積丹岳~余別岳

ふ~ちゃん
目的
積丹岳~余別岳縦走
日程
2004年01月25日(日) - 28日(水)
山域
積丹山塊

行程

2004-01-25
苫小牧~積丹町美国 駐車 C0
2004-01-26
C0~積丹岳~我呂ノ源頭 C1
2004-01-27
C1~余別岳~我呂ノ源頭~我呂ノ沢左股~我呂ノ沢中間尾根末端 C2
2004-01-28
C2~我呂ノ本流~駐車場 下山

装備

地形

2004年01月26日(月) 積丹岳

タイムレコード
時刻天候場所行動
06:30起床
08:00出発
08:50Co270 林道
09:50Co480 台地
10:50Co670
11:50Co850
12:50Co950
13:50Co1200
14:15吹雪積丹岳
14:40Co1230雪崩試験
15:15Co820C1
積丹岳南西尾根[image/jpeg:149kB]
積丹岳南西尾根

車を邪魔にならなそうなところに移動して、出発する。ゲートから進入すると、スノーモービルが1台残置してある。モービルに乗ってどこに行くのだろう。トレールを利用させてもらい、林道を進む。林道の両脇には牧草地が広がっている。500mほど行くと、牧草地が尾根上まで続いていそうなので、それを利用して尾根に上がることにする。トレールをはずれ、牧草地に進入する。

少し上がると、すぐにトレールが合流してきた。しかし、このトレールは下る斜面を探していたのか、迷走気味なので、あまり当てにしないでショートカットしながら稜線に上がる。灌木のブッシュを避けながら、狭い尾根を進むと、林道に出た。

更に尾根に忠実に進むと、Co320で、もう一つのトレールがから合流してくる。この2つのトレールは登りと下りの同一の物だろうか?出発当初は、トレールがあるので少しは楽が出来るだろうと踏んでいたが、雪質はわずかに沈み込みがあって、なかなか距離が稼げない。さらに、トレールは上に上がるに連れて薄くなり、Co550を過ぎるあたりでついには消滅してしまった。

その先はひたすら孤独なラッセルである。天候は吹雪模様で、景色を楽しむことさえ出来ない。P826を北側から巻くと、筋から夏道ルートのトレールが合流してくる。この辺りはダケカンバの林が広がり、穏やかな気象である。しばらくトレールを利用させてもらうが、結局これもCo900を過ぎると地吹雪の中にかき消されてしまった。


積丹岳[image/jpeg:34kB]
積丹岳

天候は上に上がるにつれて悪化し、頼りはコンパスのみである。目の前に現れた急斜面の下で一服し、北側から巻き気味に登ると、そこがピークだった。ピークでは風をよけるところもなく、写真を撮る気力さえ起こらないので、先を急ぐ。ピークから南斜面に降りられないかと思っていたが、それなりに雪庇が発達して、下を覗くことが出来ない。やはり「山谷」の通り、稜線を行かなければならないのだろうか。

風をよけ、稜線を西に降りると、少し風が緩み、南に斜面への降り口が見いだせた。Co1230付近で雪庇が切れ、斜面にはいることが出来た。見たところ、スキーをするには非常に良さそうな斜面だ。しかし、これだけの斜度なので、やはり雪崩が怖い。念のために雪崩試験を行うことにする。


雪崩試験[image/jpeg:37kB]
雪崩試験

とりあえず、手近なところでシャベルテストを試みる。上から15cm位のところで新雪がさらりと崩れるが、これはまぁ、よしとしよう。もう少しシャベルを進めると、60cmほどのところで、ストンっと、ブロックが滑り落ちる。見ると、あられが挟まった明らかな弱層である。うーむ。困った。しかし、そこは稜線に近い、むしろ吹きだまり層だったので、実際の斜面の状況と近いとは言い難い(と自分に言い聞かせ)。今度はもう少し下の方の、実際の斜面に近い状態のところで、ハンドテストをしてみる。やはり15cmほどの新雪は崩れるが、その下には顕著な弱層は感じられない。

雪崩試験の結果を受けて…と言うよりも、再び猛吹雪の稜線に上がるのが嫌だったので、結果がどうあれ下ることを半分決めていたわけだが…斜面を降りることにする。すばらしいボール地形に気持ちよくシュプールを刻む・・・つもりが、あれ?なんか、おかしい。スキーがイマイチこう、ポップしないなぁ。と、スキーを見ると、あなんと、シールを外し忘れた。雪崩のことにばかり気がいっていたので、シールを外すのをすっかり忘れていた。慌ててシールを外す。100mほど損する。

気を取り直して下り始める。スキーがはねる。すばらしい雪質。斜面。400m近い標高差をあっという間に下り終えてしまう。なんだかもったいない。はそのまま下るとガケがありそうなので、Co950付近から左岸の尾根筋にはいる。開けたところに出て右岸に移り、雪崩が起きても届かない(でほしい)ちょっと高めの所に天場を作る。

今日は天気図をとろうと思っていたのだが、テントに入って時計を見ると、あれ?16時を過ぎていた。まぁいいや。しばらくすると、雪がシンシンと・・・ではなく、ビュウビュウと、でもなく、ザアザアと降ってきた。なにやら積もりそうな予感。ほどほどにして欲しいが・・・。

今夜の夕食はレトルトのシチュー。米には何となくドライカレーの素を入れてみる。シチューは別々に食べるのが面倒なので、ドライカレーにぶっかけてみる。うーむ。マズイ(きっぱり)。とりあえず、上澄みのシチューだけ平らげる。米は炊きあがりがイマイチで、芯が残り食べにくい。結局のどを通らず、半分ほど残してしまう。テントの隅に追いやり冷凍ご飯にする。

2004年01月27日(火) 余別岳

タイムレコード
時刻天候場所行動
05:30起床
07:30出発
08:20Co870
09:30Co990
10:20Co1130
11:20吹雪Co1260
11:50ホワイトアウト余別岳
12:55Co900シール着用
13:55吹雪Co970シール外す
15:10我呂ノ Co630
16:10Co430
17:10我呂ノ 中間尾根 Co430C2
我呂ノ沢源頭幕場[image/jpeg:68kB]
我呂ノ沢源頭幕場

重い腰を上げてテントから出る。テントは 30cm ほど埋まっている。当然昨日のトレールなどはどこにも見あたらない。スキーを履いてもラッセルは膝ぐらいになっている。汗を流しながら必至に頑張ったって、そうそう進むわけがない。1ピッチで 500m 進むのがやっとだ。


余別岳へ[image/jpeg:82kB]
余別岳へ

稜線に上がれば少しは状況が改善されるかと思ったが、全くそんなことはなかった。確かに部分的に風に吹かれてしまっているところもあるが、ほとんどは激しいラッセルだ。積雪状況が一定じゃない分まだ悪い。しかも、標高が上がるに連れて吹雪が酷くなり、Co1050を過ぎるとほとんど周囲の状況が分からなくなる。木や岩などの目印になる物はほとんどなく、斜面も空も、全くコントラストのない白一色で、どこまでが稜線でどこからが空なのか分からない。足下の斜面の斜度とコンパスの向きだけを頼りに登っていく。

頂上直下で急斜面になり、スキーで上がれなくなったので北側に回り込んでみる。が、なんだか余計斜度が増した感じだ。足下がボロボロ崩れて、スキーではどうにも登れない。結局スキーを脱いでツボでよじ登る。上は酷い吹雪で、どこがピークなのかさっぱり分からない。どこから雪庇になってるかも分からないので、あまり南側による訳にもいかない。とりあえず、足元を見てそれ以上登っていなさそうな所をピークと言うことにして、ひとまず南西尾根に逃げる。吹雪の中P-canを食べてから、シールを外す。

に降りれば多少は風がやむかと思い、沢形の方に寄っていくが、風は沢から吹き上げてきており、ますます悪い。今自分の立っている場所の斜度さえも分からない状況だ。昨日の積丹岳の斜面ほど斜度はないので、それほど危険はないだろうが、見えないとなるとちょっとねぇ。地形図には無いガケや岩が無いとも言えないしねぇ・・・


ポンネアンチシ山[image/jpeg:58kB]
ポンネアンチシ山

そうこう考えつつ、の下の方をじっと見つめていると、遥か下方にぼんやりと雪の出っ張りが見えてきた。目印が出来たので、そこを目指して滑り出す。すると、50mも下ると、ようやく視界が開けてきた。Co1000付近から右にトラバースし、ポンネの北カール(の様に見える地形の)底につく。

予定では、この後ポンネアンチシ山に登ってから、東尾根を美国川まで降りる予定であった。しかし、この吹雪と積雪では、今日中の下山どころか、明日の最終下山予定にさえ間に合うかどうか分からない。猛スピードで流れる雲の中に時々顔を見せるピークに後ろ髪を引かれながら、エスケープを決定する。

エスケープするにしても、我呂ノ右股を降りるのは、中流域があまりにも悪そうだ。ここはひとまず、予定通りポンネの東尾根に上がってみる。尾根に上がるまで、約500mを進むのに、きっちり1ピッチを費やす。このまま尾根をラッセルしていくのはかなりうんざりだなぁ。距離から考えたら、我呂ノ沢に降りちまった方が早いかなぁ。左股は右股ほどは悪くなさそうだし。などと、良からぬ考えが頭をよぎってしまう。

結局、目先の利益に目がくらみ、を下ることに決定してしまう。シールを外して、降り初めてすぐはなかなか快調に滑るが、すぐに深雪の中にラッセルとなる。しかし、シールをつけたまま尾根を巻き巻き行くよりはずっと速い(だろう)と言い聞かせながら下る。


我呂ノ沢 左股 滝[image/jpeg:92kB]
我呂ノ沢 左股 滝

出来る限り、床には下りず、岸を行くようにするが徐々に沢形が細くなり、岸も高くなってきたので、沢床に降りざるを得なくなる。Co670付近で等高線が込んでいるので、少しはスキーが出来るかなと思い、先に見える落ち込みに向かい意気揚々と進んでいくが、直前まで行ってもしたが見えない。止まってのぞき込むと・・・垂直に落ちてる( ̄□ ̄;


我呂ノ沢 左股 滝 遠景[image/jpeg:65kB]
我呂ノ沢 左股 滝 遠景

真下は完全な、下には壺が口をぱっくりと開けている。周囲はガケ。左岸にはわずかに灌木があるので、細引きアプザイレンするか?しかし、下は不安定そうだし、長さが足りるかどうかちょっと微妙。何より、作業をするスペースを確保する方が大変そうだ。右岸は上の方に嫌らしいガケがあるが、その下からなら、何とかトラバースして下に降りられそうだ。

上からつららが落ちてこないことを神に祈りつつ、足を滑らせないように慎重にトラバースしていく。少し行くと、足下から表層の雪がすっぱりと切れて落ちていく。が、そんなことはいちいち構っては居られない。なんとか、に落ちる心配のなくなったところまで行き、そこから一気に滑り降り、床に戻る。

振り返ると、ハングしていた。もう少しスキーが快調に滑っていたなら、あそこからジャンプしていたのか。なかなかハードだな(ぉぃ。気を取り直して先に進むが、時間は刻々と過ぎていく。しばらくは単調な相が続いたので、このまま順調に降りられるかと思いきや、Co410の沢がカーブするところで、小さなが出てきて、先に進めなくなった。

右岸はこの先ガケになっているようなので、中間尾根に逃げることにする。シールをつけ、中間尾根に上がるとちょうど日が暗くなってきたので、諦めてここに天張ることにする。今日中に下山するつもりで我呂ノに入ってきたが、結局こんな結果になってしまった。予定通り尾根ルートに行った方が早かったかもしれない。っと、後悔しきりである。

今夜の夕食は昨日の残りの冷凍ご飯に水を足して、お粥にする。行動食は平らげてしまったので、あすは非常食くんに登場願うしかあるまい。

2004年01月28日(水) 我呂ノ

タイムレコード
時刻天候場所行動
06:00起床
07:00出発
07:50Co365
08:50Co270
09:30我呂ノ 出合
10:30AACH小屋
11:50下山

今日は朝飯はぬき。うーむ。血糖値が上がらない。シールをつけたまま、に下る。沢床は以外と広い。Co320に大きく口を開けた壺出現。両岸急斜面であるが、不用意に右岸トラバースし始めてしまう。すぐに、そこが箱で、側面の雪はほとんど浮いている状態に近いことに気づく。下を見ると、はかなり深い。ちなみに、沢床の水面から雪面までは2m近い垂直な壁となっている。

足を滑らせれば、間違いなく壺の中でもがいた後、我呂ノの藻くずとなることは目に見えている。かといって、今さらUターンは出来ない。雪面を刺激しないよう、かつ、足場をしっかりと踏み固めつつ、壁に這いつくばるようにトラバースしていく。もう、泣きそうである。とにかく、先に見える灌木まで行き、幹にしがみつき、ほっと胸をなで下ろす。

少し行くと、右岸が迫り、の先にはまた何かありそうである。もう、さっきみたいなのはうんざりなので、左岸から巻いていくことにする。って、最初からそうしろって話ですが。

岸に上がり、下を見てみると、 Co310 の屈曲点が案の定地形だった。少々急斜面ではあるが、そのままガケマークの下まで巻いていく。左岸のガケマークは全く問題ない。は口を開けている割合が増えてきたが、渡渉するには全く問題ない。沢がカーブしているところを抜けて、再び左岸に上がる。こちらは台地状で特に問題ない。途中に、地形図にはない立派な岩塔があったりするが、ああいうのは何故地形図に出ないのだろう?

やっとの思いで出合に到着。シールを外す。ここまで来たらもう一息。とは行かない。まだまだ長いラッセルが待っている。当然、トレールなど残っているわけもなく、ひたすらラッセルである。Co160の橋を越えると、小屋が建っている。玄関にAACHの紋章が架かっていたので、北大山岳部の小屋のようだ。こんな所に北大山岳部の小屋があるとは知らなかった。北大山岳部の人たちはここからどこにアプローチしているのだろう?が、AACHのサイトを見ても、この小屋のことはどこにも書いていなかった。OB個人所有のものか何かだろうか?

駐車場に到着し、車から雪を下ろす。車の上には 40cm ほども雪が積もっていた。しかも、さらさらの軽い雪ではなく、湿り気のあるやや重量感のある雪だ。そりゃ、ラッセルもキツいっての。

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