ウペペサンケ山~ニペソツ山

ふ~ちゃん
目的
ウペペサンケ山~ニペソツ山縦走
日程
2008年02月01日(金) - 04日(月)
山域
東大雪

行程

2008-01-31
幌加除雪ステーション C0
2008-02-01
C0~メトセップ川林道~然別分岐付近 C1
2008-02-02
C1~ウペペサンケ山東丸山~五ノ上流 C2
2008-02-03
C2~丸山ニペソツ山南尾根 P1736 C3
2008-02-04
C3~ニペソツ山~天狗~幌加温泉 下山

あわよくば石狩岳、三国山まで行こうと思っていたが、体力、装備不足でニペソツ山で終了した。

装備

2008年01月31日(木)

糠平のバス停横の公共トイレの前で車中泊をするつもりだったが、翌日のために車デポ地点を偵察に行くと、ちょうど予定ルートの中間点付近に『幌加除雪ステーション』という立派な施設があったので、そこの前で車中泊をすることにした。きれいだし、暖房が利いているので、中で泊まりたい所だが、あいにくそこまでの図々しさは持ち合わせていなかった。

2008年02月01日(金)

タイムレコード
時刻天候場所行動
06:00起床
08:00幌加除雪ステーション出発
15:50然別分岐付近C1

案の定、朝はかなり冷え込んだ。シュラフから出るのがつらい。やはり、ステーションの中に泊まれば良かったかな。ステーションの中でお湯を沸かし、カップ麺の朝食を食べる。一端、下山予定の幌加温泉まで偵察に行き、やっぱり車の残置地点を除雪ステーションにすることにした。

装備の準備をして、入山地点のメトセップ川林道の入口まで行き、ザックとスキーを残置する。除雪ステーションの引き返して、車を残置して出発した。林道入口までは約 3km。ヒッチハイクをするには短すぎる距離だ。

ちょうど 30分ほどで林道入口に到着した。記録のために出発地点の出発の写真を撮ろうと、カメラの電源を入れると、電池容量が10分しか残っていない。昨夜寒すぎたせいもあると思うが、出かける前にしっかりと充電してくるのを忘れていた。撮影間数を減らして、ごまかしながら行くしかあるまい。

メトセップ川林道[image/jpeg:147kB]
林道からウペペサンケ山を望む。

ザックを担ぐと、6日分の装備の重さがずっしりと肩に食い込む。林道上にはしばらくタイヤの跡が続いていた。前回の日高同様、鹿撃ちの車だろうか。雪は予想以上に少ない。タイヤの跡は 5km ほど先で消えていた。

雪が少なく、ラッセルらしいラッセルはないが、意外にと言うか、普通に普通の距離しか進めない。今日はあわよくばウペペサンケの先まで進んでやろうと思っていたが、そんなに甘くはなさそうだ。天気は良く、気温は上がる。久しぶりの大荷物のせいか、ペースはどんどん落ち、思うように進めない。

Co1020 から地形図上の林道を外れ、細いブル道に沿って尾根を登る。主稜線に近づくとどんどん風が強くなってきた。 P1595 をトラバースし、然別分岐の東側斜面のダケカンバの中にブロックを積んで幕営することにした。結局、普通に予定天場までしか進めなかった。

強い風が時々テントを揺らすが、ラジオでは週末の天気は安定すると告げているのが希望だ。今夜はもの凄く冷える。

2008年02月02日(土)

タイムレコード
時刻天候場所行動
06:00起床
08:00出発
09:05ウペペサンケ山(東峰)アイゼン
10:20最高点の先
11:00西峰の先スキー
14:00東丸山手前コル
15:05Co1200C3

昨日は稜線に上がったとたんにすごい風になって、この後どうなることかと思ったが、朝方には落ち着いてきて一安心だ。それにしても、シュラフのロフトが低下してきたのか、猛烈に寒い夜だった。

ウペペサンケ山

ウペペサンケ山[image/jpeg:140kB]
ウペペサンケ山を望む

久々の冬山泊で、出発までに 2時間もかかってしまった。明日からは 5時起きにしよう。外に出ると晴れていた。しかし、上空の雲はかなり速いスピードで流れている。稜線上の風はやはり強い。ウペペサンケ山東峰までは、一部際どいところもあったが、何とかスキーを使って登る事ができた。ニペソツ山は雲に隠れて望むことができない。


ウペペサンケ山最高点[image/jpeg:147kB]
最高点への稜線

東峰からはアイゼンに履き替えてシートラをする。風はどんどん強くなり、しかも正面から吹いてくるのがウザい。地形図を出すのもかったるいので確認せずに歩いていたら、最高点はいつの間にか通過したようだ。小気味良くアイゼンを利かせて西峰を通過し、 Co1700 で尾根が平坦になったのでスキーに変える事にした。

東丸山

しかし、 1386 コルへの下りは風によって植生が露出しており、スキーはほとんど使い物にならない。かといって、わずか10分程度の下りにアイゼンをつけてシートラするのも面倒なので、両手にスキーを持ってツボで降りていくと、所々突然カチカチに氷化している所など有ってちょっと怖かった。しかも、氷化してなさそうな所は植生トラップでズボズボ埋まって鬱陶しい。

ウペペサンケ山西峰[image/jpeg:149kB]
ウペペサンケ山西峰を望む

1386 コルは気持ちよく、思わず天張ってしまいたくなるが、がんばってもうちょっと進む。こちらの登りは快適にスキーが使える。スキーを楽しむなら、逆ルートの方が良かったかも知れない。

東丸山へは、コルザックとスキーをデポし、アイゼンに換えてアタックする。南東斜面の風成雪にアイゼンが利く。東丸山のピークはどこか分からんので、適当に一番高くなったっぽい所でリターンする。

コルからは谷へ下る。雪が多ければ雪崩の危険もあるだろうが、この雪の量なら問題ないだろう。クラスト気味の所を少し下って、スキーに換える。シールをはずしたいところだが、既にまともに滑る体力は残っていなかったので、シールをつけたまま下ることにする。落ち着いた雪質で、沈まず浮かず、快適にスイスイ谷を下る。

丸山との最低コル付近の対岸に天張る。今日もあわよくば丸山を越えてやろうと思っていたが、やっぱり予定天場までしか進めなかった。

2008年02月03日(日)

タイムレコード
時刻天候場所行動
05:00起床
07:00出発
09:35Co1580アイゼン
10:35丸山
11:50P1273 尾根の Co1200 付近
15:15P1736 東尾根頭C3

風のない谷間なので、昨日より快適だろうと思っていたが、意外と寒かった。を渡り、対岸のコルに上がる。広い複雑な地形に藪が多く、方向性が定まらず意外と手こずる。地形図には出ない急斜面とかが多くてやっかいだ。

Co1280 でようやく丸山からの尾根末端に上がると、谷を挟んで対岸の斜面が赤くなって水がしみ出してるのが見える。温泉だろうか? Co1500 付近くらいまでは快適にスキーを使う事ができた。だんだん尾根が細くなり、クラストし始めたので、アイゼンに換えるが、バリズボでキツい。

コル付近も藪で苦労したし、細い尾根は歩きにくく、結局なんだかんだで丸山ピークまで 4ピッチ近くを費やしてしまった。コルから稜線に戻らずに、を Co1130 位まで下って広い南西尾根に取り付いた方が楽だったかも知れない。

丸山の頂上で、しばし地形図とにらめっこする。主稜線上の Co1570 からの下りはやっぱり嫌な感じがする。ヘタレな私は北東の広い尾根を下ることにした。谷の乗っ越しもそれなりにやばそうだが、弱点はあるだろう。

ニペソツ山は山頂部が雲に隠れて全貌が見えない。もう少しなのだが、なかなか晴れそうにない。斜面はダケカンバが濃いが、尾根筋は吹きだまりが形成されて、スキーは快適だ。シールをはずしてスキーを楽しみたい所だが、今日はまだまだ登りがありそうなので、下手にはずすのは危険だ。左右に大きくジグを切りながらが、下っていく。

谷は案の定、崖になっていた。何とか降りられそうな所があったので、降りるが、対岸には登る所が見あたらない。仕方ないので、登る所を探してそのまま谷筋を滑っていくと、所々で岸から水がしみ出して斜面が露出していたり、まで出てきて万事休す。

ちょっと厳しいが、適当に崖のどこかを登るしかなさそうだ。藪崖上等と言うことで、気合いを入れて崖にステップを刻み、藪をつかみつつ無理矢理登りきった。尾根を横切るとすぐに二本目の谷が出てきた。しかし、さっきよりは浅い谷だ。登り返しを探して少し谷を下ると、 Co1160 二股となった。


丸山[image/jpeg:148kB]
丸山を振り返る

対岸に移り、ニペソツの南尾根に取り付く。尾根は広いエゾマツ林だ。雪質は良く、ラッセルも快適だ。 Co1500 付近で突如として植生が変わり、雪面の状態も急変する。ここに天張るか、先に進むかの判断の分かれ目だが、平坦な P1736 周辺で泊まれることを期待して先に進むことにする。


ニペソツ山[image/jpeg:149kB]
威風堂々のニペソツ山
ウペペサンケ山[image/jpeg:147kB]
歩いてきた道程を振り返る

雪面は所々カリカリで、スキーだと時々スリップしてビビる。しかし、植生トラップが多いので、アイゼンに換える気にもなれない。やっぱりシーアイゼン買おうかな。やっとの思いで P1736 ポコに上がると、正面にニペソツの異様がそびえていた。表の顔はあまりにも有名だが、裏の顔も迫力充分である。

P1736 周辺は雪がとばされ、天張れそうな所はない。東尾根の頭までいくと、何とかブロックを詰めそうな吹きだまりあった。足下は急斜面だが、気にしてられない。ブロックを少し高めに積んで幕営する。雪洞を掘るには少し雪が少なそうだ。

2008年02月04日(月)

タイムレコード
時刻天候場所行動
05:00快晴起床
07:00出発
08:40ニペソツ山
11:00前天狗
15:30幌加温泉入口
16:00幌加除雪ステーション下山

快晴の朝

場所が場所だけに、もっとつらい夜になるかと思ったが、案外快適な夜だった。今日は天気が悪かったり、風が強いようならそのまま東尾根を下ってエスケープしてやろうと思っていたが、風はいつの間にかやみ、外を見ると、星空が広がっていた。どうやら行くしかなさそうだ。

テントから出た時は、夜明けの朝霧に包まれていたが、すぐにすっきりと晴れわたった。ニペソツが間近に迫る。両方切れ落ちた尾根に、正直腰が引けるが、これだけ天気が良ければ行くしかあるまい。

いざニペソツ

十勝連峰[image/jpeg:146kB]
雲に浮かぶ十勝連峰
ニペソツ山南尾根[image/jpeg:148kB]
細い尾根を登る

尾根に上がると、十勝連峰もきれいに見えていた。空身ならともかく、シートラでこの尾根を登るのはつらいし怖い。足を滑らせたらどっちに落ちてもやばいので、慎重に一歩一歩を進める。意外と怖いのはカリカリの氷雪よりも、氷雪の上に吹き溜まった風成雪だ。キックを踏むと崩れ落ちてビビる。誰か私にザイルを垂らしてください。


ニペソツ山山頂[image/jpeg:147kB]
東面はすっぱりと落ちている
パノラマ[image/jpeg:504kB]
ニペソツ山からのパノラマ

救いはあまり雪庇が発達していないことか。本当に風もなく、雲ひとつ無い天気で良かった。天気が悪かったらマジで泣いてたかもしれん。この急な細尾根にもキツネの足跡が付いている。キツネの足跡を道しるべに進む。 Co1980 の頂稜に出ると、ピークまではすぐだ。東側には大きな雪庇が出てるので稜線には近寄らず、西側の硬い斜面をトラバースしていく。ピークからは 360度の大パノラマだ。下層部には少し雲があるが、日高方面の頭も見えていた。真冬に奇跡の快晴である。


ニペソツ山[image/jpeg:148kB]
トラバースからの眺め
ニペソツ山[image/jpeg:148kB]
おなじみのニペソツ山の姿

下りは例のトラバースがある。トラバースの始まりが分かりづらく、少しとまどったが、適当に始めてもそれほどやばくはない。トラバースが終わると後は登山道沿いに足跡もあるので、気は楽だ。日が高く昇り、気温はどんどん上がる。何度も振り返りニペソツの雄姿を眺めながら、アイゼンを利かせて天狗の岩塔群を通過した。

下山します

計画ではここから石狩岳方面へ縦走するつもりだったが、体力や残り日数から判断して、ここから下山することにした。特にガスは予想より消費して、ほとんど残っていなかった。

前天狗から登山道沿いに幌加方面に下るか、ずっとを下って幌加ダムに出るか迷いどころだ。上部のスキーは沢ルートの方が楽しそうだが、林道に出てからが長そうだ。登山道沿いはなだらかだが、下部まで確実に下りが続いていそうだし、適当にショートカットしていけば登り返しが少なそうに感じた。迷ったあげく、登山道ルートを下ることにしたが、最終的にはこの判断は間違いだったような気がする。


オッパイ山[image/jpeg:146kB]
東大雪のおっぱい
前天狗[image/jpeg:151kB]
前天狗のボール地形

シールをはずして、スキーを楽しむことにする。登山道沿いの斜面だが、理想的なボール地形になっている。雪質は硬め。ザックが重く、体力も消耗しているので、大きくカーブを描きながら下る。それなりに楽しい。尾根が低くなっている所で尾根に復帰した。 P1662 への登り返しは藪が濃く、クラストもしていてかなりウザい。ツボでは埋まるので、面倒だがシールをつけてのぼり返す。


ニペソツ山[image/jpeg:148kB]
P1662 からニペソツ山を望む

P1662 でシールをはずして滑走する。ここのスキーはそこそこ面白かった。 Co1550 からはやや登り返しもあって、藪もうるさい。 Co1540 からコンパスを切って P1254 のポコをめざす。もの凄いだらだらした下りで、どこにいるのかもさっぱり分からない。 P1254 は北側を通り、尾根筋を滑って Co850 付近で登山道に復帰してやろうともくろんでいたが、 Co1300 はすごい藪と急斜面で、登山道沿いしか下る所がなかった。急斜面を下ってからも早めに北側にトラバースして、谷を越えてしまいたかったが、なかなか谷を越えることができず、結局登山道沿いに追いやられてしまった。登山道沿いの渡渉は何とかシールをつけずに通過できた。

登山道は平坦で、雪も溶け始め、スキーは滑らない。途中で登りがあるので、シールをつけ直す。登山道歩きがあまりにもかったるいので、 Co770 で登山道を外れ、道に直接出てやろうとしたが、途中で変なブル道に翻弄され、崖の上に出てしまう。またしてもシールをつけなおし、少し登り返して、登山道に戻った。これぞ急がば回れだ。アホくさ。やっぱり幌加ダム方面に下れば良かったな。

幌加温泉に GO

道路上をスキーで一気に下り、国道に出てからザックとスキーを残置する。 30分ほど歩いて除雪ステーション到着に到着した。靴を脱いでいると、男の人が話しかけてきた。山をやっている人のようだ。話しかけてくれるのはうれしいが、早く温泉に入りたいので早々に話を切り上げ、車を走らせ、ザックを回収して幌加温泉に向かった。

温泉は玄関で声を掛けても、しばらく誰も出てきてくれなかった。のんびりしすぎだろう。まあ、それが魅力でもあるが。温泉は私一人で貸しきりだった。しかし、入っているとどんどん日が暮れてきたのに、明かりをつけてくれず、姉妹には真っ暗になってしまった。いいけどね・・・。このまま宿に一泊しようかなとも思ったが、まだ時間が早いのでがんばって車を走らせて帰ってきた。

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