- 目的
- 神威岳~ピリカヌプリ縦走
- 日程
- 2015年03月26日(木) - 29日(日)
- 山域
- 南日高
前回のピリカ~神威の山行では途中撤退の時点からすぐに逆回りで再訪することを決めていたが、気がつけば前回の山行から1ヶ月が過ぎ、冬が終わろうとしている。このままズルズル引き延ばせば今シーズンは終わってしまいそうなので重い腰を上げて3月中の入山に至った。相変わらずの出不精で運動不足に陥りなまり始めた体で最後まで歩き通せるか不安が残る。
行程
装備
- ゴアライトテント(スノーフライ無し)
- ULSSADH#2
- ワカン
- アイゼン
- ピッケル
- ストック
- アルパインクルーザー 3000
- ガス210g/3日 = 70g/日
2015年03月26日(木)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
06:00 | 起床 | ||
08:05 | ☀ | 出発 | |
08:45 | ソエマツ林道分岐 | ||
12:30 | 神威山荘 | C1 |
昨夜は例によって三石の道の駅で車中泊。夜中に大型車が真横に付けてエンジンをかけっぱなしで居続けるので、ろくに眠れず予定よりも早めに目が覚める。どうしてこういうデリカシーのない人間が居るんだか。広い駐車場にいくらでも空きがあるんだからエンジンかけっぱなしなら少し離れたところに駐めてくれれば良いのに。むかつくのでそのトラックを蹴り飛ばしてやりたくなる。もちろん思うだけでそんなことはしないが。
元浦川林道は雪解けが進み、先月よりも轍が深くて走りにくい。特にゲート手前の下りの状態は良くなく、帰りに登り返せるかちょっと不安。まあ、この先暖かい日が続くようなので下山までに乾いてくれれば良いが・・・
と言うわけで、ゲート前に車を駐めて出発する。ソエマツ林道分岐を過ぎると除雪はされておらず、積雪が残る。ラッセルを覚悟したが、雪は固くつぼ足で歩ける。雪面にはスノーシューの跡が残っている。どうやら最近誰かが入山したようだ。
ソエマツ川出合の上空にオジロワシ成長2羽と若鳥1羽が飛んでいたので、近くに巣でもあるのかと思いきや、橋を渡ると全身を赤くしたきつねが居り、そばには子ジカの屍が横たわっていた。先ほどのオジロワシもこれをねらっていたのかもしれない。シカは多分崖から落ちて死んだのだろう。
生々しい死骸から目をそらしつつ通過する。
出発から3ピッチを越えると、日頃の運動不足が祟り足が痛くなってきてペースがぐんと落ちる。
林道が右岸からふたたび左岸に移ってから少し行くと、崖際に付けられた道はデブリによって塞がれている。ストックでは危なそうなので、ピッケルに持ち替えて慎重に通過するが、雪面が固くてキックステップが決まらずにちょっと恐かった。足回りもアイゼンにした方が良かったかもしれない。
ようやく神威山荘に到着。天気も良いし時間も早いがヘトヘトなので予定通り今日はここまで。
ひとまず沢沿いを少し偵察に行く。先行するスノーシューのトレースは沢沿いに延びているので、おそらく中間尾根ルートを登っているのだろう。私は西尾根の予定なので深追いをせず取り付きだけを確認して小屋に戻る。
例によってとりあえず小屋の掃除をして、ストーブに火をつける。ここのストーブだいぶ朽ちてきていて、天板に穴が開いているので火力が安定するまで煙が室内に漏れ煙い。
2015年03月27日(金)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
03:30 | 起床 | ||
04:30 | 出発 | ||
11:50 | ☁ | 神威岳 | |
13:45 | 靴幅山 | ||
14:30 | 神威岳・ソエマツ岳最低コル | C2 |
アラームに気づかず、30分ほど寝坊する。まあ、たまにはそんな時もあるさ。何とか暗い内に出発する。予定通り小屋正面の尾根に取付く。気温は高く、一晩中氷点下には下がらなかったようで雪面は固まっておらず柔らかいので、すぐにワカンを装着する。
尾根は急だが、この時期は雪が安定しているのでさほど苦労はない。しかし、運動不足と昨日の披露は解消されておらず、ペースは上がらない。
Co570 で尾根が緩くなると、ブル道らしきものが付いている。雪が少なくて尾根のブッシュが出ている時でもうまくブル道を見つければさほど苦労はないだろう。
しばらくは緩い傾斜のアップダウンが続く。 P885 からは少し急な登りとなるが、雪が安定しているのでさほどの苦労はない。
これを登り切ると、神威岳西面の猛々しい姿が間近に迫ってくる。この角度からの神威岳は写真でも見たことがないのでなかなか新鮮だ。
南面直登沢右岸尾根とのジャンクションを過ぎると懸案の P1475 岩塔だが、遠くから見るほどは急ではない。
念のためワカンを外してアイゼンにするが、気温が上がって雪が団子になって逆に危なっかしくなってしまった。下りはバックステップをする。
Co1450 から 1520 までの急登も思ったほどキツくはなかったが、雪が多い時は雪崩が恐いかもしれない。左はずっと垂直の崖、右は無植生の斜面が続くが、さほど緊張する場面はない。
ピークが近づくとニシュオマナイ川から強い風が吹き上げてくる。ピークも風が強いので休まずに通過し、風が弱まるまで一気に下る。
今日の予定は神威岳までだったが、出来れば今日の内に靴幅山を越えておきたいのでもう少しがんばることにする。幸い、先行する割と新しい踏み跡のおかげでずいぶんと楽である。
踏跡は進むにつれて明確になってきたので、割と近くに居るのかも知れない。ピッケルの付き方から見ておそらくメンバーは4人かな。
P1468 通称靴幅山は、全山縦走した時は深夜にヘッドランプで通過している。そのためか、細いという記憶はほとんど無く、ダケカンバがうるさかったという印象しかない。今回改めて見てみると、おお確かに細い。しかも今回は尖ったスノーリッジとなって、靴幅すらもない。これは歩けんわ。
よく見ると、踏跡は途切れて引き返し、十勝側の斜面をトラバースしていた。ありがたく踏跡に追随させてもらう。
風の強い靴幅山をさっさと下り、天場を探すが、なかなか風がよけられそうなところがない。仕方がないので最低コル付近にブロックを積んで泊まることにした。
ラジオでは今日はこの時期としては記録的な暖かさと言っているが、ずっと風が強くていまいち快適ではなかったなあ。
2015年03月28日(土)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
03:00 | 起床 | ||
04:40 | 出発 | ||
06:45 | ☀ | ソエマツ岳 | |
07:50 | 元浦岳 | ||
08:20 | P1529 直下 | ワカン | |
10:05 | ピリカヌプリ | ||
12:50 | 春別山手前 | C3 |
撤収をしていると、暗闇にほんのりと浮かぶソエマツ岳の影の麓にいくつかの灯りが揺らめいているのが見えた。あれが先行する踏跡の正体か。それにしても、ずいぶんと下の方に張っているな。
その踏跡は大胆に十勝側をトラバースして、天場方面に向かっているので、途中から踏跡を外れ稜線に立って進む。 P1397 付近を通過する時、ちょうど尾根に上がろうとする先行パーティの姿が見えた。
ソエマツ岳への急登で、先行パーティに追いつく。ここは少しブッシュがうるさく苦戦しているようだった。
挨拶を交わすと、案の定北大山岳部のパーティと判明。やはりこの時期にこの辺りを歩くのは彼らくらいしか居るまい。こちらがふ~ちゃんだと分かると何故か爆笑された。
ここからしばらくは彼らと追いつ追われつで進む。ソエマツ岳ピークではお茶を飲もうとコップにお湯を注いだ瞬間にカメラのシャッターを頼まれる。おいおい撮るのは良いけど、もうちょっとタイミングを見計らっておくれよ(^^;。
元浦岳への急登は先行する北大さんからひとりずつ慎重に通過する。この辺りも全山の時はラテルネで通過して難しかった印象はないけど、あのときとは時期が違うから雪の付き方が違うんだろうな。
危険箇所を通過し、北大のひとりが落とし穴に嵌まって滞っていたのをほほえましく見ながら元浦岳を通過。
P1529 は雪解けが進んで岩が露出し始めた東側をトラバースして通過する。ここから先は尾根が広くなるので、ワカンを装着する。北大も履き替えていたが、ワカンではなくスノーシューなのね。
ここまではずっと北大と併走していたが、ピリカヌプリの登りにかかると向こうはスピードアップ・・・もとい、こちらがスピードダウン。一気に水をあけられる。
何とか追いつこうと必死に食らいついたが、ピークに付いた時には向こうは既にトヨニ方面への下降を開始していた。
こちらは西尾根へ下るので、挨拶を交わすこともなく彼らと別れる。
今日も気温はぐんぐんと上がり、標高が一気に下ったこともあって雪面がグズグズになり始める。
2015年03月29日(日)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
04:00 | 起床 | ||
05:25 | ☁ | 出発 | |
05:35 | 春別山 | ||
07:15 | 林道終点 | ||
11:30 | 元浦川林道ゲート | 下山 |
今日は春別山を越えてただ下るだけ。先月往復したルートで、今日は主稜線上には雲がかかっているので特段の感慨もなく淡々と下る。
造材作業は既に終わっているはずなので、 Co1052 からは先月登った支稜には下らず、北西に延びる尾根をそのまま下っていく。適当なところから左の斜面を下ると程なくブル道に出た。
今日の核心はここから。長い林道をひたすら歩く。先月まで除雪されていた林道にも既に雪が積もっているので、しばらくはワカンを付けて進む。
ソエマツ林道は既に崖崩れで道が塞がれているようなところがあった。元浦川林道に出ると、この4日間でずいぶんと雪解けが進んで路面が乾いていた。と言うわけで、車も問題なく林道を脱出した。
雑感
神威岳西尾根は思ったほど難所はなかった。中間尾根と比べてどうか言うと、あいにく中間尾根は登ったことがないので比較のしようがないが、同日の北大の合計コースタイムが6:50で、私の西尾根のタイムが7:30なので彼らのスピードを考慮すればさほど変わらないのかなと思う。ニシュオマナイ川の渡渉が困難な場合には有用な選択肢であろう。小屋正面の尾根が藪で取り付き困難な場合も、1kmほど下流の枝沢沿いのブル道から取付けば比較的楽に尾根に上がれるのではないかと思う。
北大のように中ノ岳やトヨニ岳を踏む目的がなければ、前回及び今回の神威岳西尾根、ピリカヌプリ西尾根は有用な登路となるだろう。