- 目的
- 夏合宿 ヒヤミズ沢遡行
- 日程
- 2014年08月16日(土) - 17日(日)
- 山域
- 狩場山塊
今回の一連の山行は、現役を狩場周辺のゴルジュ帯へ連れて行こうという物である。第二弾は須築への試金石とされる事が多い、ヒヤミズ沢日陰ノ淵である。私自身は21年前に遡行しているが、その時はゴルジュ帯だけを通って湯ノ沢に乗っ越しているため、上流部は遡行していない。今回は日陰ノ淵から山頂までともくろんだが、折からの天候不順で水量も多く、経験不足の現役を引き連れての遡行は厳しい物があった。
行程
メンバー
2014年08月16日(土)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
04:00 | 晴 | 起床 | |
06:40 | 大平川林道ゲート | 出発 | |
07:40 | 日陰ノ淵 | ||
08:25 | |||
10:45 | 湯ノ沢出合 | ||
11:40 | 乗っ越し沢出合 | ||
13:20 | コル | ||
14:15 | ヒヤミズ沢 | C1 |
前日の夜からかんちゃんと Facebook で連絡を取り、大平川河口で合流する。ひとまず私の車を泊川のゲートに残置し、かんちゃんの車で大平川の林道を遡る。
巨大な砂防ダムを横目に橋を渡って少し行くと、ゲートがある。このゲートは溶接されており開くことはない。
大平川
脇に車を駐めて、そこから沢に下る。いきなり腰まで水に浸かる。水量は多めで、水は白く濁っている。
しばらく河原を渡渉を繰り返しながら進み、いよいよゴルジュ帯となる。時折胸まで浸かりながらへつっていくと程なく、ヒヤミズ沢の出合が滝となって落ちてくる。
日陰ノ淵
20年ぶりの日陰ノ淵はやはり水量が多いように感じる。実際に後に昔の写真や他の記録の写真を見比べてみると、相当多かったようだ。
セオリー通り右岸をトラバースして F1 を越えて日陰ノ淵に突入する。やはり水は白く濁っている。
まずはツジに正面突破を試みさせるが、もうちょっとというところであえなく押し流される。他のメンツも泳いでも前には進みそうにない。
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仕方がないので私が左岸をへつって少し進むと、右岸が流れが遅く、足が着きそうなのでジャンプして飛び込む。思惑通り足が着いて、第一関門を突破する。
二つ目の関門は右岸をへつっていき、ハングした左岸の下のツルツルの段差を越えなければならないが、水圧が強くて水流に足を掛けると吹き飛ばされる。水の流れる床に這いつくばって天井に挟まれながらほふく前進で越える。
後続も続こうとするが、この小さな段差をなかなか越えられない。その先も水流は白く泡立ち、 F2 の水量も多くて、この人たちをフォローするのはなかなか厳しい物がある。ロープで引っ張るにも水圧が強いので、しっかりしたアンカーを取らないといけないが、工作にはしばらくかかりそうだ。
あまりここで無理に時間を引き延ばしても、体力を消耗するだけである。水量が多いこともあって、今回は端から突破は期待していなかったので、頃合いを見計らって早々に撤退を決めた。
一気に淵を流され、 F1 を巻いて本流に戻った。
大平川本流
みんな冷え冷えになって日向の岩場にへたり込む。今日は天気が良くて良かった。
撤退と言っても、このまま帰るにはあまりにも早すぎるし、かといって場所を変えるには時間が遅すぎる。何とか日陰ノ淵を丸ごと巻けないかと周囲を観察するが、ちょっと厳しそうである。仕方がないので、このまま本流から湯ノ沢乗っ越し沢を越えてヒヤミズ沢の核心部をカットして、いきなり上部に出てしまおうという暴挙に出ることにした。
本流はずっと何もない河原。天気が良くてもこんだけ変化がないとさすがにつまらない。
途中、砂防ダムが出てきたので右岸から巻くと、林道跡が続いていたので、何となくそのまま道に上がってしまう。しかし、林道の本線はかなり上の方まで登らないと行けないようなので、考え無しにその先の小沢から本流に戻ろうとしたら、出合が滝になっていて、クライムダウンしようとするとタケウチが上から滑り落ちてきた。
幸い、途中で止まって怪我は無かった。滝はツルツルで、下も水はそこそこ深そうなので下まで落ちても大けがはしなかったと思うが、油断大敵である。だが、滝の下部はツルツルで、クライムダウンできそうにないので、結局登り返して、道を戻って砂防ダムの上部で本流に下る。とんだ時間のロスである。
湯ノ沢~乗っ越し沢
少し行くと、湯ノ沢出合となった。湯ノ沢に入ると、すぐに滝がある。登れるかと思ったが、岩が脆く浮いているようである。落石の危険が高そうなので、止めて本流まで戻ってから林道に上がることにした。
ヒヤミズ沢
出合すぐの釜滝を右岸から越えて、少し行くと左岸に少し平らなところがあったので、フキを刈り払って天場を開削する。薪はさほど多くないが、みんなでかき集めたらそこそこの焚き火になった。
2014年08月17日(日)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
04:00 | 曇 | 起床 | |
05:50 | 出発 | ||
06:25 | 雪渓 | ||
07:40 | 滝の上 | ||
11:20 | 霧 | 大平山 | |
11:45 | |||
14:00 | 登山口 | 下山 |
昨日の日陰ノ淵でどうやらカメラに水が入ったらしく、内部結露してしまった。
天場を出ると、ずっと沢はミニゴルジュの渓相だが、大きな淵も滝も無く、淡々と進む。このまますんなり何もなくピークに出るのかなと思っていたら、嫌らしい形の雪渓が出てきた。
周囲は高い壁で巻くことは出来ないので、下を行くしかない。ツジに1人ずつ走って通り過ぎるように指示をすると、ちんたらと歩いて行った。こいつ何考えてんの、死にたいのかね。
この雪渓の先の左岸には滝が落ちていていて、一瞬これが直登沢かと見まごうが、滝は壁から吹き出しており、その先には沢型は無くひたすら高い壁が続いていた。
本流は左に屈曲して三段の滝になっている。水量が多く、直登するには私はともかく、現役メンツは難しそうだ。
右岸の壁から巻けそうだが、こちらも現役には難しそうで、上に確保点も見えない。左岸のルンゼ状から巻くことにして、ツジに先に行かせるが、こちらも悪く、結果としては右岸から巻くのが正解だったかも知れない。
ルンゼを半分ほど行くと、ホールドが乏しく、タケウチには厳しそうになってきたので、とりあえずツジにロープを引かせて先に行かせる。とは言え、確保点がないのでツジはロープを引くだけである。
何とか上にたどり着いたツジにロープをフィックスさせる。後続はマッシャーでロープをたぐりながら登る。最後に私が行ってみると、思っていたよりも悪く、よくツジちゃん登り切ったねという感じだった。
沢へは 20m ラッペルで、三段の滝のもう一つ上の滝の上に出る。この滝は左岸から簡単に登り降りできそうだ。
すぐに Co590 二股となった。直登沢はほぼ涸れていた。
だんだんと霧も濃くなって、カメラの曇と相まってもはや何が写っているのか分からなくなってきた。
Co920 二股を右に入ると、上部が少しハングした滝が出てくる。ツジは少し手こずったが何とか登り切る。ツジはクライミングをしているだけあって、登攀力に関しては申し分ないが、やはりもうちょっと技術面の勉強をしてもらいたい。タケウチはツジに引っ張り上げてもらう。かんちゃんは自信無しげだったので、右岸から高巻かせる。沢に戻るのにロープが必要だった。
あとはたいした物は無く、適当に沢を詰めて、若干ヤブを漕いで登山道に出た。登山道では2人の人とすれ違ったが、どうやら登山道の整備の関係者らしい。
予定ではガロ沢に下るはずだったが、天気も悪いし、車回収まで歩かないと行けないし、時間的なことを考えて登山道を下ることにした。
登山道は急な岩場が多く、下手な沢よりも恐い。ある程度安全と思われるところまで下ったところで、現役をかんちゃんに任せて、私は車回収のために先に走ることにした。
途中でしれっとタモギタケなどを回収しつつ、登山口に到着して、ザックを置いておもむろに歩き出すと、工事の監視員のお兄ちゃんが声を掛けてくれ、何とも親切なことに車でゲートまで送ってくれた。
どうも、ここはさほど本格的な工事をしているわけではなく、登山口付近がたびたび崩れるので、そのために夜間は通行止めにして、昼間は監視員まで置いているとのこと。本当はゲートを閉めるほどのことでもないと思うと監視員さんも言っていた。
おかげで1時間走るのを省略でき、車を回収して登山口に戻ると、後続の3人も下山してきていた。無理矢理に持つと人を車に詰め込んで、かんちゃんの車を回収に向かった。
雑感
今回は、簡単な千走本流を経ただけで、急に難しい日陰ノ淵に挑むこととなった。端からそんなにうまいこと進むとは思っていなかったが、結果、湯ノ沢からの乗っ越しと言う暴挙に出る始末となった。ツジもタケウチも登攀力は十分と思うが、やはり経験不足もあるし、普段から一緒に登っていないとどの程度のところをクリアできるかなど、リーダーとして判断することの難しさを改めて感じた。今の現役は急に部員が増えて、一緒に登る機会も減っているようだが、日頃からのトレーニングや、コミュニケーションが大切だと改めて感じた。日頃からトレーニングをしろと口を酸っぱくして言っているのだが、何かと言い訳をつけて何もしない現役の現状に危惧を覚えている。