- 目的
- 夏合宿 伊佐内川遡行
- 日程
- 1991年07月26日(金) - 27日(土)
- 山域
- 積丹山塊
今回は、裏沢以外では初めての沢である。この山行は、良くも悪くも私のこの後の沢人生を決定づけるものであったかもしれない。
行程
メンバー
1991年07月27日(土)
| 時刻 | 場所 | 行動 |
|---|---|---|
| 04:00 | 起床 | |
| 04:55 | 出発 | |
| 05:10 | 入渓 | |
| 05:45 | Co250 | |
| 07:00 | Co350 | |
| 08:25 | Co480 | |
| 09:15 | Co600 | |
| 11:30 | Co900 | |
| 14:00 | 積丹岳 | |
| 16:40 | 休憩所 | 下山 |
昨夜から降り続けた雨は朝方にはやみ、何とか行動できそうである。牧場から奥へ進み、沢にぶつかる。入渓すると、さすがに水量が多い。雨での増水もあり、裏沢のそれとは比べるべくもない。天候は優れず、気温も水温も低い。その上、ただでさえ足の速いリーダ2人に加え、今回はその2人を鍛え上げたワンゲル最速のかわはら師範が参加しており、新人の私はとてもこのハイペースについていけない。
Co480(当時の記録。Co420ではないだろうか)にある滝で、気分を一新しようとシャワークライムをする。しかし、この気温。余計に体力を消耗する。沢の水量はますます増し、軽く歩けるであろう滑も、勢いよく流れている。
Co650を過ぎて、4段の連瀑となるが、みな疲労し、先を急ぐあまり、新人である私への注意が薄くなる。4段目の滝の上部はつるつるした滑になっており、一気に滝の落ち口へと続いている。滑の上は増水で勢いよく流れており、四つん這いで踏ん張りながらいく。しかし、今であればとうてい滑るはずはないが、当時はまだまだフェルトのフリクションの使い方など知らぬヒヨっ子。一瞬、強い流れに足を取られてしまう。そうなったらもう、滝壺まで止める物は何もない。私は仰向けになって滝上の滑り台を滑り始めた。と、そこにちょうど滝を登ってきたリーダー、レインマスターよねばやしさんが待ちかまえていた。よねばやしさんは何とか私を止めようと手を差しのばすが、そのまま巻き込まれてもろとも滝壺へとたたきつけられた。
・・・一瞬目の前が真っ白になったあと、滝壺の上に私の頭が浮き上がった。よねばやしさんが私をつかみながら、岸に上がる。ガンダムの塗装が施されたヘルメットは既に私の頭には着いてなかった。滝壺の中に飲み込まれてしまって浮き上がってこない。手のひらに小さな切り傷があった。
たいした怪我もないのでそのままピークを目指すが、精神的ダメージと、冷え切った体でペースはあがらない。いわゆる能面化を起こしていた私を見て、リーダーが源頭付近でツェルトだし、紅茶を沸かしてくれる。何とか気を取り直して、一息にピークを目指す。ガスガスで何も見えないが、お花畑を気持ちよく抜け、登山道へと出る。
普通なら、これだけの衝撃(滝から落ちるという)を受けたならば、沢が嫌いになってしまうそうであるが、この経験から私が得た結論は、「滝から落ちても死なない」であった。それ以来、私は下りに滝壺があれば飛び込むことにしている・・・