- 目的
- 戸蔦別川八ノ沢・十ノ沢遡行
- 日程
- 2013年08月13日(火) - 14日(水)
- 山域
- 北日高
山スキー沢に引き続き、戸蔦別川八ノ沢および十ノ沢へ行った。今年の北日高はどこも雪渓が多いが、いずれも遡行ルートはたいした雪渓もなくそこそこ楽しめた。十ノ沢右股は大量のデブリによって荒れており、せっかくの美渓が台無しとなっていた。
行程
- 2013-08-13
- 六号砂防堰堤~戸蔦別川八ノ沢~カムイ岳北西面左直登沢~カムイ岳~カムイ岳北西面右直登沢~八ノ沢 C1
- 2013-08-14
- C1~戸蔦別川十ノ沢~戸蔦別川十ノ沢左股~一九六七峰~一九六七峰東面直登沢~十ノ沢~六号砂防堰堤 下山
2013年08月13日(火)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
04:45 | 起床 | ||
07:25 | 曇 | 出発 | |
08:40 | 八ノ沢出合 | 入渓 | |
09:40 | Co950 | ||
12:30 | カムイ岳 | ||
14:45 | Co950 | C1 |
カムイ岳北西面左直登沢
夜中に何度か雨音が車の屋根を叩いた。沢に泊まらなくて正解だった。が、朝になってもぱっとしない天気。体が重い、というか心が重いが気合いを入れて起きる。
林道終点まで車を走らせる。出発はずいぶんと遅くなってしまったが、カムイ岳往復ぐらいなら出来るだろうか。戸蔦別川八ノ沢は以前は右沢を遡行して左沢を下降している。今回は左沢から上がる。
八ノ沢は途中に大きな魚止めとなるような滝は見当たらないが、魚影が見えない。
Co1021 二股を左に入る。 Co1100 あたりからルンゼ状になる。 Co1120 二股でスノーブリッヂを一つ下から駆け抜ける。
Co1160 の滝 F1 は左岸から直登する。ここからどんどん滑滝を直登していく。それほど難しくないが、山スキー沢よりは難しいだろうか。
Co1380 のルンゼが集まるところに大きな雪渓があって、左岸から上に乗って通過した。
Co1530 二股はガレた右股の方が深いので少し迷うが、水流の有る左へ進む。すぐ上の分岐はどちらも大差ないが、左の方が水量が少し多いのでセオリー通り左へ向かう。水は涸れてそのうち灌木のトンネルの沢形となる。5分ほどヤブをこぐとピークのほんのちょっと東側に出た。
カムイ岳北西面右直登沢
西の肩から右直登沢に下る。薄い灌木の急斜面を下り沢に出る。 Co1550 で見覚えのあるお椀状の二股に出る。滝は全てクライムダウンで下る。
Co1310 二股の滝の下に雪渓が見える。左岸の上を通過する。さらに大小3つほどの雪渓を通過する。雪渓は崩壊が進んでいてしばらくは処理が面倒になりそうだ。
Co1021 二股に出てから天場を探して歩く。 Co950 付近でよく燃えそうな薪があったので今日はここまでとする。魚影は見当たらないが、念のため釣り針を垂らしてみたが案の定あたりはなかった。
2013年08月14日(水)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
04:35 | 起床 | ||
05:30 | 曇 | 出発 | |
06:40 | 本流 Co800 二股 | ||
08:35 | 晴 | Co1223 二股下 | 雨具 |
11:05 | 一九六七峰 | ||
12:25 | Co1450 | クマに遭う | |
15:40 | 戸蔦別川八ノ沢出合 | ||
17:05 | 六号砂防堰堤 | 下山 |
八ノ沢を下り本流を遡行して十ノ沢へ向かう。十ノ沢に入ると水が濁っている。例によってデブリか・・・
滑滝群を越えて二股手前の滝へ。左岸をへつってから釜の縁を渡って右岸を直登する。腐ったロープが懸かっているがとうてい信用は出来ない。最後右へのトラバースがちょっとだけ微妙。濁流は右股から流れてきていた。
戸蔦別川十ノ沢左股
二股の滝は中間尾根のカンテを登って落ち口にトラバースする。左股は右股に比べて小ぶりな滝が連続する。いずれも直登して越えていく。
Co1223 二股の直下の滝は簡単に高巻けそうだが、直登も楽しそうなのでとりつくが、さすがに水が冷たい。一端休憩して雨具を着込んでから水流に突入する。冷たいが気持ちよく直登する。
一九六七峰に向かう右股は枝沢状に合流している。水量はまだ十分にあるが早くも源頭の雰囲気だ。
それでも滝はまだまだ出てくる。シャワークライミングを繰り返しながら滝を越えていく。
Co1400 付近で急に水量が減り、ちょろちょろとした流れとなる。 Co1540 は以前下降した時は右から降りてきたが、今日は左へ進む。
乾いた岩盤を過ぎていくと、 Co1640 で三股となる。一端右に入ってから真ん中の沢形へと進む。しかし、ピーク直下に出るには右端へ進むのが正解のようだ。源頭は岩稜下のお花畑に出る。急斜面の花畑を右にトラバースしてピーク直下への沢形に戻り稜線に出た。
下界はまだまだ暑いが、稜線の風は秋の雰囲気を醸し出していた。
一九六七峰東面直登沢
ピーク東側に見える右股へと下る。藪漕ぎが無いのは良いが、急傾斜のお花畑はツルツル滑って恐い。下りではむしろ少しヤブがあるくらいの方が良い。
乾いた岩盤をクライムダウンで下っていく。少しかぶり気味で微妙な物もあった。
Co1600 付近で今にも崩れそうな雪渓があったので蹴飛ばしてみたり、岩を投げてみたりしたが意外と崩れない物だ。小さくて、崩れても死ぬほどではなさそうなのでさっと下を潜る。
もうすぐ最初の二股だなあと思って歩いていると、滝を挟んで下に黒くて毛むくじゃらのヤツが見えた。久々のクマ君との接近遭遇だ。向こうはぜんぜん気づいていないようなので絶好のシャッターチャンスだったが、気が動転してカメラを構えるのを忘れてしまった。
どうしてもここを通らなければ帰れないので、ホイッスルを鳴らすが、気がつかない。「おーい」と声をかけてみたがやはり気づかない。パンパンと手を鳴らし見てると、一度こちらを見てさらに二度見してようやくこちらの存在に気づいて例のごとく慌てて右岸の尾根へと逃げていった。まだ2~3歳の若いクマだろう。
とりあえず少し腰を下ろして休憩。通りますよーなどと声をかけつつ通過した。
すぐに Co1420 二股となる。適当に滝が出てきて適当にクライムダウンしていく。どこに濁流の発生源が有るのかと戦々恐々となっていたが、なかなかそれらしき物は出てこない。
疲れてヘトヘトな以外は快適に下っていくと、 Co1160 二股の真ん中に巨大な雪キノコが鎮座し、右股のピパイロ岳南面沢からは泥水が流入し、大きなダケカンバの倒木が沢を埋めていた。
ここから沢はきれいなスラブ滝が続くが、この泥水とデブリではせっかくの美渓が台無しだ。スラブ滝ではダイナミックな滑り台も考えられるがこの泥水と荒れようでは無理。釜に飛び込んで流木にでも引っかかったら命取りだ。
慎重にクライムダウンをして下っていく。ラッペルをするにもこれではロープが引っかかって大変だろう。元々下るのが楽な沢ではないが、余計に面倒だ。
ようやく二股に出る。二股下の滝は登りと同様右岸をクライムダウン。普通は素直にラッペルした方が良いだろう。
八ノ沢出合から踏み跡を間違えて迷いそうになりつつ駐車場にたどり着いたのは17時を過ぎていた。
新嵐山荘で入浴(260円)、日勝峠入り口で力尽き仮眠。翌朝の帰宅となった。
雑感
カムイ岳は八ノ沢から登ってもカタルップ沢から登っても、カタルップ沢の下降で苦労している記録を目にするが、今回下降に使ったカムイ岳北西面右直登沢を下降に使うのが一番手っ取り早いのではないかと個人的には感じる。上部の滝の量はさほど変わらないと思うが、カタルップ沢は何しろ下部のヌルツルの滑がやっかいなので。戸蔦別川十ノ沢左股は、手頃な滝が連続し、初心者にもお勧めだ。右股は美しさだけが取り柄なのに、今回はデブリで酷いことになっていたのでしばらくはお勧めしない。