行程
装備
- アイゼン
- ピッケル
- ガスコンロ
- アルパインクルーザー 3000
- ゴアライトテント
地形図
食糧計画
- 4泊(夕、朝)
- 夕食
- レトルトカレー
- 米(1合)
- 朝食
- フルーツグラノーラ(80g)
- ココア
- 5日(行動食)
- 一口羊羹
- ベビーチーズ
- 一口チョコ×10粒
- 魚肉ソーセージ
- オレオ一袋
- ラーメンおつまみ
- キャンディー
- 2停滞
- 1非常食
2004年05月01日(土) オピリネップ林道~十勝幌尻岳北東尾根
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
06:30 | 晴れ | 苫小牧 | 出発 |
12:30 | 戸蔦別林道 | 到着 | |
13:10 | 出発 | ||
14:10 | 最終土場 | ||
15:00 | 曇 | Co830 | |
15:50 | Co1030 | C1 |
- 距離
- 4.102km
- 標高差
- 610m
- 登り
- 614m
- 下り
- -4m
- 平均速度
- 1.5km/h
現役のGW山行が勝幌ということなので、それに便乗させてもらって勝幌からイドンナップへ抜けることにした。今回は先生も同行するらしく、移動手段は先生の車らしい。苫小牧に立ち寄ってもらい、拾ってもらう。今日は行動する予定なので、もっと早い時間に行くだろうと思っていたら、室蘭出発は6時。そんな時間で本当に大丈夫なのだろうか。
7時20分。先生の車が到着。思った以上に大荷物で、車に荷物を無理矢理積み込む。なんだか、先生にわざわざご足労してもらった上に、こんな状況で申し訳ない。鵡川のセイコーマートで朝食を買いながら、カンに連絡を取る。カンは現在日高町の道の駅にいるらしい。帯広市内で合流することにする。
日勝峠を通過し、帯広市内のセイコーマートでカンと合流。カンは先生の車に積まれたワカンを見て、「あ、ワカンいるんだ」と一言。リーダーがワカンが必要であることを連絡していなかったらしい。アホかと。この時期の日高の稜線はワカンがあるのとないとでは全く労力が違うので、ワカンがないままでは厳しい。警察で計画書を提出した後に市内の登山ショップに立ち寄りでワカンを購入する。
さあ、登山口へGO!っと思いきや、豚丼屋で昼食をとるとかいう。ただでさえ時間が押しているのに、わざわざ遠回りまでして出発前に豚丼を食べなくてはいけない理由が分からない。しかし、便乗させてもらっている立場上、そんなことで文句を言うのも何なので、おとなしくついていく。
で、ぶた八とかいう豚丼屋だったわけだが、なんじゃこりゃ。わざわざ食うようなものじゃなかった。ぱんちょうの方が圧倒的にうまいぞ。なんだかすごくガッカリだ。
入林届箱で入山者をチェックして、戸蔦別林道を進む。しばらく入ると、坂になったカーブで雪があり、傍らにパジェロなどの車が残置してある。しかし、先生はそれを物ともせずにつっこんでいく。カンはビビリながら付いていく。その後も何度か雪が道をふさいでいたが、先生は何ら躊躇することなく雪の中につっこんでいく。しかし、オピリネップ林道入口手前500メートルでついにスタックしてしまう。ほんの50mほどの区間に30~40cmほどの積雪があるだけだが、除雪して道を切り開くにはけっこう手間がかかりそうだ。諦めてUターンして雪から脱出して、そこに車を残置して歩くことにする。大型の四駆が道を切り開いて置いてくれれば行けそうなのに、残念だ。始めに置いてあったパジェロの運転手の根性なしめ!
荷物を下ろして出発の準備をしていると、うっちーがトレッキングブーツのままだったので、「靴は?」と聞くと、「これです。」とか言う。もう、わけわか。GWの日高の稜線をトレッキングブーツで歩くって?しかも、うっちーはオーバーズボンのインナースパッツをあてにして、ロングスパッツを持ってきていないと言う。あきれるばかりだ。まぁ、それほど厳しいところまで行くわけではないので、つらい思いをしても死ぬことはないだろう。何かあったら先生とカンが何とかしてくれるだろう。
出発してオピリネップ林道に入るとすぐに雪が出始める。ここまでであればたいした距離ではないので、わざわざ苦労して除雪しなくてよかった。
どこか取り付きやすそうな尾根があれば取り付こうと思いつつ、最終土場まで来てしまう。右手に見える尾根はすっかり雪が融けてブッシュだらけだ。板を使い右岸に渡り、Co650二股まで行くと渡渉をして左岸に渡らなくてはならない状況となる。革靴ならこの程度の渡渉はなんでもないが、トレッキングブーツでスパッツすらないうっちーにこの状況が何度も続くのはちょっと厳しそうだ。ここの尾根はきっちり雪がついて大丈夫そうなので、あらたに沢を行くか尾根を行くか聞くと、しばらく考え込んだ後に尾根に行くことになる。こんな所、考えるまでもなく、尾根だよ。
時々横切るブル道を見ながら、尾根に沿って登っていく。うっちーはキックステップが出来ないはずなのに、荷物が軽いのか、体調が良いのか、サクサクと先頭を進んでいく。あらたは荷物がかなり重いらしく、遅れ気味だ。昨年の秋山行の時に、カンに荷物を持たせたことを私が酷いと責めたので、気を使ってほとんどの団体装備を自分たちだけで持っているらしい。それにしてもうっちーとあらたで団体装備の割当量のバランスが取れていないようだ。おそらく出発前に装備の重さを量っていないのだろう。
Co1030で16時を過ぎたので、私はここで天張ることにする。本山行部隊はもう1ピッチほど進むらしい。明日は早いので、とにかく夕食を詰め込んでさっさと寝る。
2004年05月02日(日) 十勝幌尻岳~札内岳
- 距離
- 9.843km
- 標高差
- 661m
- 登り
- 1480m
- 下り
- 819m
- 平均速度
- 1.0km/h
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
01:00 | 晴れ | 起床 | |
01:50 | 出発 | ||
02:10 | Co1150 | ワカン着用 | |
03:50 | 快晴 | 北尾根 | |
05:05 | 十勝幌尻岳 | ||
07:05 | P1711 | ||
10:30 | 札内岳 | ||
11:35 | P1690台地 | C2 |
昨日は本当は北尾根まで上がっておきたかったが、出発時間が遅かったため、予定よりまだかなり下だ。遅れを取り戻すべく、気合いを入れて1時起床。まだまだ真っ暗の中、ヘッドランプをつけて出発。現役部隊は1ピッチほど行くと言っていたのにかかわらず、わずか10分ほどで天張っていた。通過時に、先生に「おはようございます」と声をかけられる。彼らの起床は3時らしい。今の時期の日高でそんなにのんびりしてたらあとが大変なのに。
先生とカンには悪いが、現役の連中にかまっていたらいつになるのか分からないので、後のことはまかせて構わず先を急ぐ。少し先で雪がモナカって来たので、ワカンを着用する。北尾根合流点付近は小規模な雪庇が出ている。左側にトラバースし、小さな所から上に上がる。北尾根上はいい具合にクラストしており、歩きやすそうだ。
ピークが近づくに連れて、周囲が開けて徐々に日高の大パノラマが姿を現す。ワカンのつめを快調に効かせてすすむ。クラストした斜面にストックの先を使い矢印で見える山を指し示し山名を書いたり、雪庇の大きな所では「セッピ」と後続に注意を促すメッセージを残しピークへ。
![カムエク方面 カムエク方面[image/jpeg:73kB]](https://www.whochan.com/files/thum_0152174764.jpg)
![幌尻方面 幌尻方面[image/jpeg:86kB]](https://www.whochan.com/files/thum_0152174765.jpg)
ピークではやや風が強いが、芽室岳から楽古岳まで日高の主稜線全ての山々が確認できる。こうでなくてはカチポロに登った意味がない。
![十勝幌尻岳を振り返る 十勝幌尻岳を振り返る[image/jpeg:113kB]](https://www.whochan.com/files/thum_0152174766.jpg)
![札内岳 札内岳[image/jpeg:104kB]](https://www.whochan.com/files/thum_0152174767.jpg)
十勝幌尻岳から先は広い尾根が続く。ワカンをつけたまま札内岳へ向かう。粗いダケカンバの林が続き、南側には時々大きなセッピが発達している。ダケカンバを嫌って左に寄りすぎないように注意しながら進む。 P1710 には天場跡があり、そこから先には真新しい踏み跡がある。ワカンをつけておらず、だいぶぬかっている様子がうかがえる。ワカンスキーで一気に最低コルに降りる。このころになると、だいぶ気温も上がり、雪が腐り始める。
![札内岳~エサオマンへの稜線 札内岳~エサオマンへの稜線[image/jpeg:56kB]](https://www.whochan.com/files/thum_0152174768.jpg)
札内岳ではアイゼンが必要になると思われたが、その必要もなくワカンのままピークへつく。踏み跡は北尾根方向へ向かっている。しばし、勝幌方面へ後続の陰を探すが、全く現れる様子はないので、天場を探して移動することにする。さすがに札内の下りでワカンは危険なので外してツボにする。最低コル付近の Co1690 台地がやや広くなっているので、ここで幕営とする。
![天場 天場[image/jpeg:93kB]](https://www.whochan.com/files/thum_0152174769.jpg)
輝く太陽があまりにも気持ち良すぎる。風もなく、聞こえてくるのは鳥のさえずりだけである。
外でマットを敷いて酒を飲みながら雪を溶かして水を作る。こんな日は酒が進む。気が付くとすっかり酔っぱらって頭がほわんとしてきた。日高山脈に来て、 GW の晴れの日の昼過ぎに行動するなんてナンセンスだねぇ。昼寝じゃ昼寝じゃぁ~
ラジオでは明日の午後からの悪天を告げている。明日も午前中の行動がかぎ。早起きするためにさっさと飯食って寝ましょう。ああ、そういえば現役部隊はどうしたかなぁ。
2004年05月03日(月) ナメワッカ岳~イドンナップ岳
- 距離
- 17.989km
- 標高差
- -313m
- 登り
- 1482m
- 下り
- 1795m
- 平均速度
- 1.6km/h
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
01:05 | 曇 | 起床 | |
02:15 | 出発 | ||
03:05 | 札内分岐 | ||
04:30 | ナメワッカ分岐 | ||
05:05 | Co1620コル | ||
06:10 | ナメワッカ岳 | ||
07:05 | P1428 | ||
09:45 | 小雪 | P1672 | |
11:50 | イドンナップ岳 | ||
13:30 | 雨 | P1371窪地 | C3 |
場合によっては神威北東尾根か、札内に戻って現役に合流する手も考えたが、星が出ており、風もなくまだまだ天気は安定している。一応停滞も2泊ほど持ってきているし、何とかなるだろう。とにかく、天気がいいうちに進めるだけ進めてしまおう。ここからは細い稜線が続くので、アイゼンをつけて出発。それほど冷え込んでいないので、アイゼンの効きはそこそこだ。
まだ暗い中、札内分岐を通過する。 JP 南西面は既にほとんど雪はなくハイマツが露出している。ハイマツの中の踏み跡を少し降りてから、尾根上の雪の上に上がる。雪面はかなり広いが、暗いためどこからが雪庇か分からない。前日のものと思われる踏み跡を見ながら、左に寄りすぎないように進む。
![札内岳 札内岳[image/jpeg:57kB]](https://www.whochan.com/files/thum_0152174770.jpg)
![ナメワッカ岳への稜線 ナメワッカ岳への稜線[image/jpeg:47kB]](https://www.whochan.com/files/thum_0152174771.jpg)
明るくなって、ナメワッカへの稜線が見えてくる。なにやら巨大な雪庇が張り出しているのが見える。ナメワッカ分岐は西側斜面をトラバースしてナメワッカ支稜へ取り付く。ナメワッカ岳までは、北面のカール壁に1~2mのひさしとなった巨大な雪庇が断続的に張り出している。南側に露出したハイマツを確認しながら、不用意に雪庇に乗らないように慎重に進む。
![幌尻岳 幌尻岳[image/jpeg:64kB]](https://www.whochan.com/files/thum_0152174772.jpg)
ナメワッカ岳ピークは狭く、休むスペースがない。細長い頂稜を最高点まですすむと何とかザックを置くスペースがあり、一息。いつの間にか雲が広がっているが、まだまだ高く展望は遠い。少しずつ風が出てくる。ナメワッカから先は南面に雪庇が発達している。 P1721 の急斜面を降りると、稜線はぐっと広くなり、 Co1450 からはどこにでも天張れそうな状況だ。
P1428 から急斜面を一気に下る。尾根づたいの雪は融け、地面が顔を出している。少し左にずれて雪の斜面をズルズル降りる。最低コルか見える幌尻湖とその右岸林道が甘く誘惑するが、いかんいかん、今回はイドンナップに登りに来たのだ。最低コルから P1672 までは更に急な斜面が続く。下から見ると、岩場が続くように見えたが、特に問題なくとにかく急な斜面にジグを切って登る。
P1672 に上がると、かなり強い風が南面から吹き付けてくる。ここから先は良いところがあれば天張ろうと思っていたが、稜線は比較的広いところが多いが、風が吹き付けるし、時間はまだまだ早いのでなかなか思い切れない。そうこうしていうるうちに風はますます強くなり、時々対風姿勢を取りながら稜線を進む。細かい雪粒が混ざり、顔にパチパチと当たり始める。
![イドンナップ岳 イドンナップ岳[image/jpeg:57kB]](https://www.whochan.com/files/thum_0152174773.jpg)
P1722 とイドンナップの間の窪地でいったん天張ろうとするが、正直こんなところで2泊も耐えられるか自信がない。まだ視界はいいので、あと1ピッチ頑張ってイドンナップを越えてしまった方があとのことが楽だろう。もうかなり体力的にはへろへろだが、気合いを入れてイドンナップを目指す。強烈な風ですでにまっすぐ立てない。風によりかかるように斜めになりながら一足一足踏ん張っていく。こんな状況でもまだまだ視界はよい。しかし、ついに南西方向から一気に低い雲が迫りつつある。
イドンナップ岳頂上にある看板には、なぜか三角点ピークの標高が記されている。とりあえず一息ついてから先を急ぐ。ここから三角点ピークまでは部分的に鋭いナイフリッヂになっている。特にピークからすぐの岩場はいったん右側に巻いてから、ブレードで雪面を切り、スタンスを作って壁を登り稜線に出る。その後は細いが特に悪いところもなく、足を滑らせないように慎重に三角点を通過する。
っと、同時に、まるで私がピークを通過するのを待っていたかのように白い雲が一気に稜線全体にかかり始める。そういえばP-canをまだ食べていなかった。風をよけられるわずかな岩場で天気がここまで持ったことに感謝しながらP-canを食す。
あっという間にガスガスになってしまい、コンパスを切って新冠富士から登山道の尾根に進む。アイゼンを外してグリセードで行こうとしたが、もう完全に足はへたっていて、全く力が入らずうまくいかない。
P1452付近の台地で天張ろうと、テントを出すが、ここでも強い風が吹き付け、うまく立てることが出来ない。ふと気が付くと、いつの間にか雪は雨に変わっていた。風の弱い場所を探して周囲をさまようが、なかなか良いところがない。不用意にポールをさして気を許したときに、一気に風に持って行かれて沢を滑って行ってしまう。あわてて追いかけて、50mほど降りて捕まえる。
既にウェアはずぶ濡れになって、だんだんやけくそになってきた。雨になった時点ですぐに雨具を出すべきだった。いったんこの場での幕営は諦め、もう少し風の弱いところまで進むことにする。少し行き、P1371窪地に降りると、何とか天晴れそうな風なのであまり快適そうな場所ではないが諦めて天張ることにする。
すっかり濡れてしまって、かなりぐったりである。まずはお湯を沸かしてココアで体を温める。雨水を吸い込んだ雪をすくい、溶かして水を作る。と、ふとテント内を整理しようと後ろを向いたとき、つい油断してナベをひっくり返してしまって、マットの上が水浸しになってしまう。アホすぎでうんざり。底にたまった水をナベですくって外に捨てる。
明日はどうせ雨で行動できないので、今夜は少し時間をかけて濡れた衣類を乾かすことにする。突風が時々テントをあおる。
2004年05月04日(火) イドンナップ岳西尾根~サツナイ沢
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
09:00 | 雨 | 起床 | |
15:10 | 霧雨 | 出発 | |
15:55 | 霧 | ワカン外す | |
16:55 | 曇 | Co860コル | |
18:00 | Co480二股 | C4 |
- 距離
- 3.776km
- 標高差
- -895
- 登り
- 48m
- 下り
- 943m
- 平均速度
- 1.3km/h
風はおさまってきたものの、雨は未だ降り続けている。ラジオでは昼過ぎには雨がやみ始めるだろうと言っている。テントの足下の方には水がたまっている。コッフェルで水をすくい、外に捨てる。シュラフから出てガスの火で濡れた衣類を乾かしながら時間を潰す。
午後になり、徐々に雨音が弱まって2時頃には弱い霧雨となったので、うまくいけば林道まで出られると思い行動を開始する。
雨を多量に含んだ雪は案の定ザクザクで歩きにくい。ワカンをつけて歩く。しかし、雪の結合力が弱く、斜面をトラバースしなくてはいけないところではズルズル滑って非常に困難だ。P1404からの下りで、方向を見誤り、危うく沢に入り込みそうになる。いったん登り返し、登山道を発見する。この辺りは尾根の接合が不明瞭で迷いやすい。その後は尾根に沿って進む。
斜面をトラバースするときに邪魔になるので、Co1250付近でワカンを外すことにする。細かい起伏をしばらく行き、Co1220で尾根が曲がるところで、急斜面の岩場となり、ルンゼの中にタイガーロープが架かっている。足を滑らせないように慎重に降りる。岩場を降りてから斜面をトラバースして、尾根に戻る。
起伏のない尾根を進み、小さなポコを上がり一気に下るといった地形が、まるで同じ所をぐるぐる回っているように繰り返し出てくる。もう、自分がどこにいるのだかわからんくなってくる。時々とぎれる雪の下の登山道を確認しながら惰性で降りていく。
Co1000を過ぎると、雪が途切れることが多くなり始め、霧が晴れて下界が見えるようになってくる。なにやら、降りる沢の色が茶色く濁っているようだ。なんだか嫌な予感がする。
2つ目の岩場を降りてほどなくP942とのコルとなり、P942の北東につけられたブル道に入る。Co600付近で沢沿いに出るが、沢沿いの道は崩壊しており、しばらくは草付きを小さく巻きながら降りる。道に戻ってすぐに二股に出た。
二股で道は流出しており、濁流が行く手を阻んでいる。川底は全く見えず、渡渉するのは困難だ。というか、不可能だ。どうしたらいいものかしばし呆然とする。ふと、左岸を見上げるとブル道があったので、登ってみる。しかし、ブル道は反対方向へ登っており、どこまで行くか分からない。どうやら斜面をトラバースしていくしかなさそうだ。
今日は時間も時間なので、諦めて天張ることにする。焚き火をしようと周囲の薪を集めて、新聞紙で火をつけるが、全く燃え上がらない。新聞1部を投入しても、勢いよく燃え上がらず。ついにメタ投入。ようやく火がつくが、下部の小さな枝が燃えるだけで、中級クラス以上の木には燃え移らない。結局、メタ半箱を消費するも、火力は安定せず、諦める。濡れたままテントの中へ。無念。
2004年05月05日(水) 新冠林道
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
03:30 | 晴れ | 起床 | |
04:40 | 出発 | ||
05:30 | 札内林道入口 | ||
08:30 | 快晴 | Co300 | ヒッチ |
09:00 | 泉第二 | 下山 |
川の水は、茶色から白濁程度におさまったが、まだまだ渡渉できるような状況ではない。予定通り左岸のブル道から取り付き、高巻いていく。ルンゼをひとつ越え、あまり濃くない藪の斜面をトラバースして、いったん河原に降りる。小さな支流をひとつ越えてすぐに水流に阻まれるので、急な笹藪の斜面を攀じり、巻いていく。なにやら途中に鹿の残骸が・・・見ないことにして先を急ぐ。
先に林道らしき物が見えるのでそこを目指して降りる。しっかりした林道で、このまま行けるかと思ったら、しばらくしたら結局とぎれている。鹿道を利用して小さく巻いてまたすぐに林道に戻る。すぐにCo430二股となり、堰堤を見て道は左に曲がる。合流した沢はますます濁流となっている。200mほど進むと、道は対岸に移っている。
この濁流ではとても渡渉は出来ない。少し上流を見ると、水面から2mほどの高さの所に倒木が2本ほど横たわっている。ここから先に進む方法は2つ。このまま左岸を巻きながら進んでいくか、倒木を使って対岸に渡るかである。地形図を見ると、なるほどここから先は右岸の方が平坦な地形になっている。これならおそらくまた左岸に移らなくてはいけないことはないだろう。ということで、慎重に1本の倒木を手すり代わりにして、もう一方の倒木の上を渡っていく。
ここから先は濁流に阻まれることもなく、林道を進んでいく。部分的に崩壊してはいるものの、徒歩で行くには全く問題ない。とちゅう、シカの残骸が散乱し、すぐそばにクマの糞らしき物がある。かなり生々しい。クマ脅しの声を張り上げ、頭蓋骨の写真を撮る。
きっちり1ピッチで本線に合流する。橋の上で雨具を脱ぎ、林道歩きの体制を整える。日が昇り、心地よい天気となってきた。林道はままだまる一日行程もあるが、気を焦らずに小鳥のさえずりでも楽しみながらのんびり行こう。所々にクマの雰囲気があるので、声を出しながら行く。
林道は、1ヶ所だけ昨日の雨で崩れたと思われる土砂が道をふさいでいたが、おおむね整備されており、通行にはほとんど支障はなさそうだ。2ピッチほど歩いて、ダムまでもう少しのところで枝沢の水を飲んで休んでいると、下から白い軽トラが走ってきた。「入れるんですか?」「鍵があればね」軽い会話を交わし、軽トラは奥へと向かっていった。
ダムでは北電関係の車が止まっていた。のんびり歩いていれば、だれかが帰りに拾ってくれるだろう。ますます気が楽になる。と、まもなく先ほどの軽トラのおじさんが戻ってきた。「乗るかい?」「すいませんお願いします(^^)」ありがたく同乗させて頂く。
おじさんはここの林道のゲートの管理人で、今日はギョウジャニンニクを取りに来たのだが、目的の支線が崩壊して入れなかったので戻ってきたとのこと。おじさんは林道入り口付近で農業を営んでおり、ゲートまでひとしきり農業についてのうんちくを聞く。
最寄りのバス停まで送ってくれてお礼を言って分かれる。バスが来るまで4時間半ある(笑)。とりあえずザックの中身を広げ、装備を乾かすことにする。それもこの好天では1時間もあればすっかり乾いてしまう。パッキングをして、ラジオを聞きながらひたすらバスを待ち続ける。
ようやく来たバスに揺られ、新冠に出る。汽車が来るまで更に2時間ある(笑)。ラーメンと下山ビールをいただき汽車を待つ。そして、現れた汽車は何故か「ニセコエクスプレス」日高線なのにそれも3両もある。にもかかわらず、何故か車内はほぼ満車。さすがGW。こんな事もあるのだな。
ちなみに、新冠川林道は鍵さえあれば入れるとのこと。ただし、修復はあくまで応急処置で、完全復旧まではいつまた通行不能になってもおかしくないため、なにかあれば閉じこめられる可能性は大きそうだ。また、帰り道でも2ヶ所ほど大きくえぐれた場所を突破してきたので、車高の低い乗用車では難しいだろう。