- 山行名
- 新人強化 黒岳~白雲岳~北鎮岳縦走
- 日程
- 2011年06月03日(金) - 05日(日)
- 山域
- 表大雪
前回の羊蹄に引き続き、久しぶりに現役と大雪に行くことになった。前にこのルートに来たのはもう7年も前のことだ。あれからもう7年も経ったのかと思うと驚愕する。この間、現役がこのルートに来ることがなかったのは、今のワンゲル部のレベルが下がっていると言うことの証明だ。
行程
メンバー
装備
2011年06月03日(金)
19時過ぎに部室に集合。装備を詰め込んで出発する。現役の二人は夕飯を食べていないと言うので、苫小牧の吉牛によっていく。今まで吉牛は4回ぐらい食べたことがあるけど、その良さがさっぱり分からない。私は晩飯を食べたので車の中で待つ。一緒に入店したランクルに乗ったお兄ちゃんがむちゃくちゃ早飯だったとか、そんなことはどうでもいい。
栗沢のセイコーマートで最終休憩を取って、三笠から高速道路に乗る。無料と言うことで、深夜にもかかわらず交通量は多い。4連続完封勝利中のファイターズは今夜も完封リレーで大差で勝利。無駄に点数を取りすぎ。0時過ぎに層雲峡に到着。いつものようにロープウェイ下の駐車場に車を止め、ゲリラキャンプ。明日の朝まで4時間ほど寝られる。
2011年06月04日(土)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
04:00 | 晴 | 起床 | |
06:00 | ロープウェイ | ||
07:10 | リフト終点 | 出発 | |
08:35 | 黒岳 | ||
10:35 | 曇 | 北海岳 | |
12:15 | 白雲岳 | ||
13:20 | 雨 | 白雲岳避難小屋 | C1 |
外は3時過ぎから明るい。目がさえてしまったので、予定より少し早めに起床。時間には余裕があると思ってのんびり準備していたら、第一便が出発してしまった。第一便は6時だと思っていたが、実際はそれより10分ほど速いらしい。
リフト終点はいつものように雪の壁。7年前より若干少ないような気がする。白雲岳の湖は希望薄かな。新人のイトーのブーツはソールがつんつるてんのソフトブーツなので、アイゼンを着用させる。と思ったら、アイゼンのサイズがまったく合っていない。イトーの持ってきたアイゼンは L サイズで、タノの持ってきたアイゼンは M サイズなので、タノにはアイゼン無しでイトーに M サイズを使わせようとしたら、イトーは足のサイズが小さいので、タノの持ってきた M サイズでもまだ大きい。調整すれば何とかなりそうだが、六角レンチを持ってこなかったために、ビスをはずせない。このままでは出発できないのでどうしようかと考えあぐねた結果、ガムテープで応急処置をして何とか誤魔化すことにした。
そうこうしているうちにスキーヤー達はドンドン出発して、我々が最後尾から付いていく様な形になった。天気は良く、北大雪の山々もよく見える。
先発の人々を追い越しながら、ピーク直下をジグを切って登っていたら、スキーを担いだ人の一人に、話しかけられ、室工大のワンゲル部だという話をすると、「ふ~ちゃんちゃんの後輩ですか?」と聞かれてしまった。ごめんなさい、本人です。山では自分が何者か分かってない相手には割と気軽に話せるが、顔バレしてしまうと急激に恥ずかしくなってしまう。出来ればそうかなと思っても知らん顔して話して欲しい。彼は今夜は中岳温泉に泊まるらしい。
黒岳山頂に到着すると風が強い。旭岳、北鎮岳には雲がかかり、白雲岳にも雲が迫っている。どうやら天気は下り坂らしい。山スキーのお姉さんに写真を撮ってもらい、早々に出発。他の登山者は全て北鎮方向へ。北海岳方向へ向かうのは我々のみだ。
黒岳石室からは雪渓を使って進む。始め地形図を見ないで進んだために、ちょっと進む方向を間違ったが、ルートはほぼ雪渓に埋まっているので問題なし。雪はかなり腐っている。登山道に残っている雪はかなりグズグズでまともに歩けないので、出来るだけ大きな雪渓が残っているところを歩くことにする。それでも油断すると時々ズボっと埋まって面倒くさい。
北海岳手前の岩壁下のトラバース付近でタノが少し遅れる。腐った雪に足を取られて体力を消耗したらしい。北海岳に到着すると風はますます強くなり、とても落ち着いて休んでいられないので、タノが到着するのを待って写真を撮って通過する。その後、休憩できそうな風の弱いところを探すが、ルート上はほとんどが吹きさらしで良いところは見つからない。仕方がないのでザックに腰掛け、テントマットを背中に覆って風よけにして休憩する。
3人横に並んで小泉岳、赤岳、烏帽子岳などを山座同定する。何度も大雪に来ているが、これらの山には未だかつて行ったことがない。タノが小泉岳に行きたいというので、時間があれば行ってみることにしよう。
再びアイゼンを着用させて、白雲岳にアタックする。幻の湖はやはり今回も幻のままだった。どうやら5月中でなければ無理なようだ。山頂の視界はまあまあだが、風が強い。風を避けて岩陰で滑落停止練習のために雨具を着込んでいると、ぽつりと雨粒が落ちてきた。避難小屋方向から一人登ってくるのが見える。雨男か?更にみるみるうちに濃密なガスに覆われ、あっという間に何も見えなくなってしまった。やっぱり小泉岳カットして、直接小屋に行くことにする。
ピーク直下の雪渓を滑り降りる。ここで滑落停止の練習などをしようと思ったが、雪が腐りすぎて、水を含んだグズグズの雪が小規模な湿雪雪崩となってズルズルと流れてくる。視界も悪いし、こんな雪でやっても濡れるだけで何も出来ないので止めとする。小屋まではいつもの雪渓を降りるつもりだが、視界が0でどっちに行けばいいのかさっぱり分からない。コンパスを切って台地を横切る。
雪渓はグリセードで下る。新人のイトーはさすがに旭川の人間で元山岳部。グリセードもまったく問題ない。いつもなら、小屋を見ながら一気に下るが、視界がないので少し先の斜度も分からない。最後の急な斜面は雪崩を引き起こしながら雪と共に滑り降りた。
下りきると、平坦な雪原となって小屋の方向がさっぱり分からないが、先ほどの登山者の足跡が小屋の方向から来ているっぽいのでそれにそって進むと小屋が見えた。小屋に入る頃には風雨になってきた。
小屋の中は先ほどの登山者の物と思われる装備が陣取られていたが、玄関からそこまでは土足で歩いた後がある。信じられん!その人が歩いた場所以外も、床の上は全体に砂っぽくなっており、とてもそのまま泊まる気にはなれないので、とりあえず掃除をすることにする。壁のフックには残飯らしき物が入ったビニール袋が放置されていた。トイレには空のペットボトルが散乱している。一体最近の登山者のマナーはどうなってるんだ。白雲小屋には何度も来ているが、こんなに酷い使われ方ははじめてだ。
けっこう濡れた物もあるので、小屋の中にテントを張ってストーブに火をつける。ようやく落ち着いた頃に、先ほどの登山者が戻ってきた。更にしばらくしてから他の登山者がずぶ濡れになってやってきた。先に来た若い人はアタック装備で、後から来た年輩の人は全装でやってきたので、別々のパーティだと思っていたが、その後一緒に食事をしていたのでどうやら同じパーティだったらしい。それにしてもこの二人は我々とろくに目を合わせようともせず、終始アヤシげな雰囲気だった。まあ、いずれにしても小屋の中を土足で歩いて泥だらけにするような神経の持ち主とはあまりお近づきにはなりたくない。
ラジオを入れるとちょうどファイターズの中継をやっている。連続無失点イニング数の日本記録がかかった試合。投手は先週好投してこの記録の足がかりを作った吉川。2回はピンチを作りながら何とか切り抜けてタイ記録。次の回についに新記録がかかる。気になるところだが、ここで天気図の時間だ。
天気図は現役二人に取らせ、私は自分のラジオで野球中継に耳を傾ける。3回の吉川は、先週の吉川は一体誰だったんだろうと思わせるようないつもの吉川っぷりであっという間に自滅。日本記録を目前に失点を喫する。
雨と風はますます強くなる。天気図を見てみても希望は持てない。ラジオでは竜巻注意情報が流れている。明日は無事に帰ることが出来るだろうか。ファイターズは結局試合にも負けてしまった。ビールを飲んで、夕食を食べたらお腹がいっぱいになったらそのまま眠ってしまった。そういえば、この雨と風の中、中岳温泉に泊まると言っていたあのお兄ちゃんは無事だろうか。
2011年06月05日(日)
起床は3時の予定だが外の雨と風はまだまだ強く起きる気にならない。目が覚めたので5時にラジオをつけて天気予報を聞く。どうやら道内の下界は回復傾向のようだ。起床して出発の準備をする。
これ見よがしに小屋の掃除をして撤収。雨はやんで、風はだいぶ収まってきている。現役二人はアイゼンをつけて雪渓を登る。視界がないのでコンパスが頼りだ。何とか稜線上の分岐にぴったりと到着。登山道は探すだけ無駄なので適当に雪渓をつないで進む。雪渓をトラバースしていくと、昨日のトレースにぶつかった。
出発時は昨日のルート通りにエスケープしようと思っていたが、雨はやみ、風は相変わらず吹いているものの何とか行動できそうな程度となっているので、当初の予定通りにお鉢を巡り、旭岳はカットするが北鎮岳にはアタックすることにする。
北海岳からはもろに向かい風となる。北海岳は昨日写真を撮ったので、そのまま通過する。すぐに松田岳だが、×印が刻まれた古い三角点らしき崩れた岩があるだけ。現役二人はそこが松田岳であることに気づかずに通過してしまう。雪解けのせいか雨のせいか、登山道は濡れて状態が悪い。
荒井岳は間宮岳手前のちょっとした出っ張り。間宮岳は更にまったり。中岳分岐を通過して、岩場の風下で風をよけて休憩する。中岳を通過するとじきに北鎮分岐となる。なかなか良いペースで進んでいる。北鎮岳の登りはふくらはぎに堪える。北鎮岳ピークで一瞬でも良いから晴れないだろうかと淡い期待をしていたが、そうそう甘くない。天候は回復せず相変わらず風は強い。
ピークからは雪渓を滑り降りる。イトービニール袋に雪を詰めて、私とタノはテントマットをソリ代わりにして滑る。霧が濃いので先が見えないが、惰性で下っていけばそのうち目的地に着くだろう。ホームセンターで買った安物のテントマットはあっという間にボロボロになってしまった。
そのまま谷の雪渓を歩き、黒岳避難小屋に直接出る事にする。避難小屋直下で雨が降り始める。トイレの軒先で雨宿りしていると、本降りになってきてしまった。しかし、そのまま待っていても埒があかないので出発する。
雨はにわか雨で、黒岳山頂に着く頃には上がった。黒岳直下の雪渓をグリセードで快調に下り、あっという今にリフト終点に到着。レストハウスで雨具を脱いで長い下りに備える。下りはロープウェイを使わずに登山道を降りる。
層雲峡に到着する頃には空は晴れ。しかし空からは時々雨粒が落ちてくる不思議な天気。温泉はいつも貸し切りの銀泉閣。しかし、揚々と体を洗い、露天風呂に入ろうとしたら、ほぼ完全な水。残念すぎる。仕方がないので、内風呂でビールとスポーツ飲料で乾杯。そしてお約束の上川ラーメン。今回はあさひ食堂へ行く。現役二人は「限定」に乗せられて「幻の塩ラーメン」。私は普通にしょうゆ野菜ラーメン。幻の塩が幻だったかどうかはヒミツ。
ガソリンを補給し、高速に乗って一気に帰蘭。室蘭は遠い。