- 目的
- 冷水沢遡行
- 日程
- 2015年07月17日(金) - 19日(日)
- 山域
- 遊楽部山塊
現役にくっついて、長年行こう行こうと思っていてなかなか行かなかった冷水~浄瑠璃に行ってきた。このルートは、元々ツジリーダーの日高エキスパートチームの腕試しにどうかとアドバイスしたルートだったが、何故か新人を含めた全員同じルートに入ることになっており、大丈夫なのかと危惧したが、やはりあまり大丈夫ではなかった。近頃、現役のやる気が先走ってしまっているのが気になるところだ。
行程
- 2015-07-17
- 熊石キャンプ場 C0
- 2015-07-18
- 冷水林道〜冷水沢~冷水岳~浄瑠璃沢~冷水林道 下山~臼別温泉
- 2015-07-19
- 臼別温泉~平田内温泉~熊戻
メンバー
2015年07月18日(土)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
04:00 | 起床 | ||
05:45 | ☁ | 出発 | |
07:10 | 大滝下 | ||
08:00 | 大滝上 | ||
12:20 | Co970 二股 | ||
14:30 | 冷水岳 | ||
15:10 | 浄瑠璃沢源頭 | ||
16:40 | 門の滝の上 | ||
17:05 | 門の滝の下 | ||
18:00 | 大滝の上 | ||
18:45 | 大滝の下 | ||
19:10 | F1 の下 | ||
19:25 | 国道 | ||
20:30 | 自動車残置地点 | 下山 |
朝3時に目覚め、駐車場へ行ってみると後続のニシミヤ車で来た人達は何故か青天井で寝ていた。確か夜中にぱらっと雨が降ったと思うのだが、平気だったのだろうか。
今夜から明日にかけては雨の予報なのだが、平田内川往復のツジパーティが沢の中で泊まる気満々だったので、それとなく日帰りにした方が良いと説得し、ニシミヤ車にツジパーティ、私の車にニシミヤパーティが分譲してそれぞれの登山口へ出発する。
冷水林道は思ったよりも走りやすい。終点までもう少しの所で、何とか通行は出来そうだが少し崩れていたところがあったので、雨で通行出来なくなると困るのでその手前に車を駐める。
冷水沢
林道終点の土場から川に降りると、先週の北大の焚き火の跡があった。しばらくは単調な河原が続き、時々魚影を見る。この沢は下流域は保護水面だが、ダムより上流は釣り可能。
Co180 付近の始めのゴルジュは、タケウチが始めに突っ込む。特に滞りなくスイスイと上まで登っていった。ニシミヤも問題なく越える。最後にフクヤマが残り、上から写真を撮っていたら水圧に押されて落っこちた。
フクヤマは人工壁にけっこう通っているようだが、人工壁ではこういう樋状の登りはほとんど経験出来ない。こういう沢ならではのクライミングはやはり沢の経験を重ねていくしかない。
次の滝の間に小さなプールがあるのだが、タケウチが無意味に泳いでいた。若いってイイね。次の滝は特に問題なく通過する。次の樋状はニシミヤは中を直登、その他はカンテを登る。
Co300 付近につるりとした感じの釜滝が出現。どうしようかと思っていたら、ニシミヤがおもむろに左岸に取付く。見ているとやはりちょっと微妙そうなので、その他は右岸から高巻く。
大滝はさすがの大迫力。登れるはずもなくセオリー通り右岸のルンゼから巻きに入る。右岸のルンゼは二本並んでいるように付いており、左側をつめ、滝の高さあたりで二手に分かれるので右に進んでからすぐに右手の壁際をトラバースして、滝の上のルンゼに30mダブル1ピッチで懸垂する。
大滝の上にはゴルジュが続いている。小雨が降り始めたので、「行く?引き返す?」なんて冗談を言いつつも、気温が高いので雨もあまり気にならず突き進む。ゴルジュの中にはツルツル系の小滝が続く。私にとっては駆け上がれる滝も、みんな少し手こずっている。
Co440 二股を左に入ると、チョックストンの滝が行く手を阻む。私なら左岸を直登出来そうだが、他はロープで引き上げるにもちょっと苦労しそう。右岸の草付きを巻くにもちょっと状態が悪そうだ。少し戻って二股から左岸(中間尾根)を高巻いて、シングル1ピッチで滝の上に懸垂する。
Co550 の鍵状屈曲を過ぎると5m前後の小滝が続いている。ツルツル系で直登も高巻きも一筋縄ではいかない。
一つ目の滝は左岸の階段状を1人1人お尻を押し上げながら越える。
次はニシミヤが右岸を登ろうとしていたが、ツルツルで苦労しているので左岸のバンド沿いを直登。
Co600 付近の滝は右岸の草付きを巻くが、ちょっと状態が悪いのでタケウチになんとかロープを持ってこさせて、後続にはロープを垂らしてゴボウにするが、あまり意味が無かった。
Co640 付近の滝は私がドロドロの左岸を無理矢理よじ登り、後続は確保しながらゴボウ抜きにする。多分一雨来てザレを洗い流せばもうちょっと簡単になると思うのだが、沢の水はずっと濁っており、釜には砂が溜まっている。おそらくしばらくまとまった雨が降っておらず、上部に雪渓が残っているせいだろう。
Co670 三股には案の定泥だらけの雪渓が残っていた。水量は右の方が多いが、ピークを目指して左に進む。すぐに今にも崩れそうなスノーブリッヂがあるので、右岸の脇から越える。
この雪渓を越えると、ようやく水が綺麗になる。しかし、水流はすぐに涸れる。
Co970 で涸れた岩盤に出る。ここで左に進むのが正解かも知れないが、そのままピーク方向へ進んでしまう。沢形はずっと続くが、急傾斜の岩盤で、汚れているためにみんな苦労する。よく見ると、私が垂直に立てるところでも、みんな4点で這いつくばる姿勢となっているので余計に滑るのだろう。この辺りも経験の差だ。
Co1070 付近まで来ると、ドロドロズルズルの岩場が登れず、お助けでニシミヤとフクヤマを引き上げるが、タケウチは登り切れずバイルを出させて脇の泥壁を登らせる。ここから先は急な草付きとなって、かなりヤバくなる。特にタケウチは草付きが苦手のようで、かなり苦戦する。
何とか点在するウツギの木を頼りに登り切り、右の稜線上に出て一安心だ。
しかし、ピークに全員付いたのは既に14時半。日没下山が現実味を帯びてきた。休む間もなく下山を開始する。
浄瑠璃沢
浄瑠璃沢への下りはしばらく東の稜線を戻った方が良いと思うが、早めに北側の斜面に下ってしまい、余計な時間と体力を使ってしまった。
浄瑠璃沢の源頭に降りたところで、私のスピードが速すぎて後続が私を見失い、1本余計に尾根を藪漕いで、1本右の沢形に入ってしまったようで、一時はぐれてしまってちょっと焦った。
ここからはとにかく無心で下る。幸い下るのに苦労する滝はほとんど出てこない。浄瑠璃沢は基本ブタ沢という噂は本当だった。
Co600 でこの沢の唯一の見所、門の滝が出てくる。「山谷」の500mと言うのはあやまりであろう。残置はあるが、さび付いているので軟鉄を一本献上するが、焦っていて打ち込みに失敗してしまった。まあ、ボロくてもこれだけあれば何とかなるだろうと、ロープをセットして斜め懸垂。実際にロープが必要なのはカンテを越えて左岸のチムニーに入るまで。
どんどん暗くなってくるので、とにかく急ぐ。現役はさすがに疲弊しており、朦朧とし始めたタケウチが何でもないところでひっくり返って落っこちてちょっとびっくりしたが、幸い怪我は無かったようだ。本人もこれでちょっと目が覚めたようである。
日没迫る中、大滝の上に出る。この滝は30mダブルでは下れなさそう。計画段階ではここから中股に乗っ越す予定らしいので、とりあえず右岸から巻きに入る。
しかし、巻いている最中に尾根を乗っ越すのは厳しそうな雰囲気になってきたので、滝の下に出そうなルンゼからダブルワンピッチで懸垂する事にする。ロープをセットする間、余裕があるものにはラテルネを出させる。
こちらの大滝もなかなかの迫力だ。
とか言っている暇はないので、急いでロープを回収させて先へ進む。すぐに F1 の上に出て、すかさず右岸に捨て縄をして空中懸垂 5m で降りる。
無事に全員滝の下に降りて一安心。ここからはもう何もない。予約国道に出たときにはすっかり真っ暗になっていた。
しかし、道に出たところで終わりではない。車を回収しなければならない。ツジパーティは先に下山しているだろうともくろんで、ケータイを出すが、残念ながら電波は届かない。仕方が無いのでしばらく歩くことにする。
冷水林道入口に付く頃に、ようやくツジパーティに連絡が付くが、どうやら向こうも下山したばかりで、しかもメンバーのTOYOTAが脱臼してしまったらしく、病院に行くとか何とかでそれどころではなさそう。まあ、こちらも林道入口まで来たらすぐなので最後まで歩くことにする。
てな事で、やっとの事で車を回収。この日はキャンプ場のコテージで温々やるつもりが、キャンプ場に着いたのは21時。当然受付などやっているわけもなく、雨の中途方に暮れる。ロッジの軒下で装備を整理しながら考えた結果、臼別温泉に行って軒先を借りることにした。
長い1日だった。ちなみにツジパーティは新人TOYOTAの負傷もあって室蘭への帰路についたようである。
2015年07月19日(日)
予定ではツジパーティと入れ替わりで平田内沢に入るはずだったが、昨日の時点でもう誰もそんなつもりはない。日が高くなるまでうだうだとすごそう…と思っていたが、蚊がうるさくてみんな落ち着いて寝ても居られず起き出す。
とりあえず、コンビニが開く時間に温泉を後にし、昨日入れなかった平田内温泉に入りに行く。
この後の方針を話し合った結果、せたなで買い出しをした後、熊戻で釣りをすることにした。私は小屋で留守番をして、現役は谷に降りて釣りを楽しんで帰ってきた。
雑感
冷水沢は大滝の印象が大きいが、それ以外も小降りでピリリとした滝が多くてなかなか手応えがある。ただ、詰めの草付きはあまりにも悪いので、入り込まない方が良い。ただし、早めに左に入る過ぎると藪漕ぎに苦しめられて山頂にたどり着けないらしい。浄瑠璃沢は出だしの滝の高巻きと、門の滝以外は本当に何もなく、どうでも良い沢だ。
いずれにしても遊楽部山塊は今後も登山道の整備はされないらしく、どの沢を詰めても核心は山頂部の藪漕ぎと下山手段となりつつあり、今後登られることは少なくなっていきそうな気がする。