- 目的
- ポンネアンチシ山~積丹岳縦走
- 日程
- 2016年12月27日(火) - 30日(金)
- 山域
- 積丹山塊
恒例のOB会に合わせておやぶんが来道するので、どこかに行くことにした。本当は日高の縦走を考えていたが、やや日程が足りないので、積丹の縦走をすることにした。おやぶんは積丹では余別岳以外のピークを踏んだことがない。心配なのは、この時期の積丹は当然冬型の風に叩かれるので、まともに行動できるかどうかだ。
行程
メンバー
- ふ~ちゃん
- おやぶん
装備
- カミナドーム2(おやぶん)
- スノーフライ
2016年12月27日(火)
いつものように千歳空港でおやぶんをピックアップする。下山後はそのままOB会へと向かうので、家に有ったビールを預けるために一旦サイガの家に寄ってから積丹へと向かう。
札幌市内の路面状況が破滅的と聞いて石狩方面へ大きく迂回していくが、それでもかなりの悪路。余談だが、段差で車がはねて、ダッシュボードにおいてある爪楊枝をぶちまけてデフロスターの中に入ってしまった。故障の心配はあまりないと言うことらしいが、心配なので何とかしたい。小樽へ抜けるとだんだん路面もまともになってきたが、疲れて眠くなってきたので、今日は積丹まで行くのを諦めて余市の道の駅で車中泊とする。以前の車では難しかったが、今度の車ではおっさん二人が何とか足を伸ばして寝られるように出来る。
2016年12月28日(水)
朝起きると、ものすごい吹雪。一旦車に積もった雪を下ろして、トイレの中に荷物を運んで準備している合間にも車に雪はどんどん積もる。こんな雪で行動できるのか不安になりつつ現地へ向かうと、余市市街を抜けると雪は収まっていた。
美国から山へ向かうと、まだ除雪車が入っておらず新雪の路面だったが、何の支障も無く終点まで到着する。終点は広く除雪されているが、除雪車が来たときに邪魔にならないように少しでも脇に寄せようと路肩を掘っていると、地元のお兄ちゃんがやってきていろいろ聞かれた。モービル屋らしい。例の遭難救助裁判のこととか色々やっぱりアレらしい。
出発して林道をてくてく歩いていると、さっきの兄ちゃんがモービルに乗ってやってきて、道を作ってくれた。まあ、うーん、まあ、ね。
札幌周辺の豪雪とは異なり、こちらはあまり雪が多くない。我呂ノ沢は、完全には埋まっていなかったが、シカの踏跡のあるスノーブリッジを辿って通過。すぐに本流も渡って、しばらくは右岸の台地上を進む。尾根取付き手前の蛇行部分は、片岸ずつ崖になっていて進めないので、渡渉を繰り返して通過する。一度は通過後に水がしみてきたが何とかなった。この雪の量でも何とか目的の尾根取付きまでたどり着いたので、例年のこの時期なら問題なく通過できるだろう。
Co280 から尾根に取付く。細く急な藪尾根だ。藪と格闘しながら稜線を忠実に登ったが、途中までは左側からトラバースして登った方が良さそうだ。少し上がると、スキーではどうにも登れない斜面が有ったので、右からトラバースして行く。たいした斜面ではないのだが、数日前のレインクラストでシールが効かず難儀する。
稜線に復帰すると、尾根は広く、見通しもきくようになる。雲の中にうっすらと積丹岳の稜線も見えている。平坦な尾根をひたすらラッセルし、 Co800 付近でテン場とする。
ここなら風が吹いてもたいしたことはなさそうなので、ブロックを積まずテントを平張りする。天気は徐々に悪化し、周囲の風の音は止まず、夜中にはバラバラと雪が降り積もった。
2016年12月29日(木)
早めの起床をするが、テントには雪が積もり、周囲は吹雪で視界は無い。この低い台地でこの状況では、稜線上での視界は全く期待できない。しばし天気待ちとする。
2時間ほど待って少し風が収まってきたので出かけてみることにする。が、稜線が近づくにつれて視界は悪くなる。ポンネアンチシ山直下は右寄りの小さな岩場をスキーを外して直登し、稜線に出てを少し南によると岩のある頂上に出る。
風が強くて落ち着かないのでとっとと先に進む。東側には若干雪庇が出ているが、西側は広いので問題なし。急な所はだいたい西側を進む。
余別岳南西峰の手前で、垂直の雪壁と嫌らしい吹きだまりが現れ、風はますます強く視界はゼロ。上の状況は分からず、これ以上進むのは嫌らしい。見えないまま雪崩斜面に迷い込むのはイヤなので一旦手前のコルまで引き返す。
尾根陰でしばし考えるが、あの状況はどうしようもないので、ここで雪洞を掘ることにした。雪が少なくすぐに笹が出てきたが、何とか2人分の広さの雪洞が出来上がった。
2016年12月30日(金)
外に出ると相変わらずの視界不良。引き返しも考えたが、とりあえず昨日の雪壁まで行ってみることにする。すると、相変わらず視界は悪いものの、風は昨日よりはマシで、何とか上部の雪面の状況も分かったので先に進むことにする。
前衛峰に上がると、一瞬稜線も見え出す。しかし、正確な読図もする間もなく、すぐにホワイトアウト状態。前衛峰から余別岳へは思いの外まったりの登りで、まだ前衛から本峰までの稜線と思い込んでいたら、それと気づかず通過し、いつの間にか余別岳の北尾根に入り込んでいた。
すぐに本峰への登りにかかると思っていたら、いつまでもダラダラとした下りが続くので、おかしいな、と思って地図を見ていると、おやぶんがすかさずスマホGPSで現在地確認し、北尾根に居ることが分かる。イヤ、ズルするの早いから。よく見ると、コンパスのリングがいつの間にやらくるくると回転しており、いつの間にやら方向が狂っていたこともあって間違えてしまったようだ。やっぱり安物のコンパスではなく Silva のコンパスじゃないとダメね。
すぐに頂上近くまで登り返し、雪庇の切れ目からコルへの斜面へと下る。シールを外したい斜面だが、まだ先は長いのでがまん。コルでは視界は随分と開けてきたが、風は吹き抜けている。
登りにさしかかった小岩稜は南側をトラバースして行く。尾根陰は風もなく静かだ。すぐ下には気持ちの良さそうな台地がある。天張るならコルよりもこちらの台地の方が良さそう。一旦稜線に戻ってからは北側をトラバースして行く。
核心の岩峰は幸い視界も良く、しばし観察して北側斜面を平行にトラバースして行くことにする。南側も行けそうだが、そちらは稜線に復帰する所で雪庇が有りそうだ。北側は傾斜が急な部分も有るが、特に問題なし。大量の積雪後には雪崩の心配もありそうだが、基本的には季節風で叩かれているので、クラストしているのが常ではないか。
積丹岳も風は強い。シールを外し、東尾根を下る。途中のポコはやや北側を行けば登り返しもなく通過できる。ピリカ台から P826 へは迷走して、やや登山道沿いに降りてしまい、谷を越えたりしたが、ギリ P826 へ出られてセーフ。 P826 は目印になるほどの高さではないので注意が必要だ。下るときは滝の沢源頭部の際を見ながら下った方が間違いがなさそう。
滝の沢左岸尾根はなだらかだが雪質はまあまあ。下部は傾斜が出てくるが、雪が少なくブッシュが多いのが残念。 P349 は北側をトラバースして稜線上に戻る。途中でブル道が出てきたので、それを使って林道に降りて下山する。
雑感
積丹の縦走と言えば、積丹岳岩峰だが、正直あれは何とでもなりそう。この時期の積丹の縦走で問題となるのはやはり絶え間なく吹く風と、それに伴うホワイトアウトとまったりした地形の読図の難しさ、ドカ雪時のラッセルだろう。雪の落ち着く頃には、岩塔など通らずに、我呂ノ沢台地への大斜面への滑りを繰り返しながらのスキーツアーの方が楽しいだろう。