- 目的
- 広尾岳北面直登沢・斑計山東面直登沢遡行
- 日程
- 2007年09月30日(日) - 10月01日(月)
- 山域
- 極南日高
あわよくば西広尾川から登頂出来る全ての山に登ってやろうと出かけたが、さすがにそう甘くはなかった。広尾岳と斑計山に登って力つきた。西広尾川は大きなイワナが泳ぐ沢だった。
行程
2007年09月30日(日)
広尾市街の中心にある、鉄道記念公園とやらで車中泊をした。住宅街の中でもあるので、どうにも落ち着かない。
2007年10月01日(月)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
04:30 | 起床 | ||
06:10 | 快晴 | 出発 | |
08:35 | 広尾岳 | ||
09:40 | Co600 二股 | ||
11:30 | 斑計山 | ||
12:50 | Co450 | ||
13:30 | リターン | ||
14:50 | 下山 |
広尾の中心街から山に向かって走る。道は非常に立派だ。どうやらこの道は札楽古に抜けているらしい。途中から茂寄幹線(もよりかんせん?)という脇道に入る。巨大な砂防ダムをいくつか通過し、道は徐々に荒れてくる。道は Co290 二股まで続き、その先は荒廃して通行出来なくなっていた。その少し手前で枝道が左に分かれていたので、戻って降りると、ちょうど広尾岳北面直登沢出合の河原だった。
広尾岳北面直登沢
ここに車を駐車して出発する。どうにも沢の水量は多いようだ。対岸にも道は延びているようなので、とりあえず渡渉してその道を進む。少し行くと、登山道の案内看板があった。看板の文字はすっかり色あせて、ほとんど判読することは出来ない。道は本流の右岸に延びているが、途中から背丈以上の笹藪に覆われてくる。地面をはいつくばって通過していくが、かなり鬱陶しい。ずっとこんな調子ではやってられんので、本流と合流したところで沢に戻った。というか、どうやら道はこのあたりから左岸の北尾根に取り付いているらしい。
その後も沢沿いには広い河畔が広がり、古い林道の跡や人工改変の雰囲気を感じる。 Co450 で左岸から3~4本のルンゼを合流し、沢は大きなS時を描いてカーブし、ややガレ気味となる。その突き当たりでようやく滝が落ちてくるのが見えた。
まずは二段の斜瀑である。それほど難しそうには見えないので適当に取り付く。下段は左岸を直登する。しかし、水量が多いしちょっとヌルヌルしているので意外とやっかいだ。上段は右岸の草付きへ逃げた。チョックストンを持った小滝は右岸をへつって越え、次の大きな滝は左岸を直登する。階段状の簡単な滝だが、やはり水量とヌルヌルがやっかいだ。もう少し暖かい時期なら思いっきりシャワーを浴びるところだが、さすがにこの時期にはつらい。
ここからしばらく快適な小滝が続く。遠くから見ると時々大きな滝も見えるが、近づいてみればたいしたことはなく、問題なく通過していく。それにしても、小さな川なのに水量が多い。
Co950 二股は、右に行けば早めに尾根の登山道に出られて楽そうだが、あえて左に進む。渓相は一気に小さくなり、苔むした石段となり始める。小さいながらも水量は豊富で、このままピーク付近まで行くのかと思いきや、水流は Co1050 で岩の割れ目の中に消滅する。その上の崖をよじ登ると、薄い藪の沢形はなおも続いている。 Co1180 付近でついに藪に突入したので、右寄りに進んでいくとすぐに尾根筋の登山道に出た。
ピークには例の紫色の看板が、半分朽ちながらも立っていた。空は雲ひとつ無いスカ天。さすがにここまで南に来ると、あまり日高の雰囲気はない。海が間近に見えるのが新鮮だ。これから進む、斑計山の東面上部はかなり濃密な藪のように見える。
広尾岳西面直登沢(西広尾川本流左股)
今日はあわよくば3つのピークを踏もうともくろんでいるので、先を急ぐ。下りは西面を下る。ピーク直下はハイマツだが、うまいこと詰めればそれほど苦労しないでピークに出るだろう。ハイマツの下は薄い藪のダケカンバ林となっている。すぐに沢形に出る。しばらくは涸れ沢が続いていた。 Co1000 二股から水流が出始める。
Co900 付近からぼちぼち滝が出始める。いくつか大きなものもあったが、適当に高巻いて通過していく。途中にはピンクテープがあったので、この沢を利用している人もいるようだ。徐々に河畔が広がり、 Co600 で太陽を浴びる。ここで水量は一気に多くなっている。
斑計山東面直登沢
ここから右股に入り、斑計山を目指す。しばらく真正面から太陽を浴びながらの遡行となった。すぐに明るく開けた三股となる。右は水量の少ない枝沢、左が本流である。真ん中の沢に進む。しばらくは苔むした岩の多いゴーロの沢である。 Co740 付近に 三段の連瀑がある。二段目までは特に問題なく右岸を直登した。三段目は左岸の草付きを攀じってから、フェイス状をトラバースして落ち口に出た。
この後はいくつかの小滝が出てくるだけで、ひたすら単調な渓流であるが、苔むした岩が独特の雰囲気を醸し出している。どちらかと言えばブタ沢の範疇に入る沢であるが、良いブタ沢である。源頭も苔むした岩が敷き詰められている。ここまではすばらしい雰囲気の沢であったが、ここから先は濃密な笹藪に突入する。時々ダケカンバに登って周囲を見渡すが、逃げ道はない。予想通りとは言え、太いネマガリダケの藪漕ぎにはうんざりさせられる。ピークまでみっちりと標高差 100m 以上の藪漕ぎとなった。
斑計山北面直登沢(西広尾川本流中股)
斑計山北面にはハイマツを苅り分けた跡があった。上部は薄い藪のダケカンバ林でしばらく下がると、笹藪に突入した。広い斜面を適当に下ったので、明確な沢筋が上部までのびているかどうかは不明だ。
広い河畔の渓相である。ぼちぼち小滝も出てくるが特に印象には残らない。 Co780 付近の大きな滝だけは右岸を高巻いて降りた。 Co700 付近はやや狭い喉になっているが、小さな滝がひとつあるだけである。その後は河畔は一気に広がっている。
すたすたと歩いていたら、足下でうにょうにょと動くものがあって、危うく踏んづけそうになってあわててよける。よく見ると 25cm くらいのイワナだった。すかさず手づかみで捕まえようとしたが、岩間を縫って水流に戻っていった。
その後も単調なゴーロをがんがん降りて、水量の多い左股と合流した。
ピロロ岳南東面直登沢(西広尾川本流右股)
ここまでどれだけ時間を短縮してたどり着けるかと思っていたが、結局予測時間通り7時間かかった。ここからピロロ岳まで往復すると、4~5時間か。明るいうちに往復するのはかなり微妙な感じだな。でも、このまま下山するにはちょっと早いので、行けるところまで行けることにする。
すぐに滑滝が連続してきてなかなか楽しい沢だ。しかし、先ほどよりも相当ペースは落ちている。ついに足は重たくなり、どう計算しても明るいうちにピークにたどり着くのは無理そうだ。一通り下部の滑滝を楽しんだところでリターンを決定する。
本流は水量が多く、河畔は藪藪で意外と歩きにくい。河原と藪と作業道跡を適当に歩いていたら、いつの間にやら本流から外れて一本左側の支流に入り込んでしまったようだ。この沢の左岸には作業道が平行しているようだが、荒廃していて藪が深い。
ぼーっとしながら淡々と歩いて、 Co290 二股で林道に上がった。ピロロ岳にはまた来ると思うが、この長い下流域を歩くと思うとかったるいなあ。