゴルジュが続き、一八三九峰北面直登沢出合に到着。ここは三股になっており、本流は直角に左に曲がっている。一八三九峰北面直登沢は猛烈に細く深いとなって、奥には絶対直登不可能と思われるが落ちているのが見える。本流は少し広い函の先に大きなが落ちてくるが、これは左岸へつって直登できる(Co790)。続く長いを持った滝は、泳がないと取り付けなさそうだが、右岸の水中にはスタンスがあって、我慢してへつっていくと腰までの水没でなんとか突破できる(Co800)。

コイカクシュサツナイ岳南面直登沢

Co850[image/jpeg:152kB]
Co850
Co860-890函[image/jpeg:247kB]
Co860-890函
Co890[image/jpeg:154kB]
Co890

ヤオロマップ岳西面出合までは小滝をいくつか超えてすぐだ。この出合のテラスはいい天場だという話だったが、ちょっと・・・?だ。本流の奥に見えるは、遠目に見るとヤバそうだが、右岸を快適に直登する(Co850)。このの上は地形/函の中にデブリが埋まって汚く、突き当たりに雪渓が見える。おそらく早い時期はすべて雪渓に埋められているのだろう。雪渓をくぐり、小さな釜滝を超えていく。


Co920[image/jpeg:193kB]
Co920
Co930 直瀑[image/jpeg:207kB]
Co930 直瀑

Co930 の垂直の函滝は、枝沢が絶妙な傾斜のスラブとなって左岸に落ちている。本流のは直接登れないので、このスラブの壁を少しずつ高度を上げながらトラバースし、本流の落ち口にぬける(Co930-940)。


Co970 大滝[image/jpeg:189kB]
Co970 大滝
Co970[image/jpeg:162kB]
Co970
Co980-990樋滝[image/jpeg:211kB]
Co980-990樋滝
Co990[image/jpeg:204kB]
Co990

Co970 右屈曲点のは、左岸から直登できそうだ。とりあえず左岸の壁から中間まで進むが、わずか 2m ほどの微妙な傾斜のテラストラバースに取り付けない。テラスの真ん中には腐ったシュリンゲがかかっているが、一体何十年前の物だろう。このテラスを超えれば後は簡単な直登になりそうだが、結局1歩が出ず、左岸は諦めて右岸の悪そうなスラブの壁のトラバースにうつる。微妙なバンドをなんとかつないでの上に出る(Co970-980)。滝の上には勢いの強い細い樋滝が続いていた。この水勢にすっ飛ばされたらエラいことになりそうなので、更に右岸を高巻くことにする(Co980-990樋滝)。しかし、帰ってから「山谷」をあらためて読んでみると、どうもこの滝は直登するらしいのだが、え?マジで?もし足滑らせたら下の滝の下まで一気だよ?でも、他に面白そうな物も出てこないので、こいつを登らないとこのの価値はないのかも・・・。更にツルツルの滝が続くので、まとめて巻く。


Co1050[image/jpeg:202kB]
Co1050
Co1080[image/jpeg:209kB]
Co1080
一八三九峰[image/jpeg:118kB]
一八三九峰
山頂ケルン[image/jpeg:135kB]
山頂ケルン

このを過ぎると、は徐々に明るく開け、背中から太陽を浴びる。 Co1200 付近は河原状で、少し整地すれば快適な天場となりそうだ。 Co1300 から再び急傾斜の岩盤の沢となり、小滝群で快適に高度を稼ぐ。 Co1400 付近で少し張り切りすぎたのか、バテてしまい30分ほど昼寝をする。岩盤は Co1550 付近の源頭まで続く。源頭で3リットルの水を汲み、藪に突入する。ハイマツは思いのほか低く、40分ほどで夏頂に到着。

少し雲が出てきているが、今日はカムエクまで綺麗に見えている。カムエクという山は本当に何度見ても見飽きない山だ。天場にはテントがひとつ。昨日のおじさんだろうか。って言うか、昨日の時点でここまでしかたどり着けないペースで、一八三九峰にワンデイアタックだろうか?ちゃんと無事に帰ってくるだろうか?私は時間が早ければ1305天場まで降りても良かったが、思った以上に疲労してしまったので、今日はここで終了にする。

おじさんは18:30過ぎにようやくフラフラしながら帰ってきた。周囲はすっかりガスになってしまった。

2005年08月10日(水) 夏尾根コース下降

タイムレコード
時刻天候場所行動
04:40起床
06:05出発
08:20コイカクシュサツナイ川上二股
10:05下山

雲海を期待していたが、あいにくの霧。まぁ、昨日晴れてたからまぁいいや。 Dunlop テントのおじさんは6時を過ぎても動き出す気配すらない。生きているんだろうか・・・(笑。夏尾根をのんびり目に下り、上二股へ。なんだか異常にバテている。を下り、に出るあたりで小雨が降り出す。それでも上の函は飛び込んで通過。そういえば今年初泳ぎかな。サクッと1ピッチで下山。いつものようにアエルで温泉に浸かり、今日は久しぶりに生ビールを飲んで寝てから帰宅した。

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