行程
装備
地形図
- 美国
- 余別
- ポンネアンチシ山
- 両古美山
2004年01月26日(月) 積丹岳
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
06:30 | 曇 | 起床 | |
08:00 | 出発 | ||
08:50 | 雪 | Co270 林道 | |
09:50 | Co480 台地 | ||
10:50 | Co670 | ||
11:50 | Co850 | ||
12:50 | Co950 | ||
13:50 | Co1200 | ||
14:15 | 吹雪 | 積丹岳 | |
14:40 | Co1230 | 雪崩試験 | |
15:15 | 雪 | Co820 | C1 |
![積丹岳南西尾根 積丹岳南西尾根[image/jpeg:149kB]](https://www.whochan.com/files/thum_0119447796.jpg)
車を邪魔にならなそうなところに移動して、出発する。ゲートから進入すると、スノーモービルが1台残置してある。モービルに乗ってどこに行くのだろう。トレールを利用させてもらい、林道を進む。林道の両脇には牧草地が広がっている。500mほど行くと、牧草地が尾根上まで続いていそうなので、それを利用して尾根に上がることにする。トレールをはずれ、牧草地に進入する。
少し上がると、すぐにトレールが合流してきた。しかし、このトレールは下る斜面を探していたのか、迷走気味なので、あまり当てにしないでショートカットしながら稜線に上がる。灌木のブッシュを避けながら、狭い尾根を進むと、林道に出た。
更に尾根に忠実に進むと、Co320で、もう一つのトレールが沢から合流してくる。この2つのトレールは登りと下りの同一の物だろうか?出発当初は、トレールがあるので少しは楽が出来るだろうと踏んでいたが、雪質はわずかに沈み込みがあって、なかなか距離が稼げない。さらに、トレールは上に上がるに連れて薄くなり、Co550を過ぎるあたりでついには消滅してしまった。
その先はひたすら孤独なラッセルである。天候は吹雪模様で、景色を楽しむことさえ出来ない。P826を北側から巻くと、沢筋から夏道ルートのトレールが合流してくる。この辺りはダケカンバの林が広がり、穏やかな気象である。しばらくトレールを利用させてもらうが、結局これもCo900を過ぎると地吹雪の中にかき消されてしまった。
![積丹岳 積丹岳[image/jpeg:34kB]](https://www.whochan.com/files/thum_0152174775.jpg)
天候は上に上がるにつれて悪化し、頼りはコンパスのみである。目の前に現れた急斜面の下で一服し、北側から巻き気味に登ると、そこがピークだった。ピークでは風をよけるところもなく、写真を撮る気力さえ起こらないので、先を急ぐ。ピークから南斜面に降りられないかと思っていたが、それなりに雪庇が発達して、下を覗くことが出来ない。やはり「山谷」の通り、稜線を行かなければならないのだろうか。
風をよけ、稜線を西に降りると、少し風が緩み、南に斜面への降り口が見いだせた。Co1230付近で雪庇が切れ、斜面にはいることが出来た。見たところ、スキーをするには非常に良さそうな斜面だ。しかし、これだけの斜度なので、やはり雪崩が怖い。念のために雪崩試験を行うことにする。
![雪崩試験 雪崩試験[image/jpeg:37kB]](https://www.whochan.com/files/thum_0152174774.jpg)
とりあえず、手近なところでシャベルテストを試みる。上から15cm位のところで新雪がさらりと崩れるが、これはまぁ、よしとしよう。もう少しシャベルを進めると、60cmほどのところで、ストンっと、ブロックが滑り落ちる。見ると、あられが挟まった明らかな弱層である。うーむ。困った。しかし、そこは稜線に近い、むしろ吹きだまり層だったので、実際の斜面の状況と近いとは言い難い(と自分に言い聞かせ)。今度はもう少し下の方の、実際の斜面に近い状態のところで、ハンドテストをしてみる。やはり15cmほどの新雪は崩れるが、その下には顕著な弱層は感じられない。
雪崩試験の結果を受けて…と言うよりも、再び猛吹雪の稜線に上がるのが嫌だったので、結果がどうあれ下ることを半分決めていたわけだが…斜面を降りることにする。すばらしいボール地形に気持ちよくシュプールを刻む・・・つもりが、あれ?なんか、おかしい。スキーがイマイチこう、ポップしないなぁ。と、スキーを見ると、あ!なんと、シールを外し忘れた。雪崩のことにばかり気がいっていたので、シールを外すのをすっかり忘れていた。慌ててシールを外す。100mほど損する。
気を取り直して下り始める。スキーがはねる。すばらしい雪質。斜面。400m近い標高差をあっという間に下り終えてしまう。なんだかもったいない。沢はそのまま下るとガケがありそうなので、Co950付近から左岸の尾根筋にはいる。開けたところに出て右岸に移り、雪崩が起きても届かない(でほしい)ちょっと高めの所に天場を作る。
今日は天気図をとろうと思っていたのだが、テントに入って時計を見ると、あれ?16時を過ぎていた。まぁいいや。しばらくすると、雪がシンシンと・・・ではなく、ビュウビュウと、でもなく、ザアザアと降ってきた。なにやら積もりそうな予感。ほどほどにして欲しいが・・・。
今夜の夕食はレトルトのシチュー。米には何となくドライカレーの素を入れてみる。シチューは別々に食べるのが面倒なので、ドライカレーにぶっかけてみる。うーむ。マズイ(きっぱり)。とりあえず、上澄みのシチューだけ平らげる。米は炊きあがりがイマイチで、芯が残り食べにくい。結局のどを通らず、半分ほど残してしまう。テントの隅に追いやり冷凍ご飯にする。
2004年01月27日(火) 余別岳
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
05:30 | 起床 | ||
07:30 | 雪 | 出発 | |
08:20 | Co870 | ||
09:30 | Co990 | ||
10:20 | Co1130 | ||
11:20 | 吹雪 | Co1260 | |
11:50 | ホワイトアウト | 余別岳 | |
12:55 | 雪 | Co900 | シール着用 |
13:55 | 吹雪 | Co970 | シール外す |
15:10 | 雪 | 我呂ノ沢 Co630 | |
16:10 | Co430 | ||
17:10 | 我呂ノ沢 中間尾根 Co430 | C2 |
![我呂ノ沢源頭幕場 我呂ノ沢源頭幕場[image/jpeg:68kB]](https://www.whochan.com/files/thum_0119447846.jpg)
重い腰を上げてテントから出る。テントは 30cm ほど埋まっている。当然昨日のトレールなどはどこにも見あたらない。スキーを履いてもラッセルは膝ぐらいになっている。汗を流しながら必至に頑張ったって、そうそう進むわけがない。1ピッチで 500m 進むのがやっとだ。
![余別岳へ 余別岳へ[image/jpeg:82kB]](https://www.whochan.com/files/thum_0152174776.jpg)
稜線に上がれば少しは状況が改善されるかと思ったが、全くそんなことはなかった。確かに部分的に風に吹かれてしまっているところもあるが、ほとんどは激しいラッセルだ。積雪状況が一定じゃない分まだ悪い。しかも、標高が上がるに連れて吹雪が酷くなり、Co1050を過ぎるとほとんど周囲の状況が分からなくなる。木や岩などの目印になる物はほとんどなく、斜面も空も、全くコントラストのない白一色で、どこまでが稜線でどこからが空なのか分からない。足下の斜面の斜度とコンパスの向きだけを頼りに登っていく。
頂上直下で急斜面になり、スキーで上がれなくなったので北側に回り込んでみる。が、なんだか余計斜度が増した感じだ。足下がボロボロ崩れて、スキーではどうにも登れない。結局スキーを脱いでツボでよじ登る。上は酷い吹雪で、どこがピークなのかさっぱり分からない。どこから雪庇になってるかも分からないので、あまり南側による訳にもいかない。とりあえず、足元を見てそれ以上登っていなさそうな所をピークと言うことにして、ひとまず南西尾根に逃げる。吹雪の中P-canを食べてから、シールを外す。
沢に降りれば多少は風がやむかと思い、沢形の方に寄っていくが、風は沢から吹き上げてきており、ますます悪い。今自分の立っている場所の斜度さえも分からない状況だ。昨日の積丹岳の斜面ほど斜度はないので、それほど危険はないだろうが、見えないとなるとちょっとねぇ。地形図には無いガケや岩が無いとも言えないしねぇ・・・
![ポンネアンチシ山 ポンネアンチシ山[image/jpeg:58kB]](https://www.whochan.com/files/837c839383l83a8393836083v8er_thum_1075541965.jpg)
そうこう考えつつ、沢の下の方をじっと見つめていると、遥か下方にぼんやりと雪の出っ張りが見えてきた。目印が出来たので、そこを目指して滑り出す。すると、50mも下ると、ようやく視界が開けてきた。Co1000付近から右にトラバースし、ポンネの北カール(の様に見える地形の)底につく。
予定では、この後ポンネアンチシ山に登ってから、東尾根を美国川まで降りる予定であった。しかし、この吹雪と積雪では、今日中の下山どころか、明日の最終下山予定にさえ間に合うかどうか分からない。猛スピードで流れる雲の中に時々顔を見せるピークに後ろ髪を引かれながら、エスケープを決定する。
エスケープするにしても、我呂ノ沢右股を降りるのは、中流域があまりにも悪そうだ。ここはひとまず、予定通りポンネの東尾根に上がってみる。尾根に上がるまで、約500mを進むのに、きっちり1ピッチを費やす。このまま尾根をラッセルしていくのはかなりうんざりだなぁ。距離から考えたら、我呂ノ沢に降りちまった方が早いかなぁ。左股は右股ほどは悪くなさそうだし。などと、良からぬ考えが頭をよぎってしまう。
結局、目先の利益に目がくらみ、沢を下ることに決定してしまう。シールを外して、降り初めてすぐはなかなか快調に滑るが、すぐに深雪の中にラッセルとなる。しかし、シールをつけたまま尾根を巻き巻き行くよりはずっと速い(だろう)と言い聞かせながら下る。
![我呂ノ沢 左股 滝 我呂ノ沢 左股 滝[image/jpeg:92kB]](https://www.whochan.com/files/89e498c83m91f2_91ea_01_thum_1075543079.jpg)
出来る限り、沢床には下りず、岸を行くようにするが徐々に沢形が細くなり、岸も高くなってきたので、沢床に降りざるを得なくなる。Co670付近で等高線が込んでいるので、少しはスキーが出来るかなと思い、先に見える落ち込みに向かい意気揚々と進んでいくが、直前まで行ってもしたが見えない。止まってのぞき込むと・・・垂直に落ちてる( ̄□ ̄;
![我呂ノ沢 左股 滝 遠景 我呂ノ沢 左股 滝 遠景[image/jpeg:65kB]](https://www.whochan.com/files/89e498c83m91f2_91ea_02_thum_1075544202.jpg)
真下は完全な滝、下には滝壺が口をぱっくりと開けている。周囲はガケ。左岸にはわずかに灌木があるので、細引きでアプザイレンするか?しかし、下は不安定そうだし、長さが足りるかどうかちょっと微妙。何より、作業をするスペースを確保する方が大変そうだ。右岸は上の方に嫌らしいガケがあるが、その下からなら、何とかトラバースして下に降りられそうだ。
上からつららが落ちてこないことを神に祈りつつ、足を滑らせないように慎重にトラバースしていく。少し行くと、足下から表層の雪がすっぱりと切れて落ちていく。が、そんなことはいちいち構っては居られない。なんとか、滝に落ちる心配のなくなったところまで行き、そこから一気に滑り降り、沢床に戻る。
振り返ると、滝はハングしていた。もう少しスキーが快調に滑っていたなら、あそこからジャンプしていたのか。なかなかハードだな(ぉぃ。気を取り直して先に進むが、時間は刻々と過ぎていく。しばらくは単調な沢相が続いたので、このまま順調に降りられるかと思いきや、Co410の沢がカーブするところで、小さな滝が出てきて、先に進めなくなった。
右岸はこの先ガケになっているようなので、中間尾根に逃げることにする。シールをつけ、中間尾根に上がるとちょうど日が暗くなってきたので、諦めてここに天張ることにする。今日中に下山するつもりで我呂ノ沢に入ってきたが、結局こんな結果になってしまった。予定通り尾根ルートに行った方が早かったかもしれない。っと、後悔しきりである。
今夜の夕食は昨日の残りの冷凍ご飯に水を足して、お粥にする。行動食は平らげてしまったので、あすは非常食くんに登場願うしかあるまい。
2004年01月28日(水) 我呂ノ沢
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
06:00 | 起床 | ||
07:00 | 雪 | 出発 | |
07:50 | Co365 | ||
08:50 | Co270 | ||
09:30 | 曇 | 我呂ノ沢 出合 | |
10:30 | AACH小屋 | ||
11:50 | 下山 |
今日は朝飯はぬき。うーむ。血糖値が上がらない。シールをつけたまま、沢に下る。沢床は以外と広い。Co320に大きく口を開けた滝壺出現。両岸急斜面であるが、不用意に右岸をトラバースし始めてしまう。すぐに、そこが箱で、側面の雪はほとんど浮いている状態に近いことに気づく。下を見ると、釜はかなり深い。ちなみに、沢床の水面から雪面までは2m近い垂直な壁となっている。
足を滑らせれば、間違いなく滝壺の中でもがいた後、我呂ノ沢の藻くずとなることは目に見えている。かといって、今さらUターンは出来ない。雪面を刺激しないよう、かつ、足場をしっかりと踏み固めつつ、壁に這いつくばるようにトラバースしていく。もう、泣きそうである。とにかく、先に見える灌木まで行き、幹にしがみつき、ほっと胸をなで下ろす。
少し行くと、右岸が迫り、沢の先にはまた何かありそうである。もう、さっきみたいなのはうんざりなので、左岸から巻いていくことにする。って、最初からそうしろって話ですが。
岸に上がり、下を見てみると、 Co310 の屈曲点が案の定函地形だった。少々急斜面ではあるが、そのままガケマークの下まで巻いていく。左岸のガケマークは全く問題ない。沢は口を開けている割合が増えてきたが、渡渉するには全く問題ない。沢がカーブしているところを抜けて、再び左岸に上がる。こちらは台地状で特に問題ない。途中に、地形図にはない立派な岩塔があったりするが、ああいうのは何故地形図に出ないのだろう?
やっとの思いで出合に到着。シールを外す。ここまで来たらもう一息。とは行かない。まだまだ長いラッセルが待っている。当然、トレールなど残っているわけもなく、ひたすらラッセルである。Co160の橋を越えると、小屋が建っている。玄関にAACHの紋章が架かっていたので、北大山岳部の小屋のようだ。こんな所に北大山岳部の小屋があるとは知らなかった。北大山岳部の人たちはここからどこにアプローチしているのだろう?が、AACHのサイトを見ても、この小屋のことはどこにも書いていなかった。OB個人所有のものか何かだろうか?
駐車場に到着し、車から雪を下ろす。車の上には 40cm ほども雪が積もっていた。しかも、さらさらの軽い雪ではなく、湿り気のあるやや重量感のある雪だ。そりゃ、ラッセルもキツいっての。