シュンベツ川深部よりプリマモンテへ

ふ~ちゃん
目的
プリマモンテ北西面直登沢遡行
日程
2012年09月20日(木) - 23日(日)
山域
中日高

シュンベツ川流域に初めて足を踏み入れたのは2004年の事。そのときはから滑落したりといろいろあったわけだが、深く暗いとなって合流するシュンベツ岳西面直登沢はその時からずっと気になる存在だった。過去に樽商山岳部出身の方からこのに行った事があるとのコメントをもらった事があるが、その記録では内部は遡行出来ず、右岸尾根に逃げて一度も沢に降りることなく稜線まで詰めたとの事だった。そんな記録もあったものだから、どれほど壮絶な渓相なのだろうかと身構えてしまい今まで先延ばしになっていた。今回はシュンベツ岳西面直登沢ではなく、より標高の高いプリマモンテに詰める北西面直登沢を遡行した。この沢は、初遡行記録だとは思わないが、おそらく過去には片手に余るくらいしか遡行者はいないのではないだろうか。

行程

2012-09-20
翠明場所公園 C0
2012-09-21
札内川ダム~札内川札内川十ノ沢~十ノカール C1
2012-09-22
C1~シュンベツ岳シュンベツ川本流プリマモンテ北西面直登沢プリマモンテ~九ノカール C2
2012-09-23
C2~札内川九ノ沢札内川札内川ダム 下山

装備

最近は 30m ロープを携行する事が多いが、今回の山行は記録が全くなく、何が出てくるか分からないので長めの 45m を携行する事とした。ナッツ、ハーケンシュリンゲ類も脱出用にいつもより多めに携行した。

2012年09月20日(木)

現在、札内中札内線は札内ダムから通行止めで、札内ヒュッテまでたどり着けないので、途中の翠明橋公園にて C0 。休憩室のベンチから転げ落ちないように寝られるのは細身うえの特権。

2012年09月21日(金)

タイムレコード
時刻天候場所行動
04:00起床
06:40札内川ダム出発
07:45七ノ沢出合入渓
11:00十ノ沢出合
13:45十ノカールC1

コスモール大樹でトイレ済まし、朝飯を調達して札内川ダムへ。ダムのゲート前には「駐車禁止」の張り紙があるにもかかわらず4台ほどの車が堂々と駐車されていた。3台は本州ナンバーで1台は札幌ナンバーだった。

生真面目な私は自転車と荷物を降ろし、1km程下のトムラウシ橋まで下り、橋の脇のスペースに駐車して歩いてダムまで上がる。ゲート前で出発の準備をしていたら、自転車の鍵を忘れた事に気づき、自転車で駐車地点まで余計な往復をしてしまった。

道道静内中札内線

トンネル内は真っ暗で、時々ある非常電話の明かりだけが頼りだ。ラテルネを出せよって話ですよね。でも面倒くさいのでそのまま暗闇の中で自転車を漕いでいく。通行止めの原因となった橋桁の修復工事などは全く行われていない様子。来期以降も通行止めは続くのだろうか。

ダムから幌尻ゲート(本来の車止め)まではほぼ平坦な道で、トンネルが暗くて恐い以外は大きな苦労はない。おかげで思ったよりも順調に進み、1時間強で七ノ沢出合に到着した。

札内川

七ノ沢出合[image/jpeg:291kB]
渇水した七ノ沢出合。

七ノ沢出合には折り畳みの電動自転車が一台残置されていた。電動とはうらやましい限りで。七ノ出合周辺はいつも以上に渇水しており、七ノ沢はほぼ干上がっている。いつものように自転車とトレッキングシューズを残置して入渓する。

八ノ沢出合までは踏み跡を使って超特急。八ノ出合には2張のテントを確認。上の方にはもっとあるかも知れない。九ノ沢をサクッと通過し、十ノ沢出合に到着した。今日の予定天場はここまでだが、あまりにも時間が早い。気持ちの良い天場があるわけでもないので、もう少し進める事にする。

札内川十ノ沢

十ノ沢滑滝[image/jpeg:309kB]
十ノ沢の滑滝。

本当は魚が釣れるところで泊まりたかったが、十ノの途中には良い天場もなく、いつしか魚影は消えた。 Co1100 から現れる滑滝群はいずれも特徴が無く、全て直登して通過する。


十ノ沢カール[image/jpeg:255kB]
十ノ沢カールの北東の外れに出た。

やがてゴーロとなって、水量の追い方を選んで進んでいくと、十ノ沢カールの Co1450 付近、北東のはずれの草地に出た。天場としては申し分ないが、カール壁へはまだずいぶんと遠い。念のために水を確保し、灌木のブッシュをしばしトラバースして、中央のロックガーデンに出た。


十ノ沢カールロックガーデン[image/jpeg:273kB]
十ノ沢のロックガーデン。
ナキウサギ[image/jpeg:275kB]
ナキウサギが顔を見せた。

更にロックガーデンを一段上がり、 Co1600 付近の平地に天張る事とする。こちらにもわずかに水が湧き出していた。先日までの残暑がウソのように風が冷たい。

2012年09月22日(土)

タイムレコード
時刻天候場所行動
05:00快晴起床
06:05出発
06:40国境稜線
09:30シュンベツ岳西面直登沢出合
14:20プリマモンテ
16:00九ノカールC2

稜線まで

十ノ沢カールパノラマ[image/jpeg:71kB]
十ノ沢カールのパノラマ。

シュラフに入っているにもかかわらず、今シーズン始めて寒い夜を過ごした。このシュラフの羽毛もそろそろ与太ってきたようだ。空は雲一つ無い天気だ。この時期なら山は紅く色づく頃だが、残暑の影響で紅葉はまだほとんど始まっていない。


シュンベツ岳[image/jpeg:116kB]
シュンベツ岳

岩壁のルンゼを避け、シュンベツ岳ピークに近い筋を登る。上部で灌木の藪をわずかに漕いで稜線に出た。シュンベツ岳ピークへはわずかだが、面倒なので割愛する。

シュンベツ川下降

支流の滝[image/jpeg:235kB]
シュンベツ川枝沢の滝。

稜線上の踏み跡はかなりはっきりしている。主稜線を少し北上し、本流の Co1180 付近に合流する枝沢に下降する。が岩盤になると、がひっきりなしに出てくる。下るほどは大きく面倒になる。


本流の滝[image/jpeg:243kB]
シュンベツ川本流の滝。

何とか全てクライムダウンしたが、ロープを出した方がいい物もいくつかあった。これなら本流を下った方がむしろ楽だったかも知れない。本流に出て、昨年ラッペルした二つのも結局クライムダウンで下った。

Co980 二股から、シュンベツ岳西面直登沢出合の間にはいくつも良い天場がある。本当はこの辺で C2 の予定だったが、昨日のうちにカールまで来た事もあって、あまりにも時間が早い。とりあえず、直登沢を少し覗いてあまりにも険悪な渓相であれば引き返す事にして、偵察のつもりで先に進む事にする。

プリマモンテ北西面直登沢

シュンベツ岳西面直登沢出合[image/jpeg:226kB]
シュンベツ岳西面直登沢出合
チョックストン[image/jpeg:212kB]
はじめのチョックストンの滝。

門のような出合を進むと、いきなりチョックストンが現れる。右岸へつって行く。落ち口へと抜ける1歩がツルツルで微妙だった。多分、右岸をもう少し登って巻く事も出来るだろう。このを越えると、しばらくは大きなガレの転がる荒れた渓相となる。


Co940 上段[image/jpeg:253kB]
Co940 二段の滝の上段。

いくつか小滝を超えて、 Co940 で二段のが出てくる。下段を通過し、上段は右岸ルンゼ状からカンテを越えて水流に取り付けると思ったが、カンテを越えられる事が出来ず、そのままカンテ沿いを詰めて最後は木登りになって高巻いた。正直あまり良くなく、高巻くのなら左岸から巻いた方が良さそうだ。


シュンベツ岳西面直登沢分岐[image/jpeg:293kB]
シュンベツ岳西面直登沢分岐

すぐにシュンベツ岳西面直登沢プリマモンテ北西面直登沢の分岐となる。河原が広がっており、快適な天場となりそうだ。ただし、早い時期には雪渓で埋められていそう。水量は左右ともほぼ同じぐらいだ。


F1[image/jpeg:271kB]
F1

出合小滝を通過し、ガレの多いを左に曲がると、二段のが見える。いよいよここから核心だろうか。少し脆くて浮き石が恐いが、左岸直登する。


F2[image/jpeg:196kB]
F2

すぐに二つ目のが続く。左岸直登する。順層ホールドスタンスは豊富だが、ヌルヌル滑って一手一手を慎重に登る。


F3[image/jpeg:266kB]
F3

小滝滑滝をいくつか通過し、スラブ状の二段の左岸側壁をトラバースして、上部は水流を直登する。


F4[image/jpeg:243kB]
F4

更に滑滝を通過し、次の左岸ルンゼ状を登って、バンドトラバースして落ち口へ抜けた。


F6[image/jpeg:279kB]
F6
F7[image/jpeg:275kB]
F7

ここから樋状のが続く。1つ目の右岸から通過。 Co1110 屈曲点にあるのは中に入ってチムニー登りで突破した。もの凄く狭い。次の先は左岸クラック沿いをトラバースして越えた。


F8 連瀑[image/jpeg:280kB]
F8 連瀑

少し狭いゴルジュ状となって、小滝連瀑となっている。2段目までは右岸へつって通過し、残りは中を適当に進む。


F9 二段[image/jpeg:267kB]
F9 二段

左に曲がって出てくる二段のはまずは下段は左岸から越えて中段に出る。上段は両岸登れそうだが、左岸はヌルヌルが嫌らしそうだ。右岸チムニー状に取り付く。しかし、これは思いのほか悪かった。数歩上がってクラックに手足をつっこんで登ろうとするが、思いのほか狭く、スタンスが希薄で、足ブラに成って身動きが取れなくなってしまった。

とりあえずナッツをクラックに利かせてぶら下がる。シュリンゲを鐙にしようと足を上げるが、あと数cmの所で足が届かない。そのうち体力的にもヤバくなってきた。仕方がないので、シュリンゲをつないで一端ナッツにぶら下がって下りる事にする。

下段まで下りて、右岸から高巻きなおす。何の問題も無くサックリと巻けた。ハンマーに残置してきたシュリンゲを引っかけて引き上げて、ナッツ毎回収する。余計な時間と体力を食ってしまった。


Co1200 左股[image/jpeg:230kB]
Co1200 左股
Co1200 本流[image/jpeg:270kB]
Co1200 本流

小滝を超えると Co1200 二股となった。いよいよ懸案のゲジゲジ地帯だ。支流の左股は大きなとなって落ちてきている。この手のゲジゲジ地形は、険悪な渓相を連想させるが、ガレである事も多い。本流を見ると、崩れた巨岩が積み重なっている。どうやら今回も後者の例らしい。


F10[image/jpeg:265kB]
F10

ほっとしたようなガッカリしたような複雑な気分でガレを越えていくと、突き当たりは垂直のとなって右岸から落ちてくる。これは正面のルンゼを詰めてサクッと越える。


F11[image/jpeg:229kB]
F11

続く左岸直登するが、ヌルヌルが恐い。小滝が続く先には、二股が巨大なスラブとなって落ちてくる。


スラブ大滝[image/jpeg:238kB]
スラブ大滝

スラブの傾斜は緩く、階段状に見えるが、ホールドは以外と微妙で、とにかくヌルヌルが激しくて恐い。落ちると途中に止まりそうなところはないので、精神的ダメージが上に行くほど蓄積される。本流のは登れず、右股を少し詰めて尾根を乗っ越して本流に戻る。


スラブの連瀑[image/jpeg:285kB]
スラブの連瀑

このの先もしばらくはスラブ状のが続く。ヌルヌルが多くてちょっと恐い物もあった。決して極端に難しい物はないのだが、とにかくヌルヌルの多いだ。


Co1650 二股[image/jpeg:299kB]
Co1670 二股

やがても小さくなり、 Co1670 二股となった。ここは稜線に上がる左股の方が水量がずっと多い。そこはかとなく藪の予感はするが、いつものようにピーク直下を目指して右へ進む。すぐに水は涸れる。 Co1750 も右に進むと、沢形は Co1850 手前でハイマツの藪に消えた。少し谷筋の藪を進んだ後、右岸の尾根に上がる。周りを見渡したところ、どの筋を行ってもそれなりの藪漕ぎはありそうだ。


カムイエクウチカウシ山[image/jpeg:144kB]
カムイエクウチカウシ山

尾根状はわずかな藪でピークに出た。ピークに出ると、カムエク北面の精悍な姿が目に飛び込んできた。去年の遡行した直登沢が見えるが、見えるのは既に核心部を過ぎた上部のみだ。ここから見る限り、右股の方がより劣悪に見える。

本当は薪の豊富な河原まで下りたかったが、九ノカールに下りたところで時間切れとなって C2 とした。夕食を食べ終わると雨が降り出し、ツエルトの中に逃げ込んだ。

2012年09月23日(日)

雨は3時間ほどでやんだようだ。今朝も雲のない良い天気だ。下るだけなので、ゆっくりと撤収して出発する。

延々と続く河原と、いくつかの滑滝を通過して、例のゴルジュに到着する。今回はここの巻き道を確認するのも目的の一つだ。

とりあえず四段目の右岸から高巻き、三段目の上に出る。周囲を確認するが、右岸からは垂直のルンゼが落ちて来ていてそのまま進めない。左岸も切り立っていて取り付けそうにない。

一端四段目を登り返し、左岸から大高巻きしようと試みるが、登りすぎないようにと思っていたら、結局三段目の上に出てしまった。なにやってんだか。

これ以上高く巻くとなると、相当のアルバイトになる。はっきり言って、これを高巻くのは現実的ではない。結局三段目は左岸クライムダウン。二段目は右岸をクライムダウンして一段目の上に出た。

九ノ沢 F1[image/jpeg:216kB]
九ノ沢 F1

一段目は左岸側壁を登り返して、巻こうと思ったが、下部がハングして下りられない。古い捨て縄がかかっていたダケカンバにロープを掛けてラッペルしたが、微妙に長さが足りなかった。2mほどロープを引っ張りながらずり落ちる。30mのロープだと、全く届かなかった。シュンベツ川で何かあった時のためにと長めの45mロープを持ってきて良かった。

更に面倒な三条のチョックストン右岸シャワークライムダウンする。結局、このゴルジュは簡単に高巻くルートは見あたらない。内部通過できないときは相当のアルバイトを覚悟しなければならない。

あとはひたすら河原を下り、七ノ出合で自転車を回収する。日曜日と言う事もあり、ダムゲート前には大量の車が駐車されていた。半数は釣り屋だろうが、登山者も多いだろう。

雑感

プリマモンテ北西面直登沢は、思ったほど劣悪ではなく、意外と普通のだった。シュンベツ岳西面直登沢はもっと劣悪なのだろうか。興味は尽きないが、何しろアプローチが面倒な山域なので、この課題はまたしばらく先延ばしとなるだろう。

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