- 目的
- ピリカヌプリ北西面直登沢遡行
- 日程
- 2005年08月13日(土) - 14日(日)
- 山域
- 南日高
行程
- 2005-08-13
- ソエマツ林道~ソエマツ沢~ピリカヌプリ北西面直登沢~Co574三股 C1
- 2005-08-14
- C1~ピリカヌプリ~西尾根~ピリカヌプリ南西面下降沢~ソエマツ沢~ソエマツ林道 下山
2005年08月13日(土) ソエマツ林道~ソエマツ沢
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
08:10 | 苫小牧 | ||
12:00 | ソエマツ林道入口 | 出発 | |
15:20 | 574三股 | C1 |
今日は林道を歩いて、三股までのアプローチである。苫小牧の実家を出て神威林道を走る。ソエマツ林道入口にはおそらく釣り屋のものと思われる軽自動車が一台大ざっぱに駐車してある。限られた駐車スペースなのだから、もう少し遠慮がちに止めて欲しいものだ。その後になんとか駐車し、自転車を荷台から降ろして出発する。林道ははじめから登り勾配が連続し、自転車といえども楽ではない。今日は気温も高く、ひどく汗だくになる。2泊の予定の山行だが、荷物がやたら重たく感じる。林道歩きでは水は貴重だが、必要最低限を残し、軽量化のために捨てる。
結局大部分を手押しで林道終点に到着し、自転車を残置し、入渓する。沢はひたすら河原である。直登沢に入っても河原が続き、 574三股に到着する。ソエマツ沢にはかなり釣り人も入っているようだが、この辺りはまるで魚がいそうな気配はない。時間も遅いし、今日は釣りはせずに焚き火をおこして終了。明日はピリカヌプリピークで幕営予定だが、今日の調子だと、この荷物を担いで登るのはちょっときつそうだ。アタック装備なら日帰りできるだろうか・・・
2005年08月14日(日) ピリカヌプリ北西面直登沢遡行~南西面沢下降
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
04:00 | 起床 | ||
05:05 | 曇 | 出発 | |
08:00 | 霧 | Co1100 | |
09:35 | ピリカヌプリ | ||
11:10 | Co1200 | ||
12:50 | 574三股 | 回収 | |
14:35 | 雨 | 林道終点 | 自転車 |
15:35 | 曇 | ソエマツ林道入口 | 下山 |
ピリカヌプリ北西面直登沢
悩んだあげく、今日はアタック装備で行くことにする。空は曇り。どうもパッとしない。シュラフ等不要な装備をスタッフバッグに詰め、近くのダケカンバの枝にひっかけて出発。天場を出てもしばらくは河原が続く。 Co650 の右岸のルンゼを見てからようやく小滝が現れ始める。まずは序の口とも言える小滝を快調に直登していくと、 Co680 で両股の滝を見て徐々に険谷の片鱗を見せ始める。 Co690 の滝は左岸のバンドをつたって直登可能。この上部は真っ暗な函になって直登可能な滝がひとつかかっている。
この滝を登った Co710 二股の先は妙に明るく開け、ガレが溜まっている。突き当たりで釜を持った小滝をひとつ越ると、 Co740 屈曲点からいよいよ核心の連瀑となる。1段目は一見左岸バンドから直登できそうだったが、落ち口に抜ける一手が出ない。一度下がって左岸のルンゼを詰めて高巻いていく。小さな2段目はそのままテラスをトラバースしてまとめて巻く。1段目の上部は樋状となってさらに上部はツルツルでとうてい直登不可能なので1段目は直登しなくて正解であった(Co740-750)。
更に三段ほどの連釜が続く。とりあえず一つ目を左岸のテラスから超えたところで休憩(Co755)。その先の釜は小さいが、どうやら水に浸からないと先に進めない様だ。2段目を泳いで微妙なフリクションでよじ登り、3段目は両手を右岸に飛ばして全身チムニーで通過する(Co760)。次の大きな釜を持った滝は左岸をへつって通過(Co765)。次の滝を泳いで右岸のバンドを登り切るとようやく Co770 二股となる。
左股はガレのたまった沢となり、進む右股はすぐに二段の滝がある。1段目は右岸、2段目は左岸をそれぞれ直登する(Co770-800二段)。これを登り切ると、正面にハングのチョックが挟まった深い函が現れる。1段目は頑張れば直登できそうだが、2段目のチョックはまず無理だろう。右岸からまとめて巻く。悪い草付きの岩壁をよじ登り、微妙なテラスを慎重にトラバースしていく。2段目の上は滝のすぐ上の細いバンドを行けそうだが、足を滑らせたら掴む物が何もないので、もう一段木登りを交えて登る。滝の上の小さなルンゼからクライムダウンで沢に降りる(Co800-820函滝)。
小滝を1つ2つ登り、小さな雪渓の残るガレを進むと、 Co850 の三段の大滝に出る。下の2段を簡単に登り、3段目に出る。ここは豪快にシャワーという情報を得ていたので、右岸から思い切って水流の中に飛び込んで登っていくが、途中でホールドが見あたらなくなる。おいおいそりゃないぜ。っつー事で一度クライムダウンしてしばし観察。もう一度同じ所に取り付き、途中から左手にトラバースして一部草付きをよじ登り、最終的に水流へと抜ける(Co850-880大滝)。
Co890 三股から930出合まではガレと崩れかけの雪渓が埋めている。雪渓を走り抜け、 Co930 の小滝を登ると、一見簡単そうな大きな滝が出てくる。事実、1段目は段々の滝壁をジグを切りながら自在に登り切る。続く2段目は左岸を直登できそうだったがちょっと無理。残置ハーケンのある右岸のカンテを登っていくが、なかなかどうして、これが脆くて思い切りがつかない。はてさて、どうしたものかと考え抜いたあげく、カンテの浮き石を落としながら登り切り、スラブを右にトラバースして滝の上に出る。岩が安定さえしていればそれほど難しくはないが、抜けるホールドは本当にもう、勘弁して欲しい(Co940-960)。
滑滝を登った先に見える、いかにも悪そうな函滝は近づいてみると意外と傾斜が緩く、微妙ながらも右岸のバンドを登り切ることが出来た(Co1000)。続く二段の滝は1段目は左岸のバンドから水流へ。2段目は簡単に直登する(Co1030)。この先は沢はガレに埋もれ、 Co1240 出合まで続く。
Co1240 の直登沢は右岸から水流の少ない滝となって落ちてくる岩壁で、ガスが濃いと見落とすかも知れない。この沢で最大級の滝だが、難度的には問題ない。最後の抜けはやや微妙なところもあるが、「やばさ」は感じない。あとは容易な小滝の連続する岩盤の沢となって、源頭まで続く。 Co1450 付近で水は切れ、草付きの沢形を左寄りに詰めると、 Co1570 付近で主稜線に出た。
ピリカヌプリ西尾根(春別尾根)~ピリカヌプリ南西面下降沢
すっかりガスガスで、結局ピークからは何も見えない。これで4度目の夏のピリカヌプリとなるが、すっきりと晴れたことは1度もない。諦めて下降を開始する。南西尾根にはシカ道がはっきりと付いている。このシカ道に沿って尾根を忠実にたどるが、濃い霧に阻まれて斜面の様子はさっぱり分からない。直登沢核心部に降りないように、早めに北西面に降りない様に気をつけていたら、いつの間にか下降尾根への下降ポイントを通り過ぎていた。
当初からわかりにくい下降尾根を迷走するよりは、その南側の沢を下った方が楽そうだなと思っていたので、登り返しはせずにそのまま沢に下降することにする。一応復帰できそうな場合は復帰することを考えて、 P1300 方向へトラバースしつつ下るが、尾根がどんどん遠くなるので諦める。
沢に出るとはじめはガレのたまった傾斜の緩い沢であるが、 Co1060 二股には 15m ほどの滝が出てきてクライムダウンする。やがてガレは消え、 Co1000 を切ると、岩盤の沢となって小滝大滝が連続する。中流部にはいくつかの滝が出てくるだろうとは思っていたが、予想以上に早く岩盤状の沢になってしまったので、ちょっとまずかったかなと後悔する。滝はすべてクライムダウンしていく。大きな滝は数人のパーティならラッペルの方が早いだろう。 Co880 に左岸の壁となって落ちる滝は、右岸から水流をもろに受け止めながら落ち口の直下を左岸にトラバースしてクライムダウンする。ホールドはかなり微妙。 Co860 のチムニー状の滝は右岸を巻く。
Co820 二股の下の滝はツルツルでさすがにラッペルを覚悟するが、よくよく見ると左岸側壁に踏み跡が付いている。他にもこんな所に迷い込んだ人がいるのかな?シカかな?しかってこんな断崖歩くのか?その後も深い函の中に滝が連続するが、何とかクライムダウンで下っていく。 Co740~690 まではガレとなるが、その先は再び函状となって滝が連続する。 Co620 二股の少し大きな滝を左岸から巻き気味に下ると、河原となって574三股へはすぐだ。
ソエマツ林道
意外とすんなりと日帰り往復できてしまったので、時間はまだたっぷりとある。一晩のんびりしていってもいいが、なんだか空模様が怪しい。ここにいても魚も釣れそうにもないし、今日のうちに下山することにしよう。歩き始めると、案の定ポツリポツリと始まった。途中で釣り屋の捨てたゴミなどを回収しつつ、ちょうど本降りになった頃に林道終点にたどり着き、自転車を回収する。帰りは下りが多いので、行きよりは楽だが、それでもかなりの距離の登り返しがあって消耗する。実のところ、今回の山行の核心は沢よりもこの林道だったかもしれない。林道入口にたどり着く頃には雨は上がっていた。