同じ北海道にあっても知床はやはり遠い。地の果てなのだ。そんな知床に20年ぶりに訪れた。残雪の稜線を快適に歩くつもりだったが、思ったよりも雪解けが早く、多くのピークを踏むことが出来なかった。
行程
装備
2014年05月09日(金)
今日は天気が悪いので、とりあえず登山口まで偵察に行く。木下小屋はオープン前の掃除をしていた。とりあえずウトロの道の駅に戻り車中泊する。
2014年05月10日(土)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
04:50 | 霧 | 岩尾別温泉 | 出発 |
11:30 | 霧 | 羅臼岳 | |
12:45 | 三ツ峰 | 通過 | |
14:00 | 曇 | サシルイ岳 | 通過 |
14:45 | オッカバケ岳手前 | C1 |
夜明け前に道の駅を出て登山口を目指す。岩尾別温泉の湧きに車を駐めて、未だうす暗い中を出発する。
おそらく例年であれば未だ十分な積雪があると思うが、今年は雪解けが早く、登山口付近は雪渓と藪がパッチワーク状になっており、ルートファインディングが難しい状況だ。小屋の上の台地に上がると、早速道が分かりにくく、少々右往左往し、あらぬ方向に踏み跡を作ってしまった。
人気のルートの割には標識などはなく、道を探しながら進む。近年、登山道や沢で標識機を見る機会が減っているような気がする。もしかしたら GPS の発達によって、標識旗など無用のものになっているのかも知れない。元々むやみに標識旗を打つのには反対だったので、それはそれで良いのだが GPS を使って冒険要素を失った登山にはやはり寂しさを感じざるを得ない。
閑話休題ー Co600 付近で、雪渓が多くなり、登山道の着いているのと反対側の斜面に進んでしまい、登山道に戻るのに若干ヤブを漕いでしまった。この時期の登山ではこうやって道迷いと読図を繰り返しながら歩くのもまた一つの楽しみなのだ。
Co700 付近からは急激にガスが濃くなってきた。 P842 のトラバースから弥三吉水付近までは登山道が非常にわかりにくい。雪渓を上下しながらダケカンバの合間に道らしきものを見いだしながら進む。極楽平に出るとほぼホワイトアウト状態となる。ここは真っ平らで目印になる物も無く、コンパスだけが頼りだ。
コンパスに沿って何とかそれらしき尾根にたどり着く。真っ平らなところから一気に急な斜面となる。何となく人の踏み跡らしきものの痕跡が見える。
しばらく進むと、銀冷水付近の谷間に小さな小屋が見えてきた。何かと思って近づいてみると、携帯トイレ用のブースだった。未だ半分は雪に埋まっているのでこの時期は利用できない。
更に進むと、徐々に雲が切れて三ツ峰が垣間見えてきた。一方、羅臼岳方面は未だ深い雲の中だ。
羅臼平に出て道を外れて雪渓を進んでいったら、案の定また藪に嵌まってしまった。まあ、さほど深い藪ではないけれど。岩清水分岐にて、いくつかの装備を残置して羅臼岳にアタックを開始する。
羅臼岳周辺は濃い雲がまとわりつき、視界はない。岩峰を北側に回り込んで這い上がり、ピークに出るがやはり視界はない。長く粘っても晴れる様子はなさそうなので、さっさと引き返す。一気に雪渓を滑り降り、残置を回収する。
稜線上はほぼ登山道が出ている。羅臼平のキャンプサイトの近くにはあのフードロッカーが設置されている。未だ時間が早いので先に進む。
先ほどまで見えていた三ツ峰もガスがかかってしまった。三ツ峰には登山道が設置されて居らず、この状態ではピークまでたどり着くルートを見いだせないので、残念ではあるがそのまま通過することにした。三ツ峰キャンプ指定地も通過する。
キャンプ指定地を通過すると、皮肉なもので三ツ峰のピークがふたたび顔を出し始めた。もうちょっと粘ってピークを目指せば良かったかな。サシルイ岳もやはりピークへは登山道が無く、すっかり雪が溶けて藪漕ぎになりそうなのでピークハントはせずに通過することにした。知床連峰ってこういう登山道設定が多いんですね。夏山ピークハンターの人達は一体どうしてるんだろう?やっぱり藪漕いでいくのかな。
オッカバケ岳の手前で時間切れとなってきたので天張ることにした。いや、実は日が長いのでまだまだ時間的には余裕はあったが、体力的な限界だった。天張るとようやく雲が消え、青空が広がってきた。明日は期待できそうだ。
2014年05月11日(日)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
03:00 | 起床 | ||
04:00 | 晴 | 出発 | |
04:25 | オッカバケ岳 | ||
07:00 | 知円別岳東コル | ||
08:45 | 硫黄山 | ||
11:25 | 登山口 | ||
12:35 | カムイワッカ川 | 出発 | |
16:00 | 五湖入口 | ||
17:30 | 岩尾別温泉 | 下山 |
今朝はスカ天。残念、天場はご来光が見える場所ではなかった。もうちょっと早起きしてご来光を目指すべきだった。
初めのオッカバケ岳は雪が着いていたのでピークにタッチしに行く。オホーツクの雲海の上に国後択捉が浮かんでいる。硫黄山方面もやはり結構黒い。全体的に縦走するにはちょっと時期が遅すぎたようだ。
二ッ池にもキャンプ指定地が有るはずだが、ここのフードロッカーには気づかなかった。未だ雪の下だろうか?
知円別岳手前ではギンザンマシコがたむろしており、結構近くまで近づいてきて餌をついばんでいた。知円別岳は例によって道は無く、東側に迂回しており、雪も無く藪が出ている。主稜線を乗っ越して知円別の北側に出るとほぼ雪は無く、火山灰のザレ場となる。
硫黄山への稜線は活火山の荒涼とした道となる。硫黄山の東側にザックを置き、ピークを目指す。急な雪面をキックステップで登り、崩れ気味のルンゼをトラバースして岩場を詰めてピークに出た。ピークは意外と広い。ピークからは知床岳から知床半島の付け根方面まで一望できる。
ピークからの下りは結構恐い。ルンゼの部分がとっかかりが無く、雪面にえいやっと飛び移る。気温が上がりグズグズになった雪面を滑り降り、ザックを回収する。
硫黄川を下り、 Co900 付近で右岸の台地に上がるが、登山道は何処にあるか分からない。時々ヤブを漕ぎながら雪渓をトラバースしていくと、 Co800 付近で左側に登山道らしきものが見えた。登山道はハイマツのトンネルとなっていた。
雪も減り、はっきりとしてきた登山道を進み、眼下にカムイワッカ川を望む。登山口も近づくと、ヒグマの足跡が出てきた。
登山口に出ても終わりではない。むしろここからの道路歩きが今日の本番だ。その前にとりあえずカムイワッカ見学に行く。海を見ると、カムイワッカ川の河口から黄色い帯が流れ出ている。
登山靴を脱いで沢に入る。サンダルぐらい持ってくれば良かったかも知れない。雪解け水の混ざるこの時期、さすがのカムイワッカもさっぱり暖かくない。裸足のままどんどん上流に向かう。
夏場は看板やらロープやらがあって第一の滝から上は立ち入り禁止となるらしいが、当然この時期は何も整備されていないので、よく分からず、後で調べたらなんだかんだで第四の滝まで行ってしまったらしい。このあたりでようやく水が温くなってきたので、服を脱いで川につかる。温泉・・・うんまあ、温泉・・だよね。
ザックを回収し、道を歩き始めると、残った雪の上に 500m 置きぐらいでヒグマの足跡がある。今日は道路上に泊まろうと思っていたが、この状況ではとても泊まる気にはなれない。
がんばって歩き16時に舗装路に出た。舗装路に出ても未だ終わりではない。ザックを残置し、岩尾別温泉まで更に歩くこと1時間半。ようやく車を回収した。
ザックを回収し、岩尾別温泉に戻ってのんびり露天風呂にでもつかろうとしたら、何やらお兄ちゃんたちがやってきてしまった。どうやら、ボーダーのお兄ちゃんたちで峠を滑ってきたものと思われる。みんな長髪にあごひげを伸ばし、ボーダーファッションに身を包んだ、このムサさとチャラさが混在一体となった感じ。同じ山好きでも友達には成れそうにありません。