クマノ沢~ピリカヌプリ

ふ~ちゃん
目的
ピリカヌプリ南東面直登沢右股遡行
日程
2007年09月13日(木) - 14日(金)
山域
南日高

人気のあるピリカヌプリ南東面直登沢だが、なぜか右股の記録は見ない。今回はそのマイナーな右股に行ってみることにした。左股は日高屈指の名渓だが、右股は果たしていかなるなのか?

行程

2007-09-13
昭徳右岸林道クマノ沢ピリカヌプリ南東面直登沢三股 C1
2007-09-14
C1~ピリカヌプリ南東面直登沢右股~ピリカヌプリピリカヌプリ北面直登沢~~ヌビナイ川右股昭徳右岸林道 下山

装備

2007年09月13日(木)

2007-09-13 クマノ沢
タイムレコード
時刻天候場所行動
06:30道の駅大樹起床
09:25昭徳右岸林道終点出発
10:15Co460
12:10Co550
13:45Co655 三股C1

昨夜はいつものように大樹の道の駅で車中泊をした。夜中に隣に泊まった車のおねーちゃんたちが大きな声でおしゃべりを初めて糞うるさくてよく眠れなかった。周辺には車中泊をしている車が結構居たのだが、みんな迷惑していたことだろう。今朝はゆっくりと起きてゆっくりと出発の準備をする。いつものように昭徳右岸林道を走り、終点に駐車して出発する。

『羆』の

クマノ沢遡行するのは三度目だが、やはり水量が多いような気がする。ちょっとした渡渉でも面倒くさい。長い河原を歩き、滑の始まるちょっと手前で休憩していたら、 100m ほど上流で巨大な黒い固まりが動くのが見えた。今まで見た中では最大級の 200cm をゆうに超えるその巨体は、こちらに気が付くと、「ああ、通るんかい。ならちょいとどけてやるかいな。」と言う感じでのっそのっそと音も立てず悠然と藪の中に消えていった。今まで出会った情けない姿で逃げていくヒグマとは違う、威風堂々としたクマだった。

Co500 二段釜滝[image/jpeg:148kB]
Co500 右岸をへつって越えられる

どうやら林の中に消えたようなので、速やかにその場を通過させてもらう。はじめの函滝はセオリー通り左岸から越える。直登沢出合まではほとんど問題なく遡行出来るはずのこのだが、わずかとはいえ水量が多く、がいちいちオーバーフローしていて面倒だ。黒い屈曲点の小滝は以前は内部をへつったが、右岸テラスから越える。続く釜滝は右岸をへつって越えた。以前は泳いで通過した広い釜の小は側壁をトラバースして高巻いた。


Co525 砂防ダム[image/jpeg:150kB]
Co525 こんな砂防ダム有ったっけ?

ここを過ぎると見覚えのない流木の砂防ダムが出てきた。こんなのあったっけ?以前の記録には全くふれられていない。もしかして最近出来たのかも知れない。左岸岩場から高巻く。砂防ダムの上は流れがせき止められ、砂利が溜まって河原が広がっていた。この先は陰鬱な状などがあるものの、底は河原状が多くなり、直登沢出合に至る。

ピリカヌプリ南東面直登沢

Co600 釜滝[image/jpeg:150kB]
Co600 魚止めの滝はこのあたりから高巻く

直登沢に突入し、滑を通過していく。曲がりくねるの先に魚止めの登場。左岸側壁を巻けるかと思ったが、ダメだった。セオリー通り釜滝の上まで戻って右岸から高巻く。って、前回も似たような事してるな、オレ。だめじゃん。続く二股のは躊躇無く枝沢からテラスを使って高巻いた。


Co620 三つ目四つ目[image/jpeg:150kB]
Co620 前回にはなかった流木が横たわる
Co630 樋滝[image/jpeg:150kB]
Co630 泳げば突破出来るけど・・・

広い状を少し進むと、小さな滑滝が出てきてここから直登沢下流部の核心のゴルジュとなる。この中にはツルツルのを持った小滝があって、濡れることは必至だ。しかもそこを越えても泳ぐなり、ショルダーテラスに上がるなりしなければならない難所だ。出来れば早めに右岸のテラスに登って巻いてしまいたい。右岸の壁を見ながら、一つ、二つ、三つと滑を越えていく。四つ目の滑を登ると先に例の難しい滝が見えるので、ひとつ戻って、四つ目の滑滝の右岸側壁をよじ登る。難しいが何とか登り切ることが出来た。奥の樋状の滝までまとめて高巻いた。せこい通過方法だが、何度もスリップして釜に落ちるよりはよい。二度目の遡行となる強みである。

最後のは、右岸カンテに取り付く。しかし、上に行くほど悪い。そういえば前回もここを登ろうとして失敗しているような・・・(ぉぃぉぃ。これはやばかったなと思い始めたところ、左上に銀色に光るハーケンが見えた。サクッとつかませてもらう(こらこら。

三股

Co670-685 直瀑[image/jpeg:147kB]
Co670-685 とても登れない

前回泊まった場所は荒れて天場れる状態ではなかった。左股直登沢出合付近に刈り払われて整備された天場があったので、そこを天場にする。とりあえず、右股のを偵察に行く。右岸から放物線を描いて落ちてきており、とても何とかなるレベルのものではなかった。周辺岩壁もかぶり気味で、とても取り付けそうもなく、左岸ルンゼも猛烈に悪そうだ。これは、左股直登の出合から大きく高巻かなければならなそうだ。少々憂鬱な気分になって天場に戻る。

天場は薪が豊富だ。焚き火をするスペースは狭いが、大きな焚き火にする。明日の遡行に向けて不安ばかりが募る。

2007年09月14日(金)

2007-09-14 ピリカヌプリ南東面直登沢右股
タイムレコード
時刻天候場所行動
04:40起床
05:45出発
06:30Co740 二股
07:40Co960 二股
08:35Co1150 二股
09:30Co1420
10:25ピリカヌプリ
12:55ヌビナイ川右股上二股
15:00下流部河原
16:20昭徳右岸林道終点下山

ピリカヌプリ南東面直登沢右股

はじめの大滝

昨日の偵察通り、はじめのは左股出合から尾根に取り付いて高巻くことにする。ある程度尾根を直上したら、右股の側壁の斜面をトラバースする。下はもの凄い崖だが、こういう時は高く登りすぎないことが重要である。人の通った気配はないが、わりと獣道はしっかりとしている。朝一でのラッペルを覚悟していたが、意外とすんなりとの上に出た(Co670-685 直瀑)。滝の上はすぐに狭いゴルジュだが、難しいものはない。小滝を適当に通過していく(Co685-700)。

ゴルジュ

Co700 直瀑[image/jpeg:150kB]
Co700 右岸バンドをトラバース
Co710 函滝[image/jpeg:151kB]
Co710 ここは戻って高巻く
Co730 直瀑[image/jpeg:150kB]
Co730 左岸カンテ状を登る

次の直瀑右岸側壁のバンドトラバースして落ち口に抜けた(Co700 直瀑)。この先は曲がりくねったゴルジュとなって、中には直登不能なツルツルの函滝が出てきた。左岸側壁を登れないかと取り付いたが、上の方が悪くあきらめて一端クライムダウンする。しかし、下の方のホールドがツルツルで、下れず、少し飛び降りた。ゴルジュの入り口まで戻って、左岸からテラスに上がって高巻いた。更にゴルジュ状が続くが、泳ぎもなく適当に腰まで水に浸かりながら通過していく(Co710-730 ゴルジュ)。右屈曲点のは左岸カンテを登って通過した(Co730 直瀑)。


Co740 ゴルジュ[image/jpeg:151kB]
Co740 ゴルジュが続く
Co750 樋滝[image/jpeg:150kB]
Co750 ツルツルの樋滝

一端ガレ気味の河原となって、左に曲がり再びゴルジュ状となる。はじめの小滝はツルツルで取り付けそうにないので、右岸を小さく高巻く(Co740 小)。続くは右岸をへつってから直登した。樋状の滝は右岸カンテを登ってテラスに出た(Co750 樋滝)。ここまでまとめて巻いても良いだろう。


Co760 二股[image/jpeg:149kB]
Co760 右岸から落ちてくるのが本流
Co770 函[image/jpeg:149kB]
Co770 ガレの先に大きな滝が見える

はやや右に曲がり、正面に Co760 二股が見える。左岸には小さいが、快適に天張れそうなスペースがある。正面が右股の悪そうなで、二段目が右に屈曲して落ちている。本流は右岸から小さなとなって合流している。これを含めて小滝を二つ登ると、ガレの転がる広いとなって、突き当たりには大きな滝が見える。

二つ目の大滝

Co770-790 大滝[image/jpeg:150kB]
Co770-790 登れそうだがやっぱり無理

このはわりと傾斜が緩く、ピンを打っていけば何とかなりそうな気もするが、途中には間違いなくはまりそうな部分がある。ここは少し戻って右岸の側壁に取り付いてバンドに沿ってトラバースしていく。落ち口付近に向けてトラバースしようと思ったが、思ったよりも悪く少しずつ高いところに追いやられる。の手前の岩場カンテ状を回り込めず、ルンゼ状を登るのがちょっと悪い。この上に出ると、先には断崖に囲まれて、更に大きくて悪そうな多段の滝が見える。まとめて巻きたいところだが、崖とルンゼに阻まれてそうもいかない。ちゃんと突破出来るラインが見つかるかどうかわからないが、とりあえず一端に降りるしかないだろう。しかし、滝の上も岸は立っており、植生も少なく降りられそうなところがなかなか見つからない。小さなルンゼ状を、怪しげな細い灌木にぶら下がりながら沢に降りたが、ラッペルした方がいいだろう(Co770-790 大滝)。


Co800-820 三段[image/jpeg:149kB]
Co800-820 右岸のルンゼを詰める

次のの周囲は高い壁に囲まれて、全て高巻くとなると、相当のアルバイトになりそうだ。何とかならないものかととりあえずに近づいてみる。状態は悪そうだが、とりあえず右岸の壁に取り付けそうだ。バンドに沿って落ち口に抜けられないかと思ったが、実際に取り付いてみると、やはり難しそうだ。左にトラバースしてルンゼ状をもう少し詰めて高巻いた(Co800-820 三段)。

と絶望的な巨大な

Co850-900 函[image/jpeg:148kB]
Co890 深い函の先に巨大な滝が見える
Co900-920 樋滝二段[image/jpeg:150kB]
Co900-920 ここはとりあえず直登
Co960 連瀑[image/jpeg:150kB]
Co960 絶望的な光景

いくつか小滝を過ぎて左に曲がると、高い壁に囲まれた広いガレ場となる。少し進むと正面には遙か上方から落ちてくる巨大なが望まれる。これはかなり絶望的な光景である。は一端狭くなり、樋状のが出てくる。これはシャワーを浴びながら直登していく(Co850-870 樋滝二段)。すると、左岸崩壊地となってガレがを埋めている。そして、その先は細い細い V 字の谷に悪そうなチョックストン直瀑、その先に極めつけの大滝があり、ますます絶望的な気持ちになる。手前のチョックストンや滝はなんとかなったとしても、その先にはどうなるかもわからない落差 100m 近い滝が待ちかまえている。この手の滝は下まで行ってみれば何とかなることもあるが、そこまでたどり着く意欲は全くわいてこない。


Co1000-1100 大滝[image/jpeg:151kB]
Co1000-1100 大滝の全貌

しょうがないので、覚悟を決めて一気に大滝の上まで高巻くことにする。まずは右岸ルンゼから取り付いて、すぐに中間尾根に移り、カンテの岩登りで高度を上げる。植生が出てきたらトラバースに移行する。いつものようにあまり高く上がりすぎないように、灌木帯をトラバースしていく。上も下も崖で、選択肢は少ないが意外と何とかなるものである。ひたすらトラバースしていくと、大の正面に出た。右股も悪い函沢となって合流している。かなり高く登ってきたが、大の終点はまだまだ上である。

壁を更に一段高いところまで木登りで登り、の側壁を斜めにトラバースしていく。そんなに悪くないように思えたが、さすがにそう簡単ではなかった。植生はだんだん貧相な草付きになり、足下は垂直の壁だ。何とかごまかしながら右岸の側壁の上に出た。ここからルンゼ状を登る。そんなに難しくないが、この高度でやるのは心臓に悪い。ルンゼの上には不安定な浮き石が溜まっていて嫌らしいので少し蹴り落としたら、下の方でもの凄い轟音を立てながら砕け散った。カンテを越えて滝の上のルンゼに出るが、急傾斜でには降りられない。ルンゼとの間の鋭い尾根を越えて灌木をつかみながら沢に降りた。

更に続く滑滝を登って次のの前で休憩にする。どうしたってこれで核心は抜けただろう。

ようやく快適な登り

Co1160 直瀑[image/jpeg:149kB]
Co1160 見た目よりは難しい
Co1180-1200 樋滝[image/jpeg:147kB]
Co1180-1200 チョック下を通るのが難しい

呼吸を整えてに取り付く。簡単そうに見えたこの左岸から落ち口に抜けようとしたが、意外と悪い。そのままフェイスを直上した(Co1160 直瀑)。次にはチョックストンを伴った樋滝が出てきた。樋状をシャワーを浴びながらのぼり、チョックの右下を通るが、ザックが引っかかってじゃまくさい。微妙なホールドに体を押しつけながら通過した(Co1180-1200 樋滝)。


Co1250 滝[image/jpeg:149kB]
Co1250 ここからは爽やかな滝登り

いくつかガレを越えて Co1250 二股となる。ここも地形図上ではもの凄い傾斜だが、階段状の簡単なで一気に高度を上げる。小滝群を越えて、地形図通りにを詰め最後に細くて急傾斜のルンゼを詰めると、左手の尾根に出た。尾根上はシカ道が発達している。東尾根に出ると更に明瞭な道となって難なくピークに立った。

ピリカヌプリ

カムイ岳・ソエマツ岳[image/jpeg:152kB]
北の山脈を望む

やや風があるが、ピリカヌプリでこれだけ爽やかに晴れるのは初めてだ。もう五度目のピークとなるが、新鮮な気持ちで周辺の景色が見られる。標高も緯度も低いので、紅葉はエサオマンほど進んでいない。完熟したコケモモをほおばりながら、しばし横になってラジオで気象情報を聞く。

ヌビナイ川右股

Co830[image/jpeg:149kB]
Co830 いつもより遙かに水量が多い

いつものようにヌビナイ川右股に下る。踏み跡は相変わらず明瞭。と言うか、以前より明瞭になっているような気がする。 Co1300 の右岸からわき出す伏流水は相変わらずうまい。淡々と下り上二股に到着した。予定ではここに泊まる予定だが、まだまだ時間は早い。意外と体もぴんぴんしていて、まだ動けるだろうか。明日以降天気は崩れそうだし、天場周辺に薪も少なそうである。平日だから誰も来ないだろうし、やっぱり一気に下ってしまおうか。


七ツ釜[image/jpeg:150kB]
七ツ釜の全貌

水量も多いし、あまり時間もないのでは飛び込まず淡々と下る。九月にしては暖かくて、水に浸かるには申し分ない気温なのでちょっともったいないけど、もう一人で釜に飛び込んで喜んでられるような年齢ではないのだ。七ツ釜を下ると、大阪から来たという四人組とすれ違った。明日からは天気が悪いらしいけど、大丈夫なのかい。どうでもいいが、みんな真新しいモンベルの服を着ていた。もしかしてモンベル関係者かな?

今回は徹底して踏み跡を利用していく。このゴルジュ帯を通るのは五度目になるが、今まで全く気が付かなかったような踏み跡まであってちょっとびっくりする。そして、ヌビナイ川右股下りの最大の核心は実はゴルジュを抜けた後の河原歩きだったりする。河原歩きを始めたとたんに足は棒になって、ザックが肩に食い込み始めるのはなぜだろう。へとへとになりつつも、河原に出て一時間半で車に到着した。

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