ペンケヌーシ岳

ふ~ちゃん
目的
ペンケヌーシ岳往復
日程
2006年02月16日(木) - 19日(日)
山域
北日高

行程

2006-02-16
千栄~パンケヌーシ林道~三ノ出合~四ノ沢右岸尾根 C1
2006-02-17
C1~四ノ右岸尾根~ペンケヌーシ岳南峰~1650コル C2
2006-02-18
C2~六ノ~パンケヌーシ林道 C3
2006-02-19
C3~千栄 下山

装備

2006年02月16日(木) パンケヌーシ林道~四ノ右岸尾根

距離
10.104km
標高差
635m
登り
732m
下り
97m
平均速度
1.6km/h
タイムレコード
時刻天候場所行動
09:15パンケヌーシ林道入口出発
11:00Co500
12:55三ノ出合
14:00Co800台地
15:25Co1030△C1

パンケヌーシ林道

パンケヌーシ林道入口[image/jpeg:125kB]
パンケヌーシ林道入口
デブリ[image/jpeg:170kB]
デブリ
雪崩斜面[image/jpeg:156kB]
雪崩斜面
チロロ岳[image/jpeg:157kB]
チロロ岳

パンケヌーシ林道の入口に車を停め、出発する。林道にはかすかにスキーのトレースが残っている。ゲートを過ぎてしばらく行くと、生々しいデブリが林道を塞いでいた。デブリは1つ2つではなく、急斜面のルンゼごとに点々と続いている。デブリはいずれもトレースの上に被さっているので、おそらくここ数日の暖気で起こった雪崩だろう。さらにひたすら長い林道を歩く。奥にチロロ岳の山体が見えてくる。空は曇天だ。

四ノ右岸尾根

これを登る[image/jpeg:155kB]
これを登る

以前、チロロ岳から下ってきた二ノを通過し程なく、三ノ沢出合に到着。今日の予定はこの辺りまでだが、まだ少し時間が早いのでもう少し進めておこう。三ノ沢沿いにも林道が続き、尾根に上がっているのではないかと思われるが、雪崩が怖いので尾根筋を忠実に上がることにする。尾根は猛烈な藪尾根かと思いきや、それははじめの数10メートルだけで、登るにつれて割と歩きやすい尾根になってくる。


テント[image/jpeg:99kB]
テント

昨日までの暖気の影響か、雪は腐って歩きにくく、吹きだまりでは雪面にクラックが走る。不用意に変な斜面に入り込まない様に注意しなくては。 Co800 付近は広く、天場に良さそうだ。西側斜面からはブル道が合流している。もう少し高度を上げて、あまりいい場所ではないが Co1030 ほどで天張る。

夜半から風が強くなる。天気予報も悪天を示している。せっかくここまで来たけれど、予定通りに進むのは難しいだろうか・・・。

2006年02月17日(金) ペンケヌーシ岳南峰~雪洞避難

距離
4.412km
標高差
595m
登り
704m
下り
109m
平均速度
0.9km/h
タイムレコード
時刻天候場所行動
05:00地吹雪起床
06:00再起床
07:35出発
08:30Co1180
10:30Co1490
11:30Co1680
12:00暴風ペンケヌーシ岳南峰
12:301650コルΩC2

尾根歩き

昨夜から風がエラく強くなってきていた。朝5時に起きるが、周囲は地吹雪模様だが暗くて状況がよく分からない。何となくかったるいこともあって、とりあえず1時間ほどシュラフの中で待機する。6時になってもあまり状況は変わらないが、行動は出来なくもなさそうなので出発することにする。今後天気は下り坂になる様なので、予定通り国境稜線まで行くのは難しいかもしれない。場合によっては同じルートを下ることを視野に入れて進む。

1500台地[image/jpeg:48kB]
1500台地
ペンケヌーシ岳南峰[image/jpeg:22kB]
ペンケヌーシ岳南峰

尾根は徐々に広くなって上に行くほど尾根筋が分からなくなってくる。 P1231 は広い台地で、下りでこの尾根を使う場合はかなりわかりにくそうだ。 Co1300 付近から東側に巨大に発達した雪庇出始める。 Co1400 付近、 Co1500 付近には雪洞を掘るのに良さそうな吹きだまりがある。場合によってはこの辺りで2泊目をして、明日ペンケヌーシ岳にアタックすることも考えていたが、尾根が広いのでどんどん進む。今日は風が強いが、雲の切れ間に時々日が差す。パンケヌーシ川下流域の山やペンケヌーシ岳や周辺の山も時々頭を出す。

暴風

サクサクと進み、ペンケヌーシ岳までも楽勝だなと思い始めた矢先、ペンケヌーシ岳南峰の直下で、雪がはげて岩が露出してきたので、スキーを脱いで頂稜へと進んだ瞬間、後ろから猛烈な突風が吹いて押し倒される。風は止むことなく、立ち上がることが出来ない。振り返って引き返そうにも、猛烈な風に振り向くことすら出来ない。とにかく這いつくばって南稜の頂稜を越えて、風下側の斜面に出る。

雪洞[image/jpeg:36kB]
雪洞

とりあえずコルまで下がるが、本峰もこんな調子ならとても越えていくことは出来ない。エスケープするには嫌な場所だが、今日の所はここで天張るしかなさそうだ。尾根の陰の吹きだまりに雪洞の掘れそうな所を探すが、いまいちいい傾斜の所がない。仕方がないので少し掘り下げてから横穴を掘る。

雪洞

ロウソク[image/jpeg:26kB]
ロウソク

雪洞が完成しても、風はひたすら吹き続ける。明日には回復することを祈りながら入口を塞ぐ。夕食の後、少し息苦しかったので、空気穴を開けるが、思いのほか壁が厚い。風でかなり雪が吹きだまってきている様だ。夜中の1時頃にもまた息苦しさで目が覚めたので、入り口を開けるが、すっかり雪で埋もれて外が遠い。どうやら横に掘っても外には出ない様なので、上方向へ掘り進んでようやくこぶし大の穴を開ける。室温が下がるのは嫌だが、空気穴を開けたまま再びシュラフに潜る。

2006年02月18日(土) 雪洞~エスケープ~パンケヌーシ林道

距離
8.695km
標高差
-911m
登り
194m
下り
1105m
平均速度
1.8km/h
タイムレコード
時刻天候場所行動
05:00地吹雪起床
10:00地吹雪出発
10:30六ノ沢Co1200二股
11:45Co1097
13:00六ノ出合
14:50パンケヌーシ林道△C3

待機

やはりまた入口は塞がっていた。シャベルで穴を開けると、風の音が聞こえる。まだ地吹雪は治まっていないのだろうか。とりあえずメシを食って外に出るとものすごい地吹雪。治まるどころか、昨日より悪化しているのではないだろうか。上部はホワイトアウトで視界なし。トイレのために雪洞の隣を掘るが、ちょっとやそっとでは効果なし。穴に入って用を足すが、風雪が容赦なく顔をたたく。手も瞬時に凍りつく。

半泣きで雪洞に戻り、風が治まるまで待機する。30分おきに外に出るが、全く好転する気配はない。なんとかペンケヌーシ岳までアタックできないかと、歩いてみるが、稜線にたどりつくまでに押し流される。そんなこんなをしている内に、9時を回ってしまう。この後天気が回復しても、もうペンケヌーシを越えて国境稜線方面へ行く余裕はない。いずれにしてもここからのエスケープとなる。今日ここで停滞して、明日下山となるとかなりのアルバイトになる。と言うより、今夜また酸欠に苦しめられるのはつらい。

エスケープと言っても、この風では南峰を越えていけるわけがない。逃げ道は六ノしかない。昨日あれだけデブリを見た後で、谷に降りるのは気が進まないが他に行き場がない。しばし地形図とにらめっこして良さそうなルートを探す。 Co1150 付近に降りる尾根筋はなんとなく嫌な地形なので、 Co1200 付近に降りて左岸の尾根を登り返して Co1097 に降りて右岸に渡って台地状地形を通って出合に降りるルートをとる。

六ノ

コルから東に延びる尾根の北側を通り、 Co1200 二股へ向かう。雪質はいいが、林道に出るまで難度か登り返しがあるので安全のためにシールは外さずに滑る。斜面は広く緩やかで現在位置はよく分からないが、コンパスを頼りに適当に降りていくと、二股にぴたりと降りる。は一部顔を出しているが、渡渉に支障はない。

六ノ沢左岸[image/jpeg:138kB]
六ノ沢左岸

の中は狭く、両岸は立っているので予定通り左岸の尾根に登るが、はじめの50mは傾斜がきつく、雪崩リスクは高い。足下には嫌なクラックが走るので注意しながらルートを選ぶ。これなら Co1150 に降りてもあまりリスクは変わらなかったかもしれない。 Co1300 付近まで登ると緩やかになり、程なく広い尾根に出た。ここまで来ると少し安心だ。距離は短いが、シールを外して少しスキーを楽しもう。斜度は緩いが、雪質がいいので意外とスキーは走る。あっという間に尾根末端に降りる。


Co1097[image/jpeg:47kB]
Co1097

降りた場所には橋が架かっており、対岸に林道が続いている。その林道に沿って進むが、林道は P1140 方向へ回り込んでいるので、ショートカットし Co1150 の台地に上がる。そのままコンタラインに沿ってトラバースしていく。どの程度進んだか分からないが、適当なところでコンパスを切って三股を目指す。再びシールを外す。快適に滑ってこちらもぴたりと三股に出る。

林道

本流は水量が多く渡渉できないので、六ノのスノーブリッヂを渡り、林道に上がる。林を抜けて林道に出ると、再び強い風が吹き出す。

地面の露出[image/jpeg:117kB]
地面の露出

林道上は所々で突風が吹き、地面が露出している部分もある。林道に出たとはいえ、入口まではまだまだ長い。明日少しでも楽な様に2ピッチほど歩いて風の弱そうなところで天張る。

2006年02月19日(日) 下山

タイムレコード
時刻天候場所行動
05:00起床
06:40出発
10:45下山

んー。目覚ましが鳴っている・・・起きるか。って、なんか左頬に鈍い痛みが。・・・やべぇ。やっちまった。凍傷だ。いつやったんだろう。結構必死だったので、全然気づかなかった。参ったな。

曲がり沢コース入口[image/jpeg:95kB]
曲がり沢コース入口

テントを撤収して林道を下る。1ピッチほどで三ノ出合に付くが、トレースはすっかり消えている。一ノ沢出合を越えたあたりから、スノーシューのトレースが出てくる。多分、昨日のトレースだろうが、一体目的地はどこだったんだろう。4ピッチで林道入口に到着する。吹雪で車が埋まっていないか心配だったが、降雪自体はほとんどなかったので問題なかった。

ミラーで顔を確認すると、頬の一部がブス色に染まっている。ああ、なんか見た目ものすごく痛々しいな・・・。鼻も少しやられたかな。

途中、びらとり温泉に入って帰宅する。今回は結局ピークに立てず、ただ歩いた山行だったなぁ。まぁ、エスケープのスキーがそれなりに面白かったからいいか。

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