- 目的
- カムイ岳~札内岳縦走
- 日程
- 2015年01月13日(火) - 17日(土)
- 山域
- 北日高
正直な話、今までは厳冬期の日高の核心部は避けてきた。だって、ろくにスキーは使えず、不安定な積雪とブッシュに苦しめられる事は目に見えているから。それならば、春にアイゼンを効かせて走り抜けた方が楽だし楽しい。それに、日高の雪稜はだいたい歩いたので苦しい思いをしてまで真冬にブッシュの稜線を歩くモチベーションは沸いてこない。しかし、今までの山行はほぼ端っこから端っこまでの長期縦走しかした事がなかったので、諸般の事情によって中間部のルートを踏査する必要が出てきた。そこで3年目となって逞しくなった後輩を誘ってカムイ岳から札内岳へと縦走する事にした。
計画
メンバー
- アスカ(3)
- ふ~ちゃん
同じく3年目のミヨシも行く予定だったが、再試とどうしてもサボれない授業があるとの事でアスカと2人だけとなった。
装備
団体装備
- ステラリッジ3+スノーフライ
- EPI+ガス90g+225g+90g/3泊=135g/泊
- スノーソー
個人装備
食料
夕食 | 朝食 | |
---|---|---|
C0 | すき家 | どん兵衛うどん |
C1 | 乾燥野菜・乾燥肉・マカロニ200g・ポタージュx4袋 | グラノーラx4袋+ココア |
C2 | 乾燥野菜・乾燥肉・マカロニ200g・カレーx半箱4皿分 | カップヌードルリフィル |
C3 | 乾燥野菜・乾燥肉・マカロニ200g・バジルソースx2袋(ちょっと薄味) | グラノーラx3袋+ココア |
夜はマカロニと乾燥野菜を中心に。乾燥野菜と乾燥肉は自家製にした。マカロニ 200g ゆでるのに500mlの水でゆでるとちょうど水分がなくなる。
2015年01月13日(火)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
18:50 | 室蘭 | 出発 | |
23:50 | 旧日高小屋前 | ||
24:30 | 終点手前自動車待避所 | C0 |
出発予定の18時より前に部室に行き、アスカの荷物を積み込んでおく。しかし、18時になってもアスカが現れないので部会に参加していた他の部員に呼び出してもらう。もう、相変わらずルーズルーズ!
まあ、当初の予定ではもっと夜中の出発で寝る時間はないと思っていたので、この時間に出かけられるだけでもありがたい。苫小牧のすき家で食いだめをしつつ戸蔦別林道を目指す。
何とか日付が変わる前に旧日高小屋前に到着。本当はもっと奥まで除雪が入っていないかともくろんでいたが、やっぱりここまでだった。とっとと寝ようとテントを建てていると、住人の飼い犬が吠え出す。そのうち鳴き止むだろうと思っていたら、いつまでの泣き続けるので住人のおじさん(安井さん?)が起きてきてしまった。
日程と、駐車位置について話をしてテントに戻るが、やはり犬が鳴き止まないので、300mほど手前の自動車待避所に泊まってくれと言われてしまう。そそくさとテントをいったん撤収し、待避所まで戻ってようやく寝床に着いた。
2015年01月14日(水)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
05:30 | 起床 | ||
07:00 | 晴 | 出発 | |
08:00 | 3.6km 地点 | ||
09:10 | 7.0km 地点 | ||
11:10 | カムイ岳北東尾根末端(12km) | ||
13:30 | Co1000 ブル道 | ||
15:40 | P1488 の先 | C1 |
昨夜はパッキングを解くのが面倒だったので、2人とも冬山用ではないシュラフで寝たので、寒くてほとんど寝られなかった。
除雪終点に行き出発の準備をしていると、1台の車がやってきた。登山ではなく、どうやら動物か植物の調査のようだ。我々は一足先にラッセルを開始する。
1週間ほど前と思われるトレースが何となく残っているだけだが、その上を行けばたいしてラッセルもキツくなく、スイスイと進む。アスカがものすごい勢いで進み、1ピッチで5kmも進んだ?と思ったが、古い拓成の地形図に書かれた日高小屋とゲートの位置が間違えており、後で正しい位置から測ったら3.6kmほどだった。
まあ、それでも予定よりはハイペース。当初思っていたよりも早く着くかも。休憩していると、調査の人達が追い抜いていって2ピッチ目はラッセル泥棒させてもらった。少し離れて出発したのに、すぐに追いついたので機を見て抜かした方が速いかなと思ったが、なかなかタイミングがなく、結局彼らの目的地の戸蔦別橋近くまで行ってしまった。
しかし、彼らと別れてラッセルを始めるとペースは落ちる。やはりラッセルがあるとなしでは全然違う。しかも、始めの1ピッチでアスカが張り切りすぎてバテてしまい、目に見えてスピードが落ちる。そして、始めの1ピッチの距離とペースを見誤ってしまったために、次のピッチはノンストップで北東尾根末端まで進んでしまい、必要以上の晴天と気温の高さも相まって余計に疲労させてしまった。こんなに暑くなるとも思わず、軽量化のために余計な水を捨ててきたのも失敗だった。
北東尾根の下部はブル道から取り付くと聞いていたが、思ったよりも雪が着いているので、そのまま末端から尾根に取り付く。しかし、尾根筋は急でブッシュがうるさいので右側の斜面をトラバースしながら登る。そのうちブル道にぶつかるのだろうと思っていたが、なかなかブル道は見つからない。どうやら思っていたよりももっと上流へ進んでから取り付いた方が良いようだ。
林道歩きで消耗してしまったアスカは出だしからなかなかペースが上がらない。今回はラッセル要員が居るぜ!と思っていたが、あまり期待は出来ないようだ。
Co780 付近で尾根筋に出る。笹は出ているが、何とかスキーが使える。右奥に一九六七峰の勇姿を見ながら行くが、 EV 調整を誤ってしまい、白飛びした写真になってしまった。今回は最後まで天気が良すぎて、そんな写真ばかりになってしまった。
Co900 付近の平坦地は雪が飛ばされ、若干地表が出ているが気にせず進む。もう少し上がるとようやくブル道にぶち当たったので利用する。
Co1100 付近でブル道は終わり、ふたたび尾根筋を行く。ここまで来ると尾根筋は広くなるが、雪面は少し固く、シールの効きが悪い。
アスカは相変わらず遅れがちだが、そろそろ天場を決めなければならない時間になってきたので、危険な箇所も無いのでアスカを置いてどんどん登り天場を探す。
日没も目前で P1488 を越えて、その先の平坦地を天場に決める。時間がないのでアスカを待たずに雪を踏み固めブロックを積み始める。アスカはへろへろになりながら25分遅れてようやく到着した。
アスカが到着した時点で既に天気図の時間は過ぎており、天気図は取れず。何とか天気予報で明日は荒れそうではないと言うことだけを確認する。明日は早く出るので水を作り、夕食を取ってさっさと寝床に着く。
2015年01月15日(木)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
04:00 | 起床 | ||
05:35 | 出発(スキー) | ||
06:25 | Co1620 | つぼ足 | |
06:35 | Co1640 | ワカン | |
06:45 | カムイ岳北東尾根頭 | ザックデポ | |
07:15 | 晴 | カムイ岳 | |
07:40 | カムイ岳北東尾根頭 | スキー | |
09:05 | Co1490 最低コル | ワカン | |
09:50 | Co1550 | スキー | |
10:55 | Co1630 | ワカン | |
11:30 | Co1690 | アイゼン | |
13:20 | エサオマントッタベツ岳 | ||
14:25 | 札内分岐 | ||
15:10 | 札内支稜 Co1840 | C2 |
今朝の食事はグラノーラ。アスカはおもむろに全てのグラノーラを食器に盛り、ココアの粉とお湯をかけて崩して食べ始める。うん、あすか、これはビスケットタイプだからこのまま食べるのが正しいと思うよ。でも、そちらの方が食べやすいらしい。
月が出ている。暗闇の中にエサオマンがうっすらと浮かび上がっている。まだ暗い中、ラテルネを付けて出発する。
国境稜線直前に岩稜部分があり、左側をトラバースしていくが、傾斜が急でスキーでは登れないので途中でスキーを外し、ツボ手スキーで尾根筋によじ登る。
ワカンを付けて国境稜線に出る。ザックをデポしてカムイ岳にアタックする。日高側はハイマツが露出し、十勝側は雪庇が出て所々亀裂も入っているが、これまでに2度歩いた時ほど大きくはない。
東の肩に上がる途中でご来光となった。紅く染まる山を眺めつつカムイ岳のピークに立つ。空身で来たので、証拠写真だけを撮ってさっさと引き返す。
さあ、長い縦走が始まる。荷物を回収し、ふたたびスキーに履き替える。十勝側の斜面をトラバースして行けるかと思ったが、思ったよりも固く、スリップして10mほど滑落する。めっちゃ焦った。なんとか稜線に戻り、アスカにはツボで来るように指示する。
少し下って傾斜が緩くなったところでスキーを履いてジェットコースタースキーの始まり。さて、アスカのジェットコースターはどうかと、ボーゲンで来るように言うが、聞こえなかったのかプライドが許さないのか足をそろえて凄い勢いで直滑降で突っ込んでくる。
雪庇はさほど大きくは成っていないが、それでも所々亀裂入っている。中にはウサギが踏み抜いた後がある。ウサギが落ちるくらいだから当然人は・・・。それでも亀裂が見えるのはむしろありがたく、藪を避けて際際を歩いていたら後ろからドドンと音がして振り返ると、足下が無くなったアスカが呆然と立ち尽くしていた。
まあ、この辺りとしては極めて小さな塊で、確認できていた亀裂から落ちただけなので気にせずに進む。とは言え、 P1563 周辺はやはり日高側の藪を行かねばならぬ。と、藪に突入しようとしたところでバランスを崩して大転けすると、今シーズン買ったばかりのストックが曲がってしまった。
最低コルからは急な登りとなっており、スキーでは難しそうに見えたのでいったんワカンに換えるが、ズボズボ抜かって進まないのですぐにスキーに戻す。
それでも尾根は徐々に細く固く急になってくるので、 Co1630 付近でワカンにする。さらに Co1690 でアイゼンに換える。固くなった尾根にアイゼンを効かせていくが、スキーで重くなったザックが肩に食い込むのがツラい。アスカのペースも落ちてきた。
今日もまぶしい晴れの中、エサオマンに上がれば広がる中部日高の展望を励みに最後の急登を駆け上がる。北の肩に上がるとカムエクを中心に中部日高の山脈が広がる。ようやくピークにたどり着いたアスカはヘトヘトであまり景色を楽しむ余裕はなさそうだ。
今回持ってきた唯一の P-can を食べ、先に進む。札内岳との最低コルまでは快適な天場は得られないので出来るだけ進みたいが、今日も時間はギリギリになってきた。
北東カールへの壁はすっぱりと切れ落ち、ルンゼの頭には雪庇が蓋をしている。札内分岐までは風で雪が飛ばされ、一部地表も出ている。雪庇との境目は固くアイゼンが良く効く。
札内分岐で少し遅れてきたアスカは少し気が抜けたのか、アイゼンを引っかけてオーバーシューズの右の裾を切り裂いて凹んでいる。新しいスパッツを買う度にすぐに切り裂いてしまう私は、良くやるよねーとしか言いようがない。
札内分岐から少し下ると、尾根は細いが雪が柔らかくて埋まるのでワカンに切り替える。
今日も日没が近づく中、細い岩尾根が続く。出来れば広いコルまで下りたかったが、目の前の岩稜を越える前に日没を迎えそうだ。狭くて快適とは言いがたいが、岩場の切れ目に何とか張れそうなスペースを見つけて天場とする。正面にはカムエクが聳える。
今日もテントを建てるうちに天気図の時間を越えてしまった。明日も天気は良いのだろうか。今日も目標の天場には届かなかったが、明日は札内岳を越えるだけなので急ぐ必要はない。夜は長い。
アスカはモンベル固めの私なんかよりもずっと良さそうな衣類をいっぱい着ているのだが、ずいぶんと寒そうだ。中に着ていたナイロン+ポリウレタンのソフトシェルがあまり暖かそうな素材には見えなかったので、他に持っていた普通のフリースに着替えさせたら少し暖かくなったようだ。せっかく良い物を持っていても、使い道を誤れば役に立たないと言うことだ。ちなみに、アスカは今シーズンは作業用手袋のテムレスを試していたが、2日でずぶ濡れとなって、一度濡れたら乾かずにこの日で使い物にならなくなったらしい。
サラダ用海藻に自家製乾燥キャベツと、塩昆布をあえるとすばらしいつまみとなった。ただし、海藻の賞味期限がずっと前に切れていて微妙な味がした。アレ?翌日の天場で二人してお腹イタいって言ってたのはコレのせいか?腹痛の症状が出るまで24時間もかかるかな?
2015年01月16日(金)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
06:00 | 起床 | ||
07:45 | 快晴 | 出発(アイゼン) | |
08:05 | Co1850 | ワカン | |
08:40 | Co1830 | スキー | |
09:40 | P1733 | ||
11:20 | 札内岳 | ||
11:50 | |||
12:25 | P1771 | ピットテスト | |
12:55 | 札内岳北東尾根・ピリカペタヌ沢十ノ沢源頭 Co1620 | C3 |
今日はのんびりと起きる。テントから出る頃にちょうど日の出となった。3日連続の謎の晴天である。
出だしは細い岩稜なのでアイゼンとピッケルで出発する。出発してすぐの所は細すぎて上を行けないので、南側の斜面をトラバースしていく。ものすごく急だが、雪は少なくハイマツも出ていて足下は沈むのでさほど恐くはない。私は。アスカは恐かったかも。
まだ細い尾根は続くが、雪面は柔らかく沈むのでワカンに切り替える。手は念のためストックではなくピッケルままで行く。
Co1830 まで進むと、尾根も広く左右の斜面の傾斜も緩くなってきたのでスキーに切り替える。南側の斜面をトラバースしながら滑るが、白い雪面が鏡面となって光を集め、ものすごく暑い。1月だというのになんだこの暑さは。暑すぎてアスカはついにジャケットを脱いでしまった。
広いコルから登りに転じる。ほとんどは尾根筋を進む。 P1733 近辺だけは南東側がすっぱりと切れ、大きな雪庇が出来ているので北側の藪を少しトラバースする。すぐに尾根に戻ると問題なくスキーが使える。
何処までスキーが使えるかと思ったが、雪は柔らかくピークまで使うことが出来た。下降ルート候補の一つだったガケノ沢左岸尾根は、思ったよりも細く、ヤブが濃くて大きな雪庇が発達しており、とてもスキーでは快適そうには見えなかったので今回は見送ることにした。
札内岳ピークでは南側に少し雲がかかってしまったものの、その分大雪方面は綺麗に晴れ渡り抜群の展望となった。カメラの露出調整を戻すのを忘れて写真が白飛びした物ばかりになってしまったのは失敗だった。
あまりにも天気が良くて去りがたい。今日は少し下げて天張るだけなのでのんびりと過ごすが、それでもやはり1月のピークは黙っていると寒いので動くことにする。
少し高度を下げてスキーを履く。本流の斜面がトラバースできそうに見えたので谷に入り込むが、思ったよりも急斜面で雪が固く、またしても滑落しそうになってしまう。慌てて尾根に戻る。余計な冷や汗をかいてしまった。
尾根に戻っても若干固いが、何とかスキーは使える。 P1771 までは思ったほど藪もなく、順調に進む。しかし、下降ルート候補の一つである五ノ沢方面の P1655 付近はヤブが濃そうで黒々として岩も露出しているように見える。
P1771 からの下りも嫌な感じかと思ったら、とても美味しそうな斜面だった。東に延びる尾根もダケカンバの疎林で悪くなさそうだ。今日はひとまず北側の斜面を滑って十ノ沢の源頭尾根上で張ることにする。
時間もあるので、一応 P1771 の直下でピットチェックを行う。雪は全体に絞まっており、特段弱層が有るようには見えない。いざ滑り始めると、雪面は固く、思ったよりもスキーは楽しめなかった。
尾根が平らになったところで今日の天場とする。面倒くさいのでブロックは積まない。しかし、そういうときに限って風が吹くのである。
まだ日が高いので外でシュラフをダケカンバやテントにかけて乾かしたり、枯枝を集めて真冬の焚き火などしながらうだうだと過ごす。明日は天気が良くても悪くても下山となるので、余った食料をつまみにして消費する。それにしても、今回はずっと晴天続きで思った以上に順調に進んでしまった。絶対に1泊は増えると思っていたのに予想が外れた。厳冬期だというのにこんな事で良いのだろうか。
2015年01月17日(土)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
06:00 | 起床 | ||
07:15 | 雪 | 出発 | |
07:50 | Co1065 | シール | |
08:55 | ピリカペタヌ沢八ノ沢出合 | ||
10:00 | 六ノ沢出合 | ||
10:35 | 五ノ沢出合 | ||
12:15 | 戸蔦別ヒュッテ | ||
14:15 | 旧日高小屋前 | 下山 |
そんなことを言っていたら、夜中から風が吹き始めた。外は雪が降り、そこそこ積もっていた。
藪尾根はもはやうんざりなので、今日は十ノ沢を下ることにした。雪が降ったので、少し雪崩が心配だったが、むしろ昨日までの固い雪面をフカフカの新雪が覆い、絶好の雪質となっていた。
上部の斜面は快適に滑るが、 Co1400 付近からはブッシュがうるさく、広いところを探りながら下る。一部雪の付きが悪いところはガリガリと言っていたので雪が降って本当に良かったと思う。
右岸斜面をトラバースし、 Co1080 屈曲点付近で急斜面から谷に下ったが、このあたりで大量の雪が着いていたら雪崩が恐い。ここらしばらくは細い谷の斜面をトラバースして進む。この先は渡渉が必要となりそうなので、シールを付ける。
九ノ沢出合近くまでは細い谷が続くが、徐々に広がってくる。それに伴い、沢幅も広がり、だんだんと渡渉も面倒になってくる。何故か下るにつれて雪は激しく降り、積雪も深くなってくる。
七ノ沢出合から六ノ沢までは特に渡渉が面倒で、降り積もったばかりのスノーブリッジを崩してテールをぬらしてしまいそうになる。それでも、昨夜からの降雪が無ければこのブリッジすらなかったかも知れないので、そう思うとラッキーな降雪だった。
六ノ沢を渡ると、右岸に林道跡が見えるのでそこに上がる。しばらくは林道沿いに下るが、そのうち消滅してしまった。五ノ沢直前で左岸に渡渉し、五ノ沢を渡渉すると林道に出た。
砂防ダムに出たところで、あまり効果は無いと思われるがシールを外してみた。案の定、途中に上り勾配は有るし、下りでもほとんど滑らないが、やはりセカンドを歩くならシールを付けない方が快適だ。
思った以上に長いピリカペタヌ林道にうんざりしていると、日が照ってくる。降雪で濡れた体が今度は汗で濡れ始める。もやはずぶ濡れで何の意味も無いグローブを脱ぎ、素手で行動する。
ようやくたどり着いた戸蔦別ヒュッテで一息ついて、更に歩く。入山時のトレースはほんのわずかに痕跡が残るだけで、ほとんど役に立たないどころか、入山時よりもずっと多い積雪に消耗する。
やっとの事で登山口にたどり着くと、住人の方がママさんダンプで家の周りを除雪していたが、なんと肝心の除雪車は入っておらず、道は雪で覆われていた。うへー。おいらの車で脱出できるだろうか。
装備を片付け、車を発進させる。積もった雪が巻き上がり、時々視界がなくなる中、何とか道を外さずに除雪された道路までたどり着いた。
新嵐山荘で風呂に入り、御影のとんかつ屋で4日ぶりの米を食う。定食を頼むとキャベツとご飯がおかわり自由と言うことで、私はそれぞれ1杯ずつおかわりしたが、アスカは3杯もおかわりをして最後はせっかくの下山ビールを死にそうな形相で流し込んでいた。前にも何度かこんな事があったような・・・学習しないおバカさんである。