- 目的
- 神威岳北西面直登沢・南東面直登沢遡行
- 日程
- 2008年09月03日(水) - 06日(土)
- 山域
- 南日高
今まで未遡行だった神威岳のルートを巡ってきた。北西面直登沢は予想通りほぼガレで埋められた沢だったが、それなりに楽しめた。南東面直登沢は地形図の様子や、ピオレ山の会の下降時の報告から、『北海道の山と谷』にあるような簡単な沢なのかどうかという疑念があったが、地形図通りの強烈な函の中に足を踏み入れることさえ出来なかった。
行程
装備
2008年09月04日(木)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
04:00 | 起床 | ||
06:00 | 元浦川林道ゲート | 出発 | |
07:30 | 神威山荘 | ||
09:40 | 晴 | 尾根取り付き | |
10:40 | Co1080 | ||
12:45 | 神威岳 | ||
15:25 | Co940 三股 | ||
16:20 | Co640 二股 | C1 |
林道~ニシュオマナイコース
前日は三石の道の駅で車中泊だった。夜明けとともに重い体を起こして元浦川林道に向かった。平日なので、林道ゲートにはさすがに車はなかった。カップ麺を食べ、自転車をおろして出発しようとすると、ようやく車が一台やってきて挨拶をされた。
自転車を走らせて林道を進む。ソエマツ沢出合付近までは道もきれいで割と順調だ。本流を右岸に渡ると道は急に荒れて走りにくくなる。ゲートが開いていたとしても、私の車での走行は難しいだろう。
ベッピリガイ乗越への作業道周辺はきれいに伐採され、まるで見覚えのない風景となっていた。作業道の方がきれいに整備されていたので、一瞬どちらに進むか迷ってしまった。少し進むと鹿児島から来た学生3人組が休憩していた。昨日のうちに神威山荘までたどり着くつもりだったが、道に迷ってたどり着けなかったらしい。彼らはなんと神威岳から幌尻岳まで縦走するらしい。しかも、15リットルの水を担ぐとか。良くそんなマゾヒスティックな山行を思いつくものだと感心してしまう。神威山荘にたどり着くだけで、既にかなりへばった表情を見せているが、そんなことで幌尻岳にたどり着けるのだろうか。・・・ちなみに、彼らはどうやら鹿児島大学探検部らしい。まだ山行の報告はされていないが、とりあえず無事に下山はしたようである。
神威山荘からは自転車を残置して歩く。山草を出てすぐの渡渉は靴を脱いでサンダルを履いて渡渉した。水量が少ない時なら登山靴のまま渡渉出来るはずだが、今日は少し水量が多いようである。中ノ岳南西面沢は靴のまま渡渉し、次の渡渉で渓流靴に履き替えた。ザックが重いせいか、思ったよりも時間がかかる。
神威岳北西面直登沢
尾根取り付きを過ぎると、沢は狭く岸が高くなって、ついに滝が出てきた。予想では何もないガレの沢であったが、深い谷だけに滝が連続するとなると、ちょっとやっかいだ。まずは小さな二段の滝だ。右岸をシャワーで直登する(Co820)。滑滝、小滝、チョックストンと続く。いずれも問題はない(Co830-850)。ガレの奥に少し大きな滝が見える。右岸のルンゼから取り付き直登した(Co870)。
沢は更に狭くなって小滝が続いている。このまま滝沢になるのかと思われたが、ガレが増えて、滝沢の雰囲気ではなくなった。左岸の壁はますます高くなって、一部庇になっている。ガレの中に斜瀑が断続し、チョックストンをずぶぬれになって通過した(Co1010-1040)。
大きな函地形にますますガレが多くなって、やがて伏流した。源頭近くの左岸は衝立のような岩稜となって威圧している。源頭付近のガレは猛烈に不安定だ。一歩を踏み出すとガラガラと崩れ落ちる。何とかガレを登り切って急斜面の草付きを詰めていくと、尾根に直接飛び出した。ここから見下ろすルンゼ状の直登沢には見覚えがある。尾根上のハイマツを少し漕いで、主稜線の登山道に出た。
いい天気だが、ペテガリ岳とソエマツ岳には少し雲がかかっていた。帰りの下降用に担いできた登山靴を残置してソエマツ沢へ下降を開始する。
神威岳東面直登沢
コンパスを切って東へ向かう。ピーク直下の斜面は以前に下った時よりも急に感じる。沢筋に出るとひたすら岩盤状の渓相だ。以前に下った時はロープを使わずに全てクライムダウンをしたはずだが、どうにも下れない滝が出てきた。左岸に残置シュリンゲがあるので、これを使ってラッペルで下った(Co1160)。
沢幅は狭く、小規模なチョックストンの滝が続いている。左岸が少しかぶったルンゼ状の滝が出てきた。この滝には見覚えがある。これも以前はクライムダウンをしたはずだが、水量が多いからか、チョックストンの掛かり方が変わったのか、下る要領を得ない。周辺を見ても残置はない。仕方ないのでハーケン、シュリンゲを残置してラッペルした(Co1070)。
更に三股まで滝が続くが、全てクライムダウンで下りた。三股から先はほぼ全てガレで埋められている。『北海道の山と谷』で三段 30m としてふれられている滝は涸れた樋滝となっている。中を通過。さらに Co640 二股まで伏流している。
周辺で天場を探したが、あまりいいところが無く右往左往。結局東面直登沢の伏流した河原を整地して泊とした。久々に天気がいいので、焚き火の横で寝ることにした。
2008年09月05日(金)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
04:45 | 晴 | 起床 | |
06:00 | 出発 | ||
06:50 | Co840 二股 | ||
08:00 | 左股 Co1010 | ||
09:50 | 本流 Co1230 | ||
11:50 | 神威岳 | ||
14:00 | 尾根取り付き | ||
15:50 | 神威山荘 | C2 |
ツェルトに入ることなく朝まで焚き火の横で過ごした。今日も天気はよい。
神威岳南東面直登沢
左股の南東面直登沢へ進む。はじめは何もないゴーロだが、すぐに両方が滝となった Co680 二股だ。早速緊張が走る直登だ。まずは左岸を登り、水流を横切って右岸を登った(Co680)。滑滝を一つ通過し、難しそうな直瀑が見える。右岸直登を試みたが、上の方がツルツルで悪い。戻って左岸を高巻いた(Co700)。
滝の上は滑滝が続いていた。滑滝を通過して、突き当たりの滝は右岸草付きを攀じり、トラバースするが悪い。更に右岸を直登して落ち口へ出た(Co760)。次の滝は左岸をシャワークライムで直登した(Co770)。次の滝は左岸を登れそうかと思ったが、逆層でノーホールドノースタンス。左岸のルンゼから草付きに取り付いて高巻いた(Co800)。次の直瀑は一部ハングしている。右岸草付き斜面をよじ登って高巻いた(Co820)。斜瀑を左岸から通過すると Co840 二股だ。
Co840 二股の先は垂直の絶壁に囲まれた函滝になっていた。直登はおろか高巻くことも出来そうにない。近づいてみると、右岸に弱点と思われるクラックがある。しかし、単独ではかなり厳しそうだ。ギアを駆使して登っても、落ち口へは悪いトラバースを強いられそうである。周囲の壁にも弱点は見つからない。上部の植生まではどこを通ってもかなり悪い岩登りとなりそうだ。巻いたところで、沢に降りられるかどうかもわからない。
もうちょっと滝の通過を慎重に検討しても良かったかも知れないが、ここのところ完全に気持ちは弱って逃げ腰になっている。本流の遡行はあきらめて、ひとまず左股に逃げることにした。しかし、左股も難しい滝になっている。右岸から高巻いていく。高巻き中に本流の奥が垣間見えたが、悪そうな渓相が続いているようだ。鋭いカンテを微妙なトラバースで越えて滝の上に出た(Co840-870)。
滝の上から尾根を越えて本流に戻ろうかと思ったが、本流の状態は悪そうなのでしばらく左股を進むことにした。小滝が続いているが、特に難しい物はない。 Co1000 付近で本流との中間尾根に向かって延びる涸れ沢があったので、これを詰めて本流に戻ることにした。沢は笹のトンネル状となって、少し藪を漕いで尾根筋に出た。沢ははるか下方で、中の様子はわからない。藪をトラバースして崖の上に出ると、先に巨大な滝がかかっているのが見えた。
滝はとても登れそうには見えず、そのまま更にトラバースしていくことにした。ルンゼから一端本流に降りてから巻き直しても良かったが、逃げ腰の姿勢は相変わらずである。ルンゼを越えて絶壁をトラバースしていくと、また次の滝が見える。更にルンゼを通過して巻き続けた。三本目のルンゼはクライムダウン出来そうなので下って本流出るとそこはまだ狭い函の中だった。下は急激に落ちており、上にはチョックストンを持った滝がある。
ルンゼ状の滝をシャワークライムして行く。チョックストンをつかんだら、ぐらりと動いてちょっとびびった(Co1250)。滝の上には右岸に真新しいハーケンとシュリンゲがかかっていた。おそらくピオレのパーティが下降で使ったものだろう。結局、ピオレのパーティがエスケープした所より下の核心部を見ることは出来なかった。
いくつかの小滝を越えていくと、やがて源頭となって沢形は藪の中に消えていた。尾根筋に出てハイマツをみっちり1ピッチ漕いでピークに出た。
ニシュオマナイコース
ピークに残置していた登山靴に履き替え、バカ尾根を下る。この尾根を下るのはもう何回目になるかわからないが、本当にイヤになる下りだ。
沢に出て渓流靴に履き替え沢を行く。魚影が見えたので竿を出してしばし釣りをする。エゾイワナを一匹釣り上げた。自転車なので、今日中に下山出来なくもないが、魚も釣れたので、神威山荘を借り切ってのんびり過ごすことにした。イワナは例によってストーブに火を入れて塩焼きにしていただいた。
2008年09月06日(土)
時刻 | 天候 | 場所 | 行動 |
---|---|---|---|
06:50 | 出発 | ||
09:00 | 林道ゲート | 下山 |
元浦川林道
今日は自転車で一気に下るだけ。時々林道脇に目をやってキノコを探したが、食べられるキノコは見つからなかった。