- 目的
- トヨニ岳北峰東面直登沢・南西面直登沢遡行
- 日程
- 2008年08月06日(水) - 08日(金)
- 山域
- 南日高
日高山脈核心部は未だ増水で遡行は困難であるため、全て経験済みの沢ばかりだが、トヨニ岳周辺を周遊することにした。いずれも非デジタル時代に遡行した沢のため、新鮮な気持ちで遡行出来た。そして、以前の自分との実力差を思い知らされる山行にもなった。
行程
- 2008-08-06
- 豊似川二股~豊似川右股沢~トヨニ岳北峰東面直登沢~トヨニ岳 C1
- 2008-08-07
- C1~トヨニ岳南峰西面直登沢トヨニ岳北峰南西面直登沢~トヨニ岳~トヨニ岳南峰~トヨニ岳南峰南東面直登沢 C2
- 2008-08-08
- C2~豊似川左股沢 下山
装備
- クリマプレンパドリングロングスリーブ
- クリマプレンパドリングタイツ
2008年08月06日(水)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
03:00 | 起床 | ||
05:50 | 二股駐車場 | 出発 | |
08:55 | Co660 | ||
13:50 | トヨニ岳 | C1 |
夜中、ブンブンとうるさい蚊と格闘していたら、車内の出っ張りに肘をぶつけて激痛が走った。糞ッ蚊め。
結局、増水のことと今後の予定を考えてキムクシュベツ川はあきらめることにした。今回はトヨニ岳をぐるりと廻ってくることにして、豊似川へ向かった。野塚トンネル北口に自転車を残置し、二股駐車場に車を駐車して出発した。
豊似川右股沢
やはり、沢はまだ水量が多いようだ。二股駐車場から一端沢に降りるが、対岸の林道に上がって林道を進む。林道は藪に覆われていて、徐々に廃道状態となった。
Co500 付近で沢に降りると、淵の中を大きな魚が泳いでいくのが見えた。 Co525 のはじめの滝は水量が多く、奔流して滝壺で爆裂している。瀑心に近づけず、右岸を小さく高巻く。 Co545 の二段の釜滝も昨年の水量とは全然違い、大量の水が流れている。一段目までは登ってみたが、奔流に吹っ飛ばされそうな感じで左岸に移れないので戻って高巻く。右岸側壁の微妙なバンドの草付きを高巻いた。
クリマプレンパドリングタイツは太股が少々キツい感じだ。確かに外からの水ぬれには強いが、保温性・防風性はイマイチな感じがする。
Co560 のゴルジュは難なく通過した。 Co585 の滝は右岸をへつって通過した。次の函滝は右岸バンドをへつって残置ロープをちょっと掴んだ。続く二股の滝は左岸中間尾根に逃げて巻いた(Co590)。
Co600 付近の大きな釜を持った滝は右岸テラスから高巻いた。去年雪渓があったあたりにも今年はかけらすら残っていなかった。 Co640 の滝は右岸カンテを登った。前年同様いくつもの滝を問題なく通過した。
トヨニ岳北峰東面直登沢
去年登ったカールへ向かう沢も奔流して合流している。北峰直登沢の右股に進み、1つ目の滑滝は右岸バンドから取り付いて水際を直上する。二段目の樋状を右岸のテラスから乗っ越し、三段目の大きな滝は左岸を直登したが、下から見るほどホールドは豊富ではなかった(Co800-840)。
続く函も全て中を通過する。三段の函滝は、下段の樋滝はあえて中を行ってシャワークライムで通過。中段は左岸バンドをへつって通過。上段は左岸直登するが、これは簡単だった(Co870 三段釜滝)。
日が昇って暑くなってきたので、クリマプレンの服を脱いでいつもの沢装に変える。なんだか足首が痛い。
しばらくガレが続き、幕営跡も見られる。ガレの中に時々滝が現れるが、特に問題はない。
Co1090 からの大滝は近くから見るとそれほど難しくなさそうだ。だが、実際に取り付いてみると逆層気味で微妙な部分もある。おおむね右岸直登した。一部右岸の植生に逃げたが、石が浮いていて怖かった(Co1090-1140 大滝)。
後は特に問題になる物もなく、ルンゼ状の小滝を通過していく。 Co1320 二股は、右の方が水量が多いが、コンパスは左を指している。とりあえず右に行くと、 Co1400 付近から藪に突入した。右岸の尾根に取り付き、靴を履き替えて左寄りに進んでいくと、ピークのやや南に出た。
稜線
ピークに付くと、帯広労山の二人パーティがいた。北面直登沢を遡行し、そして同じ北面直登沢を下っていった。私は少し時間が早いがそのままピークで泊とした。しかし、この日は天気はいいが風が強く不快な夜だった。
2008年08月07日(木)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
04:00 | 曇 | 起床 | |
05:05 | 晴 | 出発 | |
05:55 | トヨニ岳南峰肩 | ||
08:00 | トヨニ岳北峰南西面直登沢出合 | ||
09:45 | Co790 | ||
12:50 | トヨニ岳 | ||
14:05 | トヨニ岳南峰 | ||
15:00 | トヨニ岳南峰南東面直登沢 Co1000 | C2 |
ツェルトは何とか持ちこたえたが、一晩風に叩かれた。トレッキングシューズを履いて、南峰をめざす。下りは直登沢の一本北のルンゼを下ろうかとも考えていたが、悪そうな雰囲気が漂っている。普通に西面直登沢を下ることにした。
トヨニ岳南峰西面直登沢
急傾斜の草付きを滑り降りると、すぐにガレの沢となる。不安定なガレが超鬱陶しい。インゼルの所は岩が出て水が出ているので、左岸から乗っ越す。その先は滝も出始めるようなので、ここで靴を履き替えた。
ルンゼ状の滝なども出てくるが、特に問題はない。不安定なガレが続く。 Co1190 付近の滝はちょっとクライムダウンが面倒だった。
トヨニ岳北峰南西面直登沢
S字ゴルジュ
この沢は出合から険悪なゴルジュとなって、手応えのある滝が詰まっている。はじめはS字に屈曲する小さな滝。これは問題ない。続くチョックストンは釜右岸からはい上がる。一度失敗してドボンした。更にチョックを通過し、次の滝は左岸バンドを斜上し、へつって落ち口に出た(Co650)。
左に屈曲して樋状の滝が出てくる。左岸を行こうとしたが、水圧強く取り付けなかった。右岸の流木を使ってへつり、レイバックで斜上へつり。上部はフリクションで突破した(Co660 樋滝)。
右へ曲がって垂直の滝が出てきた。6年前の記録では右岸を直登している。確かに微妙クラックに沿ってホールドがありそうだが、とてもフリーで登れそうには見えない。本当にこれを直登したのだろうか。6年前のオレ、スゲーな。左岸カンテの高巻きに取り付いてみるが、滝の上部に下降する部分がツルツルで、沢に戻れそうにない。戻って右岸側壁に取り付く。こちらもあまり良くないが、岩間の草付きバンドを縫ってトラバースし、滝上の右岸のカンテからクライムダウンして沢に戻った(Co675)。
次の滝も右岸直登を試みたが、行けそうにない。左岸カンテを巻き気味に登って通過した(Co685)。左に曲がって、斜瀑。右岸から取り付いて上部は微妙なフリクションで直登した。この滝のことは良く覚えている(Co695)。
小滝をいくつか越えて、次のチョックストンは左岸側壁をトラバースした(Co710)。このゴルジュ最後の三段の滝は、三段目の左岸バンドをちょっと巻いて滝に下りた。前の記録では悪い巻きだったように書いているが、そんな感じの滝ではない。 Co690 付近の滝と記録の交錯が発生しているかも知れない。
大滝
その先は高い函状にガレが詰まっている。地形図では表現出来ていない沢の合流になっているようだ。 Co850 の三段の滝は水量が多く、しぶきがはじけて落ちている。これを直登の選択なのか?躊躇するが、覚悟を決めて右岸水際につっこむ。ばっちり水を浴びながらのシャワークライムだ。確かにホールドはあるが、誰だこんなの登るヤツ。って、オレか。最後は奔流で水流には入れないので外のホールドを求めて水流をまたいで一段目の上に出た。まったく、6年前のオレは狂ってる。二段目はツルツルで取り付けないので、左岸テラスに登って側壁トラバースして小さく巻く。三段目は右岸シャワーで快適に直登した。さらに四,五と小滝が続いているが、問題ない(Co850-900 三段)。
小滝群
Co1000 の大滝はシャワーを浴びつつ右へ左へルートをとって適当に直登した。 Co1100 付近で右岸から水量が豊富な滝が合流している。地形図には枝沢らしき物は見あたらないので、伏流した水が噴き出しているのかも知れない。
次の滝を登ると水は涸れる。そのうちまた出てくるだろうと思ったが、最後まで水は復活せず、水を補給し損ねてしまった。薄い灌木を漕いでピークに出た。
トヨニ岳南峰南東面直登沢
今日も稜線泊まりのつもりだったが、水を補給し損ねたので、沢に下るしかない。テントを回収して南へ向かう。今日二度目の稜線歩きだ。荷物は重いが二度目の方が何故か速かった。
とにかく水が出るまで下って適当な所でビバークしよう南東面直登沢へ下る。水はそのうち出てくるが、ビバーク適地はなかなか無い。 Co1000 付近で力つきて無理矢理天張ったが、ガレに埋められて、いつ落石につぶされても不思議でない所だった。
2008年08月08日(金)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
04:00 | 晴 | 起床 | |
06:15 | 出発 | ||
08:35 | 野塚トンネル北口駐車場 | 下山 |
今日は下山するだけなので、のんびり寝ていようと思ったが、早々に目が覚めてしまう。寝ていても寒いので、起きて焚き火に火をつけ、日が昇るのを待ちながら出発の準備をする。脇の水流は一晩で目に見えて減水した。
沢に日が当たり始めてから出発した。5分も歩くともっと良さそうなビバークポイントがあった。滝は慎重にクライムダウンで下っていく。 F3 を下りた所で、単独のおじさんとすれ違った。 F1 の手前の滝壺ではあえて泳いでクリマプレンの実力を試してみる。うーん。役に立っているのかどうかよくわからん。
F1 を過ぎてしばらくすると、足下に魚影が走った。予想通り3ピッチで野塚トンネルに到着した。トンネルからは自転車に乗って、一気に下って二股駐車場に到着した。