クマノ沢~ピリカヌプリ~ヌビナイ川右股

ふ~ちゃん
目的
ピリカヌプリ南東面直登沢遡行
日程
2004年08月25日(水) - 27日(金)
山域
南日高

行程

2004-08-25
ヌビナイ川下二股~クマノ沢ピリカヌプリ直登沢三股 C1
2004-08-26
C1~ピリカヌプリ南東面直登沢ピリカヌプリヌビナイ川右股上二股 C2
2004-08-27
C2~ヌビナイ川下二股 下山

2004年08月25日(水) クマノ沢下流域遡行

タイムレコード
時刻天候場所行動
06:30苫小牧出発
11:05曇り林道終点
11:15出発
12:15Co460
13:20Co540
15:00曇りCo650C1

クマノ沢

本州から帰ってきて、なんだか体が重たくっていつの間にやら10日近くが経ってしまった。胎内川の遡行記録も書き終えたことだし、ここらで気合いを入れてに行っておかないと、今年の夏は終わってしまいそうだ。

林道終点に車を残置して出発する。やっぱりなんとなく体の切れが悪い。ザックを担ぐのが苦痛だ。は先月来たときよりも水量が多い印象だ。先日の台風の影響がまだ残っているのだろうか。今日は晴れの予報なのに空はなにやら重たい。ヤバいなと思っていると、出発してすぐにポツリポツリと降り始めてしまう。

Co480[image/jpeg:121kB]
Co480
Co490[image/jpeg:121kB]
Co490

ピリカヌプリ直登出合までは前回と同様。 Co510 のも泳いで通過した。増水のせいで多少前回よりも手強い印象があるが、前回とほぼ同じペースでピリカヌプリ直登沢出合に到着した。予定ではここで釣りをしていく予定だったが、天候もすぐれないし、出発の時間がやや遅くなったので今回は釣りを諦めて先を急ぐことにした。

クマノ沢ピリカヌプリ直登沢下部ゴルジュ

Co590小滝の続くゴルジュ[image/jpeg:172kB]
Co590小滝の続くゴルジュ
Co595魚止め[image/jpeg:151kB]
Co595魚止め
Co600樋滝[image/jpeg:147kB]
Co600樋滝

ピリカヌプリ直登沢出合から陰鬱な感じのゴルジュとなっている。小滝を容易に越えていくと、下部がハングした魚止めのとなる。左岸の段状の側壁を通過しようとするが、上部が立ち上がっていて進めない。少し戻ってから右岸の台地を高巻いた(Co595魚止め)。二股となってまたすぐに。急傾斜のツルツルの樋滝で取り付けない。左岸の支流の滝を登り、台地をトラバースして落ち口に出た(Co600樋滝)。

Co615[image/jpeg:139kB]
Co615
Co620 ツルツルの滑滝(奥)[image/jpeg:127kB]
Co620 ツルツルの滑滝(奥)

右岸にしたたり落ちるを見て右に曲がると、白い岩質の狭いゴルジュとなって小滝が連続する。中間付近の小はコトにツルツルで、 1m ほどの段差だが、微妙な傾斜の滑にホールドスタンスはほとんどなく、両岸も磨かれていてとっかかりがない。微妙なバランスとフリクションで突破しようとするが、あえなくスリップして思いっきり釜に沈してしまった。巻くしかないかと、左岸の壁を少し登ってみるが、スタンスの乏しい急傾斜の草付きの岩壁でそのままトラバースしていく気にはなれない。右岸は台地状になっていて楽そうだが、下部がハングしており取り付くことが出来ない。仕方なくもう一度直登に挑戦するが、どこを探してもホールドがなく、今にも滑り落ちそうになる。しかし、同じところで二度も落ちるわけにはいかないので、歯を食いしばり、わずかなマメホールドに全神経を集中させ、足は膝までついて意地でよじ登った(Co620滑)。

Co625函滝[image/jpeg:133kB]
Co625函滝
Co640滑滝二段[image/jpeg:141kB]
Co640滑滝二段

さらに長いの奥にツルツルのがかかっているが、今の通過でヘトヘトになってしまって挑戦する気になれない。右岸は肩の高さに台地があるが、やはり下部が被っていてホールドもなく、取り付けない。ザックを台地に上げてから空身で登る手もあったが、万が一スリップした場合、深い淵が待ちかまえているのでそれは避けたい。急斜面の左岸を慎重にトラバースして高巻いた(Co625函滝)。さらに暗いに長い淵が待ちかまえているが、全く泳ぐ気になれないので、右岸を高巻く(Co630)。やや開けた感じになり、右に曲がると突き当たりに2段のツルツルの滑滝が出てくる。右岸のカンテから越えようとするが、これがなかなか微妙で思い切りが突かない。ここまで予想外に苦戦し、かなり消耗してしまったため両手両足に力が入らない。このまま無理に突破するのは危険と判断し、少し戻って右岸のルンゼから台地に上がって高巻いた(Co640滑二段)。

クマノ沢ピリカヌプリ直登沢三股

狭いを一つ通過すると、 Co655 三股となる。左股出合右岸にわずかな河原があって、ようやくツェルトを建てる。数人のパーティで来るなら、それなりの開削が必要だろう。左股のの下にはガレと流木が転がっており、薪が豊富だ。

濡れて冷えた体を早く暖めようと、薪を集めて火をつけようとするが、先ほどの雨のせいか木が湿っていてなかなか火がつかない。そのうち体が震えてきてしまう。やむを得ずメタを投入する。それにしても、焚き火は何度やってもなかなかうまくならない。

2004年08月26日(木) ピリカヌプリ南東面直登沢遡行

タイムレコード
時刻天候気温場所行動
04:30快晴起床
05:409出発
07:00Co820
08:0012Co1030
09:00Co1230
10:00晴れCo1500
10:40曇りピリカヌプリ
11:45ヌビナイの泉Co1280
13:20ヌビナイ川上二股C2

ピリカヌプリ南東面直登沢

Co660[image/jpeg:113kB]
Co660
Co670-690釜滝三段[image/jpeg:124kB]
Co670-690釜滝三段
Co690釜[image/jpeg:136kB]
Co690釜

目指す南東面直登沢右岸からツルツルの段差になって出合う(Co655出合)。これを右岸から越え、2つほど滑の段差を過ぎるとを持った三段のとなる。一段目を左岸から直登し、二段目も同様に直登ラインを探るが、ツルツルでホールドが乏しい。右岸の釜側壁をトラバースし、落ち口に降りた。三段目は釜を泳いで取り付き直登した(Co670-690釜滝三段)。


Co720直瀑[image/jpeg:140kB]
Co720直瀑
Co730滑滝[image/jpeg:135kB]
Co730滑滝
Co740滑滝[image/jpeg:111kB]
Co740滑滝

小滝を過ぎ、左右に屈曲し少し開けた渓相の中にツルツルの直瀑が現れる。下部がハングして取り付けないので、左岸をサクッと高巻いた(Co720直瀑)。続くツルツルのは左岸のカンテを登った(Co730滑滝)。次の右岸のカンテから登ると、背後から太陽の日が差してきた(Co740滑滝)。


Co750出合[image/jpeg:171kB]
Co750出合
Co770-780直瀑[image/jpeg:124kB]
Co770-780直瀑

正面の明るく開けたガレ気味で主稜線に向かって突き上げており、ピリカヌプリに向かう直登沢左岸から直角に合流し、日があたらず真っ暗でいかにも険悪そうな深く狭い渓相だ。流木のつまった小滝を過ぎると、垂直の壁に囲まれた直瀑出合う。左岸の側壁を慎重にホールドを見極めながら斜めにトラバースして落ち口へと抜けた(Co770-780直瀑)。


Co790-830 側壁型直瀑[image/jpeg:143kB]
Co790-830 側壁型直瀑
Co830[image/jpeg:190kB]
Co830

このを超えると、両岸が数 10m の絶壁となった深いとなり、奥に右岸から大きなが落ちてくるのが見える。下部はわずかにハングし、取り付けない。しぶきをかぶりながら対岸の段差を登り、周辺を観察する。 30m の高さから落ちる水しぶきは細かな霧状となって漂い、周辺の気温を下げており、猛烈に寒い。この手の滝のセオリー通り、右手のルンゼを滝の高さまでつめてトラバースする作戦でガレのつまったルンゼへと向かうが、上へ向かうにつれて垂直に立ってきてホールドも乏しく悪い。このルンゼを登るのに更に巻きが必要な状況だ。ここはいったん諦めて戻り、もう一度よく観察する。水流のすぐ左岸が登れそうだが、取り付き部分がかぶり気味でなかなか手が出せない。こうなると右岸の垂直の壁を登るしかない。出来るだけ凹角を選んでわずかなテラスを結んでいくが、上部に行くにつれてホールドも乏しくなり、足下はほぼ垂直に 30m 下まで落ちている。緊張と寒さで全身が震え、手足に力が入らない。特に最後の数メートルは悪く、歯を食いしばって微妙な傾斜のわずかなテラスをフェルトのフリクションを信じてトラバースしてようやく灌木帯へと出た。そこから落ち口にトラバースすると、滝の上部は微妙な傾斜のツルツルの滑となっていた。直登した場合も上部はかなりルート選定に難儀しそうだ(Co790-830側壁型直瀑滑滝)。


Co830-840直瀑[image/jpeg:124kB]
Co830-840直瀑
Co840-880スラブ三段[image/jpeg:143kB]
Co840-880スラブ三段
Co840-880一段目上部[image/jpeg:183kB]
Co840-880一段目上部
Co840-880二・三段目[image/jpeg:157kB]
Co840-880二・三段目

すぐ上にもが続くが、全身に力が入らず、水を被って直登する気にはなれない。左岸の側壁をトラバースしての上に出た(Co830-840直瀑)。この先の角を曲がるとまだなにか現れそうだが、とりあえず日当たりのいいところで休憩をとる。しかし、気温が低く、ふるえは止まらない。このまま黙っていても体が冷えるばかりなので、呼吸を整えたところですぐに出発する。を右に曲がると、やはり大きな滝が空へ向かって突き上げていた。しかし、傾斜は緩く、先ほどの滝ほど威圧感はない。水流の左手を直登し、上部のハングしたところは右岸の草付きをつかいテラスへと上がり、トラバースして水流に戻り、右岸カンテを登って落ち口へ出た。さらにツルツル樋状の二段目が続き、登れないので右岸草付きのカンテを登り、三段目もツルツルで無理そうなのでそのまま灌木をつかんでトラバースし、落ち口へと出た(Co840-880スラブ三段)。


Co880-890[image/jpeg:122kB]
Co880-890
Co930[image/jpeg:168kB]
Co930
Co930-950滑滝[image/jpeg:206kB]
Co930-950滑滝

立て続けに3~4の直登していくと、またしても突き当たりに大きなが現れる。見た目は簡単そうな 20m の滑滝だ。右岸クラックの水流沿いに直登していくが、案外微妙だ。特に抜け口がツルツルでイヤらしかった(Co930-950滑滝)。


Co960[image/jpeg:160kB]
Co960
Co990-1010[image/jpeg:196kB]
Co990-1010
Co1020-1030チョックストン二段[image/jpeg:117kB]
Co1020-1030チョックストン二段

更にが連続して現れるが、それまでよりぐっと可愛く、核心を抜けたかと思いきや、またしても大きながあわれて気が抜けない(Co990-1010)。これを直登すると、狭いの中に 2m ほどのチョックストンが2つほどあり、ハングしていてなかなかしぶとい。ずぶ濡れになって水流を通過した(Co1020-1030チョックストン二段)。


Co1040-1060側壁型[image/jpeg:170kB]
Co1040-1060側壁型
Co1100スノーブリッヂ[image/jpeg:97kB]
Co1100スノーブリッヂ

この辺りからガレが目立ち、「北海道の山と谷」のグラビアページにあるが出てくるが、写真で見るよりもずっと可愛いくサクッと直登した(Co1040-1060側壁型)。沢は開けガレが埋めて今度こそ核心は抜けた感がある。突き当たりには雪渓の残骸があり、さらにぺらぺらに薄くなって今にも崩れ落ちそうなスノーブリッヂがかろうじて残っていた。


Co1120-1150溝状[image/jpeg:163kB]
Co1120-1150溝状
Co1160 ハング[image/jpeg:134kB]
Co1160 ハング
Co1160-1210上部[image/jpeg:177kB]
Co1160-1210上部

このスノーブリッヂを走り抜け、一つを登ると二股となり、左股は直瀑の上にチョックストンが乗り、目指す右股はチムニー状のになっている。これをチムニーで楽しみながら一気に直登する(Co1120-1150溝状)と、突き当たりが右岸から落ちてきて対岸にぶつかって流れる滝になる。右岸下部のハング下から水流を頭にあびながら、左岸のツルツルの壁にうつり、微妙なホールドを探して一段上がり、ハングの上からカンテ状を登り、上部の傾斜の緩い滑滝部分へと出た。あとは眺めのいい滑滝を快適に直登して行った(Co1160-1210ハング~滑滝)。


Co1220-1240滑滝[image/jpeg:168kB]
Co1220-1240滑滝
Co1260-1280直瀑[image/jpeg:180kB]
Co1260-1280直瀑

更に滑滝直登する(Co1220-1240滑)と、は大きく開け、正面に頂上が見えてくる。しかし、先にはまだしぶとそうな大きな直瀑が見える。最後の最後まで気が抜けないが、このはよく見ると細かなホールドが豊富で、右岸クラックから取り付き、水流を直登した。かつての裏沢2の沢の F3 のように岩を抱いてトラバースをして落ち口へ抜ける。微妙だが楽しい(Co1260-1280直瀑)。

あとは断続するガレ小滝を駆け上がるとやがて水は涸れては草付きの藪の中に消えていく。左に寄りながら低い灌木の藪を20分ほど漕ぐと主稜線に出た。5分ほどでピークだが、周囲はすっかり雲に覆われてしまった。雲間にソエマツ岳が見えるが、今日はもうすっきりとは晴れそうにもなかった。

ヌビナイ川右股

上部ガレ[image/jpeg:145kB]
上部ガレ
Co830[image/jpeg:187kB]
Co830

北面直登沢を下り、上二股に到着した。この夏もかなりの混雑だったのか、二股の中間尾根のガレの上が整地され、先月はなかった天場が二張り分ほど出来上がっていた。規定の天場にて C2 とする。それにしても焚き火跡にアルミの燃えかすが目立つ。ヌビナイのようなメジャーなに来るミーハーな沢初心者はモラルの面でも初心者が多いようだ。

2004年08月27日(金) ヌビナイ川右股下降

タイムレコード
時刻天候場所行動
06:00快晴起床
07:40出発
10:45林道終点下山
白いガレ[image/jpeg:149kB]
白いガレ

今日はヌビナイ川を泳ぎ下るだけなのでのんびりと起きる。空は雲ひとつ無いすばらしい青空だが、それ故に放射冷却でものすごく寒い。焚き火に火をつけ、体を暖めながらゆっくりと準備をする。今回は十分に時間があるので細かく遡行図を取りながら下っていく。前回は4ヶ所に大きな雪渓があったが、さすがに今回はかけらすら残っていない。

七ツは下から数えて4つめ6つ目7つ目の釜が岩石で埋められていた。は飛び込もうと思っていたが、まだ気温が低く寒いのでここは右岸巻き。黒い滑を過ぎて左岸を巻くが出てくるが、ここで釜に飛び込み、デジカメで動画を撮影しながら泳いで下った。水は刺すように冷たい。続く屈曲点の滝もウォータースライダーで流されて通過した。さらに右岸から滝が合流するゴルジュも頭に滝のしぶきをあびながら泳いで下った。


youtube:
Co580 淵を下る

次のも動画を撮影しながら下った。この時ポケットに入れておいたシャープペンシルを落としてしまった。噴流するはいつも通り右岸を巻き、次の滝は左岸の側壁をへつって下った。函滝をいつも通り右岸か巻き、S字の滝は水量が多くて滑る気にならないので、左岸を巻いて核心を終えた。

長い河原を歩き林道終点に到着した。

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