- 目的
- 一五九九峰北東面直登沢・ヤオロマップ岳南面直登沢遡行
- 日程
- 2005年08月28日(日) - 09月01日(木)
- 山域
- 中日高
行程
予定
- 2005-08-28
- ヤオロマップ林道終点 C0
- 2005-08-29
- C0~ヤオロマップ川本流~上二股 C1
- 2005-08-30
- C1~ヤオロマップ左沢~一五九九峰北東面直登沢~一五九九峰~サッシビチャリ川本流~ヤオロマップ岳南面直登沢出合 C2
- 2005-08-31
- C2~ヤオロマップ岳南面直登沢~ヤオロマップ岳 C3
- 2005-09-01
- C3~ヤオロマップ左沢~ヤオロマップ林道 下山
- 2005-09-02
- 予備日
結果
- 2005-08-28
- 大樹町道の駅 C0
- 2005-08-29
- C0~ヤオロマップ川本流~上二股 C1
- 2005-08-30
- C1~ヤオロマップ左沢~一五九九峰北東面直登沢~一五九九峰~サッシビチャリ川本流(一五九九峰南西面直登沢)~ヤオロマップ岳南面直登沢出合 C2
- 2005-08-31
- C2~ヤオロマップ岳南面直登沢(途中撤退)~一五九九峰南西面直登沢~一五九九峰~一五九九峰北西面直登沢~ヤオロマップ川上二股 C3
- 2005-09-01
- C3~ヤオロマップ川~ヤオロマップ林道 下山
2005年08月29日(月) ヤオロマップ川下流域遡行
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
04:00 | 大樹 | 起床 | |
06:05 | 晴 | 林道終点 | 出発 |
08:00 | Co390 | 入渓 | |
11:10 | 雨 | 510二股 | |
13:20 | Co605 | C1 |
ヤオロマップ川
ヤオロマップ川林道は、ポンヤオロマップ川林道と分かれて約10km、清水橋からは約2kmの地点で崩壊して車は行き止まりとなる。車を切り返して駐車してから出発。林道は徐々に荒れてゆき、六段沢の滝を見るとその先は大きく崩れ、道を見失う。一端沢に降りるが、先に林道が続いているのが見えたので道に復帰する。道は藪に覆われてやよい沢出合のちょっと先でついに消失する。沢に降りると、そこにはコンクリートの橋脚だけになった橋の痕跡があった。どうやら道は左岸に移ってまだ続いているらしい。左岸に移って灌木の覆う林道跡を行く。道はやがて判然としなくなり、上滝沢出合の対岸の台地で消失する。
急斜面を木を掴みながら沢に降りる。下二股まではこれといった物は出てこないが、やたらと水圧が強くちょっとした渡渉ですら難儀する。これで平水なんでしょうか?まだ先日の大雨の影響が残ってるのかな。右の本流に入るとすぐに小さな淵のゴルジュが出てくるが、地形図の滝記号の付近には滝の滝の痕跡など無く、たいしたゴルジュ地形ですらない。入る沢を間違えたのか、それとも滝が消失したのかちょっとばかり不安になりつつ進んでいくと、いよいよ本格的なゴルジュ地形になり始める。
そして、Co430の小滝の上を右に曲がるとついに深いゴルジュの先に滝が落ちるのが見える。右岸を少しへつってみるが、まったく滝にはたどりつけそうにない。どうやらここが核心の部分らしい(全然場所が違うじゃん!>山谷)。水圧に吹き飛ばされない様に屈曲点を慎重に左岸に渡り、カンテを登り木登りで高度を上げる。函の中には3つほど白く泡だった深い淵を持った滝が落ちているのが見える。急斜面をトラバースして、1本ルンゼを渡って尾根筋を少し降りて下を覗くと足下にはまだ泡だった釜が見えるので、登り返して更に高巻く。崖の縁を進み、沢の方向が変わった付近でようやく降りられそうな河原が見えるので、ラッペル1ピッチで沢に降りる。
釜滝1つを微妙なバランスで右岸をへつって通過する。ゴルジュ地形は徐々に開けてやがて巨岩の転がる河原となる。その後はCo500付近に小さな函がある以外は広い河原が続く。579二股の前後に小規模な函が現れ、再びゴルジュ帯となる。Co600のS字カーブの左岸に快適な天場になりそうな台地を見て上二股へ。右沢は泳ぎ甲斐のありそうな廊下で、左沢は釜滝になっている。左沢は開けているものの、相変わらずゴルジュ状で、天場になりそうなところはない。
先ほどの台地に戻り天張ることにする。滅多にない快適な天場だ。増水時の保証はしないが、四天でも10張りはいけそうだ。もっともこんなマイナーな沢にそんなに一度に多くのパーティは入らないだろうけど。実際、最近ここに来たパーティはない様で、すんなりと大量の薪を収集。帰りの3泊目の分も充分足りそうだ。ただ、魚影は全くなく釣り針をおろしてもうんともすんとも言わない。今夜は雲ひとつない満天の星空。焚き火の脇で星を眺めながら眠りにつく。
2005年08月30日(火) 一五九九峰北東面直登沢遡行~一五九九峰南西面直登沢下降
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
04:30 | 起床 | ||
05:40 | 出発 | ||
09:45 | 一五九九峰 | ||
13:25 | ヤオロマップ南面直登沢出合 | C2 |
結局ツェルトに入ることは一度もなく、外で朝を迎える。今日も朝から天気がいい。上二股で出合の滝を右岸から巻いて左沢に入る。ずっと滑釜が続く。特に問題なくすべて中を行っていたら、1ヶ所へつりの途中でハマってしまい、無理矢理壁をよじ登る羽目になる。はじめから右岸巻きが正解であった。そこからすぐに一五九九峰北東面直登沢出合となる。
一五九九峰北東面直登沢
出合からすぐに三段の滝となる。1段目は右岸を直登するが、2段目3段目はつるりとしているので、それぞれ左岸の草付きを小さく巻き気味に登る。滑滝・滑床を過ぎて、右に曲がるところの滝は釜の右岸をへつって落下点を左岸に渡って直登(Co710斜瀑)。続く幅の広い滝は右岸スラブ壁のバンドをトラバースして落ち口に抜ける(Co730)。更に斜瀑を直登すると、滑の中にデブリと溶け残った雪渓が現れ始める。 Co790 で大きな雪渓となって左岸から上に上る。雪渓は Co850 まで続き、滝の上に降りる。
ここからがこの沢の核心で、標高差80mの巨大なスラブ滝となっている。1段目は微妙な傾斜ながらもなんとかフリクションで左岸を登りきる。2段目は更に傾斜がきつく、左岸のバンド沿いに登っていくが、上部で抜けられず、無理なムーブをしたらスリップする。慌てて草付きを掴んですぐに止まるが、左臀部をすりむいてしまった様だ。どうも直登はプロテクションをとらないと無理そうなので、渋々巻くことにする。左岸も巻けそうだが、右岸のスラブの壁を使うことにする。わずかなバンドを選びながら1歩1歩慎重に巻いていくが、余りよくない。3段目の途中に抜ける。3段目、4段目は右岸を直登する。ホールドは微妙だ。スリップすると 80m の滑り台なので気は抜けない(Co850-930スラブ)。
この上は再び雪渓となって、 Co990 の直登沢出合まで続く。正面が大きなスラブとなって、直登沢は左岸から枝沢状に落ちてくるが、水量が多いので間違うことはないだろう。出合から2段目の滝は樋状で、中をチムニーで快適にシャワークライムする(Co1000-1010樋状)。左に曲がって小滝が続いているのが見えたので、難しいのもここまでかとほっと胸をなで下ろしたのもつかの間、更に左に曲がっていくと、細いルンゼの中に悪そうな滝が落ちているのが見える。樋状の滝を右岸から超えて、2段目のチョックストンは右岸の壁と岩の間に体をねじ込み登り切る。3段目の樋状はチムニーで超える。4段目の直瀑は水流をチムニーで登っても良いが、真上から水を被ってちょっときつそうである。左岸の壁をへつりながら登る(Co1020-1060ルンゼ)。
ここから先は問題になるものはなく、ひたすら岩盤状の沢を突き進むと、草付きの沢形となり、わずかに急傾斜の木登りをするとほぼピーク直下に飛び出す。
一五九九峰南西面直登沢(サッシビチャリ川本流)
いい天気だが、何故かヤオロマップ岳だけには雲がかかっている。時間は充分にあるので、ラジオで気象情報を聞きながらのんびりと過ごしてから下降を開始する。今夜から明日にかけて前線が通過するらしい。
稜線を少し南に下がってから下り始めるが、どうやら北側の方が正解のようだ。トラバースして沢に出る。岩盤の沢をサクサク下る。クライムダウンが難しいところは左岸の灌木帯を小さく巻く。1180二股の滝の下からは、Co1000の涸滝を除いては825二股までガレ沢となる。825の右股の沢には凄まじい滝が延々と連なっているのが見える。
この先は浅いゴルジュ帯となって、滑・釜が連続する。飛び込んでいきたいところだが、体力の消耗を考えて自重する。ルベツネ北面直登沢出合は両股がツルツルの滝のビン底になっている。左岸に巻き道があり、ルベツネ北面直登沢に出る。右岸に一張り分の天場跡がある。更に左岸を巻いて出合の下に出る。
左屈曲点の滝を左岸から巻くと河原となってヤオロマップ岳南面直登沢出合に到着。ブッシュの生い茂る台地はあるが、天場跡は見あたらない。申し訳ないが一張り分を開削させてもらう。
2005年08月31日(水) 一五九九峰南西面直登沢遡行~一五九九峰北西面直登沢下降
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
04:30 | 起床 | ||
05:50 | 出発 | ||
07:30 | ヤオロマップ岳南面直登沢 Co850 大雪渓 | 撤退決定 | |
08:20 | サッシビチャリ川本流 Co825 | ||
11:05 | 一五九九峰 | ||
12:40 | 一五九九峰北西面直登沢 Co1150 | ||
14:30 | 一五九九峰北西面直登沢出合 | ||
15:30 | ヤオロマップ川上二股 | C3 |
ヤオロマップ岳南面直登沢
結局雨は一滴も降らなかった。どうやら前線はここまで届かなかった様だ。 Co700 を右に曲がると函滝が現れる。こいつを左岸から巻くと釜が連続し、左に曲がるところで大きな斜瀑となる(Co720-730)。左岸から取り付くが、最後の傾斜が微妙で突破できない。一度降りて右岸を直登し、ハング下をくぐる様に落ち口に抜ける。2段目は下部がハングしており取り付けないので、左岸から巻く。っていうか、1段目から左岸を巻いた方が早いですが。この上の左岸は幕営できそうだ。樋状の滝を過ぎて連続する滑を通過、 Co790 で二段の滝を登り、釜滝を1つ巻く。ここまでは難しい沢という雰囲気はない。もうとっくに雪渓が出てきてもいい頃だが、その気配がない。
Co810 を左に曲がると大障壁に囲まれた巨大な函となり、奥の方にようやく雪渓が見える。近づいてみると、雪渓の上面ははるか 20m 頭上にあり、シュルントも深く簡単に上には上がれそうない。暗い雪渓の下には悪い滝があるようだ。左岸は垂直で、シュルントにすらたどり着けそうにない。一応右岸をへつって雪渓を上部から眺めるが、とても上には上がれそうにない。よしんば登ったとしても、降りることが出来なくなりそうだ。なんとか右岸を巻いていけないものかと悪い壁をよじ登って眺めるが、右岸からは悪そうなルンゼが幾筋も落ちており、高巻きのための高巻きをしなければならなそうな状況だ。雪渓の先でラッペルで沢に降りるにしても、 100m はあろうかという壁の途中に安全にピッチを切れそうな所など見あたらない。
このまま巻いたとすると、 Co1100 付近の安全地帯にたどり着くまで一体何時間かかるか分からないし、無理矢理遡行したところで面白くはないだろう。非常に残念ではあるが、ここで撤退を決意する。1ピッチでは下に届かないのでダケカンバに捨て縄をかけ、まずは 10m のラッペル。更に 20m いっぱいのラッペルで降りるが、それでも足らず 5m のクライムダウンで沢に復帰する。それにしても、雪渓が少ないと遡行不能になるなんて聞いてないよ。
一五九九峰南西面直登沢
Co720 の滝は左岸を巻いて、出合をサクッと通過。サッシビチャリ川本流を登り返す。まさかこの沢を登り返す羽目になるとは。それにしても太陽が照ってやたらと暑い。本当に明日から9月なんだろうか。下りでは巻いた1180二股からの滝もすべて直登し、岩盤から崩壊地に出てピークから 50m ほど西側に出る。
一五九九峰北西面直登沢
行きと同じルートを通るのもつまらないし、北東面のあれだけの滝を下ると思うとうんざりだし、 80m のスラブはどう下って良いか見当もつかないので、下りは北西面から下ることにする。主稜線をしばらく進み、急斜面の木を掴みながら下る。沢に出ると細いルンゼとなっている。源頭から猛烈に悪い様相を呈している。この選択は誤りだったか、不安がよぎる。体の入るところはチムニーでクライムダウン。下部に行くほど滝は大きくなり、クライムダウンできないので左岸を巻いてラッペルで降りる。 Co1250 付近のスラブの壁に囲まれた滝は左岸を慎重にトラバースしながら高度を下げ、沢に降りる。この先の雪渓を降りると、沢はガレが埋める。
Co1070付近から函状の中に滝が連続してここからひたすら巻きまくりとなる。はじめはそれほど緊張感はなく簡単に巻く事が出来る。970二股からの直線の長い函は左岸のテラス状を巻いていく。沢に降りられそうなところもあるが、下手に降りてしまうと脱出不可能になりそうな予感がして降りられない。案の定 Co940 付近には大きな直瀑があって函は一気に深く落ち込んでいる。そのまま沢に復帰することが出来ず、崖際の灌木帯をたどる。それにしてもこんな凄いところでもシカ道はあるもので、自分がユックになったつもりになると進むべき道は自然と見えてくるものである。
尾根筋に出て Co900 付近で一端沢に降りるが、大きな滝が行く手を阻む。再び左岸を巻いていくが、進むほど垂直に立ってくる。 20m のラッペルをしてさらに灌木帯の木を掴みながら下り沢に出る。小さいがクライムダウンできない滝が続くので、今度は右岸を小さく巻く。それよりも二股の先が大きく落ち込んでいるのが気になる。
案の定830二股は垂直に落ち込み、両岸が切り立った崖になっている。ようやく本流が見えるが、まだ安心できない。どちらを巻くか迷うところだが、左岸は取り付き時点で苦労しそうだ。右岸の垂直の壁の上の灌木帯を、今度はサルにでもなったつもりで木を掴みながらトラバースしていく。出合付近は沢の内部近くを行けそうなので、高度を下げられるところは出来るだけ高度を下げながら進み、 Co770 付近で沢に出る。
この先の滝は小さいが、ツルツルで中は行けないので右岸を小さく巻きつつようやく本流に復帰する。地形図を見て、多少悪いものはあるかと思っていたが、まさかここまで悪いとは思わなかった。結局半数が高巻きである。こんな事なら最初から北尾根を下った方が早かったのではないかという気さえしてくる。
サクッと本流を下り、天場に到着する。壮絶な1日を終え一安心だが、明日はまだ長いヤオロ本流下りが待っている。例の核心の函もどう処理すべきか悩みどころだ。そういえば、水際に初日は水没していた砂浜が復活している。やっぱり初日は少し増水気味だったらしい。今夜も天気がよいようなので外で寝入ることにする。
2005年09月01日(木) ヤオロマップ川下降
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
05:10 | 快晴 | 起床 | |
06:50 | 出発 | ||
10:20 | Co430 | ||
12:20 | 橋脚跡 | ||
14:45 | 林道終点 | 下山 |
ヤオロマップ川
今日は下るだけなのでゆっくり起きて焚き火でじっくりと体を暖めてから出発。泳げる釜はあるが、まだ朝は寒いし、先は長いので出来るだけ濡れないように進む。今日もいい天気で時折沢に日が差すと暖かくいい気持ちだ。登りと余り変わらないペースで核心のゴルジュが近づく。
Co450 付近の2つの釜滝の先を左に曲がると核心だが、泳ぎ下るか高巻くか迷うところだ。高巻くならこの辺から巻いてもいいが出来るだけ中を行きたい。しかし、上の釜滝を登りでどうクリアしたかまったく覚えていない。右岸に歩いたようなあとがあるので右岸に行くがものすごく微妙なバランスを強いられる。本当にこんな所を通っただろうと思っていたら、下の方でやり覚えのあるムーブが出てきて納得。まぁ、釜に飛び込んでしまえばいいのだが、何となく確認しないと気が済まないのである。
2つ目の釜滝を下り、左に曲がって腰まである瀞を行くと、いよいよ滝にあたる。上から覗くと、2つ目くらいまではなんとか泳ぎ下れそうだが、その先はよく分からない。このゴルジュにはいくつ滝がつまっているんだろう?やっぱりこの深いゴルジュを一人で下るにはちょっと勇気がいる。瀞を登り返して下の釜滝から高巻きに入る。帰ってから写真を整理したところ、どうやらこのゴルジュの滝は3つで終わりのようだ。これなら泳ぎ下っても大丈夫かもしれない。
巻きが終わったところで、あとは泳げるところは泳ぐことにして雨具を着込む。しかし、実際は無理矢理泳がなければ余り泳ぐところはなかったりする。やよい沢の橋脚の所まで泳ぎながら沢の中を進んだので、登りより時間がかかる。
それにしても登りでも下りでもまるまる1dピッチとはヤオロマップ川は長い。林道の途中で美味しそうだと思って採取したキノコはツキヨタケだった・・・