春合宿 無意根山~喜茂別岳

ふ~ちゃん
目的
春合宿 無意根山~喜茂別岳縦走
日程
2006年02月24日(金) - 26日(日)
山域
札幌山群

行程

2006-02-24
室蘭~薄別登山口~薄別ルート~無意根尻小屋付近 C1
2006-02-25
C1~無意根山中岳~P1225 C2
2006-02-26
C2~喜茂別岳~黒川~国道 下山

メンバー

C.L
ふ~ちゃん
S.L
はるか
M
シゲ
秋豆

装備

2006年02月24日(金) 薄別林道~無意根尻小屋

荒川静香

なんだってこんな日に出発にしたもんだか。おれは女子フィギュアのフリースケーティングが見たいのに。テレビにかじりつきたい気持ちを抑え、室蘭へ向けて出発。ラジオをつけるが実況はしていない。まぁ、はじめは外国の下位選手だからな。

5時きっかりにシゲの家に着く。出発時間まではまだ間があるのであがらせてもらいテレビを見せてもらう。ちょうど安藤の滑走組で、安藤がコケまくるのを見てから部室へ向かった。ラジオでもようやく実況中継が始まっていた。部室では泉が相変わらず要領悪そうに準備をし、はるかがシュラフにくるまって寝ていた。秋豆も少し遅れてやってきたが、なにやらプラブーのインナーが見あたらないといっている。エー?

カーステレオでフィギュアの実況を聞きながら、さて、そろそろ装備を積んで出発するかと思っていたところ、2年生2人がテントがどうとかいって右往左往している。ジャンボエスパースのポールが折れていて建てられないからどうしようとか言うのだ。はぁ?そういう確認は前日までにすませておけよボケタコカス。しかも、よく見ると折れているというポールは2組あるもののうち、ボロい方のものだ。私が乱雑に散らかった部室の荷物をちょっとどけるとすぐにまともな方が出てきた。普段から部室を整理しておかないからこういうことになるんだ。まったく。

すぐに新しい方のポールでテントを立てて点検させるが、やっぱりポールが曲がってるだのどうの言っている。ああ、うざい。すぐさま折れたポールを分解して折れていない部分を組み合わせてポールを作る。なんでこのくそ寒い中俺がこんなことまでしないといけないんだ。日頃から部室を片づけて装備の点検をしておけば10分とかからない出発前の確認に1時間半を要した。くそっ

ラジオではコーエンが転倒し、荒川がノーミスで演技を終え、さあ得点はというところでなんとラジオ体操に切り替わった。ぉぃぉぃ!一番肝心なところだろうが。しかも次は村主だし。あほかと。何でそんなところできっちりしなきゃならんのだ NHK !とか思いながらようやく部室を出発。秋豆のプラブーは結局見つからず、仕方なく革靴で行くことにする。そして、ラジオ体操が終わったところで村主の演技は終わっていた。おーい(苦笑。そして、スルツカヤがプレッシャーで自滅し荒川に金メダルが転がり込んだ。うーん。映像で見たかったぞ。

薄別林道

部室を出て2時間半、中山峠を越えていったん定山渓まで行き、派出所に計画書を提出する。薄別登山口に向かい、入り口に車を止める。入り口にはすでに3台の車が止まっている。先ほど通過する時、ちょうど出発の準備をしていた。多分、北大山スキー部関係の人たちだろう。

さあ出発[image/jpeg:127kB]
さあ出発

シールをつけていると、シゲがシールを間違えて持ってきて、つけられないとか言っている。一番しっかりしていると思っていたシゲまでが。全くもう。スキーが短めで、テールを切ってなかったはるかのシールと交換してもらってとりあえず出発。先が思いやられる。


薄別林道[image/jpeg:167kB]
薄別林道

雪は締まり、トレースははっきりしているので歩きやすい。が、ペースはあがらない。平滑な道を歩くだけで苦労する状況がいつまで続くのだろうか。年々山行数が減り、上級さえも経験不足は否めない。歩行技術などは本人の努力次第なのだが、その意欲が伝わってこない。試験後に蘭岳に行って練習する約束になっていたはずなのだが、それすら行っていないらしい。こいつら本当にやる気があるのだろうか。わざわざこうやって引率することがアホらしくなってくる。


長い・・・[image/jpeg:75kB]
長い・・・

読図をしても、1年の秋豆などはどこを歩いているかすらわかっていない。部会でしっかりと確認を行っておくように指示していたはずだが、おそらくろくなミーティングをしていないのだろう。近年の緊張感のなさすぎる部会をこのまま続けていけば、いつか大きな問題を引き起こすのではないかと気が気でない。そして、まもなく部を率いていこうという2年生までも、ろくに読図の仕方を理解していない。私がコンパスを使って現在地を指し示すと、「そういう使い方があったのか」などといって感心している始末だ。今まで山で何をしてきたのか、そして上級生は何も教えてこなかったのか。呆れるばかりだ。


天気図を書く[image/jpeg:94kB]
天気図を書く

小屋まで半分を切ったかという頃、先頭を歩いていた泉のペースが乱れる。靴ずれで足が痛いという。まったく、世話がやける。靴を脱がせて布テープを貼って予防処置。ふつう、靴擦れといえばかかとや親指などがなるが、泉の靴擦れは土踏まずの皮が大きくたるんでいる。変なところが靴擦れになるもんだ。見ていると、靴の履き方がなんか変。こいつの適当さはもうちょっと何とかならんもんか。

なんだかんだで大蛇ヶ原についた時、ふと時計を見ると、すでに16時近く。あわててツェルトを出してシゲに天気図を取らせて、残りのメンバーは先に小屋まで行かせる。

無意根尻小屋

天気図を書いたところから10分ほどで無意根尻小屋に到着。小屋の前でブロックを積んでテントを張る。春のこの時期になってブロックの積み方からレクチャーしなくちゃならんとはいやんなる。

無意根尻小屋[image/jpeg:72kB]
無意根尻小屋

ブロックを積んでいると、山スキー部の人たちからお誘いを受けたので、不要な装備をテントにおいて、小屋の中で夕食をさせてもらう。飯はラードギトギトのペミカンでカレーライスだ。そのペミカンを作った本人はあまりの脂っこさにダウン、椅子の上に横たわってしまった。

残りのメンバーは食器を持って山スキー部の席へ。山スキー部の構成は現役数名と OB 、それに「スキーツアー」とやらのお客が3名ほど。現役の1人は雪洞を掘ってビバーク訓練の最中らしい。春合宿は日高、十勝、知床と、いずれも高度な場所だ。現役の連中が彼らとのギャップを感じて発奮してくれればいいのだが、おそらく奴らは何を話しているのかもよくわかっていないのだろう。

山スキー部の人たちから、「芸でも」なんて振られたので「おまえら自己紹介でもしたら?」とか言ってたら、なぜか山スキー部の方から 一般的な自己紹介 が始まってしまう。最後にこちらの現役に回ってきて2年生は渋っていたが、シゲが口火を切って 普通の自己紹介 をする。

もうちょっといろいろと話もしていたかったが、明日も早いので早々に切り上げてテントへと戻った。

2006年02月25日(土) 無意根尻小屋~無意根山中岳

シャンテ

出発の準備[image/jpeg:187kB]
出発の準備

みな冬山・・・と言うより山での宿泊経験が不足しているので、出発が遅れるだろうと、少し早めの5時に起床する。しかし、準備の手際の悪さは予想以上で、結局2時間半もかかって出発する。小屋から南にコンパスを切ってシャンテ(テラス)の末端を目指す。小さなギャップがいくつが出てくるが、ちょっとした斜面を登るだけで悪戦苦闘しているのを見ると、先が思いやられる。1年2人はOB会山行でみっちり鍛えたかいあってか、だいぶ登りには慣れてきたようだが、来年度部長になるとか言っている泉が足を引っ張る。おまけに頼りのはるかのビンディングがやたらとはずれて予定外に時間がかかる。


追い抜いて行く山スキー部[image/jpeg:197kB]
追い抜いて行く山スキー部

1ピッチをかけてようやく尾根末端に出る。今日は予報通りに久々の改心のピカ天。稜線から突き出た雪庇もよく見える。気温もぐんぐん上がって汗ばむほどだ。ちんたらとシャンテに向かってのぼっていると、後ろから山スキー部が追いついてきて、あっという間に追い抜いていった。あちらのパーティを引っ張るのは、もちろん現役2年生だ。こちらの2年生とは大違い。分かっていたことだが、間近にその違いを見せつけられるとかなりショックだ。


テラスを行く[image/jpeg:84kB]
テラスを行く

テラスに上がって先頭のはるかのペースが落ちたので、どうしたのかと聞くと、脚が痛いと言う。肉離れの癖があるというのだ。ちょっと心配だが、本人が大丈夫だというので先に進む。そうこうしているうちに山スキー部の人たちは既に稜線に上がり、スキーを楽しんでいる。はじめの方に降りてきたゲストの人やOBたちは雪面をポップしながら美しいシュプールを描いてくる。羨ましい限りだ。現役組はさすがにまだまだつたない滑りでちょっとほっとする。

無意根山

無意根山へ向かう[image/jpeg:39kB]
無意根山へ向かう

稜線に上がるとさすがにちょっと風があって肌寒い。長い頂稜を歩いて看板に到着する。東側には雪庇が発達している。雪の状態を確認しに、南側斜面へ偵察に行ってみるが、雪質は全く良くない。クラスト気味でろくなスキーは出来そうにない。シールをしたままスキーで下るが、下り始めて案の定、ペースが一気に落ちる。ここはスキーを外してツボで降りてもいい場面だが、目標到達地点までさほど距離はないので、多少時間がかかってもまぁいいか。


無意根の斜面に悪戦苦闘[image/jpeg:60kB]
無意根の斜面に悪戦苦闘

はるか、秋豆は苦戦しながらもそつなく少しずつ下っていく。シゲは下りに関しては正直言ってまだまだ全然まったくダメだ。ダメというか、おそらく野外で遊んだことがある人間なら普通に持っているだろう運動神経やバランス感覚という物が感じられない。斜面の変化、状況の変化に対して反射的に体が動いていない。スキーという生まれて初めての体験に対して全く対処できていない。完全に 頭で考えて 行動しているのだ。夏のでも感じたことだが、本当にこいつは正真正銘の都会っ子のもやしっ子なのだと実感させられる。先のことを思うとかなり絶望的な気持ちになるが、ここまで来たらもう本人に頑張ってもらうしかない。そんな状態でも一番後ろは泉だ。泉は札幌育ちで、ゲレンデならおそらく一番うまいだろうが、大きな荷物と道具の違いに戸惑っているのだろう。今さら泉にスキーの技術など教えてもしょうがないので、後は一所懸命「山スキー」になれてもらうしかない。


中岳へ[image/jpeg:61kB]
中岳へ

ピークからコルまでのわずかな距離を下るのにみっちり1ピッチだが、今日はあと中岳を登って適当なところに天張るだけだ。なだらかな斜面をサクサクと進み、中岳山頂の基部へ。中岳山頂は地形図に現れないほどの小さな岩峰になっているようで、その部分だけ十数メートルだけ突き出ている。基部にザックを置いてピークにアタックする。私はスキーのまま登るが、難しいので現役にはツボで来るように指示する。なのに泉は一所懸命スキーで登ってこようとして遅れる。頑張るのはいいが、わざわざこんなところで余計な体力と時間を使わないで欲しい。

雪洞掘り

中岳[image/jpeg:43kB]
中岳
雪洞を掘る[image/jpeg:55kB]
雪洞を掘る

ピークから確認して P1225 の東側に雪洞を掘るのに良さそうな斜面が見えるので、今日はそこで雪洞を掘ることにする。コンパスを切ってなだらかな斜面を下る。 P1225 の東に延びる谷はなかなか面白そうな斜面だが、ちょっと遊んでられる時間ではない。早速雪洞を掘り始める。入口を掘り下げ、横穴を掘り始めると、程なく雪が固くなってくる。これはなかなか苦戦しそうだ。しかも5人が横になるスペースを確保しなくてはならない。みんなで交代しながら掘り進むが、今までになかったぐらい手強い雪面だ。結局掘り上げて中で落ち着くまで3時間近い時間を要する。


雪洞内[image/jpeg:63kB]
雪洞内

入口を閉じて中で飯を炊いている時にロウソクをつけさせるが、火がつかない。早速酸欠のようだ。今夜も昨日と同じ油ギトギトのペミカンのカレー。昨日は秋豆がダウンしていたが、今夜は俺がギブアップ。

2006年02月26日(日) 喜茂別岳~国道

喜茂別岳

手探りの行進[image/jpeg:18kB]
手探りの行進
ぱったり・・・[image/jpeg:27kB]
ぱったり・・・

朝飯を食って、入口を破壊し雪洞を出ると、外は地吹雪で視界なし。参ったな。とりあえずコンパスを切って喜茂別岳へ向かう。とは言ってもほとんど目標物のないなだらかな稜線。ろくに現在地は分からない。ほとんど勘で進むしかない。 P1259 は東側をトラバースし、下りの斜面は左右に広めにジグを切って下っていくが、あまりにも広い尾根で一体どこを歩いているのかさっぱり分からなくなってくる。とにかく斜面の上り下りだけを頼りになんとなく現在地を特定し、高い方へ向かって進み喜茂別岳に到着。


喜茂別岳[image/jpeg:66kB]
喜茂別岳

喜茂別岳の稜線上は南からものすごい風が吹いて、時折、立っているだけでもやっとの突風も吹く。かなり強烈な低気圧が接近しているようだ。なんとか喜茂別岳の三角点まで進み、北側の斜面で風をよけて休憩する。黒川の出合に迎えに来てくれる予定になっているかんちゃんに電話するが、連絡がつかない。この天気ではヒッチも余り期待できないので、かんちゃんが頼りなのだが、ちゃんと来てくれるだろうか。


風をさけて後続を待つ[image/jpeg:58kB]
風をさけて後続を待つ

休憩している間に益々強くなってきた風の中、小喜茂別岳へ続く稜線を目指していると、下から登ってきた4人組パーティとすれ違う。この天気なのにデポも持っていないところを見ると、おそらく GPS 党の一派ではないだろうか。益々広くなる尾根を進むが、さっぱり現在位置は分からない。なんとなくこの辺だろうと南に向かって降りていくと、急斜面に出た。おそらく尾根西側の Co1050 付近の斜面と思われるので、その急斜面を見ながら東にトラバースしていくと、モービルのトレースがたくさん付いた台地状の地形に出た。

迷走

目的の尾根に出たと思い、皆にシールを外させてそこから南に向かってくだっていくと、またしても目の前に急斜面があって、今度は見事にクラックが走りパックリと割れている。モービルのトレースは先ほど休憩したところから東側に向かって広がっていたので、先ほどの尾根西側の急斜面の続きに出たものと勘違いし、更に東に向かってトラバースしていく。しかし、降りても降りてもなかなか尾根筋らしきものに当たらないし、なんだか様子が辺だ。どうやら尾根を見落として東に降りすぎたようだ。

みんなには申し訳ないが、シールをつけなおさせ、500メートルほど引き返す。すると、先ほどより少し視界が回復し、先ほどのクラックのわずかに東側の下方になんとなく尾根筋のような物が見え、スキーのトレースが続いている。この小喜茂別岳へ向かう尾根は Co1000 ほどで尾根筋が消滅しており、上から無視界無目印で迷わずここを通過するのは至難の業だろう。

黒川

おそらく、見つけたトレースは先ほどすれ違ったパーティの物だろう。こっちが迷っている間に追い越されたに違いない。トレースを辿って下り、 Co900 ほどで再びシールを外す。今日はここまでなかなか健闘してきたシゲだが、シールを外したとたんにうまくコントロールできなくなる。しかも、遅れることに焦るのか、斜面の見極めが出来ないのか、絶対に自分ではコントロールできないような滑り、しかも踏ん張りが効かずにあまりにも簡単に転ぶので、余計に時間がかかる。というか、今のシゲの状況では絶対に滑りながらターンをするなど出来るわけがないのに、それをしようとしているために確実に転ぶのだ。積極的な姿勢はいいのだけれど、もうちょっと基礎から作っていかないと、逆に上達は遅れるだろう。ここは無理にシールを外さなくても良かったかな・・・。

ちょっと時間的にヤバくなってきたので、いい加減「体で覚えろ」などと言っている場合でもない。仕方がないので、私がシゲがおそらくこれくらいなら滑れるだろうという緩傾斜で滑り、キックターンでターンをして、それに沿って滑らせる。私自身全く楽しくないが、勝手に滑らせておくよりよほど速い。場所によっては泉や秋豆を追い抜いていく。教えると教えたとおりに出来るところを見ると、シゲの場合、やはり体力や運動能力がないわけではないのだが、自然の中で体を動かすことの経験不足があまりにも大きいようだ。理解力が誰かさんと違ってあるのが救いだ。

下るにつれて雪は腐り、スキーの下にべたべたとへばりついて団子になってきた。に降りるとスキーは全く滑らず、益々時間を食う。国道が近づくと雪はみぞれ状態になってきた。雪はたっぷりと水を吸い、斜面は今にも雪崩れそうで怖い。シゲはさすがにヘトヘトできつそうだ。雨で皆ずぶ濡れになったが、それでもなんとか無事に黒川出合に到着した。

帰還

帰還[image/jpeg:33kB]
帰還

予定時間をとっくに過ぎているが、かんちゃんはいない。待ちくたびれて帰ったかもしれない。一応、小喜茂別岳の登山口まで行ってみるがやはりいない。先ほどのパーティの車もない。この雨の中ヒッチ厳しいなあと思いながら、黒川出合に戻る途中、正面からパッシングしてくる車がある。かんちゃんだ。助かった。

かんちゃんは2時間ほど前に来て、すでに薄別登山口との間を2往復目だったらしく、今度見つからなかったらどうしようかと思っていたところらしい。この天候の中を中山峠を行ったり来たりさせて申し訳なかった。ともかく、私を薄別まで運んでもらい、礼を言ってわかれる。車を回収して黒川に戻ると、みんなは工事のスーパーハウスに上がらせてもらって休んでいた。

帰りは洞爺村のいこいの家で温泉に入り、。洞爺湖温泉のラーメンをくう。味は・・・

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