重箱の隅をつつくシリーズ。コイボクシュメナシュンベツ川から十勝岳の南西面に突き上げる支流を遡行することとした。断続的に雨が降り続くあいにくの天候で、途中で心が折れそうになったが、何とか最後まで遡行し終えた。当初は源頭まで行って引き返すつもりだったが、途中に大きな滝があったので、ピークまで詰めて南面直登沢を下る羽目となった。
行程
2007年07月20日(金)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
04:00 | 霧雨 | 起床 | |
07:50 | 曇 | 出発 | |
08:45 | 雨 | Co560 | |
10:05 | 霧 | Co920 | |
14:15 | 下山 |
前日はトヨニ岳下山のあと、楽古山荘に宿泊した。平日なので貸しきりかと思っていたら、本州からの先客が居た。その人は朝3時には起きて、まだ暗いうちに出発していった。天気は予定通り悪い。霧雨が降っている。昨日からカップ麺しか食べていないこともあってか、なんだかやる気がわいてこない。空を見ながらうだうだとしているうちに、8時近くになってしまう。雨は一段落付いた感じなので気力を振り絞って出発する。林道にはフキがぼうぼう生えている。雨に濡れたフキのせいで、沢にも入っていないのに下半身はずぶぬれになる。入渓して10分ほどで左から合流してくる南西面沢に入る。
十勝岳南西面沢
![下部は滑が断続する Co480 滑床[image/jpeg:87kB]](https://www.whochan.com/files/thum_0152175387.jpg)
![いかにもという樋状の滝 Co530 樋滝[image/jpeg:79kB]](https://www.whochan.com/files/thum_0152175388.jpg)
沢は広い河畔に蛇行しながら流れている。出合からしばらくは荒れ気味だ。少し行くと滑が断続している。 Co530 の樋状の滝を過ぎると鬱蒼とした感じから少し開けた感じになる。ちょうど雨が強く降り始める。とりあえず雨具を着る。天気の回復は見込めそうにないので、ここから引き返してしまおうかと考え始める。10分ほど雨に打たれながら休憩していたら、少し弱くなったので気を取り直して先に進むことにする。まぁ、ピークは目指さず、行けるところまで行って、藪が出てきたら引き返してもよい。
![Co650 二股は大きな二段の滝になっている Co650 大滝二段[image/jpeg:94kB]](https://www.whochan.com/files/thum_0152175389.jpg)
滝をひとつ越え、 Co640 の滝を登ると二股になって、右は二段の大きな滝になっている。下段は左岸を直登し、上段は右岸を直登した。まとめて右岸から巻いても良いだろう。更に滝が続き、水流を直登した。
![大きな斜瀑も出てくる Co700-730 斜瀑[image/jpeg:88kB]](https://www.whochan.com/files/thum_0152175390.jpg)
![ここはあえてシャワークライム Co750[image/jpeg:87kB]](https://www.whochan.com/files/thum_0152175391.jpg)
![函滝は右岸側壁を斜上する Co780 函滝[image/jpeg:93kB]](https://www.whochan.com/files/thum_0152175392.jpg)
ここから屈曲ごとに滝が出てくるが、特に難しい物はなく、快適に直登していく。 Co700-730 の大きな斜瀑は水流左岸のクラック状を直登し、落ち口で右岸にトラバースして抜けた。 Co750 の滝はあえてシャワーを浴びながら左岸を直登した。続く函状の滝は右岸のバンドを斜上した。
![大きな滝が行く手を阻む Co830-890[image/jpeg:66kB]](https://www.whochan.com/files/thum_0152175393.jpg)
Co800 二股の小さな滝を登ると、正面に巨大な滝が落ちて来るのが見える。この手の滝が出てくることを予想していなかったので、往復するつもりだったが、こいつを登ったらもう引き返すわけにはいかなそうだ。周囲は植生の少ない壁で、高巻くのはかなり手間がかかりそうだ。とりあえず手前の滝を登り、大滝の基部に立ってみる。直登出来ないかと右岸に取り付いてみるが、うまくいかない。左岸を直登すれば、上まで抜けられそうだが、途中が立っていて越えられそうな気がしない。右岸から巻くことにする。まずは、右岸のルンゼをよじ登る。ルンゼの上のガレが非常に不安定で、上に立つとガラガラと崩れ始める。更にルンゼを滝の高さまで登り、側壁をトラバースする。わずかな灌木をつかみながら行くが、足下は垂直草付きの壁。慎重に1ラインのバンドを進む。滝上部に出たところで、カンテに沿って滝の上に降りる。トラバースルートは上も下も垂直に近い草付きで、少しでも踏み外すとマズい。
滝は更に二段三段と続いているが、技術的には問題ない。小滝をいくつか越えて、 Co1050 付近で左右からわき水が出るお椀状の滝を過ぎると、ここから先は一気に笹藪の覆う沢に突入していく。雨に濡れた笹のトンネルは鬱陶しい。 Co1200 付近で沢筋はいったん途切れるが、我慢して地形図通りに進むとまたすぐに復活した。笹のトンネルを抜けてお花畑に出ると、ついに沢形が消滅した。左に少し藪ぐと、すぐに尾根に出た。ほんの少し我慢してハイマツを漕ぐと、明瞭なシカ道のある東尾根に合流した。
十勝岳南面直登沢
今回で十勝岳の沢を遡行するのは8回目になるが、今まで一度も晴れたことがない。天気の悪いピークに今更何のこだわりもないので、ピークまで行かず、西の肩から南東面直登沢に直接降りることにする。稜線から高度差 100m ほどは沢筋のない藪が続く。 Co1150 でピークに直接突き上げる沢と合流するが、ほとんど沢の体をなしていない。この沢を下るのは三度目になるので、特に書くことはない。淡々と歩き、楽古山荘に到着した。