九助川は時々遡行記録を目にしていたが、支流の第二九助川の記録は見た事がない。しかし、地形図や某ツールで見るとなかなか面白そうで興味を引いた。
このルートは「新版 北海道の山と谷 1」に収録されています。
2016年07月16日(土)
先日の偵察通り、お寺の横から九助線に入っていく。新甫林道分岐を右へ進み、カーブ手前のゲートに自転車と靴を残置。引き返して分岐を左に行く。覆い被さるイタドリがウザい。やっとの事でたどり着いた九助第二号橋に車を残置して沢に降りる。
第二九助川
沢は苔むした岩の転がる爽やかな渓相。出発するとすぐに第二九助川の分岐となる。右へ進む。しばらくはすいすい進むが、沢が緩やかに右にカーブし始めると、灌木が覆い始めて歩きにくくなる。うーん。ウザい。
朝は爽やかに晴れていたが、だんだんと雲が湧いてきて稜線を隠してしまった。今シーズンが始まってから頂上で爽やかに晴れたためしがない。
Co500 前後の分岐は不明瞭。二股と中州を間違えてうっかり枝沢に入り込まないように注意が必要だ。
Co600 付近から灌木のウザさも無くなり、巨岩の中にぼちぼち滝らしきもの出てくる。適当に直登したり、脇の巨岩から越えていく。
Co700 から連瀑になる。一つ目は左岸に積み重なった巨岩を超える。左岸からは枝沢の滝が合流してくる。滑滝を通過し、突き当たりに見えた滝は左岸を直登する。ホールドは豊富で簡単だ。
沢が右に曲がっていくと、一つ目の地図記号の滝が落ちてくる。写真では分かりにくいが、中央に突き出たカンテ状から放物線を描いて落ちてくる美しい滝だ。
ホールドは豊富そうだが、苔むしているし、シャワー量が多すぎる。一瞬直登できるかなと思ったが、普通に左岸から高巻くことにした。実際には上の方はぬるっとしていて厳しそう。左岸のルンゼを詰め、滑滝状になった所からトラバースして滝の上に降りる。
S字クランクを抜け、沢が右に屈曲した所に出てくる滝は、おそらく右岸のテラスから巻けるのだろう。だが、右岸の水流沿いがいかにも登ってくれという感じの階段状。カッパを着込んで、気合いを入れて取付く。
階段状でホールドは豊富だが、上部で少し逡巡する。ガバを探しつつよじ登る。久々の窒息シャワーだった。
次に見えていた滝は、直登できるかなと思って見ていたが、近づいてみると下部が洞穴状にハングしていた。残念、これは取り付けない。左右バンド沿いも行けそうだが、面倒くさいので右岸を普通に巻いた。
そしてこの沢最大の30mの大滝。うん、これは登れない。左岸バンド沿いが簡単にトラバースできそうなので、左岸に上がる。実際には傾斜はきつく、無理そうなので更に草付きを滝の高さまで上がる。何とかトラバースできそうなので、草の中の足場を探しながらトラバースして行く。足元は切れ落ちているので、メンバーが多いとき、不慣れなときは上の灌木帯まで上がって大きく巻いた方が良いだろう。今までやってきたことを考えれば、多分たいしたことのないトラバースなのだろうが、最近こういうのがとても恐い。焼きが回ってきたもんだ。
滝の上はミニゴルジュ状。直角に屈曲すると、岩をノミで削ったような三段の函滝が出てくる。少し水に浸かるが難しくはない。
続くミニゴルジュを抜けると源頭の雰囲気で、苔むした岩の転がる日本庭園風になってきた。
Co1090 の頂上方面に向かう沢形はあるにはあったが、出合から笹に覆われていて入る気になれない。そのままコル方向のはっきりした沢形へ進む。しかしこちらもじきに笹に覆われ始め、トンネル状になる。
藪漕ぎ
這いつくばってトンネルを進み、突き当たりからいったん左に見えた源頭のお花畑に出る。
濃密な笹藪を漕ぎ、稜線に出るとこは濃密なハイマツの海だった。藪の薄いラインはないかと、稜線を横断してみたが、雲間に見えた稜線は何処までもハイマツだった(絶望。
ここから途切れることなくひたすらハイマツ漕ぎである。ハイマツたいそう第一~いっちに、いっちに。忍法・雲上松渡りで枝から枝を渡っていく。まあ、ざっと1時間ぐらいかななどと甘く見ていたが、2時間きっちり漕がされてヘトヘトである。普通の人なら3時間、いや、4〜5時間コースかな。
そうしてたどり着いた頂上は展望無し。三角点も見つからない。と言うか、探す気にもなれない。当初は下降はフモンナイ川左股の予定だったが、たどり着いた頂上から左股の降り口まではまたハイマツを戻らないと行けなさそう。もうハイマツはうんざりなので、右股目指してすぐ下に見える斜面を下る。
はじめは下りやすい薄い灌木の藪で、これは良いぞと思っていたが、何処までも沢形は出てこない。おやおや?と思っていると、そのうち笹藪に突入し、沢形らしき所に出たのは Co1050 辺りだったろうか。
フモンナイ川右股
沢に出ても水流は少ない。灌木の覆う巨岩の沢で歩きにくい。滑が出てきたかなと思ったら、一つ目の大滝登場。
クライムダウンできるかな、と思ったが下部が少し難しそう。左岸のブッシュより巻く。
再び灌木の覆うブタ沢。広くなって滑床となると、先の方が切れ落ちている。どうやら二つ目の大滝のようだ。落ち口を見に行こうとすると、ズルッと滑って肘を強打。草をつかんで止まったが、危うくそのまま放り出される所だった。
ツルツルの滑床は緩やかな弧を描きながらそのまま20mの滝となって落ちている。水量が多かったら流される人が続出するんじゃないか、この滝。
右岸草付きバンドから下れそうなのでトラバースして行く。思ったほどホールドは豊富ではなく、無理矢理草をつかみながら滑るようにして下った。
その先はひたすら灌木の覆う巨岩の連続。しかも長い。左股と合流しても、巨岩以外何も無い。ブタ沢という噂を聞いていたが、本当にブタ沢。もはやブタすぎてある意味希少価値すら感じてしまう。
やっとこさ Co290 二股に出て、右岸を這い上がると踏み跡が有る。踏跡を下の方に辿るが、林道が出てこない。思い直して上方向に登り返し、左の支流沿いに少し行くと、林道の看板が見えた。
林道
さらに林道を少し上がると自転車を残置したゲートがある。へたり込みつつ靴を履き替える間、ブヨがものすごい。着替えもあったが、既に夕方で気温も低く、寒い位なので沢の服のまま行くことにする。
自転車で一気に林道を下る。快適。分岐を曲がり、少し下ると登りに転じる。自転車はここに残置することも考えていたが、意外と登れる。一部舗装もあって、意外と走りやすく、時々押しつつそのまま自転車で進む。ただ、イタドリだけがウザい。
再び下りに転じるとあっという間。思ったほど時間もかからずに入渓地点へと戻った。
雑感
第二九助川は、そこそこ面白いが、下部がやや長く、頂上まで行くには稜線上のハイマツ漕ぎが余りにも苦痛だ。しかも、林道のイタドリで車が傷つくおまけ付き。源頭までの往復と言うことも考えられるが、そこまでして行く価値があるかというと疑問もある。フモンナイ川は聞きしに勝るブタ沢。ブタ沢ここにアリ。ザ・ブタ沢、である。いっそ、数時間にわたるハイマツと、道内屈指のブタ沢を体験する苦行として行ってみるべきコースなのかも知れない。