日高山脈中核の雪稜を行く

ふ~ちゃん
イベント名
一八三九峰~カムイエクウチカウシ山縦走
日時
2009年04月27日(月) - 05月01日(金)
場所
中日高

このところまったく山に行っていなかった。山に行く暇がなかったわけではなく、相変わらずの出不精で行きそびれていた。これまでのうっぷんを晴らすべく、ゴールデンウィークには少し気合いの入った山行に行こうと決めた。これまで日高山脈の多くの稜線を歩いてきたが、未だ線を引いていない部分がいくつかある。そのうちのひとつが、日高の雪稜の中でも難所とされる、一八三九峰南西稜と、カムエク南西稜だ。今回の計画はこの二つの難稜をつなぐ贅なものだが、他人の記録をろくに読まない私は、そのヤバさを正確に理解していなかった。はたして楽観主義者の私は、いつも現場で泣きを見るのだが、今無事にこうして記録を書いている。しかし、真の核心はそこではなかったのかも知れない・・・

行程

2009-04-27
静内ダム~道道静内中札内線旧コイボク林道)~東のダム~ベニカル沢左岸尾根 C1
2009-04-28
C1~シビチャリ山~一八三九峰南西稜 C2
2009-04-29
C2~一八三九峰ヤオロマップ岳コイカクシュサツナイ岳~七ノコル C3
2009-04-30
C3~一八二三峰カムイエクウチカウシ山カムエク南西稜 C4
2009-05-01
C4~コイボク林道~静内ダム 下山

5泊2停の予定。 C5 はカットして一気に下山した。

装備

衣類

2009年04月27日(月) 静内ダム~ベニカル沢左岸尾根

2009-04-27 静内ダム~ベニカル沢左岸尾根
タイムレコード
時刻天候場所行動
07:15静内ダム出発
08:00高見発電所分岐
11:40東の林道分岐自転車残置
12:50東のダム
14:00紅苅る左岸尾根 Co450C1

道道

静内ダムのゲートに到着すると、一台のクレーン車が、ゲートが開くのを待っていた。ゲートの出入りの邪魔にならないように車を駐車し、自転車をおろして出発の準備をする。自転車の前タイヤの空気が少なくなっていることに気づく。参ったな。先日整備したばかりで油断していたが、どこかに小さな穴でも開いてるのだろうか。久しぶりの山行なので、慎重に装備をそろえ、登山用の服装に着替える。その間、工事関係者と思われる車がゲートの前に並んでいく。

ゲートの下から自転車をくぐらせ、出発する。荷物が猛烈に重い。林道は、前日の雪で通行できるかどうかが心配だったが、道は少し濡れているくらいでまったく問題はない。道はダム湖に沿って、さほどのアップダウンもなく思ったよりは走りやすい。じきに先ほどの工事関係者が後から追い越していく。しんがりのクレーン車が通過する時に少し声を掛けられた。親切な人が乗せてくれないかと淡い期待をしていたが、工事現場はそれほど奥ではなく、自転車で1時間ほどの所で、朝礼をしていた。

高見ダムが近づくにつれてアップダウンが多くなる。高見発電所への分岐から道は大きな登りとなる。高見ダムへは一端下りとなる。相当無駄な登りが多いので、高見発電所分岐からは右へ向かって左岸を走った方がロスが少なく楽かも知れない。が、高見ダム堤体上は立ち入り禁止だ。目的地まではまだまだ遠いが、2ピッチ目で既に足がつりそうになってくる。しかも、重たい荷物が体重に加算され、サドルがお知りに食い込んで猛烈にいたい。ギョウジャニンニクが気になるが、既に葉は開いているし、往路で山菜を拾っている余裕はない。

高見ダムからはつづら折りの上り坂になる。気温も上がって、汗がしたたりはじめる。途中の小で水を飲む。雪解けの水が冷たくて美味しい。つづら折りの坂を上り終えると、般別大橋に向けて一気に下る。辺渓別大橋をすぎると道道規格の広い道となるが、タイヤの空気が少ないのと荷物が重たいせいか、スピードは上がらない。

高見林道分岐の少し手前に、道道のゲートがある。看板はあちら側を向いている。ということはここまでは道道で、ここから先は林道という扱いのようだ。道には所々で、昨日降った雪がかぶり始めた。足の疲労は限界に近づき、自転車を一漕ぎするたびにつりそうになる。わずかな登り勾配でも押すことが多くなり、目的地を目前にペースが上がらない。そんなへろへろの私を横目に北電車両が一台通過していった。

なんとかかんとか、東の林道の分岐に到着し、自転車を残置して準備していると、森林管理署の車両が一台通過していった。自転車を捨てて林道を進む。自転車を押すよりものんびりと歩く方がよほど楽だ。東の沢林道を進むと目の上に巨大な東の沢橋が掛かっているのが目に飛び込んでくる。この橋を初めて見た時はできたてのピカピカだったが、既に時は経ち、部分的にさびが浮き、ほころびも出始めている。

ベニカル沢左岸尾根

東のダムをすぎると、ルベツネ山の白い稜線が見え始める。よかった。今年の稜線はまだ白い。ベニカル沢をすぎて、適当に尾根に取り付く。少し藪漕ぎをすると、ブル道があるのでしばらく利用する。雲が流れ、雨とも雪とも言えないものがちらちらと落ち始める。ブル道は途中から下に向かっているようなので、一端尾根に上がると、反対側にもブル道がある。

Co700 コルまで何とかいけないかと思っていたが、ここに至るまでの疲労と、藪の多さのせいか思うように距離を稼げない。快適にブル道が使える程度に高度を上げ、何とか水が作れそうなほど雪のある所で幕営することにする。何とか水を作るが、不純物は多い。

2009年04月28日(火) シビチャリ山~一八三九峰南西稜

2009-04-28 シビチャリ山~一八三九峰南西稜
タイムレコード
時刻天候場所行動
03:00起床
04:00出発
05:55P933アイゼン着用
08:00Co1315
10:15シビチャリ山
12:10一八三九峰手前 Co1620 コルC2

シビチャリ山

久しぶりの山中泊の朝はかったるい。お湯を沸かして朝食をかき込む。最近の朝飯の流行は固形シリアルだ。まだ暗いが、東の空は明るんでいる。ラテルネをつけて歩き始めるが、すぐに必要なくなった。

P741 までは藪尾根が続く。部分的にサイドのブル道を使うが、稜線上を歩いても大差はなさそうだ。頂上付近は雪に覆われていて、コルまでは一気に通過する。 P933 への登りは南斜面で再び藪が多く出ているが、何とか雪をつないでさほどの藪漕ぎもなくいける。だんだんと稜線が細くなり、雪が硬いのでアイゼンを履くことにした。東にはルベツネ山ペテガリ岳の稜線が見えてくる。 P1370 への登りは一部岩稜のように見える。

Co950 から P1121 へは稜線が細く、雪が落ちて一部藪が露出していた。アイゼンで藪を踏みながら進む。 Co1200 を越えると、やはり岩稜となっていた。左右ともに急斜面で左は藪、右は雪面だ。雪の状態によっては右の斜面を直登しても良いかも知れないが、ここは稜線上を岩登りだ。特に難しくはないが、アイゼンの爪が岩にこすれてカシカシ言うのが気になる。南には神威岳とその北西ルンゼが見える。

岩稜をすぎるとわりと穏やかな雪稜となって、順調に進む。シビチャリ山が近づくにつれて日が高く、気温も上がってくる。肩を過ぎるとようやく一八三九峰の姿が見えてきた。こちら側から見る一八三九峰は他の方向から見る一八三九峰ほど鋭さが無く、意外ともっさりしている。シビチャリ山はどうでもいい山だ。広い台地上で周辺はよい天場となる。今日の予定天場はここだが、まだ時間があるのでぎりぎりまで一八三九峰まで近づくことにする。

ベニカル山

ベニカル山[image/jpeg:69kB]
立派な無名峰

シビチャリ山と比べ、 P1742 は立派な山だ。近くに一八三九峰がなければ単独でめざしても十分価値のある山だろう。無名なのは可哀相なので、仮にベニカル山と呼びたい。ベニカル山へは東側に雪庇が発達している。雪庇の下はばっさりと切れ落ちたカール壁で、踏み外せばカールへと真っ逆様だ。左はダケカンバがややうるさいが、右に近づきすぎないように注意する。

ベニカル山が近づくと、空には雲が多い、雪がちらつき始めた。ピークでは吹雪になるかと思われたが、速い雲の切れ間に青空と展望が得られた。雲の切れ間に見えるカムエクが遙か彼方に思える。ベニカル山の下りでは一部バックステップで下る。久しぶりのバックステップで緊張する。

稜線は細く、そうそう快適な天場は得られない。おそらく唯一幕営可能であろう Co1620 コルに幕営することにしたが、風が強いので雪洞を掘ることにした。しかし、雪面にノコとスコップを突きつけてもまるで歯が立たない。表面の数センチを除いてはガチガチの氷となっていた。小一時間ほど何とか掘れないかと格闘したが、力つきて泣く泣くテントを立てることにした。

テントを立てるにしても容易ではない。風が強いのでブロックを積まざるを得ない。これもへとへとの体にむち打って小一時間ほど掛けてようやく二段分のブロックを掘り出し、風上にだけブロックを積みあげた。

2009年04月29日(水) 一八三九峰コイカクシュサツナイ岳

2009-04-29 一八三九峰~コイカクシュサツナイ岳
タイムレコード
時刻天候場所行動
02:00快晴起床
03:35出発
04:35一八三九峰
07:55ヤオロの窓
08:55コイカクシュサツナイ岳ケルン
10:00コイカクシュサツナイ岳北西コル
12:10一八二三峰手前 Co1570C3

一八三九峰

今日はやや早く起きる。テントから外を除くと、満天の星空だ。月明かりがないのでやや心細いが、暗い中、ラテルネをつけて出発する。一八三九峰手前のポコは細い岩稜となっているが、特に大きな問題はなく通過する。アイゼンを利かせて一八三九峰への急斜面を登る。ピーク直下は少々ハイマツのブッシュが出ていたが、雪の着いている所をつないでいける。心配していたようなハイマツ漕ぎはなかった。ピークを目前にして、周囲の山がピンク色に染まり始めた。すんでの所でピークでの日の出に出遅れてしまったようだ。

ヤオロマップ岳[image/jpeg:136kB]
朝焼けのヤオロマップ岳

一八三九峰のピークに立つとともに、まぶしく輝く太陽が目の中に飛び込んできた。空には雲ひとつ無く、周囲の山がまばゆく輝いている。ふと後を振り返ると、一八三九峰の陰が鋭い二等辺三角形となって海まで延びている。いつまでもこの景色を楽しんでいたい所だが、今日はまだ始まったばかりで、そうそうのんびりもしていられない。はるか一八二三峰をめざして先を急ぐことにする。

一八三九峰の下りは夏でも慎重を期せられる。ただでさえ怖い稜線が、雪が着いたら怖いのは当たり前だ。足下はまっすぐサッシビチャリ川の谷底に落ちている。バックステップを交えて慎重に下る。一八三九峰は南西稜より、ヤオロマップ岳への稜線の方がよっぽど怖い。途中、藪にアイゼンが引っかかっ、て無理矢理足を抜いたら、アイゼンが外れた。きちんと調整されていなかったようだ。ちょっと焦ったが、大事にならなくて良かった。ヤオロマップ岳との最低コルまでは泣きそうな細い稜線が続いた。

ヤオロマップ岳コイカクシュサツナイ岳

ヤオロマップ岳から先は広い稜線にアイゼンを利かせてサクサクと進む予定だったが、意外と雪が深い。雪が腐ってきたわけではなく、最近降り積もった雪のようだ。ゴールデンウィークの稜線の感じではない。支稜線を歩いている間はさほど気にならなかったが、主稜線では先日の雪の影響がもろに出ているようだ。ヤオロの窓にはやはり大きな雪庇が掛かり蓋となっていた。一見広い台地に見えるので、悪天時には要注意だ。

ヤオロの窓をすぎてからワカンに変える。夏場のコイカクシュサツナイ岳への登りはハイマツが鬱陶しいが、この時期は雪に埋められて快適だ。起伏のないコイカクシュサツナイ岳の頂稜部をアッという間に通り過ぎる。今日は本当にこの上ないほどの抜群の天気だが、何故か風が強い。おかげで行動中は言い具合に体が冷えて汗だくになることがないが、落ち着いて休憩ができない。コイカクの背は再びアイゼンに換えて下る。全山縦走した時はほとんど雪が着いておらず、岩が露出していたが、今回ははるかに雪が多い印象だ。

天場

今日の予定天場コイカクを下った最低コルだったが、まだ少し時間が早いので先に進めることにする。 P1643 をすぎると所々に大きな雪庇が掛かっている。七ノの最低コルはもろに風が吹き抜けている。明日のことも考えて、もう少し先に天場を進めようかとも思ったが、一八二三峰を越えて次の天場適地へは2ピッチか、3ピッチか。翌日のためにはここらで体力を温存しているのが妥当か。少しだけ高度を上げるとコルよりは風が弱いので天張ることとする。

昨日より雪が深いので少し高めにブロックを積んでテントを張る。30cm位は新雪でブロックが積みやすいが、その下はやはりカチカチだ。ふとスパッツを見ると擦り切れて破けている。このスパッツもだいぶ使ったのでそろそろ寿命だったか。今日はアイゼンが二階も外れてしまったので、明日に備えて調整しておく。

2009年04月30日(木) 一八二三峰カムイエクウチカウシ山

2009-04-30 一八二三峰~カムイエクウチカウシ山
タイムレコード
時刻天候場所行動
02:00起床
03:10快晴出発
04:15一八二三峰
06:30Co1602 コル
07:40P1807
10:55カムイエクウチカウシ山
13:50P1821
14:25Co1560 コルC4

一八二三峰

朝からなんだか風が強い。空は昨日より霞が掛かっている感じだ。時折突風にあおられながら一八二三峰をめざす。天気予報ではここ数日は天候は安定しているとのことだったので、風もじきに収まるだろうと思っていたが、この日は最後までこの風に悩まされることとなる。一八二三峰のピークに出ると、更に強い突風にあおられ、台風姿勢を取る。とても落ち着いて展望を楽しむどころではない。

一八二三峰からコルまでは長い緩やかな下りをサクサクと下れるかと思っていたが、予定よりも遙かに雪が深く、しかも猛烈な風にあおられて頻繁に歩みが止まる。試しにワカンに変えてみても、所々硬い所があってままならない。コル近くになってからツボ足にする。ピラミッド峰までは時間を稼ぐはずだったが、殺人的な風に耐えながらの歩行は休み休みとなり、予定より時間が掛かる。

十勝側はばっさりと切れ落ち、雪庇が出ている。 P1807 への登りの稜線は雪が少なく、踏み後が露出している。ピラミッド峰へは風向きの関係だろう、やや風が落ち着く。それにしても、カムエク南西稜はもの凄く細く見える。本当にあんな所を通過できるのだろうか。

カムイエクウチカウシ山

カムエクからのパノラマ[image/jpeg:443kB]
カムイエクウチカウシ山より

ようやく六時間行動で八ノコルに到着した。時間が押していれば天張っても良いと思っていたが、さすがにまだ時間は早い。ここから南西稜を越えるのは至難だが、あまりにも時間が早いので、風のない天場を求めて先に進めることにする。

ワカンをつけてカムエクアタックに掛かる。細くなっている所も踏み後が出ていて問題ない。カムエクのピークの東側はブロックを積めば天張れそうだ。最後までワカンをつけたままピークに到着した。360度の展望に恵まれるが、風が弱ければもっと気持ちがいいだろう。

カムエク南西稜

カムエク南西稜[image/jpeg:144kB]
カムエク南西稜の核心部

いよいよカムエク南西稜に突入する。下りはじめはワカンのままでも大丈夫だ。少し細くなった所でツボ足にする。雪が腐ってきているのであえてアイゼンはつけない。途中には小さなテントなら張れる所もあるが、当然狭いので泊まる気にはなれない。

稜線は一気に細くなり、両側がすっぱりと落ちている。超細くて泣きそうだ。一八三九峰の南西稜などは目ではないほど細い。きっと、往路と復路が逆だったならカムエクを踏むことなく帰っていただろう。しかし、日程を消火してここまで来てしまうと、今更エスケープするわけには行かない。エスケープするにしたって、札内側に降りるしかない。

足幅リッヂを風の強い中歩くのは冷や汗が出る。しっかりとキックを踏まないと、腐った雪がズルズルと崩れる。あまりにも細い所は稜線をまたいで進んでみるが、これでは埒があかない。

Co1790 からの登りが最大の核心部だ。垂直に近いナイフリッヂとなっている。ツボ足では難しそうなのでとりあえずアイゼンをつける。少し登ってからサイドから巻けないかどうか偵察してみるが、突き当たりは垂直のルンゼとなっていて無理だった。泣く泣くリッヂ上をよじ登る。ピッケルを深く突き刺し、露出したハイマツをつかみながらよじ登る。この核心を代ぼりきると、古い捨て縄が掛かっていた。そりゃ、下りはラッペルだよね。


カムエク南西稜[image/jpeg:247kB]
カムエク南西稜
カムエク南西稜より[image/jpeg:318kB]
歩いてきた道程

正直、こんな泣きそうな稜線は初めてだ。もちろんと雪稜では比べようがないが、!!!の沢ルート並に怖い。単独でなければ確実にロープがほしい所だ。この先も細いリッヂはまだまだ続く。歩くたびに足下の雪がざらざらと流れ落ちていく。以前、少佐がカムエクへ行きたいと言っていたので、そのときの下見をかねてと思っていたが、正直このルートは二度と来たくない。


P1821より[image/jpeg:56kB]
遠い道程を一望する

P1848 をすぎると、ようやく核心はすぎと思えるが、まだまだ細い。腐った雪がアイゼンについて怖いが、外すタイミングが難しい。稜線が広くなったかと思っても、断続的に細い所が出てきて最後まで気が抜けない。 P1821 の下りは急な細尾根だが、ブッシュが出ていてそれほどの危険はない。広いコルへめがけて一気に駆け下りる。


ヒグマの足跡[image/jpeg:77kB]
ヒグマの足跡がはっきりと

細い藪尾根をすぎて尾根が広がった所で、ヒグマの足跡がコイボクシュシビチャリ川からシュンベツ川へと横断していた。この晴天の中、これだけはっきりと足跡があるということは今日、ついさっき通り過ぎたに違いない。天場のすぐそばでちょっといやらしいが、大声を出して自分の存在を主張しておくしかない。

Co1560 コルは広くて平らだ。だが、思ったより風はある。でも、それまでに比べればそよ風程度といえる。長い一日を終えてできればブロックを積まずに天張りたかったが、一応、一段だけブロックを切り出す。だが、ブロックを積めたのは北側だけだ。明日は藪漕ぎなしですんなりと林道に出られるだろうか。靴がさすがに中まで濡れ始めた。

2009年05月01日(金) シカシナイ山~コイボク林道~静内ダム

2009-05-01 コイボク林道
タイムレコード
時刻天候場所行動
03:00起床
04:15出発
07:00清和橋
10:45東の林道分岐自転車回収
14:45静内ダム下山

シカシナイ山

シカシナイ山より[image/jpeg:32kB]
日高の稜線に別れを告げる

夜の間に風向きが変わったようだ。朝飯を食べていると、時折強い横風にあおられる。夜明けとともに出発する。始めはアイゼンとストックで進むが、思ったよりも稜線は細かったのですぐにピッケルに変える。過去のこの時期の記録ではこのあたりからブッシュが出始めているが、今回はまったくブッシュは出ていない。快調に雪面にアイゼンを利かせて進む。

シカシナイ山からは一気にそれまでの日高の稜線の雰囲気から里山の雰囲気となる。なだらかな稜線をスタスタと下る。アイゼンの爪が引っかかるのでツボ足に変える。しかし、グリセードできるほどの傾斜もなく、淡々と歩くのみだ。覚悟していた藪漕ぎは全くなく、アッという間に P1151 を通過した。

林道へは P685 へのなだらかルートを行くか、清和橋へ直接下るか少し迷ったが、稜線から見る限り、直接下りても何とかなりそうだ。グリセードで快適に下り始めるが、すぐにズボズボと埋まり始め、アッという間に急斜面の藪になった。このまま最後まで藪が続くのかと思ったが、運良くブル道に出る。ブル道はすぐに藪に消えていたが、雪に埋まった筋に出たのでそこを利用する。が、雪はグズグズでズボスボとトラップに嵌る。それでも大きな問題はなく、案外すんなりと清和橋に到着した。当初天場から5時間程度かかるかと思っていたが、3時間で到着した。

コイボク林道

雪解けの水で喉を潤す。橋の上で服装を換え、林道を歩く体勢にする。藪漕ぎで付いた泥を雪解け水で洗い流し、ジャケットをザックに詰め込む。両手をストックに持ち替え、重たくなった荷物を背負って林道を歩く。

千石トンネル[image/jpeg:121kB]
千石トンネル

少し行くと千石トンネルの上を通過する。脇からトンネルの入口に降りられそうなので、降りて中を覗く。トンネルはどこまで続いているのだろうか。時間があればトンネルの中を見学してみたいが、それはまた今度にする。炎天下の林道歩きだが、意外と風が冷たく、休憩すると体が冷える。

歩き始めから3時間強で自転車残置地点に到着した。既に両足はがたがたでふらふらの状態だが、ここまで来れば下山をめざす。

自転車

自転車での下りだが、思ったようにスピードが出ない。例の、空気不足に加え、そういえば、そもそもこの自転車は後のホイールがややゆがんでいてスピードが出にくいのだ。少し行くと、倒木処理をしていた。通過する時に「アポイの方にでも行ってきたのかい」とか的はずれなことを言うので、一応(一八三九峰とか言っても分からないだろうから)「ペテガリ方面からカムエク方面へ1周してきた」というと、ぽかんとした顔をしてた。分からないなら初めから聞くなボケ。

自転車に乗ってしまえば下りはアッという間だろうと思っていたが、そうはいかなかった。高見ダムを目前にして地獄の登り返しだ。強い日差しと風が体から水分を奪い取り、体力を奪う。途中の小でサングラスをはずして、顔を洗ったら底にサングラスを落としてきてしまった。超がっかりで精神的にも一気に疲労する。

登り勾配では自転車を漕ぐことができず、押すことが増える。高見ダムへつづら折りの道を一気に下る。高見ダムからは登りの少ない左岸へ移りたかったが、私には立ち入り禁止のゲートをくぐる度胸はなかった。再び登り返しが続く。だが、登りのある所はその分一気に下るだけまだましだった。本当にきつかったのは、最後の静内ダム湖周辺のあまり勾配のない道だった。後もう少しだと分かっているのに、淡々と自転車を漕いでもなかなか進まない。しかも、体力が限界になって、ほんのわずかな登り勾配でも自転車を漕ぐことができず、押して進まざるを得なくなってしまった。

自転車を押す脇を通過して行く北電も森林管理署も恨めしい。だんだんと意識ももうろうとしつつ、ようやく車を残置した静内ダムゲートに到着した。

下山

いつもなら、ザックの荷物をばらして、一通り片づけてから仮眠することはあるが、今回は本当に何もする気になれず、荷台を開けてそこに倒れ込む。しかし、そのまま底に倒れ込んでいてはますます体力が奪われそうなので、とにかくザックと自転車をそのまま荷台に放り込み、何とか着替えだけして運転席転がり込む。寒いのか暑いのかも分からない妙な震えが体を襲う。空腹なのか喉が渇いているのかも分からなくなっているが、水筒に余っていたわずかな水を口にし、車に転がっていたぽてちの袋を開けて口にかき込む。しょっぱいのか甘いのかもよく分からない。

気絶するように眠りにつき小一時間。まだ少しも売ろうとしているが、何とか動けそうだったのでゆっくりと車を走らせる。途中の商店の自販機でスポーツ飲料を入手。さらに二十間道路を通過して桜がまだ咲いていないことを確認しつつ、目名のセイコーマートでハンバーガーとチオビタドリンクを購入して帰路に付いた。チオビタドリンクの効果か?ようやく復活してきたようだ。

いずれにしても、今回の陰の核心は林道走りだったな。

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