日記:3318
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このところまったく山に行っていなかった。山に行く暇がなかったわけではなく、相変わらずの出不精で行きそびれていた。これまでのうっぷんを晴らすべく、ゴールデンウィークには少し気合いの入った山行に行こうと決めた。これまで日高山脈の多くの稜線を歩いてきたが、未だ線を引いていない部分がいくつかある。そのうちのひとつが、日高の雪稜の中でも難所とされる、一八三九峰南西稜と、カムエク南西稜だ。今回の計画はこの二つの難稜をつなぐ贅沢なものだが、他人の記録をろくに読まない私は、そのヤバさを正確に理解していなかった。はたして楽観主義者の私は、いつも現場で泣きを見るのだが、今無事にこうして記録を書いている。しかし、真の核心はそこではなかったのかも知れない・・・
何とかこのまま無難に過ぎてくれたらと思っていたが、屈曲するゴルジュの先には、これはもうどうしたって泳ぐしかないと言う樋状の滝が待ちかまえていた。何とかしようにも周囲はツルツルの垂直の壁に囲まれてどうしようもない。これを越えられなければ、いったいどこまで戻って巻き直さなければならないのだろう。覚悟を決めて釜に飛び込む。正面から来る水流にあらがい必至に水をかく。私の泳力でも、何とか少しずつ前進する。いよいよ体力の限界となって流される直前で、両岸に手を伸ばして体をあげる。ツルツルの側壁にめいっぱい両手足を突っ張り、樋の中を進む。単独なので、こうやって泳いでこうやって取り付いてこうやって登ったという写真が撮れないのが残念であるが、釜持ちの樋滝はこうやって登るという典型のような滝である。
コイカクシュサツナイ岳を経由して、14年振りの一八三九峰を訪れた。コイカクシュサツナイ岳北東面直登沢、一八三九峰北面直登沢はともに適度な難しさの良渓であった。
日高の全山縦走をするなら、前からこの季節だと思っていた。この季節なら硬く締まった雪稜の日高を駆け抜ける事が出来る。支稜にはいっさい目もくれず、夜明け前から行動を開始し、できる限り距離を稼ぎ、とにかく進める所まで進もうというマラソン山行であった。
台風による一時撤退により、おやぶんの都合がつかなくなり、いわしたさん、いぐちさんが編入された。