- 目的
- エサオマントッタベツ岳北東面直登ルンゼ遡行
- 日程
- 2007年09月11日(火) - 12日(水)
- 山域
- 北日高
初めてエサオマントッタベツ川本流を遡行した時に、山頂であったおじさんが「先週、間違えて直登沢の方に入ってしまった」というような話をしていた。そのときは、どうやったら間違えるんだろうぐらいに聞いていたが、遡行可能な場所なのだろうかと、ずっと気になっていた沢である。北東面の沢であるため、雪解けが遅くなかなか実行出来なかったが、ようやく遡行することが出来た。
行程
- 2007-09-11
- 戸蔦別川六号砂防堰堤~エサオマントッタベツ川~山スキー沢出合 C1
- 2007-09-12
- C1~エサオマントッタベツ岳北東面直登Bルンゼ~エサオマントッタベツ岳~エサオマントッタベツ川本流~戸蔦別川六号砂防堰堤 下山
装備
2007年09月11日(火)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
14:35 | 曇 | 出発 | |
16:40 | 山スキー沢出合 | C1 |
今日は山スキー沢出合までの2~3時間の行動なので、のんびりと午前中に家を出る。途中、モンベルショップで防水ノートを買ってから現地へ向かう。
川は濁流してこそいないが、かなり水量が多い。戸蔦別川六号砂防堰堤には、新たに工事用バリケードが置かれていた。簡単にどけられるが、そこまでして車で行かないといけない距離でもないので、ここに駐車して自転車で行くことにする。エサオマン林道までの道はさほど変化はなかったが、一箇所だけ倒木が転がっていた。エサオマン林道の駐車帯に自転車を置いてここから歩く。
どんよりした曇り空の中、踏み跡を使って天場を目指す。今日は天気がいいはずなのに、上に行くほど天気が悪い。踏み跡は途切れがちで、所々打ってあるデポもあまり適切ではない。途中から踏み跡を探すのが面倒になり、結局水流の中を行くことが多くなる。そうこうしていると、小雨が降り出した。すでに水量は飽和状態なので、ちょっとの雨でも増水が心配だ。
2時間強で山スキー沢出合に到着。薪は少ないし、魚は少ないし、相変わらず快適な天場とはいえない。去年使った天場はすぐだが、中州なので今の状況ではちょっと使いにくい。まあ、ここも安全な天場とは言い難いが。とりあえずツェルトを立てて薪を集めるが、案の定火の付きは悪い。明日は晴れるのだろうか。
2007年09月12日(水)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
05:10 | 曇 | 起床 | |
06:35 | 曇 | 出発 | |
07:10 | Co1230 Bルンゼ出合 | ||
09:20 | エサオマントッタベツ岳 | ||
11:20 | 天場 | 撤収 | |
14:45 | 戸蔦別川六号砂防堰堤 | 下山 |
雨はやんだようである。空は雲で覆われているが、昨日より遙か高い位置に紅く染まり始めた稜線が見える。ツェルトを残してアタック装備で出発する。急傾斜のゴーロを登ると、正面にエサオマントッタベツ岳の山体に深く刻まれた直登ルンゼが見えてくる。さすがに雪渓はもう残っていないようだ。
エサオマントッタベツ岳北東面直登Bルンゼ
Co1230 二股を右に入る。しばらくはガレが続く。 Co1350 付近でついに滝が出てくる。まずは二段の滝を問題なく直登する。ここから沢は函状となって、滝とチョックが続く。 Co1390 の二段の滝の上段は、左岸フェイスからバンドに沿って水流をトラバースして右岸にトラバースして、さらに水流を受けながら左岸に斜めトラバースして直登した。
この先しばらくは函状の中にガレの多い渓相となって、わずかに雪渓の残骸があった。ここを一気に駆け上がると、突き当たりの細く深い函の中に垂直の二段の滝が出てきた。これは登れそうにない感じがするが、近づいてみると幸か不幸か登れそうなラインが見える。下段は右岸クラックから取り付く。ホールドはあるものの小さく、しっかりとしたスタンスが遠く、浮き石が多く安心出来ない。手は豆ホールド、足は腰まで上げて体を引き上げる。今年一番微妙なクライミングだった。上段はステミングで越えたが、上部がややオープンになって微妙だった。
次の滝はつるりとしていてホールドがなさそうなので、左岸側壁を登ってテラスから高巻いた。さらに細い V 字谷の中にガレが転がり、小さなチョックが続いているが特に問題なく通過する。この手のチョックはたいしたことなくても濡れるから嫌だ。次の滝は右岸クラックを登って越えた。次の二段の滝は右岸を直登した。いくつかのチョックストンを左岸テラスから越えると、樋状の上にチョックストンがある滝が出てきた。
遠目には難しそうだが、何とか登れそうだ。まずはステミングでチョック下まで登る。チョック下からシャワーを浴びながらハングの上に手を伸ばして越えた。この滝の上は深いルンゼの二股となっていた。左に入るとますます細いルンゼとなって、小滝が続いている。ホールドは豊富で快適に直登していく。このルンゼを通り過ぎると、国境稜線も間近に迫り、右岸に地形図に現れないルンゼがいくつか合流する。地形図通りコル方向に詰めると、たいした藪漕ぎもなく稜線に出た。右岸に合流していたルンゼのひとつはピーク方向へ突き上げていたが、どこを詰めてもたいした違いはないだろう。
エサオマントッタベツ岳
空は高曇りで、稜線からは北日高を中心によく見えている。北日高はすでに紅葉が始まっていた。風は強くて冷たい。時間はたっぷりあるのでピークでのんびりしたかったが、エサオマントッタベツ岳のピークは風をよける場所もなく寒いので、さっさとカールに下ることにする。本当はCルンゼを下るか、よく使われているという札内分岐に突き上げるルンゼを下るつもりだったが、面倒くさいからいつものように最低コルのルンゼから下る事にした。相変わらず急傾斜だが、雪渓がないのでいつもより楽だった。
エサオマントッタベツ川本流
カールも意外と風が冷たい。日差しもないのでとっとと下ってしまうことにする。ここの大滑滝を下るのも四度目となると格別な感動もない。水量が多くてちょっとばかり怖いが、いつものように淡々と下る。なんだか短くなったような気がするのは新鮮みがないからだろう。滑滝の落ち口と、二段の滝は水量も多いので、普通に踏み跡を使って高巻いた。淡々とゴーロを下る。長くてかったるい・・・。
下山
天場を撤収してさらに下る。帰りも踏み跡をたどってみるが、やはり途切れがちでわかりにくい。途中から面倒くさくなる。適当なところで釣りする。カワゲラがなかなか手に入らない。しょうがないので魚肉ソーセージを使うと簡単につれた。三尾ほど釣り上げて、笹にぶら下げて持ち帰る。
自転車を回収して下山。戸蔦別ヒュッテに行ってストーブをたいてオショロコマを焼きながら、次の山行へ向けて作戦会議だ(って、一人だけど)。魚がうまいので一杯やりながら一泊したかったけど、夕食を用意していないので、とりあえず里に下りることにする。
忠類の温泉に入って、テレビで天気予報をチェックする。土曜日以降天気が崩れそうなので、明日すぐに入山することを決める。