増毛山塊のカワゲラはいずこ

ふ~ちゃん
目的
奥徳富岳・南暑寒岳・群別岳周遊
日程
2014年07月18日(金) - 21日(月)
山域
増毛山塊

このところちょっとした体調不良でくすぶっていたが、病院では何も異常が無いと言われたので気を取り直してに出かけた。増毛山塊の最深部たる徳富川の源流部での釣行を期待していたが、餌であるカワゲラが少なく、思いの外不釣であった。

行程

2014-07-19
群別川~奥徳富岳西面直登沢~奥徳富岳~奥徳富岳南東面直登~徳富川 C1
2014-07-20
C1~南暑寒岳南面直登沢~南暑寒岳西面~徳富川 C2
2014-07-21
C2~徳富川本流~群別岳~群別川本流~林道 下山

装備

2014年07月18日(金)

浜益へ向かうのに、 Google 先生に尋ねたところ、長沼から石狩厚田を経由し、オロロンラインへと抜ける画期的なルートを提案された。しかし、このルートには大きな落とし穴があった。たしかに、オロロンラインに抜けるまで非常に快適であったが、ひたすら札幌周辺の郊外を走るこのルート、途中にスーパーやドラッグストアなどのたぐいが一切無いのである。

途中で食料品を買い込もうと思っていたため、石狩中心部のイオンまで戻ることとなって、結局往復40kmものロスになってしまった。

そんなこんなで浜益に到着し、車中泊できるところを探すと、海岸線沿いは「有料駐車場」の看板がつづき、どこにも駐車できそうにない。ふと浜益温泉の横に大きな駐車場があったことを思い出し、内陸に向かう。温泉の横は「駐車公園」とそのものずばりの名称で、きれいなトイレもあった。

2014年07月19日(土) 奥徳富岳

2014-07-19 奥徳富岳
タイムレコード
時刻天候場所行動
04:00浜益駐車公園起床
06:40林道崩壊出発
08:25群別川本流 Co550
10:30Co900
12:30奥徳富岳
15:30徳富川本流 Co570C1

群別林道

朝食を取ったりうだうだとパッキングをしていると、ずいぶんと余計な時間を食ってしまった。

群別林道を進むと、途中のゲートにはチェーンとダイヤルロックがぶら下がっていたが、施錠されていないので通過する。橋を渡って道が右岸に移ると、道は徐々に荒れて、排水溝が道を横断するところで腹をこすってしまった。わたしの車ではこれ以上は危険と言うことで、バックして戻り脇の土場に車を駐める。大型四駆なら、もう少し先まで進めるだろう。

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ブル道

林道を30分ほど歩くと終点の土場となるが、その先にもブル道が続いている。ただし、わだちが大きく、傾斜もきついので普通の車では進入は無理だろう。ブル道は枝沢を渡って P609 の南西尾根沿いを登る。朝から気温も高く、当初思っていたよりもハードな山登りだ。熱いしキツいしかったるい。早くに入りたい。

P609 の稜線を越えて、若干下り勾配になると、小が横断し、道に水が流れ始めたので靴を履き替える。実は、この小沢から本流に下るのが正解らしいのだが、標識に気がつかずにそのままブル道沿いを進んでしまう。

ついにブル道も藪に覆われて不明瞭になったので、涸れた小を下り始めるが、この沢型が藪に覆われた上にやたらと蛇行している。しかも、明らかに今まで今まで歩いてきた分を戻る方向へ進んでいく。ようやく沢型がはっきりしたかと思ったら、右から合流してきた小沢に標識が打ってあってがっかりする。ちゃんとアプローチの下調べをしておくべきだった。

ブル道を使えば増田の当たりに出られるのかなともくろんでいたが、出たのは Co550 二股。まあ、色々と無駄足だった。それにしても、予定よりもずいぶんとアプローチに時間がかかってしまい、今日の予定地までたどり着くのは初っぱなから厳しくなってきた。

群別川

しばらくは歩きやすく単調なが続く。そこそこの魚影が走る。

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F1

増田のを過ぎて、正面に高い壁が見えて左に曲がると、 F1 が落ちてくる。左岸に残置ロープが懸かっているが、使わなくともさほど難しくはない。しかし、久々に3泊分もの荷物を背負っているので、後ろに引っ張られる感覚を久しぶりに感じ、上の方に行くと少し緊張する。フィックスロープの支点はかなり怪しげになってきているので、つかまぬが吉と思う。


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F1上のゴルジュ

の上はゴルジュとなって、函滝が直結していた。まあ、そのまま左岸テラス高巻くのがセオリーなのだろうが、それほど強烈なゴルジュというわけでもないので男は黙って内部突破。

へつるのはちょっとツルツルで難しいので、胸まで水に浸かって滑滝の下まで行って、右岸の縁を這い上がる。


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右岸テラスに上がって高巻

さらに、ちょっと長めの廊下が続いている。水はイマイチ濁っていて、正直気持ちよく泳ぐという気持ちにはなれない。泳いだところで出口の滑滝をよじ登るのは難しそうだ。ここは右岸テラスを通過する。

滑滝を一つ越えると、一端幅は少し広がり、岩が転がる沢となる。すぐに両岸は立ってきて状となってくるが、河床はゴーロが続く。

には魚影が見える。こんな小さな水系に陸封されてそんなにも長く生きていけるのだろうか。 F1 は一部で魚止めのと呼ばれているようだが、実は魚止めになっていないのだろうか。周囲が壁に囲まれているので、大増水時にはごと水没する可能性はなくはないのかな。


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小滝が断続

奥徳富岳直登沢出合にかけて徐々に小規模なゴルジュ状になって小滝が断続するが、特段印象に残るようなところはない。

奥徳富岳西面直登沢

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単調

函滝を一つ通過すると、奥徳富岳直登沢出合となる。元々群別川は大きなではないが、直登沢に入ると一気に渓相は小さくなり、単調な沢が続く。上空には濃い雲がかかり、稜線は見えない。


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正面から見ると凄そうに見える

Co850 付近で先に大きなが落ちているのが見え、急に幅が狭まり、三股となって進む直登沢は細いV字の岩溝になっている。これはと思ったが、傾斜は緩く簡単に通過する。


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左岸ルンゼ状から巻く

二つほどを通過すると、下から見えたに出る。ハングしているが思ったほど大きくはない。左岸から小さく巻いて中間のテラスに出る。そこから2段目は水流の真ん中ををシャワーで直登する。

こののハイライトはここだけで、その後は岩盤状続くが顕著なは無い。そのうち笹のトンネルを通過し、ついにヤブに突入する。周囲はいつの間にやらガスの中。急傾斜の笹斜面を標高差100mほど藪漕ぎする。

早めに稜線に出れば、踏み跡があるのではないかともくろみ、少し左寄りに進むが、稜線上も濃密な藪漕ぎを強いられる。結局、藪突入からみっちり1時間の藪漕ぎとなった。

ピークはガスが濃く、視界は無い。それよりも、アプローチのロスと思ったよりも長い藪漕ぎでますます時間がない。さっさと下ってしまわねば。

奥徳富岳南東面直登沢

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急なお花畑を降りてきた

案の定下りは目茶苦茶急だ。と言うか崖だ。しかも、視界が効かず、突如岩の上に出たりするからなおやっかいだ。滑るお花畑と垂直の岩場を慎重にクライムダウンしていく。


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めっちゃ急

150mほど下りようやく筋に出たかと思うと程なく、巨大な雪渓が出現する。

突き当たりのを慎重にクライムダウンして、軽アイゼンを装着する。これだけの急傾斜の雪渓を下るのはなかなか経験がない。アイゼンだけでは心許ないので、ハンマーも取り出してバックステップで下る。

慎重に下るが、それでも一度ズルッと行って滑落しかけた。ピック付きのハンマーを持っていて良かった。


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クライムダウン 思ったよりも微妙だった

途中、が出てきて一端雪渓が途切れる。クライムダウンで処理したが、ちょっと微妙だった。

ふたたび大雪渓となるが、傾斜はだいぶ緩まる。 Co920 二股で小滝が出てきて雪渓は終了する。

この先は、地形図的には傾斜は一気に緩まるので、もう何も出てこないのではないかともくろんでいたが、 Co800 二股を過ぎるとそこそこのゴルジュが断続していた。時間がなかったので事細かに記録していないが、遡行してもそこそこに楽しめると思う。ただし、源頭部の急斜面が問題だと思うが。


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徳富川本流

やっとの事で本流に合流する。徳富側は群別川に比べるとはるかに規模が大きい。上流に広大な湿地を広げているためであろう、水量も思いの外多く、幅いっぱいに広がっている。

時間が押しているので、さっさと天張りたいところではあるが、河原はいくらかあるが、薪がほとんど見当たらない。快適な天場を探しながらもう少し先に進むことにする。を3つほど通過して、いくらか薪が転がっている場所で天張ることにした。

しかし、本流に出てなどを見ても魚影を全く見ない。このはイワナ天国的な記録を読んできたので、これは意外だった。さらに問題なのは、さっぱりカワゲラが見当たらないと言うことだった。必死に探してようやく1匹見つけ出し、なんとか2尾をつり上げる。しかし、1匹は痩せこけており、もう一匹は小物だった。

薪の量も少ないので、あまり大きな焚き火には出来ない。しかも、今回は久しぶりにシュラフカバーしか持ってこなかったので心許ない。

2014年07月20日(日) 南暑寒岳

2014-07-20 南暑寒岳
タイムレコード
時刻天候場所行動
03:40起床
05:00出発
08:55南暑寒岳
11:15Co610 二股
11:40Co640 二股C2

南暑寒岳南面直登沢

案の定、夜は寒くて熟睡できなかった。

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小さな渓相

今日は南暑寒岳をアタックするだけのつもりなので、時間的に余裕がある。Co610 南暑寒岳直登沢出合まではほぼ河原が続く。二股を右に入ると一気にの規模が小さくなる。


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右岸へつり

Co630 付近からミニゴルジュが始まる。細長い右岸を微妙なへつりで通過する。


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右岸直登

他にも小滝が幾つか出てくるが、おおむね初心者向けので、と呼べる物は一つくらいしか無い。

Co900 分岐からピークへ向かう右岸に見える岩塔を回り込むように左にぐるりと屈曲して流れている。


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Co1130 三股 左へ

Co1130 三股は左に進む。急な岩盤が続き、源頭は急な草付き斜面で、その先は急で深い笹藪となっている。左の尾根筋へ進むと、笹とダケカンバと灌木のミックス藪だ。あげくにはハイマツまでミックスしてくる。濃密な藪漕ぎが40分ほど続き、ピーク直下の縦走路に出た。

南暑寒岳西面

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南暑寒岳

縦走路に出ると、ちょうど暑寒別岳方面に向かう小学生の女の子とお父さんとすれ違った。裏沢以外ので小学生に会ったのは初めてじゃないだろうか。今日もピークはガスだった。

下りは西側の筋から下る。しばらく縦走路を下り、標高を稼ぐ。先ほどの親子に追いついたところから谷に下る。


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笹藪をかき分けて筋に出る。途中、大きめのが二つほど出てくるが、クライムダウンで通過する。他の部分は傾斜が緩く下りやすい。

下部の小ゴルジュは飛び込みながら行くが泳ぐほどではなかった。


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本流の

本流に戻って Co640 二股までは2ヶ所ほどで、腰までつかる程度だ。

時間は早いが、 Co640 二股の左岸天張る。やはり薪は貧相だ。

今日は時間がたっぷりあるので、釣りに興じてと思ったが、やはりカワゲラがさっぱり見つからない。カワゲラのみならず、虫というものが居ない。トンボもまだあまり飛んでいない。バッタが居るような草地もない。やはり何とか見つけた1匹のカワゲラで2尾釣り上げるが、やっぱりやせていた。

2014年07月21日(月) 群別岳

2014-07-20 南暑寒岳
タイムレコード
時刻天候場所行動
03:50起床
05:00出発
06:20F5
06:40F5
09:10群別岳
10:40群別大滝
11:50快晴F1
13:35林道崩壊地下山

徳富川本流

今朝も寒くて、消えた焚き火をつけるなどしてやや寝不足だ。

二股の左岸に洞穴状の通路があるので、そこから通過する。

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F2 二条の 左岸巻き

すぐに大きなを持った二条の F2 が出てくる。左岸から高巻く。

幾つか小さな状が出てくるが、特に水に浸からずとも通過できる。


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F3

鬱蒼と木々に覆われたホンジャマ平からのをあせて沢が回り込むとやはり二条になった斜瀑の F3 が出てくる。


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F4 右岸直登

蛇行する単調な河原が続き、奥徳富岳へのとなって合流してくるのを見て、沢が右に回り込むと斜瀑の F4 が出てくる。


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F5

右岸直登すると、三方がとなった三股となる。しばし全体を見回して高巻きルートを探る。前回は右岸から高巻いたようだが、左岸からの方が近そうだ。

右股の直登し、中間尾根にとりつく。急な泥壁を無理矢理よじ登り、笹藪を漕いでクライムダウンに戻る。


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F7

F6 をシャワークライムすると Co880 二股の F7 。右岸直登する。更に小滝を二つほど過ぎると、また平坦なになる。


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群別岳

雪渓を通り過ぎ、 Co1110 の分岐は左の筋に入る地形図上では不明瞭だが、沢筋は稜線直下まで続き、10分程度の藪漕ぎで稜線に出る。ここの藪漕ぎはここからが本番で、なんだかんだで合計40分ほどでピークに到着した。

19年前に同じ徳富川を詰めた時は、群別岳の看板はまだ新しく、文字は黒く、全体はニスでつやがあったが、今ではすっかり褪せてしまった。

さあ降りようと思ったら、コンパスをどこかに落としてしまったことに気づく。リールストラップの糸が切れてしまっていた。便利だけど、注意が必要な道具だ。

群別川本流

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F4

東側に少し稜線を下りてからに下る。程なく岩盤になってクライムダウンが始まるが、全体に順層で下りやすい沢だ。

Co980 の F4 は左岸の笹藪をつかみながら下ると意外に簡単に下れた。


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群別大滝

さらに滑滝を下っていくといよいよ群別大滝の上に出る。周囲は高い壁に囲まれ、ロープを使っても一回では降りられそうにない。とりあえず落ち口左岸のブッシュ帯を下っていくと、中間テラスに出た。放物線を描いて落ちる水流を潜って右岸に移る。バンド状をトラバースして右岸ルンゼ出てから下る。思ったよりも楽な巻きだった。


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F2

幾つかの小滝を通り過ぎ、更に F2 も右岸から高巻くとすぐに Co760 二股となる。

F1 までのゴルジュ帯は二度ほど無理矢理泳ぐ。 F1 直前の暗いはやはり飛び込む気がせず右岸テラスを通過する。F1 の上の滑滝は滑り台で飛び込む。

F1 はロープを出そうか迷ったが、結局、慎重にクライムダウンで降りる。

河原を下り、標識テープを見て小に入る。ふと横を見ると、皮肉な物で群別岳のピークがきれいに見えていた。

標識に従って正しい小を通り、ブル道に上がる。気温はどんどん上がり、熱いしキツいしかったるい林道を歩き下山した。

Usertime : 0.07 / Systemtime : 0.06